2021年オーストリアグランプリ

2021年オーストリアグランプリ (: 2021 Austrian Grand Prix) は、2021年のF1世界選手権第9戦として、2021年7月4日レッドブル・リンクで開催された。

オーストリアの旗 2021年オーストリアグランプリ
レース詳細
日程 2021年シーズン第9戦
決勝開催日 7月4日
開催地 レッドブル・リンク
 オーストリア シュタイアーマルク州 シュピールベルク英語版
コース 恒久的レース施設
コース長 4.318km
レース距離 71周 (306.452km)
決勝日天候 晴れ
ポールポジション
ドライバー
タイム 1:03.720
ファステストラップ
ドライバー オランダの旗 マックス・フェルスタッペン
タイム 1:06.200(62周目)
決勝順位
優勝
2位
3位

正式名称は「FORMULA 1 BWT GROSSER PREIS VON ÖSTERREICH 2021[1]

背景

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新型コロナウイルス感染症の世界的流行による影響
当初のスケジュールでは第10戦として開催予定だった[2]。しかしその後、オーストラリアGPの延期(のちに中止)やカナダGPの中止などの情勢変化により再編が余儀なくされ、前年に引き続きレッドブル・リンクでの2週連続開催となった。前年は2レース目をシュタイアーマルクGPと銘打って開催されたが、今年の2レース目は本来の開催日であるため、オーストリアGPとして開催された[3]
タイヤ
本レースでピレリが持ち込むドライ用タイヤのコンパウンドはハード(白):C3、ミディアム(黄):C4、ソフト(赤):C5の柔らかい組み合わせ[4]。また、ピレリはアゼルバイジャンGPでのタイヤトラブルを受け、新たな構造のリアタイヤを持ち込んだ。2セットずつ各ドライバーへ供給され、金曜日のいずれかのセッション(FP1もしくはFP2)で指定の周回数を走行することが義務付けられた[5]
その他
  • アストンマーティンのスポンサーを務めるBWTが第8戦シュタイアーマルクGPに続き、本グランプリもタイトルスポンサーを務めることとなり[6]、トラックサイドの看板、パルクフェルメや表彰台の壁面などがコーポレートカラーのピンクを基調したものとなる。
  • フリー走行3回目(FP3)の開始前にメルセデスルイス・ハミルトンとの契約を2年間延長(2023年までの契約締結)したことを発表した[7]

エントリーリスト

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レギュラーシートは前戦シュタイアーマルクGPから変更なし。ただし、後述の通り、フリー走行1回目(FP1)にて3チーム(アルピーヌアルファロメオウィリアムズ)は、レギュラードライバー1名に代わってリザーブドライバー(もしくはテストドライバー)として登録されているドライバーが出走した。


フリー走行

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FP1[9]
トップはマックス・フェルスタッペン。コース上でスピンしたドライバーはいたものの、赤旗も含めたセッションを中断させるような事態はなく、何事もなく終えた。
FP2[10]
トップはルイス・ハミルトン。コース上でスピンしたドライバーはいたものの、赤旗も含めたセッションを中断させるような事態はなかったが、残り30分を切った辺りで雨粒が路面を濡らし始めた。だが、インターミディエイトを装着して走行するほどの雨量ではなかったため、セッションとしてはドライコンディションの状態で終えた。
FP3[11]
トップはフェルスタッペン。コース上でスピンしたドライバーはいたものの、赤旗も含めたセッションを中断させるような事態はなく、何事もなく終えた。

予選

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2021年7月3日 15:00 CEST(UTC+2)(文章の参照先[12]

マックス・フェルスタッペンが今季4度目のポールポジション(PP)を獲得。2番手のランド・ノリスとは0.048秒という僅差だった。また、ジョージ・ラッセルはウィリアムズ所属として初めてQ2を突破[注 1]、Q3では9番手を獲得した(決勝はセバスチャン・ベッテルのペナルティによる3グリッド降格による順位変動により8番手スタートとなる[13][14]。ウィリアムズもチームとして2018年イタリアグランプリ以来のQ3進出を果たした他、マクラーレンはチームとして2012年ブラジルグランプリ以来のフロントロー獲得となった[15]

