ある視点」(あるしてん、フランス語: Un Certain Regard)は、カンヌ国際映画祭の公式セレクションの一部門である。

「ある視点」部門

編集

1978年ジル・ジャコブが導入した。パルム・ドールを争うためのコンペティション部門とは別に、カンヌ国際映画祭期間中に並行して行われる。

あらゆる種類のヴィジョンやスタイルをもつ、「独自で特異な」作品群が提供される。世界各国から毎年20本ほどの作品が選出される。

「ある視点」賞フランス語: Prix Un Certain Regard、「ある視点」部門グランプリ)は、1998年、若き才能を認め、フランス国内での配給を支援する補助金を提供することで、革新的で大胆な作品群を奨励すべく導入された[1]。2005年より、グルパマ・ガン基金から30,000ユーロの融資により存立する賞となった[2]

「ある視点」部門からはグランプリの他に、審査員賞、希望賞、男優賞、女優賞などが選ばれることもある。黒沢清監督は2008年に『トウキョウソナタ』で審査員賞、2015年に『岸辺の旅』で監督賞を受賞 。翌年の2016年は深田晃司監督が『淵に立つ』で審査員賞を受賞した。

「ある視点」部門グランプリ受賞作一覧

編集
開催年 題名
原題
監督 製作国
1998年 Killer
Tueur à gages
ダルジャン・オミルバエフ   カザフスタン フランスの旗 フランス
1999年 ビューティフル・ピープル
Beautiful People
ジャスミン・ディズダーヌ   イギリス
2000年 彼女を見ればわかること
Things You Can Tell Just by Looking at Her
ロドリゴ・ガルシア   アメリカ合衆国
2001年 Boyhood Loves
Amour d'enfance
イヴ・コーモン フランスの旗 フランス
2002年 ブリスフリー・ユアーズ
Sud sanaeha
アピチャートポン・ウィーラセータクン   タイ
2003年 輝ける青春
La meglio gioventù
マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ   イタリア
2004年 母たちの村
Moolaade
センベーヌ・ウスマン   セネガル
2005年 ラザレスク氏の最期
Moartea domnului Lăzărescu
クリスティ・プイウ   ルーマニア
2006年 Luxury Car
江城夏日
ワン・チャオ   中国
2007年 カリフォルニア・ドリーミン
California Dreamin'
クリスティアン・ネメスク   ルーマニア
2008年 トルパン
Tulpan
セルゲイ・ドボルツェボイ   カザフスタン
2009年 籠の中の乙女
Kynodontas
ヨルゴス・ランティモス   ギリシャ
2010年 ハハハ
하 하 하
ホン・サンス   韓国
2011年 アリラン
아리랑
キム・ギドク   韓国
Stopped on Track
Halt auf freier Strecke
アンドレアス・ドレーゼン   ドイツ
2012年 父の秘密
Después de Lucía
ミシェル・フランコ   メキシコ
2013年 消えた画 クメール・ルージュの真実
L'image manquante
リティー・パニュ   カンボジア
2014年 ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲
Fehér Isten
コーネル・ムンドルッツォ   ハンガリー
2015年 ひつじ村の兄弟
Hrútar (Rams)
グリムール・ハコナーソン   アイスランド
2016年 オリ・マキの人生で最も幸せな日
Hymyilevä mies
ユホ・クオスマネン   フィンランド
2017年 ぶれない男
لِرد (Lerd)
モハマド・ラスロフ   イラン
2018年 ボーダー 二つの世界
Gräns
アリ・アッバシ   スウェーデン   デンマーク
2019年 見えざる人生
A Vida Invisível
カリン・アイヌーズ   ブラジル   ドイツ
2021年 Разжимая кулаки キラ・コヴァレンコ   ロシア

日本からの出品作

編集
開催年 題名 監督 備考
1999年 海賊版=BOOTLEG FILM 小林政広
2000年 日曜日は終わらない 高橋陽一郎
2001年 歩く、人 小林政広
H story 諏訪敦彦
回路 黒沢清
2005年 エリ・エリ・レマ・サバクタニ 青山真治
2008年 トウキョウソナタ 黒沢清 審査員賞受賞
TOKYO! ミシェル・ゴンドリー
レオス・カラックス
ポン・ジュノ
  ドイツフランスの旗 フランス  韓国  日本との合作
2009年 空気人形 是枝裕和
2010年 Chatroom/チャットルーム 中田秀夫 制作国は  イギリス
2012年 11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち 若松孝二
2015年 あん 河瀬直美 オープニング作品
岸辺の旅 黒沢清 監督賞受賞
2016年 淵に立つ 深田晃司 審査員賞受賞
レッドタートル ある島の物語 マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット 特別賞
海よりもまだ深く 是枝裕和
2017年 散歩する侵略者 黒沢清
2021年 ONODA 一万夜を越えて アルチュール・アラリフランス語版 オープニング作品
フランスの旗 フランス  ベルギー  ドイツ  イタリア  日本との合作
2022年 PLAN 75 早川千絵
2024年 ぼくのお日さま 奥山大史

脚注

編集
  1. ^ Un Certain Regard official pageの記述を参照。
  2. ^ 2008 Cannes Film Festival Groupama Gan Fondationの記述を参照。

関連項目

編集

外部リンク

編集