東京優駿 > 第89回東京優駿

第89回東京優駿(以下、日本ダービー)は、2022年5月29日東京競馬場で施行された競馬のGI競走である。

第89回東京優駿(日本ダービー)
第89回東京優駿ゴール前
(優勝馬 ドウデュース、鞍上 武豊
開催国 日本の旗日本
主催者 日本中央競馬会(JRA)
競馬場 東京競馬場
施行年 2022年
施行日 5月29日
距離 芝2400m
格付け GI
出走条件 サラ系3歳牡・牝(指定・国際)
天候
馬場状態
優勝馬 ドウデュース
優勝騎手 武豊
優勝調教師 友道康夫
優勝馬主 (株)キーファーズ
優勝生産者 ノーザンファーム
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優勝馬はドウデュースで、鞍上の武豊は史上初となる6回目の制覇となり、また53歳2ヶ月15日で歴代最年長[注 1][1]かつ史上初となる50代でのダービー騎手の名誉を手にした[2]

出走馬の状況

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皐月賞からは、優先出走権を得た上位5頭を始め、前年のホープフルステークスを制したキラーアビリティ等、合計12頭が参戦した。

その他トライアル競走で優先出走権を得た3頭も参戦し、毎日杯を制しデビュー3連勝のピースオブエイトや、京都新聞杯をレコードで駆け抜けたアスクワイルドモアが参戦を決めた。

また、 NHKマイルカップ2着のマテンロウオリオンが参戦を決めたことにより、収得賞金で並んでいた、皐月賞で7着に敗れたジャスティンロックサウジアラビアRC勝ち馬コマンドラインの2頭が抽選対象となった。1/2の抽選の結果、ジャスティンロックが抽選を突破し、出走18頭が決定した[3]

※性齢は全て3歳牡馬。

着順 人気 競走馬名 騎手 タイム 着差 ダービーへの出否
1着 5 ジオグリフ 福永祐一 1:59.7 出走
2着 3 イクイノックス C.ルメール 1:59.8 1 出走
3着 1 ドウデュース 武豊 2:00.0 1 1/4 出走
4着 2 ダノンベルーガ 川田将雅 2:00.0 クビ 出走
5着 6 アスクビクターモア 田辺裕信 2:00.1 クビ 出走
6着 8 オニャンコポン 菅原明良 2.00.1 クビ 出走
7着 10 ジャスティンロック 戸崎圭太 2.00.3 3/4 出走
8着 16 ラーグルフ 丸田恭介 2.00.3 クビ
9着 9 ジャスティンパレス M.デムーロ 2.005 1 1/4 出走
10着 15 ダンデスヴュー 吉田隼人 2.00.5 ハナ
11着 13 ビーアストニッシド 和田竜二 2.00.5 クビ 出走
12着 14 マテンロウレオ 横山典弘 2.00.5 クビ 出走
13着 4 キラーアビリティ 横山武史 2.00.6 1/2 出走
14着 12 ボーンディスウェイ 石橋脩 2.00.7 クビ
15着 17 グランドライン 三浦皇成 2.00.9 1 1/4
16着 7 デシエルト 岩田康誠 2.01.3 2 1/2 出走
17着 11 サトノヘリオス 岩田望来 2.01.7 2 1/2
18着 18 トーセンヴァンノ 木幡巧也 2.02.7 6
  • 東京・2400mで実施[5]
  • 2着以内に優先出走権が与えられる。

※性齢は全て3歳牡馬。

着順 競走馬名 騎手 タイム 着差 ダービーへの出否
1着 プラダリア 池添謙一 2.24.2 出走
2着 ロードレゼル 川田将雅 2.24.3 1/2 出走
3着 エターナルビクトリ 武豊 2.24.4 1/2
  • 東京・2000mで実施[6]
  • 1着馬に優先出走権が与えられる。
着順 競走馬名 騎手 タイム 着差 ダービーへの出否
1着 セイウンハーデス 幸英明 1.59.0 出走
2着 キングズパレス 松岡正海 1.59.1 1/2
3着 マイネルクリソーラ 柴田大知 1.59.1 アタマ