予選結果

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順位 No. ドライバー コンストラクター Q1 Q2 Q3 Grid
1 33   マックス・フェルスタッペン レッドブル-ホンダ 1:04.249 1:03.927 1:03.720 1
2 4   ランド・ノリス マクラーレン-メルセデス 1:04.345 1:04.415 1:03.768 2
3 11   セルジオ・ペレス レッドブル-ホンダ 1:04.833 1:04.483 1:03.990 3
4 44   ルイス・ハミルトン メルセデス 1:04.506 1:04.258 1:04.014 4
5 77   バルテリ・ボッタス メルセデス 1:04.563 1:04.376 1:04.049 5
6 10   ピエール・ガスリー アルファタウリ-ホンダ 1:04.841 1:04.412 1:04.107 6
7 22   角田裕毅 アルファタウリ-ホンダ 1:04.967 1:04.518 1:04.273 7
8 5   セバスチャン・ベッテル アストンマーティン-メルセデス 1:04.846 1:04.493 1:04.570 111
9 63   ジョージ・ラッセル ウィリアムズ-メルセデス 1:04.907 1:04.553 1:04.591 8
10 18   ランス・ストロール アストンマーティン-メルセデス 1:04.927 1:04.547 1:04.618 9
11 55   カルロス・サインツ フェラーリ 1:04.596 1:04.559 10
12 16   シャルル・ルクレール フェラーリ 1:04.906 1:04.600 12
13 3   ダニエル・リカルド マクラーレン-メルセデス 1:04.977 1:04.719 13
14 14   フェルナンド・アロンソ アルピーヌ-ルノー 1:04.472 1:04.856 14
15 99   アントニオ・ジョヴィナッツィ アルファロメオ-フェラーリ 1:04.782 1:05.083 15
16 7   キミ・ライコネン アルファロメオ-フェラーリ 1:05.009 16
17 31   エステバン・オコン アルピーヌ-ルノー 1:05.051 17
18 6   ニコラス・ラティフィ ウィリアムズ-メルセデス 1:05.195 18
19 47   ミック・シューマッハ ハース-フェラーリ 1:05.427 19
20 9   ニキータ・マゼピン ハース-フェラーリ 1:05.951 20
107% time: 1:08.746
ソース:[16][17]
追記
  • ^1 – ベッテルはQ2でアロンソを妨害したことにより3グリッド降格ペナルティとペナルティポイント1点(合計6点)が科せられた[13]

決勝

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2021年7月4日 15:00 CEST(UTC+2)(文章の出典[18]

ポールポジションのマックス・フェルスタッペンが前戦シュタイアーマルクGPに続き、全周回ラップリーダーでの勝利で自身初の3連勝とした。また、ファステストラップも獲得したことからキャリア初のグランドスラムを達成した。

レース全体としては、スタート直後の混戦でエステバン・オコンが他車と接触によりリタイア、オコンの車両回収のためにセーフティーカー(SC)が導入された。それ以降はペナルティが続出する中、各車のタイヤマネジメントとレースペースによる対決という展開となった。また、前戦シュタイアーマルクGPよりもタイヤが柔らかい組み合わせとなったことから、大半のドライバーは2ストップ戦略を選択した。

最終ラップにセバスチャン・ベッテルキミ・ライコネンとの接触によりリタイアしたものの、規定により完走扱いとなり、完走は19台となった[注 2]

