大捜査線
『大捜査線』(だいそうさせん)は、1980年1月10日から12月25日まで、フジテレビ系列で毎週木曜20:00 - 20:54(JST)に全42話が放送された、杉良太郎主演の刑事ドラマである。
同年9月25日放送分(第31話)より『大捜査線シリーズ 追跡』(だいそうさせんシリーズついせき、以下本文中では『追跡』)と改題されており、本項目でも『追跡』までを通して詳述する。
概要
編集犯罪事件の初動捜査を任務とする警視庁刑事部第四機動捜査隊・通称「四機捜」[1]を舞台に、主人公で捜査主任の加納明が率いる加納班の活躍を描く[2]。同時期に本作品と同じスタッフ・杉主演で制作されたテレビ時代劇『新五捕物帳』(日本テレビ系列)での立ち回りとハードな展開を踏襲した作風を目指した。音楽は『仁義なき戦い』の津島利章が、アクションものにふさわしいファンキーなサウンドを提供。杉良太郎は吹き替えなしのファイヤー・アクションを務めるなど、体当たりの演技を見せた。
番組開始当初は初動捜査に至るまでのシステム的な描写や、警察用語を用いた無線交信のディティール[3]などが、ある程度現実の捜査に則した形で描かれていた。同様に、当時における刑事ドラマの見せ場であった、犯罪者との銃撃戦やカースタントも番組初期を中心に積極的に描かれていた。主人公の加納明が使用したモデルガンは、常用したのがカスタムされたMGC パイソン 6in、中盤からはMGC ローマン 2inを使用した[4]。
当初、1980年6月いっぱいまでの2クールでの放送が予定されていたが、6ヶ月延長され4クールでの放送となった[5]。その一方で視聴率は、第1話こそ17.8%(関東地区・ビデオリサーチ調べ)と好スタートを切ったが、第2話以降は下降。1980年3月の時点では10%を若干上回る程度という、当時としては“低空飛行”であり、「週刊TVガイド」1980年3月28日誌上においては「局の期待に反して伸び悩んでいる」とされた。「あまりにも杉良のオンステージになり過ぎている」という批判の意見も掲載された[5]。そしてこの時のテコ入れとして青木義朗と赤塚真人の加入[5]、そして下条班がこの時の構想[5]通り新設され、その後も新刑事の加入が随時行われた。
キャスト
編集- 加納明 警部補(加納班主任):杉良太郎
- 沢木俊一 刑事(加納班):神田正輝(1話 - 26話)
- 中林雅彦 刑事(加納班):青木義朗[6](12話 - )
- 下条仁 警部補(下条班主任):垂水悟郎[7](13話 - 21、23-28、30話)
- 水野誠太郎 刑事(加納班):赤塚真人(16話 - )
- 夏木譲 刑事(加納班):佐藤仁哉(28話 - 30話)
- 新田鋭一 刑事(加納班):光田昌弘(32話 - )
- 南条拓也 刑事(加納班):大村波彦(31話 - )
- 都築悠子 刑事(加納班):本阿弥周子
- 井上刑事(下条→加納班[8]):中島正二
- 原田刑事(下条→加納班):村上豪
- 四機捜婦警:柳沢紀子
- なつ(小料理「鳥幸」女将):高田敏江(13-14、16-18、21、26話)
- ナンシー(スナック「フラミンゴ」ママ):ナンシー(31話 - )
- モコ(ナンシーの姪):棟里佳(32話 - )
- 大滝修造 警視(第四機動捜査隊長):山内明
- 戸田耕一郎 刑事局長:佐分利信(特別出演・1、5、7、9、13話)
- 予告ナレーター:中江真司[9]
他
スタッフ
編集- 企画 - 佐々木太郎(金剛プロダクション)、高橋久仁男、河村雄太郎(フジテレビ)
- プロデューサー - 山本剛正(ユニオン映画)、矢島進(金剛プロダクション)
- 音楽 - 津島利章
- 撮影 - 岩佐一泉、津田宗之
- 美術 - 福留八郎、松井敏行
- 照明 - 三萩国明、嶋田宣代士、吉田協佐
- 録音 - 片桐登司美、木村瑛二
- 編集 - 西村豊治
- 助監督 - 加藤哲郎、藤田保行、吉田啓一郎、息邦夫
- 調音 - 小峰信雄
- 選曲 - 山川繁
- 音響効果 - 東洋音響
- 現像 - 東洋現像所
- 衣裳 - 東京衣裳
- 装飾 - 高津装飾
- 美粧 - 八木かつら
