2020年エミリア・ロマーニャグランプリ
2020年エミリア・ロマーニャグランプリ(英語: 2020 Emilia Romagna Grand Prix)は、2020年のF1世界選手権第13戦として、2020年11月1日にイモラ・サーキットで開催された。
レース詳細 | |||
---|---|---|---|
日程 | 2020年シーズン第13戦 | ||
決勝開催日 | 11月1日 | ||
開催地 |
イモラ・サーキット イタリア エミリア=ロマーニャ州 ボローニャ県 イモラ | ||
コース長 | 4.909km | ||
レース距離 | 63周 (309.049km) | ||
決勝日天候 | 晴(ドライ) | ||
ポールポジション | |||
ドライバー | |||
タイム | 1:13.609 | ||
ファステストラップ | |||
ドライバー | ルイス・ハミルトン | ||
タイム | 1:15.484 (63周目) | ||
決勝順位 | |||
優勝 |
| ||
2位 | |||
3位 |
正式名称は「Formula 1 Emirates Gran Premio Dell'emilia Romagna 2020」[1]。
背景
編集- 開催に至る経緯
- イモラで初めてF1世界選手権レースが開催されたのは1980年で、長年イタリアGPの開催地であったモンツァ・サーキットに代わって開催され、翌1981年からはモンツァでのイタリアGPが復活したため、1国1開催の原則から隣国のサンマリノ共和国の名を借りて「サンマリノGP」として2006年まで開催されてきた。2007年以降、イタリアでのF1開催はモンツァのみに戻った[2]。ところが、2020年に入り新型コロナウイルス感染症の世界的流行により多数のレースが開催中止や延期に追い込まれたことから[3]、その代替としてイモラがF1の開催復活に名乗りを上げた結果[4]、7月24日の追加日程発表にて第13戦「エミリア・ロマーニャGP」として開催されることが決まった[5]。この年のイタリアでのF1開催はモンツァ(イタリアGP)、ムジェロ(トスカーナGP)に次いで3レース目である[6]。グランプリの名称はイモラの所在地であるエミリア=ロマーニャ州から取られた[2]。前戦ポルトガルGPとの連戦となるが、ポルトガル最南端にあるアルガルヴェ・サーキットからイモラまでの移動距離が長いため、輸送に時間がかかることを考慮して、F1世界選手権で初めて土曜日と日曜日の2日間で行われる[7][8][注 1]。なお、当初は1日あたり13,000人の観客を入れる予定であったが[9]、開催目前にイタリアを含めたヨーロッパで新型コロナウイルスの感染者が急増してきたため、無観客で開催されることになった[10]。DRSはフィニッシュラインの1箇所のみで、ターン9(ピラテッラ)の出口とターン15(ヴァリアンテ・アルタ)の2箇所でトラックリミット違反を重点的に監視する。フリー走行及び予選でトラックリミット違反を犯すとその周のタイムが抹消され、決勝では3回目で黒/白旗が出され、4回目以降はスチュワードに報告される[11]。
- タイヤ
- 本レースでピレリが持ち込むドライ用タイヤのコンパウンドはハード(白):C2、ミディアム(黄):C3、ソフト(赤):C4の組み合わせ[12]。2日間開催となるため、各ドライバーに供給されるタイヤは通常の13セットから10セット(ハード2、ミディアム2、ソフト6)に変更される[13]。
- メルセデスのコンストラクターズチャンピオン獲得条件
- メルセデスは2位のレッドブルに209点差を付けており、本レースでレッドブルが33点以上差を縮められなかった場合、メルセデスが7年連続7回目のコンストラクターズチャンピオンを獲得する[14]。
エントリー
編集前戦ポルトガルGPから変更なし。
チーム | No. | ドライバー | コンストラクター | シャシー | パワーユニット |
---|---|---|---|---|---|
メルセデスAMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チーム | 44 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | W11 | メルセデスAMG F1 M11 EQ Performance |
77 | バルテリ・ボッタス | ||||
スクーデリア・フェラーリ | 5 | セバスチャン・ベッテル | フェラーリ | SF1000 | フェラーリ 065 |
16 | シャルル・ルクレール | ||||
アストンマーティン・レッドブル・レーシング | 33 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル | RB16 | ホンダ RA620H |
23 | アレクサンダー・アルボン | ||||
マクラーレンF1チーム | 55 | カルロス・サインツ | マクラーレン | MCL35 | ルノー E-Tech 20 |
4 | ランド・ノリス | ||||