レース結果

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順位 No. ドライバー コンストラクター 周回数 タイム/リタイア原因 Grid Pts.
1 33   マックス・フェルスタッペン レッドブル-ホンダ 71 1:23:54.543 1 26FL
2 77   バルテリ・ボッタス メルセデス 71 +17.973 5 18
3 4   ランド・ノリス マクラーレン-メルセデス 71 +20.019 2 15
4 44   ルイス・ハミルトン メルセデス 71 +46.452 4 12
5 55   カルロス・サインツ フェラーリ 71 +57.144 10 10
6 11   セルジオ・ペレス レッドブル-ホンダ 71 +57.9151 3 8
7 3   ダニエル・リカルド マクラーレン-メルセデス 71 +60.395 13 6
8 16   シャルル・ルクレール フェラーリ 71 +61.195 12 4
9 10   ピエール・ガスリー アルファタウリ-ホンダ 71 +61.844 6 2
10 14   フェルナンド・アロンソ アルピーヌ-ルノー 70 +1 Lap 14 1
11 63   ジョージ・ラッセル ウィリアムズ-メルセデス 70 +1 Lap 8
12 22   角田裕毅 アルファタウリ-ホンダ 70 +1 Lap2 7
13 18   ランス・ストロール アストンマーティン-メルセデス 70 +1 Lap3 9
14 99   アントニオ・ジョヴィナッツィ アルファロメオ-フェラーリ 70 +1 Lap 15
15 7   キミ・ライコネン アルファロメオ-フェラーリ 70 +1 Lap4 16
16 6   ニコラス・ラティフィ ウィリアムズ-メルセデス 70 +1 Lap5 18
17† 5   セバスチャン・ベッテル アストンマーティン-メルセデス 69 アクシデント 11
18 47   ミック・シューマッハ ハース-フェラーリ 69 +2 Laps 19
19 9   ニキータ・マゼピン ハース-フェラーリ 69 +2 Laps5 20
Ret 31   エステバン・オコン アルピーヌ-ルノー 0 アクシデント 17
ソース:[19][20][21]

追記

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  • ^FL - ファステストラップの1点を含む
  • ^1 - ペレスはルクレールを2回コース外へ追い出したことにより合計10秒のタイムペナルティ。
  • ^2 - 角田はピットインの際に白線を越えたため5秒のタイムペナルティ。
  • ^3 - ストロールはピットレーンでのスピード違反により5秒のタイムペナルティ。
  • ^4 - ライコネンはベッテルとの接触によりドライブスルーペナルティ(レース後の裁定のため20秒のタイムペナルティ)。
  • ^5 - ラティフィとマゼピンは最終ラップにてダブルイエローを無視したため10秒のストップ&ゴーペナルティ(レース後の裁定のため30秒のタイムペナルティ)。
  • - リタイアだが、90%以上の距離を走行したため規定により完走扱い

ペナルティポイント

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達成された主な記録

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第9戦終了時点のランキング

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  • :ドライバー、コンストラクター共にトップ5のみ表示。

脚注

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注釈

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  1. ^ ラッセル個人としては2020年サヒールグランプリにてメルセデスへレンタル移籍をした際、キャリア初の予選Q3進出を果たしている。
  2. ^ ライコネンはベッテルとの接触によりグラベルゾーンに飛び出したものの、コースへ復帰しチェッカーを受けたため、完走となっている。
  3. ^ これまでの記録は2011年インドグランプリでのベッテルの24歳119日

