ザ・ベストミステリーズ 推理小説年鑑
『ザ・ベストミステリーズ 推理小説年鑑』( - すいりしょうせつねんかん)は、短編推理小説の優秀作品を集めたアンソロジー。日本推理作家協会編。毎年7月頃、講談社より刊行される。前身の『探偵小説年鑑』は1948年版から刊行されており、その歴史は60年を超える。
概要
編集日本推理作家協会賞の短編部門受賞作を巻頭に収めた、1年間の短編推理小説の傑作選。受賞作および最終候補作も含め、毎年15編から20編程度収録される。以前は『推理小説代表作選集 推理小説年鑑』というタイトルで刊行されており、1998年刊行のものから現在のタイトルになった。また、講談社から刊行されるようになったのは1967年からで、それ以前は別の出版社から刊行されていた。
刊行の3年後には、講談社文庫で2分冊で刊行される(『推理小説代表作選集 推理小説年鑑』の頃は、単行本に収録された一部の作品のみ、文庫版に収録されていた)。文庫版には「ミステリー傑作選」という副題と通し番号がついている。ただし、通し番号は46までで、47にあたる『トリック・ミュージアム』以降は単に「ミステリー傑作選」とされている。
2016年の『ベスト8ミステリーズ2015』から2018年の『ベスト8ミステリーズ2017』までは、再び単行本に収録された一部の作品のみ文庫本に収録となった。
タイトルと出版社の変遷
編集収録作家一覧
編集各年ごとに、収録されている作家名を五十音順に挙げる。日本推理作家協会賞「短編部門」(2000年 - )受賞作のみタイトルを挙げる。
1980年代
編集- 1980年(18編)
- 1981年(17編)
- 1982年(17編)
- 『推理小説代表作選集 1982』ISBN 4-06-114524-X
- 1983年(17編)
- 『推理小説代表作選集 1983』ISBN 4-06-114525-8
- 1984年(18編)
- 『推理小説代表作選集 1984』ISBN 4-06-114526-6
- 1985年(16編)
- 『推理小説代表作選集 1985』ISBN 4-06-114527-4
- 1986年(17編)
- 『推理小説代表作選集 1986』ISBN 4-06-114528-2
- 1987年(15編)
- 『推理小説代表作選集 1987』ISBN 4-06-114529-0
- 1988年(16編)
- 『推理小説代表作選集 1988』ISBN 4-06-114530-4
- 1989年(17編)
- 『推理小説代表作選集 1989』ISBN 4-06-114531-2
1990年代
編集- 1990年(14編)
- 『推理小説代表作選集 1990』ISBN 4-06-114532-0
- 1991年(19編)
- 浅川純、井上夢人、日下圭介、小池真理子、小杉健治、小林久三、斎藤澪、佐野洋、夏樹静子、乃南アサ、服部まゆみ、原尞、東野圭吾、皆川博子、宮部みゆき、本岡類、山口雅也、連城三紀彦、ジェイスン・ウッド[1]
- 『推理小説代表作選集 1991』ISBN 4-06-114533-9
- 1992年(15編)
- 『推理小説代表作選集 1992』ISBN 4-06-114534-7
- 1993年(16編)
- 『推理小説代表作選集 1993』ISBN 978-4-06-114535-1
- 1994年(15編)
- 『推理小説代表作選集 1994』ISBN 978-4-06-114536-8
- 1995年(16編)
- 『推理小説代表作選集 1995』ISBN 978-4-06-114537-5
- 1996年(14編)
- 『推理小説代表作選集 1996』ISBN 978-4-06-114538-2
- 1997年(15編)
- 『推理小説代表作選集 1997』ISBN 978-4-06-114539-9
- 1998年(15編)
- 『ザ・ベストミステリーズ 1998 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-114540-5
- 『殺人者 ミステリー傑作選38』ISBN 978-4-06-264983-4
- 『完全犯罪証明書 ミステリー傑作選39』ISBN 978-4-06-273142-3
- 1999年(20編)
- 浅黄斑、今邑彩、逢坂剛、歌野晶午、大倉崇裕(円谷夏樹名義)、折原一、香住泰、北森鴻、黒川博行、小林泰三、今野敏、佐野洋、鈴木輝一郎、新津きよみ、二階堂黎人、野沢尚、法月綸太郎、冨士本由紀、森博嗣、若竹七海
- 『ザ・ベストミステリーズ 1999 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-114900-7
- 『密室+アリバイ=真犯人 ミステリー傑作選40』ISBN 978-4-06-273316-8
- 『殺人買います ミステリー傑作選41』ISBN 978-4-06-273511-7
2000年代
編集2000年より、日本推理作家協会賞は「長編部門」「短編および連作短編集部門」という区分をやめ、「長編及び連作短編集部門」「短編部門」という区分になった。以降、「短編部門」の受賞作と候補作はすべて収録されている。
- 2000年(19編)
- 受賞作 「動機」横山秀夫
- 候補 浅黄斑、姉小路祐、福井晴敏、吉村達也
- 芦原すなお、奥宮和典[4]、折原一、恩田陸、北上秋彦、北川歩実、北森鴻、佐野洋、篠田節子、新野剛志、真保裕一、高橋克彦、新津きよみ、若竹七海
- 『ザ・ベストミステリーズ 2000 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-114901-4
- 『罪深き者に罰を ミステリー傑作選42』ISBN 978-4-06-273582-7
- 『嘘つきは殺人のはじまり ミステリー傑作選43』ISBN 978-4-06-273693-0
- 2001年(20編)
- 受賞作なし
- 候補 金城一紀、草上仁、翔田寛、山本一力
- 泡坂妻夫、香納諒一、 北川歩実、北森鴻、五條瑛、三枝洋、首藤瓜於、 真保裕一、高野史緒、 辻真先、法月綸太郎、馳星周、福井晴敏、宮部みゆき、横山秀夫、若竹七海
- 『ザ・ベストミステリーズ 2001 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-114902-1
- 『終日犯罪 ミステリー傑作選44』ISBN 978-4-06-274804-9
