登録記念物

日本国指定の文化財の種類

登録記念物(とうろくきねんぶつ)は、日本文化財保護法に基づき、文部科学大臣によって登録された、保存及び活用のための措置が特に必要とされる記念物[1]

登録記念物第1号「相楽園」神戸市

概要

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登録制度創設の背景

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文化財保護法では、「記念物」は、文化財のうちの

  1. 貝塚、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡で我が国[注釈 1]にとつて歴史上又は学術上価値の高いもの
  2. 庭園、橋梁、峡谷、海浜、山岳その他の名勝地で我が国[注釈 1]にとつて芸術上又は観賞上価値の高いもの
  3. 動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で我が国[注釈 1]にとつて学術上価値の高いもの

の3種のものであると定義されており(第2条第1項第4号)、このような記念物のうち重要なものを指定する制度として、史跡名勝天然記念物が定められている。

しかしながら、近代の産業遺産のように、その文化財としての評価がまだ定まっていない記念物については、近年、保護の必要性が叫ばれているにもかかわらず、「重要なもの」であることを要件とする既存の、史跡・名勝・天然記念物の指定を受けて充分な保護を図ることは困難であった[1]

一方、すでに文化財のうちの記念物とは他のジャンルにあたる有形文化財については、1996年平成8年)の文化財保護法改正で、従来の重要文化財の指定制度を補完するものとして、建造物を対象に登録有形文化財の登録制度が設けられ、近代以降の建造物の保護に成果を上げてきた[1]

そこで、2004年(平成16年)の文化財保護法の改正において、記念物についても、登録有形文化財制度に倣って新たに登録記念物の制度を設け、保存及び活用のための措置が特に必要とされる記念物を登録し、広くその保護を図ることとした(第132条)[2]

なお、この改正では、建造物以外の有形文化財、すなわち、美術工芸品関係にも登録制度を設けるとともに、有形民俗文化財についても同様に登録有形民俗文化財として登録制度が設けられた[1]

登録の対象

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登録記念物は記念物を対象とするものであるが、国が指定している史跡・名勝・天然記念物または地方公共団体が指定している史跡等の文化財は、登録記念物としての登録の対象から除外される。これは、登録記念物の登録制度が、史跡・名勝・天然記念物の指定制度を補完するという性格を有するためである[2]

また、登録記念物として登録された後に、その登録記念物が国の史跡・名勝・天然記念物の指定を受けた場合または地方公共団体の史跡等の文化財として指定を受けた場合は、登録記念物としての登録は抹消される。ただし、地方公共団体の史跡等の文化財として指定を受けた場合において、その登録記念物について、その保存及び活用のための措置を講ずる必要があり、かつ、その所有者の同意がある場合は、例外的に登録を抹消しないことができる(第133条の規定で準用する第59条第2項ただし書)[2]

2006年(平成18年)1月26日には、登録記念物の最初の登録物件として、「函館公園」(北海道函館市)、「再度公園及び再度山永久植生保存地」(兵庫県神戸市)、「相楽園」(兵庫県神戸市)の3件が登録された。なお、このうち「再度公園及び再度山永久植生保存地」は、2007年(平成19年)2月6日に、名勝に指定されたため、現在は登録記念物ではなくなっている。

登録の基準

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「登録記念物登録基準」(平成17年文部科学省告示第46号)では、文化財登録原簿に登録する記念物の基準を次のように定めている[3]

遺跡関係

政治、経済、文化、社会に関する遺跡その他の遺跡(史跡及び文化財保護法第182条第2項に規定する指定を地方公共団体が行っているものを除く。)のうち、原則として近代までのものであり、かつ、次の各号いずれかに該当するもの

  1. 我が国[注釈 1]の歴史を理解する上で重要なもの
  2. 地域の歴史の特徴を表しているもの
  3. 歴史上の人物等に関するもの
名勝地関係

公園庭園その他の名勝地(名勝及び文化財保護法第182条第2項に規定する指定を地方公共団体が行っているものを除く。)のうち、原則として人文的なものにあっては造成後50年を経過したもの又は自然的なものにあっては広く知られたものであり、かつ、次の各号いずれかに該当するもの

  1. 造園文化の発展に寄与しているもの
  2. 時代を特徴づける造形をよく遺しているもの
  3. 再現することが容易でないもの
動物、植物及び地質鉱物関係

動物、植物及び地質鉱物(天然記念物及び文化財保護法第182条第2項に規定する指定を地方公共団体が行っているものを除く。)のうち、国土の成り立ち、自然の特徴又は人と自然の関わりを知る上で重要なものであり、かつ、次の各号いずれかに該当するもの

  1. 我が国[注釈 1]において作り出された飼養動物及び飼育地
  2. 我が国[注釈 1]において作り出された栽培植物及び生育地
  3. 動物、植物並びに岩石鉱物及び化石標本
  4. 前3号に掲げるもの以外の地域独特の自然物又は自然現象

国の登録記念物一覧

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2024年10月現在、次の134件が登録されている。

遺跡関係

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名勝地関係及び遺跡関係

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名勝地関係

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北海道・東北
関東
中部
近畿
中国
中国および四国
四国
九州・沖縄

動物、植物及び地質鉱物関係

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登録が抹消されたもの

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注釈

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注釈

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  1. ^ a b c d e f 日本を指す

出典

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  1. ^ a b c d 平成16年12月27日付16庁財第320号文化庁次長通知「文化財保護法の一部を改正する法律等の施行について」 4 登録記念物制度の創設(法第132条及び第133条関係)
  2. ^ a b c 「登録制度の運用について」2005年(平成17年)4月26日付文化庁通知 pp.5-7
  3. ^ 登録記念物登録基準
  4. ^ a b 篠塚辰徳 (2016年11月30日). “国の登録記念物に指定 県内で初 瑞浪の曽根氏庭園”. 中日新聞 (中日新聞社): p. 朝刊 岐阜版 20 

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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