出典

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  1. ^ Austrian Grand Prix 2021”. The Official F1 Website. 2021年7月2日閲覧。
  2. ^ FIA、2021年F1カレンダーを承認。史上最多23戦が予定も3戦が未確定、日本GPは10月10日”. autosport web (2020年12月17日). 2020年7月10日閲覧。
  3. ^ F1、渡航制限により6月のトルコGP開催を断念。オーストリアで2レース実施、フランスとの3連戦へ”. autosport web (2021年5月14日). 2021年7月10日閲覧。
  4. ^ ピレリF1、オーストリア2連戦に異なるタイヤ選択。展開の変化を狙う”. autosport Web (2021年6月23日). 2021年7月2日閲覧。
  5. ^ アゼルバイジャンでのトラブルを受け、ピレリがF1オーストリアGPで新構造のリヤタイヤをテストへ”. autosport Web (2021年6月30日). 2021年7月3日閲覧。
  6. ^ レッドブルリンクがピンクに。BWT社、オーストリアF1ダブルヘッダーのタイトルスポンサーに就任”. autosport Web (2021年6月24日). 2021年7月2日閲覧。
  7. ^ ルイス・ハミルトン、メルセデスとの契約を延長…少なくとも2023年までF1現役続行へ。気になるチームメイトは…”. autosport Web (2021年7月3日). 2021年7月4日閲覧。
  8. ^ Models in 2021”. STATS F1. 2021年7月2日閲覧。
  9. ^ a b c d フェルスタッペン変わらず優勢か、角田5番手とアルファタウリも顕在…若手3名も好走 / F1オーストリアGP《FP1》結果とダイジェスト”. Formula1-Data (2021年7月2日). 2021年7月5日閲覧。
  10. ^ ハミルトン、フェルスタッペン抑え最速も「まだ0.2秒足らない」角田は好調維持 / F1オーストリアGP《FP2》結果とダイジェスト”. Formula1-Data (2021年7月2日). 2021年7月5日閲覧。
  11. ^ フェルスタッペン、圧倒タイムと揺るぎない自信でメルセデスを牽制…角田Q3に期待 / F1オーストリアGP《FP3》結果とダイジェスト”. Formula1-Data (2021年7月3日). 2021年7月5日閲覧。
  12. ^ レッドブル・ホンダ1-3!ノリス躍進でメルセデスは蚊帳の外…角田も最高位更新 / F1オーストリアGP《予選》結果とダイジェスト”. Formula1-Data (2021年7月3日). 2021年7月4日閲覧。
  13. ^ a b ベッテル、アロンソ妨害で3グリッド降格「僕がペナルティを受けるなら、他の人たちも罰せられるべき」/F1第9戦予選”. auto sport Web (2021年7月4日). 2021年7月4日閲覧。
  14. ^ ラッセル、ウイリアムズで予選9番手の快挙「ミディアムタイヤでQ3進出。久々にテンションが上がった!」F1第9戦”. auto sport Web (2021年7月4日). 2021年7月5日閲覧。
  15. ^ ノリスが予選2番手、マクラーレンが9年ぶりのフロントロウ「PPから0.05秒差だなんて最高にハッピー」F1第9戦”. auto sport Web (2021年7月4日). 2021年7月4日閲覧。
  16. ^ FORMULA 1 BWT GROSSER PREIS VON ÖSTERREICH 2021 - QUALIFYING”. Formula 1 (2021年7月3日). 2021年7月4日閲覧。
  17. ^ FORMULA 1 BWT GROSSER PREIS VON ÖSTERREICH 2021 - STARTING GRID”. Formula 1 (2021年7月4日). 2021年7月3日閲覧。
  18. ^ F1オーストリアGP決勝:フェルスタッペンが制圧! レッドブル・ホンダが5連勝、角田はペナルティに泣き12位”. jp.motorsport.com (2021年7月5日). 2021年7月5日閲覧。
  19. ^ FORMULA 1 BWT GROSSER PREIS VON ÖSTERREICH 2021 - RACE RESULT”. Formula 1 (2021年7月5日). 2021年7月4日閲覧。
  20. ^ FORMULA 1 BWT GROSSER PREIS VON ÖSTERREICH 2021 - FASTEST LAPS”. Formula 1 (2021年7月5日). 2021年7月4日閲覧。
  21. ^ 『F1速報2021年総集編』株式会社三栄、2021年12月28日、179頁。 
  22. ^ 出場停止近いノリス、ペナルティポイントに苦言「こんな“些事”よりも危険な走行に与えるべき」”. jp motorsport (2021年7月5日). 2021年7月6日閲覧。
  23. ^ インシデント続いたペレス、ノリスに怒り、ルクレールには謝罪「こんなレースはしたくなかった」F1第9戦”. auto sport Web (2021年7月5日). 2021年7月6日閲覧。
  24. ^ a b c ライコネン、ベッテルとの接触で20秒タイム加算。黄旗減速違反でラティフィとマゼピンがペナルティ”. jp motorsport (2021年7月5日). 2021年7月6日閲覧。
  25. ^ 角田裕毅、2回のペナルティで12位「ペースに苦しんだ。次は同じミスを繰り返さない」F1第9戦”. 2021-07-05. 2021年7月6日閲覧。
  26. ^ フェルスタッペン、F1史上25人目のグランドスラム「ホンダの田辺さんに表彰台に上がって貰えて良かった」”. Formula1-Data (2021年7月5日). 2021年7月5日閲覧。
  27. ^ 2021 Formula One Austrian Grand Prix - Driver Standings”. motorsportSTATS (2021年7月5日). 2021年7月5日閲覧。
  28. ^ 2021 Formula One Austrian Grand Prix - Team Standings”. motorsportSTATS (2021年7月5日). 2021年7月5日閲覧。
  29. ^ 2021 DHL FASTEST LAP AWARD”. Formula 1 (2021年7月5日). 2021年7月5日閲覧。
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