- 『殺人作法 ミステリー傑作選45』ISBN 978-4-06-274865-0
- 2002年(20編)
- 受賞作 「都市伝説パズル」法月綸太郎、「十八の夏」光原百合
- 候補 倉知淳、森福都、山之内正文
- 池井戸潤、薄井ゆうじ、逢坂剛、乙一、片岡義男、北川歩実、北森鴻、五條瑛、古処誠二、篠田節子、首藤瓜於、高野和明、姫野カオルコ、横山秀夫、若竹七海
- 『ザ・ベストミステリーズ 2002 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-114903-8
- 『零時の犯罪予報 ミステリー傑作選46』ISBN 978-4-06-275053-0
- 『トリック・ミュージアム ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-275163-6
- 2003年(20編)
- 受賞作なし
- 候補 伊坂幸太郎、乙一、笹本稜平、本多孝好、舞城王太郎
- 朝松健、石田衣良、奥田英朗、加納朋子、北原尚彦、北村薫、北森鴻、翔田寛、高橋克彦、柄刀一、法月綸太郎、松尾由美、緑川聖司[4]、宮部みゆき、横山秀夫
- 『ザ・ベストミステリーズ 2003 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-114904-5
- 『殺人の教室 ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-275379-1
- 『殺人格差 ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-275562-7
- 2004年(20編)
- 受賞作 「死神の精度」伊坂幸太郎
- 候補 小川勝己、小貫風樹[3]、朱川湊人、松尾由美
- 青木知己[3]、有栖川有栖、石田衣良、井上夢人、歌野晶午、逢坂剛、折原一、北森鴻、獅子宮敏彦、篠田節子、田中啓文、柄刀一、法月綸太郎、畠中恵、横山秀夫
- 『ザ・ベストミステリーズ 2004 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-114905-2
- 『孤独な交響曲 ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-275705-8
- 『犯人たちの部屋 ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-275904-5
- 2005年(18編)
- 『ザ・ベストミステリーズ 2005 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-114906-9
- 『仕掛けられた罪 ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-276026-3
- 『隠された鍵 ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-276201-4
- 2006年(14編)
- 『ザ・ベストミステリーズ 2006 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-114907-6
- 『セブンミステリーズ ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-276336-3
- 『曲げられた真相 ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-276499-5
- 2007年(15編)
- 『ザ・ベストミステリーズ 2007 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-114908-3
- 『ULTIMATE MYSTERY 究極のミステリー、ここにあり ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-276637-1
- 『MARVELOUS MYSTERY 至高のミステリー、ここにあり ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-276792-7
- 2008年(15編)
- 『ザ・ベストミステリーズ 2008 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-114909-0
- 『Play 推理遊戯 ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-276946-4
- 『Doubt きりのない疑惑 ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-277100-9
- 2009年(16編)
- 『ザ・ベストミステリーズ 2009 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-114910-6
- 『Bluff 騙し合いの夜 ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-277228-0
- 『Spiral めくるめく謎 ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-277427-7
2010年代
編集- 2010年(17編)
- 『ザ・ベストミステリーズ 2010 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-114911-3
- 『Logic 真相への回廊 ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-277510-6
- 『BORDER 善と悪の境界 ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-277708-7
- 2011年(12編)
- 『ザ・ベストミステリーズ 2011 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-114912-0
- 『Guilty 殺意の連鎖 ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-277779-7