ルノー・DPワールド・F1チーム | 3 | ダニエル・リカルド | ルノー | R.S.20 | ルノー E-Tech 20 |
31 | エステバン・オコン | ||||
スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ | 26 | ダニール・クビアト | アルファタウリ | AT01 | ホンダ RA620H |
10 | ピエール・ガスリー | ||||
BWT・レーシング・ポイント・F1チーム | 11 | セルジオ・ペレス | レーシング・ポイント | RP20 | BWTメルセデス (メルセデスAMG F1 M11 EQ Performance) |
18 | ランス・ストロール | ||||
アルファロメオ・レーシング・オーレン | 7 | キミ・ライコネン | アルファロメオ | C39 | フェラーリ 065 |
99 | アントニオ・ジョヴィナッツィ | ||||
ハースF1チーム | 8 | ロマン・グロージャン | ハース | VF-20 | フェラーリ 065 |
20 | ケビン・マグヌッセン | ||||
ウィリアムズ・レーシング | 63 | ジョージ・ラッセル | ウィリアムズ | FW43 | メルセデスAMG F1 M11 EQ Performance |
6 | ニコラス・ラティフィ | ||||
ソース:[15] |
- 追記
フリー走行
編集前述の通りF1初となる2日間で行われるため、フリー走行は土曜午前の1回のみとなる[8]。
セッションは気温16度、路面温度18度でスタートし、走行時間が通常の3回(240分)から1回(90分)のみとなったことから各車積極的にコースを走った。トップタイムはルイス・ハミルトン(メルセデス)の1分14秒726で、ドライバーズランキング上位のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とバルテリ・ボッタス(メルセデス)が2-3番手、ピエール・ガスリー(アルファタウリ)とシャルル・ルクレール(フェラーリ)が4-5番手に続いた[16]。
予選
編集バルテリ・ボッタスが最後のアタックでチームメイトのルイス・ハミルトンを上回り、今季4回目のポールポジションを獲得した[17]。メルセデス勢に続く3番手のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)はQ2の最初のアタックで「パワーがない」と訴えてピットに戻るも、素早いピット作業でコースに復帰して6番手のタイムを叩き出してQ2敗退を免れた[18]。また、ピエール・ガスリー(アルファタウリ)4番手、アレクサンダー・アルボン(レッドブル)6番手、ダニール・クビアト(アルファタウリ)8番手と、フェルスタッペンを含めたホンダPU勢4台が全員Q3に進出した[19]。
予選結果
編集順位 | No. | ドライバー | コンストラクター | Q1 | Q2 | Q3 | Grid |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 77 | バルテリ・ボッタス | メルセデス | 1:14.221 | 1:14.585 | 1:13.609 | 1 |
2 | 44 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:14.229 | 1:14.643 | 1:13.706 | 2 |
3 | 33 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル-ホンダ | 1:15.034 | 1:14.974 | 1:14.176 | 3 |
4 | 10 | ピエール・ガスリー | アルファタウリ-ホンダ | 1:15.183 | 1:14.681 | 1:14.502 | 4 |
5 | 3 | ダニエル・リカルド | ルノー | 1:15.474 | 1:14.953 | 1:14.520 | 5 |
6 | 23 | アレクサンダー・アルボン | レッドブル-ホンダ | 1:15.402 | 1:14.745 | 1:14.572 | 6 |
7 | 16 | シャルル・ルクレール | フェラーリ | 1:15.123 | 1:15.017 | 1:14.616 | 7 |
8 | 26 | ダニール・クビアト | アルファタウリ-ホンダ | 1:15.412 | 1:15.022 | 1:14.696 | 8 |
9 | 4 | ランド・ノリス | マクラーレン-ルノー | 1:15.274 | 1:15.051 | 1:14.814 | 9 |
10 | 55 | カルロス・サインツ | マクラーレン-ルノー | 1:15.528 | 1:15.027 | 1:14.911 | 10 |
11 | 11 | セルジオ・ペレス | レーシング・ポイント-BWTメルセデス | 1:15.407 | 1:15.061 | 11 | |
12 | 31 | エステバン・オコン | ルノー | 1:15.352 | 1:15.201 | 12 | |
