バーレーングランプリ
バーレーングランプリ(バーレーンGP, 英: Bahrain Grand Prix, 阿: جائزة البحرين الكبرى)は、バーレーン王国南部のサヒールにあるバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われているF1世界選手権のレースの1つ。
バーレーン・インターナショナル・サーキット (グランプリトラック) | |
レース情報 | |
---|---|
周回 | 57 |
コース長 | 5.412 km (3.363 mi) |
レース長 | 308.238 km (191.530 mi) |
開催回数 | 20 |
初回 | 2004年 |
最多勝利 (ドライバー) | ルイス・ハミルトン (5) |
最多勝利 (コンストラクター) | フェラーリ (7) |
最新開催(2024年): | |
ポールポジション |
マックス・フェルスタッペン レッドブル-ホンダ・RBPT 1:29.179 |
決勝順位 |
1. マックス・フェルスタッペン レッドブル-ホンダ・RBPT 1:29.179 2. セルジオ・ペレス レッドブル-ホンダ・RBPT +22.457s 3. カルロス・サインツ フェラーリ +25.110s |
ファステストラップ |
マックス・フェルスタッペン レッドブル-ホンダ・RBPT 1:32.608 |
2020年に同サーキットで開催されたサヒールグランプリ(英: Sakhir Grand Prix)についても本項目で記述する。
歴史
編集中東地域における初のF1開催として、2004年よりシーズンカレンダーに加わった。当初は、シーズン終盤の時期に開催される予定だったが、イスラム教の断食月ラマダーンと重なることを避けるため、シーズン序盤開催となった。そのため、2003年まで3月後半から4月初めに開催されることの多かったブラジルGPがシーズン終盤開催に変更となった。イスラム教では飲酒が禁じられているため、表彰式の後のシャンパンファイトではシャンパンではなく、ノンアルコールのローズウォーターが用いられた。
2006年は、過去10年連続で開幕戦として開催されてきたオーストラリアGPが、2006年コモンウェルスゲームズ(英連邦大会)開催の関係で4月に移動したことから、バーレーンGPが開幕戦となった。
2010年は耐久コースを使用したため、1周の長さが従来の5,411mから6,299mとなり、この年のF1が開催されたサーキットの中ではスパ・フランコルシャンに次ぎ2番目に長いサーキットとなった[1]。しかし、耐久コースでのレースはこの年限りで、翌2011年からは元のレイアウトに戻されることになった[2]。また、同年には再び開幕戦となった。
2011年も開幕戦として3月11~13日に予定されていたが、同国の反政府デモによる混乱(2011年バーレーン騒乱)のため安全が確保できないと判断され中止となった[3][4]。後に10月30日への延期が発表されたが、開催決定に大きな批判が集まり、FOTAはFIAに対して正式に反対の意思を表明、6月9日に開催を断念する旨の声明を発表した。
2012年は抗議活動が続く中で、サーキット周辺や連絡道路に警備体制を敷いて開催された。大きな混乱も無く終了したが、フォース・インディアのチームスタッフを乗せたバスが移動中に火炎瓶の炎上現場に遭遇した。
2014年からナイトレース(2021年から決勝スタートは現地時間18時[5])で行われている。
2020年は新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、F1史上初の無観客レースとなることが発表された[6]が、前週に行われる予定だったオーストラリアGPの開催中止を受ける形で延期され[7]、8月25日の追加日程発表にて2週連続での開催が決まり、1戦目は「バーレーングランプリ」として通常のグランプリトラックで、2戦目は開催地に因み「サヒールグランプリ」として開催された[8]。
2024年はサウジアラビアGPとの開幕2連戦となるが、ラマダーンが翌週の日曜日(3月10日)の夕方から始まるため、その週末に開催されるサウジアラビアGPとともに土曜日が決勝となる[9]。
批判
編集以前から、バーレーンでは「F1開催はシェイク・サルマン・ビン・ハマド・アール・ハリーファ皇太子の個人的趣味」「(バーレーン王家の)ハリーファ家の権力を誇示する手段に過ぎない」として、バーレーン国民の多数を占めるイスラム教シーア派の一部からは「F1開催そのものを行うべきではない」との批判があった。2011年の騒動においても、F1開催中止問題が浮上した途端にサルマン皇太子が民衆への対話を呼びかけ始めたことから、民衆側からは「皇太子にとっては国民が血を流している惨事より、F1の方が大事なのだろう」「国民の要求よりも自身の夢のほうが大切だなんて、本当に悲しくなってくる」などとして、F1開催の方法を模索するバーレーン政府サイドの動きに対する不満が続出している[10]。
過去のレース結果
編集年 | 決勝日 | ラウンド | サーキット | 勝者 | コンストラクター | 結果 |