その他の前哨戦の結果

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  • 東京・1600mで実施[7]
着順 競走馬名 性齢 騎手 タイム 着差 ダービーへの出否
1着 ダノンスコーピオン 牡3 川田将雅 1.32.3
2着 マテンロウオリオン 牡3 横山典弘 1.32.3 クビ 出走
3着 カワキタレブリー 牡3 菅原明良 1.32.4 クビ

※性齢は全て3歳牡馬。

着順 競走馬名 騎手 タイム 着差 ダービーへの出否
1着 アスクワイルドモア 岩田望来 R2.09.5 出走
2着 ヴェローナシチー 酒井学 2.09.6 1/2
3着 ボルドグフーシュ 松田大作 2.09.8 1 1/4
第69回毎日杯 GIII
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※性齢は全て3歳牡馬。

着順 競走馬名 騎手 タイム 着差 ダービーへの出否
1着 ピースオブエイト 藤岡佑介 1.47.5 出走
2着 ベジャール 藤岡康太 1.47.6 3/4
3着 ドゥラドーレス 戸崎圭太 1.47.7 1/2

人気

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皐月賞上位4頭で人気を分け合い、4番人気のジオグリフが単勝5.9倍と、一桁台の支持を集めたのに対して、5番人気のプラダリアが単勝20.7倍と大きく離れる人気となった。1番人気は当日まで変動を繰り返したが、最終的にダノンベルーガが3.5倍で1番人気、イクイノックスが3.8倍 、ドウデュースが4.2倍と続いた。

出走馬・枠順

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2022年5月29日 第2回東京開催12日目 第11競走
コース
芝 2,400m (Cコース)[10]
天気
晴、馬場状態: 良、発走: 15時40分

※全頭とも性齢は「牡3歳」、斤量は57kg。

枠番 馬番 競走馬名 騎手 騎乗回数 調教師 馬主 単勝人気 馬体重

[kg]

オッズ 人気
1 1 アスクワイルドモア 岩田望来 初騎乗 藤原英昭 廣崎利洋HD(株) 60.3 13 464
2 セイウンハーデス 幸英明 9回目 橋口慎介 西山茂行 150.0 16 472
2 3 アスクビクターモア 田辺裕信 8回目 田村康仁 廣崎利洋HD(株) 24.7 7 472
4 マテンロウレオ 横山和生 初騎乗 昆貢 寺田千代乃 198.7 18 476
3 5 ピースオブエイト 藤岡佑介 8回目 奥村豊 (有)シルクレーシング 59.4 12 460
6 プラダリア 池添謙一 13回目 池添学 名古屋友豊(株) 20.7 5 458
4 7 オニャンコポン 菅原明良 初騎乗 小島茂之 田原邦男 24.2 6 468
8 ビーアストニッシド 和田竜二 11回目 飯田雄三 村中徹 182.3 17 462
5 9 ジャスティンパレス ミルコ・デムーロ 10回目 杉山晴紀 三木正浩 43.1 10 448
10 マテンロウオリオン 横山典弘 25回目 昆貢 寺田千代乃 40.6 9 484
6 11 ジャスティンロック 松山弘平 7回目 吉岡辰弥 三木正浩 87.3 14 486
12 ダノンベルーガ 川田将雅 16回目 堀宣行 (株)ダノックス 3.5 1 494
7 13 ドウデュース 武豊 33回目 友道康夫 (株)キーファーズ 4.2 3 490
14 デシエルト 岩田康誠 13回目 安田隆行 (株)ラ・メール 90.4 15 512
15 ジオグリフ 福永祐一 23回目 木村哲也 (有)サンデーレーシング 5.9 4 492
8 16 キラーアビリティ 横山武史 3回目 斉藤崇史 (有)キャロットファーム 33.4 8 460
17 ロードレゼル ダミアン・レーン 3回目 中内田充正 (株)ロードホースクラブ 54.5 11 506
18 イクイノックス クリストフ・ルメール 7回目 木村哲也 (有)シルクレーシング 3.8 2 484