13 | 63 | ジョージ・ラッセル | ウィリアムズ-メルセデス | 1:15.760 | 1:15.323 | 13 | |
14 | 5 | セバスチャン・ベッテル | フェラーリ | 1:15.571 | 1:15.385 | 14 | |
15 | 18 | ランス・ストロール | レーシング・ポイント-BWTメルセデス | 1:15.822 | 1:15.494 | 15 | |
16 | 8 | ロマン・グロージャン | ハース-フェラーリ | 1:15.918 | 16 | ||
17 | 20 | ケビン・マグヌッセン | ハース-フェラーリ | 1:15.939 | 17 | ||
18 | 7 | キミ・ライコネン | アルファロメオ-フェラーリ | 1:15.953 | 18 | ||
19 | 6 | ニコラス・ラティフィ | ウィリアムズ-メルセデス | 1:15.987 | 19 | ||
20 | 99 | アントニオ・ジョヴィナッツィ | アルファロメオ-フェラーリ | 1:16.208 | 20 | ||
107% time: 1:19.416 | |||||||
ソース:[20][21] |
決勝
編集タイヤ戦略が成功し、運も味方に付けたルイス・ハミルトン(メルセデス)が逆転優勝を果たした。ポールポジションからスタートしたチームメイトのバルテリ・ボッタスはマシンにダメージを抱えてタイヤ交換後はペースが上がらず、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)に抜かれたが、フェルスタッペンの右リアタイヤが突然バーストして2位に返り咲いた。レッドブル勢はフェルスタッペンがリタイア、アレクサンダー・アルボンが15位と無得点に終わったことから、メルセデスのF1史上初となる7年連続のコンストラクターズチャンピオンが決定した[22]。
展開
編集この節の加筆が望まれています。 |
レース結果
編集順位 | No. | ドライバー | コンストラクター | 周回数 | タイム/リタイア原因 | Grid | Pts. |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 44 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 63 | 1:28:32.430 | 2 | 26 FL |
2 | 77 | バルテリ・ボッタス | メルセデス | 63 | +5.783 | 1 | 18 |
3 | 3 | ダニエル・リカルド | ルノー | 63 | +14.320 | 5 | 15 |
4 | 26 | ダニール・クビアト | アルファタウリ-ホンダ | 63 | +15.141 | 8 | 12 |
5 | 16 | シャルル・ルクレール | フェラーリ | 63 | +19.111 | 7 | 10 |
6 | 11 | セルジオ・ペレス | レーシング・ポイント-BWTメルセデス | 63 | +19.652 | 11 | 8 |
7 | 55 | カルロス・サインツ | マクラーレン-ルノー | 63 | +20.230 | 10 | 6 |
8 | 4 | ランド・ノリス | マクラーレン-ルノー | 63 | +21.131 | 9 | 4 |
9 | 7 | キミ・ライコネン | アルファロメオ-フェラーリ | 63 | +22.224 | 18 | 2 |
10 | 99 | アントニオ・ジョヴィナッツィ | アルファロメオ-フェラーリ | 63 | +26.398 | 20 | 1 |
11 | 6 | ニコラス・ラティフィ | ウィリアムズ-メルセデス | 63 | +27.135 | 19 | |
12 | 5 | セバスチャン・ベッテル | フェラーリ | 63 | +28.453 | 14 | |
13 | 18 | ランス・ストロール | レーシング・ポイント-BWTメルセデス | 63 | +29.163 | 15 | |
14 | 8 | ロマン・グロージャン | ハース-フェラーリ | 63 | +32.935 1 | 16 | |
15 | 23 | アレクサンダー・アルボン | レッドブル-ホンダ | 63 | +57.284 | 6 | |
Ret | 63 | ジョージ・ラッセル | ウィリアムズ-メルセデス | 51 | アクシデント | 13 | |
Ret | 33 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル-ホンダ | 50 | タイヤ | 3 | |
Ret | 20 | ケビン・マグヌッセン | ハース-フェラーリ | 47 | ギアボックス[23] | 17 | |
Ret | 31 | エステバン・オコン | ルノー | 27 | ギアボックス[24] | 12 | |
Ret | 10 | ピエール・ガスリー | アルファタウリ-ホンダ | 8 | 水圧減少[25] | 4 | |
ソース:[26][27] |
- 追記
- ^FL - ファステストラップの1点を含む