---|---|---|---|---|---|---|
2004 | 4月 4日 | 3 | サヒール(グランプリトラック) | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 詳細 |
2005 | 4月 3日 | 3 | サヒール(グランプリトラック) | フェルナンド・アロンソ | ルノー | 詳細 |
2006 | 3月12日 | 1 | サヒール(グランプリトラック) | フェルナンド・アロンソ | ルノー | 詳細 |
2007 | 4月15日 | 3 | サヒール(グランプリトラック) | フェリペ・マッサ | フェラーリ | 詳細 |
2008 | 4月 6日 | 3 | サヒール(グランプリトラック) | フェリペ・マッサ | フェラーリ | 詳細 |
2009 | 4月26日 | 4 | サヒール(グランプリトラック) | ジェンソン・バトン | ブラウン-メルセデス | 詳細 |
2010 | 3月14日 | 1 | サヒール(耐久トラック) | フェルナンド・アロンソ | フェラーリ | 詳細 |
2011 | バーレーン騒乱の影響により中止 | 詳細 | ||||
2012 | 4月22日 | 4 | サヒール(グランプリトラック) | セバスチャン・ベッテル | レッドブル-ルノー | 詳細 |
2013 | 4月21日 | 4 | サヒール(グランプリトラック) | セバスチャン・ベッテル | レッドブル-ルノー | 詳細 |
2014 | 4月 6日 | 3 | サヒール(グランプリトラック) | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 詳細 |
2015 | 4月19日 | 4 | サヒール(グランプリトラック) | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 詳細 |
2016 | 4月 3日 | 2 | サヒール(グランプリトラック) | ニコ・ロズベルグ | メルセデス | 詳細 |
2017 | 4月16日 | 3 | サヒール(グランプリトラック) | セバスチャン・ベッテル | フェラーリ | 詳細 |
2018 | 4月 8日 | 2 | サヒール(グランプリトラック) | セバスチャン・ベッテル | フェラーリ | 詳細 |
2019 | 3月31日 | 2 | サヒール(グランプリトラック) | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 詳細 |
2020 | 11月29日 | 15 | サヒール(グランプリトラック) | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 詳細 |
2021 | 3月28日 | 1 | サヒール(グランプリトラック) | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 詳細 |
2022 | 3月20日 | 1 | サヒール(グランプリトラック) | シャルル・ルクレール | フェラーリ | 詳細 |
2023 | 3月 5日 | 1 | サヒール(グランプリトラック) | マックス・フェルスタッペン | レッドブル-ホンダ・RBPT | 詳細 |
2024 | 3月 2日 | 1 | サヒール(グランプリトラック) | マックス・フェルスタッペン | レッドブル-ホンダ・RBPT | 詳細 |
出典: [11] |
開催サーキット
編集-
サヒール(グランプリトラック)(2004-2009, 2012-)
-
サヒール(耐久トラック)(2010)
優勝回数
編集ドライバー
編集(2勝以上)
回数 | ドライバー | 優勝年 |
---|---|---|
5 | ルイス・ハミルトン | 2014, 2015, 2019, 2020, 2021 |
4 | セバスチャン・ベッテル | 2012, 2013, 2017, 2018 |
3 | フェルナンド・アロンソ | 2005, 2006, 2010 |
2 | フェリペ・マッサ | 2007, 2008 |
マックス・フェルスタッペン | 2023, 2024 | |
出典: [12] |
- 太字は2024年のF1世界選手権に参戦中のドライバー。
コンストラクター
編集(2勝以上)
回数 | コンストラクター | 優勝年 |
---|---|---|
7 | フェラーリ | 2004, 2007, 2008, 2010, 2017, 2018, 2022 |
6 | メルセデス | 2014, 2015, 2016, 2019, 2020, 2021 |
4 | レッドブル | 2012, 2013, 2023, 2024 |
2 | ルノー | 2005, 2006 |
出典: [13] |
- 太字は2024年のF1世界選手権に参戦中のコンストラクター。
エンジン
編集(2勝以上)
回数 | メーカー | 優勝年 |
---|---|---|