- カースタント - セキトラ・カーアクション
- テクニカル・アドバイザー - トビー門口
- 衣裳協力 - フレーバー紳士服、allee fasion
- 美術協力 - マルシン、日本マランツ
- スタジオ - 国際放映、にっかつスタジオセンター
- 協力 - MAZDA、日産自動車
- 制作協力 - 金剛プロダクション
- 制作 - ユニオン映画、フジテレビ
放送日程
編集大捜査線
編集大捜査線シリーズ 追跡
編集放送回 | サブタイトル | 放送日 | 脚本 | 監督 | キャスト |
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31 | 暴走デカ!原宿えれじい | 9月25日 | 宮下教雄 | 手銭弘喜 | 滝田裕介、古沢一朗、西田健、江原正士、武藤英司、早川研吉、内山清次、大谷一夫、司英二、吉田真弓、吉田友子、ドニー、ラリー |
32 | 千枚通しの青春 | 10月16日 | 楠トシエ、堀内正美、泉じゅん、今野清志、夏カンナ、大矢兼臣、根本俊二、島田彰 | ||
33 | 恋人よ!ダンシング・オールナイト | 10月23日 | 田村多津夫 | 高橋繁男 | 保積ぺぺ、桑崎てるお、西塚肇、重田尚彦、東龍明、日ノ下金太郎、大前田武、好永康子、重盛輝江、井上三千男、工藤啓子、水無坂冬子、安岐まさみ、あい陽子 |
34 | この子はだァれ? | 10月30日 | 山浦弘靖 | 久保菜穂子、平松慎吾、根本由美、金沢伸治、桑原一人、堀礼文、岩城和男、水橋和夫、石橋俊二、岸本功、沢柳迪子、小早川正明、池田功、宮沢勇、松下祐子、酒井郷博 | |
35 | 殺意 | 11月 | 6日山野四郎 | 木下亮 | 梅野泰靖、大木正司、三好美智子、矢野間啓二、飯田和平、山崎猛、岸野一彦、三田康二、鳴海剛、福井教夫、山口和宏、国松恵一、浅野民蔵 |
36 | 裏切りの街 大都会 | 11月13日 | 田村多津夫 | 武見潤、菅貫太郎、早川保、秋山絵梨子、笹入舟作、安田憲史、中川明、吉良冬太、鹿島信哉、荒瀬寛樹、笠井心、宮沢勇、今野清志、福井教夫、小野塚千枝子、三沢もと子、浅見ひろ子、小笠原まり子、青木裕子 | |
37 | 朝日のあたる家 | 11月20日 | 宮下教雄 | 小俣堯 | 高沢順子、武内文平、鹿沼エリ、加藤和夫、三崎奈美、大森不二香、信実一徳、池田道枝、久遠利三、中島元、鹿島研、吉田大門 |
38 | 野獣になった刑事 | 11月27日 | 田村多津夫 | 平泉征、高原駿雄、神田橋満、吉田豊明、白石のり子、田中哲也、篠崎彩、晴海勇三、村上幹夫、山本武、宮沢元、池森秀之、小川めぐみ | |
39 | わたしはあの人を見た | 12月 | 4日木下亮 | 千野弘美、清水昭博、長谷川諭、姫ゆり子、河原裕昌、邦創典、中林敦子、豊竹秀一 | |
40 | 悪魔のような女 | 12月11日 | 宮下教雄 | 根岸明美、片桐竜次、立枝歩、頭師佳孝、三田登喜子、遠藤征慈、山添三千代、原田千枝子、戸川京子、林弘造、水無坂冬子、鳴海剛、吉水慶 | |
41 | 鐘の鳴る丘 | 12月18日 | 小俣堯 | 今福正雄、速水亮、小原秀明、内田喜郎、西願由美、岩城力也、天草四郎、榎木兵衛、伏見哲夫、八代康二、小早川正明、舟川紀子、百良雄、松尾正平、福永幸雄、成田次穂 | |
42 | 君は人のために死ねるか | 12月25日 | 森次晃嗣、田島令子、井上昭文、平田昭彦、河村弘二、冨田浩太郎、中井啓輔、水村泰三、剣持伴紀、潤ますみ、江幡高志、河野弘 |
主題歌
編集「君は人のために死ねるか」 | ||||||||
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杉良太郎 の シングル | ||||||||
B面 | いま愛のために | |||||||
リリース | ||||||||
ジャンル | 歌謡曲 | |||||||
レーベル | CBSソニー | |||||||
作詞・作曲 |
杉良太郎/いではく(作詞) 遠藤実(作曲) | |||||||
チャート最高順位 | ||||||||