岩田望来横山和生菅原明良の3騎手はダービー初騎乗

レース展開

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スタートは10番マテンロウオリオンと11番ジャスティンロックがやや出負けし、後方からの競馬に。その他は揃ったスタートを見せた。外枠からデシエルトがハナを主張し、その後にアスクビクターモア、ピースオブエイトが続いた。人気の4頭は中団から後方に控えた。

向こう正面でも依然先頭はデシエルトで、1000m58秒9のハイペースで逃げを打つ。アスクビクターモアやプラダリアは先団で追走し、ジオグリフ、ダノンベルーガ、オニャンコポンの3頭が中団で並ぶような格好で位置どる。3頭の後方にドウデュースがつけ、イクイノックスは皐月賞とは異なり後方3番手の位置をとった。

そして4コーナーを曲がり、最後の直線を迎える。早くもアスクビクターモアがデシエルトを捉え先頭に立つと、その後ろでダノンベルーガ、プラダリア、ドウデュース等が位置を取る。アスクビクターモアが懸命に粘るが、後方で機を伺っていたドウデュースが末脚を繰り出し、残り200mで先頭を捕らえた。そのままドウデュースは、大外から上がり最速の末脚で突っ込んできたイクイノックスをクビ差で凌ぎ切りゴールした。タイムは2.21.9で、前年にシャフリヤールが記録したダービーレコードを0.6秒更新した[11]

3着には直線粘ったアスクビクターモアが入線。1番人気ダノンベルーガは内から伸びるも4着、2冠を目指すジオグリフは直線伸びず7着に敗れた。

結果・払戻金

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順位表

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着順 枠番 馬番 馬名 タイム 上3F 着差
(馬身)
1 7 13 ドウデュース R2:21.9 33.7
2 8 18 イクイノックス 2:21.9 33.6 クビ
3 2 3 アスクビクターモア 2:22.2 35.3 2
4 6 12 ダノンベルーガ 2:22.3 34.3 クビ
5 3 6 プラダリア 2:22.8 35.2 3
6 8 16 キラーアビリティ 2:22.9 34.5 3/4
7 7 15 ジオグリフ 2:22.9 34.9 ハナ
8 4 7 オニャンコポン 2:23.0 35.0 1/2
9 5 9 ジャスティンパレス 2:23.2 35.4 1.1/4
10 4 8 ビーアストニッシド 2:23.5 36.2 1.3/4
11 1 2 セイウンハーデス 2:23.9 36.4 2.1/2
12 1 1 アスクワイルドモア 2:24.0 36.2 3/4
13 2 4 マテンロウレオ 2:24.0 36.2 ハナ
14 8 17 ロードレゼル 2:24.0 36.5 ハナ
15 7 14 デシエルト 2:24.0 37.3 クビ
16 6 11 ジャスティンロック 2:24.7 36.0 4
17 5 10 マテンロウオリオン 2:25.9 37.2 7
18 3 5 ピースオブエイト 2:29.1 41.7 大差

制裁

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ジャスティンパレスに騎乗したミルコ・デムーロは、最後の直線で内側に斜行したため過怠金5万円を科された(被害馬:ロードレゼル、ピースオブエイト)。

払戻金

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馬番/枠番 人気 金額(円)
単勝 13 3 420
複勝 13 2 160
18 1 150
3 6 410
枠連 7 - 8 1 420
馬連 13 - 18 3 730
馬単 13 → 18 4 1,440
ワイド 13 - 18 2 340
3 - 13 7 1,120
3 - 18 12 1,390
3連複 3 - 13 - 18 10 4,570
3連単 13 → 18 → 3 33 15,770