7 | メルセデス | 2009, 2014, 2015, 2016, 2019, 2020, 2021 |
フェラーリ | 2004, 2007, 2008, 2010, 2017, 2018, 2022 | |
4 | ルノー | 2005, 2006, 2012, 2013 |
2 | ホンダ・RBPT * | 2023, 2024 |
出典: [14] |
- 太字は2024年のF1世界選手権に参戦中のメーカー。
- * ホンダ(HRC)が製造。
サヒールグランプリ
編集
バーレーン・インターナショナル・サーキット (アウタートラック) | |
レース情報 | |
---|---|
周回 | 87 |
コース長 | 3.543 km (2.202 mi) |
レース長 | 307.995 km (191.379 mi) |
開催回数 | 1 |
初回 | 2020年 |
最終開催 | 2020年 |
最新開催(2020年): | |
ポールポジション |
バルテリ・ボッタス メルセデス 53.377 |
決勝順位 |
1. セルジオ・ペレス レーシング・ポイント-BWTメルセデス 1:31:15.114 2. エステバン・オコン ルノー +10.518s 3. ランス・ストロール レーシング・ポイント-BWTメルセデス +38.637s |
ファステストラップ |
ジョージ・ラッセル メルセデス 55.404 |
2020年にバーレーングランプリと2週連続で開催。バーレーンGPと同様にバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われたが、F1では初めてとなる「アウタートラック」を用い、バーレーンGPより遅い完全なナイトレースとして開催された[15]。
サヒールGPの結果
編集年 | 決勝日 | ラウンド | サーキット | 勝者 | コンストラクター | 結果 |
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2020 | 12月6日 | 16 | サヒール(アウタートラック) | セルジオ・ペレス | レーシング・ポイント-BWTメルセデス | 詳細 |
脚注
編集- ^ 東京中日スポーツ・2010年1月27日付 17面
- ^ “F1バーレーンGP、2011年は以前のレイアウトで開催”. f1-gate.com. (2010年8月17日) 2010年9月8日閲覧。
- ^ “F1バーレーンGP、中止が決定”. F1-Gate.com. (2011年2月22日) 2011年2月22日閲覧。
- ^ ちなみに、日本においてF1グランプリの中継を行っているフジテレビはこのレースの中止(当時は地上波でも中継を実施していた。)に伴う代替番組として、「F1レジェンド〜25年目の開幕SP〜」を放送する予定だったが、2日前に東日本大震災が発生したことを受けて報道特別番組に差し替えられたため、結局放送されず終いとなった。
- ^ “F1、2021年全グランプリのタイムスケジュールを発表。金曜プラクティスは短縮、日本GP決勝は14時スタート”. autosport web (2021年1月30日). 2021年3月26日閲覧。
- ^ “F1史上初! バーレーンGPは新型コロナウイルスの流行受け無観客レースに”. motorsport.com (2020年3月8日). 2020年3月8日閲覧。
- ^ “F1バーレーンGPとベトナムGPの延期が決定。2020年シーズンは「5月末スタート」に”. autosport web (2020年3月13日). 2020年3月13日閲覧。
- ^ “2020年シーズンのF1スケジュールが確定。トルコGPが復活、今季は全17戦の開催に”. autosport web (2020年8月25日). 2020年8月26日閲覧。
- ^ “FIAが2024年F1全24戦のタイムスケジュールを発表。開幕2戦とラスベガスが土曜日決勝に”. autosport web (2024年1月19日). 2024年1月27日閲覧。
- ^ 東京中日スポーツ・2011年2月22日付 23面
- ^ “Grands Prix Bahrain (Wins)” (英語). STATS F1 (2024年3月2日). 2024年3月3日閲覧。
- ^ “Grands Prix Bahrain (Wins/Drivers)” (英語). STATS F1 (2024年3月2日). 2024年3月3日閲覧。
- ^ “Grands Prix Bahrain (Wins/Constructors)” (英語). STATS F1 (2024年3月2日). 2024年3月3日閲覧。
- ^ “Grands Prix Bahrain (Wins/Engines)” (英語). STATS F1 (2024年3月2日). 2024年3月3日閲覧。
- ^ “2020年バーレーン2戦目は初のショートコースで開催。予選タイムは史上最短の55秒以下に”. autosport web (2020年8月29日). 2020年8月29日閲覧。