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杉良太郎 シングル 年表 | ||||||||
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特記事項:「いま愛のために」がA面の版も存在する。
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- オープニング
- 第1話から第13話用のインストゥルメンタル曲。
- 第14話から第42話(最終回)用のインストゥルメンタル曲。
- 1980年4月24日放送分(第14話)よりオープニング曲と併せて映像も刷新され、改題後もこのバージョンが通しで使用された。2曲とも曲名・作曲者については番組中ではクレジットされず、商品化も2019年現在なされていない。
- エンディング
- 「君は人のために死ねるか」 発売:CBSソニー 06SH694
- 「いま愛のために」 発売:CBSソニー 06SH694
- 作詞:いではく、作曲:遠藤実、編曲:斉藤恒夫、唄:杉良太郎(18 - 25話、27 - 30話)
- エンディング映像は前述のオープニング変更の際、さらに『追跡』への改題の際の2度にわたって変更された。また『追跡』より再びエンディング曲となった「君は人のために死ねるか」も、以前のものとは歌唱やアレンジが異なるバージョンとなっている。
- この2曲を収録したシングル盤は、同一品番で「君は人のために死ねるか」をA面としたもの、「いま愛のために」をA面としたものの2種が存在する。「君は人のために死ねるか」は杉のテイチクエンタテインメント移籍後に再録音版(こちらの編曲は若草恵)が発売され、1997年4月21日にシングルカット(規格品番:TEDA-10386/TESA-386)されている。
小説版
編集- 長篇ハードアクション〜大捜査線
- 著:白井更生 / 発行:徳間書店
- 白井の小説処女作として書き下ろされた完全オリジナルストーリーで、ドラマのノベライズというより、体裁としては原作本に近い。同作品における加納は警視庁特命捜査官という設定で、テレビドラマよりも全体にハードな作風となっている。
DVD・Blu-rayBOX
編集- DVD
2005年1月26日から3月25日にかけて全2巻(GNBD-7128およびGNBD-7136、各巻15話収録、4枚組)が日本クラウンより、2014年4月25日に全1巻(VIBF-5580、各4話(ディスク8のみ2話)収録、8枚組)がビクターエンタテインメントより、それぞれ発売された。いずれも改題前の30話分を収録。
- Blu-ray Disc
2020年8月28日にベストフィールドより、『追跡』に改題後の12話分を収録したBlu-ray(BFTD-0360、2枚組)が発売された。
脚注
編集- ^ 現実の警視庁に設置されている機動捜査隊は、第一・第二・第三の三隊で構成されている。
- ^ 「テレビ・ネットワーク」『映画情報』第45巻第2号、国際情報社、1980年2月1日、70頁、NDLJP:2343751/70。
- ^ 一例として、交番=Police BoxをPB、警察官=Police ManをPMとコード名で呼称するといったものが挙げられる。
- ^ 改題後のエンディングにおける新撮映像含む。
- ^ a b c d 週刊TVガイド 1980年3月28日号 「レポート」コーナー(p.24)
- ^ 1話は別役・小松刑事として出演。
- ^ 4話は別役・島崎刑事として出演。
- ^ 垂水の降板並びに改題に伴い、下条班の設定も廃止された。
- ^ 35話のみ、本編でも一部ナレーションを担当。
前後番組
編集フジテレビ系列 木曜20:00 - 20:54 | ||
---|---|---|
前番組 | 番組名 | 次番組 |
手錠をかけろ!
(1979年10月18日 - 12月27日) |
大捜査線
(1980年1月10日 - 9月11日) ↓ 大捜査線シリーズ 追跡 (1980年9月25日 - 12月25日) |
キャンパスアクション・探偵同盟
(1981年1月8日 - 3月26日) |