エピソード

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  • 発走前の国歌独唱は演歌歌手の石川さゆりが担当した。また、発走のファンファーレは陸上自衛隊中央音楽隊が務めた。
  • 前述の通り、武豊は2013年のキズナ以来、9年ぶり史上最多となる6度目の、また史上初となる50代でのダービー制覇を果たした。
  • 朝日杯フューチュリティステークス(旧:朝日杯3歳ステークス)優勝馬によるクラシック制覇はロゴタイプ(2013年皐月賞)以来9年ぶりで、阪神競馬場で行われるようになってからは初めて。当該馬の日本ダービー制覇は1994年のナリタブライアン以来28年ぶり。
  • 友道康夫調教師は3度目のダービー制覇。
  • 同レース後、前述の高速決着となったレースの影響か、ジオグリフ、マテンロウレオに骨折が確認され、2着に敗れたイクイノックスも、左前脚に屈腱炎に近い腫れの症状が確認された[12][13][14]
  • この競走では前年に打ち立てられたレコードタイムを更に0.6秒更新したが、更新幅としては第71回優勝馬キングカメハメハの2.0秒に次ぐグレード制導入後2位タイとなっている[注 2]
  • 2着に敗れたイクイノックスにとって、結果的にこの競走が最後に敗れたレースとなった。
  • 故障により早期引退したロードレゼルを除き、最終的に出走18頭中17頭が重賞馬となり、歴代でも屈指の好メンバーが揃ったダービーとみなされている[15]

テレビ・ラジオ中継

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本レースのテレビ・ラジオ放送実況担当者並びに放送体制。NHK職員の勤務局並びに民放各社社員の役職、その他出演者の肩書はレース当時のもの。

他局・系列局利用社局

脚注

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注釈

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  1. ^ それまでの最年長記録は増沢末夫が保持していた(48歳7ヶ月6日、1986年ダイナガリバー)。
  2. ^ 国際G1指定後では2019年ロジャーバローズと並ぶ最大タイ
  3. ^ a b パドック解説兼任。
  4. ^ a b c 日本中央競馬会公式映像使用
  5. ^ a b 新型コロナウイルス感染拡大防止の為、自宅より電話出演。
  6. ^ レース後に行われる表彰式のプレゼンターを務めるため、途中退席。
  7. ^ 14:40~16:00は中断。当該レースは16:00からの第2部にて録画放送。

出典

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  1. ^ 【日本ダービー】武豊がドウデュースで歴代最年長の53歳で制す 夢の続き凱旋門賞へ「胸が躍る」(スポーツ報知)
  2. ^ "【ダービー】ドウデュースがレースレコードで制す 武豊9年ぶり制覇に「感無量」最多更新6勝目". ニッカンスポーツ・コム. 日刊スポーツ新聞社. 29 May 2022. 2022年5月29日閲覧
  3. ^ 【日本ダービー】抽選突破のジャスティンロックは6枠11番 吉岡調教師「周りを見ながら流れに乗れる枠」”. スポーツ報知 (2022年5月26日). 2022年8月29日閲覧。
  4. ^ 2022年 皐月賞 JRA”. www.jra.go.jp. 2022年8月29日閲覧。
  5. ^ 2022年 テレビ東京杯青葉賞 JRA”. jra.jp. 2022年8月29日閲覧。
  6. ^ 2022年 プリンシパルステークス トライアルレース・前哨戦 JRA”. jra.jp. 2022年8月29日閲覧。
  7. ^ 2022年 NHKマイルカップ JRA”. jra.jp. 2022年8月29日閲覧。
  8. ^ 2022年 京都新聞杯 JRA”. jra.jp. 2022年8月29日閲覧。
  9. ^ 2022年 毎日杯 JRA”. jra.jp. 2022年8月29日閲覧。
  10. ^ 成績表(データベース)7Pより
  11. ^ 2021年 東京優駿(日本ダービー) JRA”. www.jra.go.jp. 2022年8月29日閲覧。
  12. ^ 皐月賞馬ジオグリフ 右前脚第1指骨を骨折 全治3カ月 - スポニチ Sponichi Annex ギャンブル”. スポニチ Sponichi Annex. 2022年8月30日閲覧。
  13. ^ マテンロウレオが故障 JRA”. jra.jp. 2022年8月30日閲覧。
  14. ^ イクイノックス 左前脚に腫れ 屈腱炎には至らずも近日中に放牧へ(デイリースポーツ)”. Yahoo!ニュース. 2022年8月30日閲覧。
  15. ^ 「この世代バケモン」デシエルト中日新聞杯V 22年ダービー出走18頭中17頭が重賞ホースに”. スポニチアネックス (2024年12月7日). 2024年12月8日閲覧。