- 『Shadow 闇に潜む真実 ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-277920-3
- 2012年(13編)
- 『ザ・ベストミステリーズ 2012 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-114913-7
- 『Junction 運命の分岐点 ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-293075-8
- 『Question 謎解きの最高峰 ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-293092-5
- 2013年(12編)
- 『ザ・ベストミステリーズ 2013 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-114914-4
- 『Symphony 漆黒の交響曲 ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-293362-9
- 『Esprit 機知と企みの競演 ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-293363-6
- 2014年(10編)
- 『ザ・ベストミステリーズ 2014 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-114915-1
- 『Life 人生、すなわち謎 ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-293639-2
- 『Love 恋、すなわち罠 ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-293641-5
- 2015年(12編)
- 『ザ・ベストミステリーズ 2015 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-114916-8
- 『Propose 告白は突然に ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-293900-3
- 『Acrobatic 物語の曲芸師たち ミステリー傑作選』ISBN 978-4-06-293901-0
- 2016年(12編)
- 『ザ・ベストミステリーズ 2016 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-114917-5
- 『ベスト8ミステリーズ2015』ISBN 978-4-06-515104-4
- 2017年(11編)
- 『ザ・ベストミステリーズ 2017 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-220579-5
- 『ベスト6ミステリーズ2016』ISBN 978-4-06-519394-5
- 2018年(10編)
- 『ザ・ベストミステリーズ 2018 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-221071-3
- 『ベスト8ミステリーズ2017』ISBN 978-4-06-523067-1
- 2019年(9編)
- 『ザ・ベストミステリーズ 2019 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-515639-1
- 『2019 ザ・ベストミステリーズ』ISBN 978-4-06-527647-1
2020年代
編集- 2020年(9編)
- 『ザ・ベストミステリーズ 2020 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-520009-4
- 『2020 ザ・ベストミステリーズ』ISBN 978-4-06-531468-5
- 2021年(8編)
- 『ザ・ベストミステリーズ 2021 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-523419-8
- 『2021 ザ・ベストミステリーズ』ISBN 978-4-06-535100-0
- 2022年(8編)
- 『ザ・ベストミステリーズ 2022 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-527939-7
- 2023年(7編)
- 『ザ・ベストミステリーズ 2023 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-531741-9
- 2024年(6編)
- 『ザ・ベストミステリーズ 2024 推理小説年鑑』ISBN 978-4-06-535546-6
脚注
編集- ^ のちに、推理小説代表作選集収録作をタイトルとした短編集を「木村二郎」名義で刊行。翻訳家の木村仁良。
- ^ a b 青山瞑、南島砂江子はオール讀物推理小説新人賞受賞作が推理小説年鑑に収録された。青山瞑は単著はないが、南島砂江子はのちに受賞作を含む単行本を碧天舎より出版している。
- ^ a b c d 小貫風樹、澤本等、村瀬継弥、青木知己はアマチュア作家(当時)。公募アンソロジー『本格推理』および『新・本格推理』(光文社文庫)に採用された作品が推理小説年鑑にも収録された。このうち、村瀬継弥は後に鮎川哲也賞佳作となりデビュー、青木知己は小学館より単行本を刊行してデビューしている。
- ^ a b 奥宮和典は、第6回創元推理短編賞佳作作品、緑川聖司は第8回創元推理短編賞最終候補作となって『創元推理21』に掲載された短編が推理小説年鑑に収録された。奥宮和典は、この1作以外に作品を発表していない。緑川聖司は、のちに日本児童文学者協会長編児童文学新人賞からデビューしている。
参考文献
編集- 日本推理作家協会 日本探偵作家クラブの活動(出版社の変遷について参照)
関連項目
編集- 推理小説の賞
- 日本推理作家協会賞
- 『本格ミステリ 本格短編ベスト・セレクション』 - 同様の趣旨で本格ミステリ作家クラブが毎年刊行するアンソロジー
外部リンク
編集- 日本推理作家協会 - 公式サイト