- ^1 - グロージャンは規定回数以上のトラックリミット違反を犯したため、5秒ペナルティとペナルティポイント1点(合計2点)が科せられた[28]が、タイムペナルティをピットインで消化しなかったためレースタイムに5秒加算され、12位から14位に降格した[27][23]
- ルイス・ハミルトン - 1:15.484 (63周目)
第13戦終了時点のランキング
編集
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- 注:ドライバー、コンストラクター共にトップ5のみ表示。
脚注
編集注釈
編集- ^ 過去にも前年の日本GPや本年のアイフェルGPなど悪天候のため丸1日セッションが行えず、結果的に2日間の開催となったケースはあったが、当初から2日間で開催されるのは本レースが初である。
出典
編集- ^ “Emilia Romagna Grand Prix 2020 - Italian F1 Race, Imola”. The Official F1 Website. 2020年10月29日閲覧。
- ^ a b “【F1サーキット巡り】フェラーリ親子の名を冠したイモラでティフォシが熱狂。タンブレロにはセナの銅像も”. autosport web (2020年10月29日). 2020年10月29日閲覧。
- ^ “F1が公式サイトから2020年カレンダーを取り下げ「調整がつき次第、修正版を発表」夏開幕を目指すと改めて表明”. autosport web (2020年4月17日). 2020年10月29日閲覧。
- ^ “イモラ・サーキットがイタリアでの2戦目開催に名乗り。F1ライセンス更新を発表”. autosport web (2020年6月14日). 2020年10月29日閲覧。
- ^ “F1、ニュルブルクリンク/ポルティマオ/イモラでの開催を発表。アメリカ大陸でのグランプリは断念”. autosport web (2020年7月25日). 2020年10月29日閲覧。
- ^ “F1:「70周年記念GP?」「トスカーナGP?」シルバーストンで2回、イタリアで3回!? 一国一開催の原則について”. Motor-Fan.jp (2020年8月8日). 2020年11月1日閲覧。
- ^ “イモラでのF1GPは異例の2デー開催。将来のフォーマット変更に向けた実験的意義も”. autosport web (2020年7月25日). 2020年10月29日閲覧。
- ^ a b “F1イモラ戦のスケジュールが確定。2デー開催でフリープラクティスは90分1回のみ”. autosport web (2020年8月5日). 2020年10月29日閲覧。
- ^ “イモラでのF1エミリア・ロマーニャGP、1日13,000人の観客を迎えて開催へ”. autosport web (2020年10月5日). 2020年10月29日閲覧。
- ^ “イモラで開催のF1エミリア・ロマーニャGP、政府の指示で急きょ無観客開催に”. motorsport.com (2020年10月29日). 2020年10月29日閲覧。
- ^ “F1エミリア・ロマーニャGP、DRSゾーンは1カ所に設置、トラックリミットは2カ所で取り締まり”. autosport web (2020年10月31日). 2020年10月31日閲覧。
- ^ “ピレリ、2020年F1後半7戦のコンパウンドを発表…イモラ・アルガルベ・イスタンブールは変則セット供給”. Formula1-Data (2020年9月10日). 2020年10月29日閲覧。
- ^ “イモラで2デイ開催のエミリア・ロマーニャGP、使用できるタイヤは10セットに”. motorsport.com (2020年10月28日). 2020年10月29日閲覧。
- ^ “メルセデス、アルボンの来季決するイモラで7連覇決めるか?混戦必至 史上初の2Day制 / F1エミリア・ロマーニャGP テレビ観戦ガイド”. Formula1-Data (2020年10月29日). 2020年10月29日閲覧。
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- ^ “Q2のトラブルでリズムが崩れた……3番手のフェルスタッペンは不完全燃焼な予選に”. motorsport.com (2020年11月1日). 2020年11月1日閲覧。
- ^ “ホンダ4台が予選トップ8入り「1年ぶりの全車Q3進出。トラブルを乗り越え2列目を確保した」と田辺TD【F1第13戦】”. autosport web (2020年11月1日). 2020年11月1日閲覧。
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- ^ “2020 Formula One Emilia Romagna Grand Prix - Team Standings”. Motorsport Stats (2020年11月1日). 2020年11月1日閲覧。
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