第65回カンヌ国際映画祭(だい65かいカンヌこくさいえいがさい)は、2012年5月16日から27日まで開催された[1][2]。コンペティション部門の審査員長はイタリアの映画監督ナンニ・モレッティ[3]ある視点部門はイギリスの男優ティム・ロスが務める[4]。開会及び閉会式の司会はフランスの女優ベレニス・ベジョが務める[5]

第65回カンヌ国際映画祭
オープニングムーンライズ・キングダム
クロージング 『テレーズ・デスケルウ』
会場 フランスの旗 フランス カンヌ
創設 1946年
受賞愛、アムール
賞名 パルム・ドール
主催者 ベレニス・ベジョ
期間 2012年5月16日 - 5月27日
ウェブサイト http://www.festival-cannes.com

オープニング作品はウェス・アンダーソン監督によるアメリカ映画『ムーンライズ・キングダム[6]、クロージングはクロード・ミレールの『テレーズ・デスケルウ』である[7]。上映作品のラインナップは4月19日に発表された[8]

映画祭の公式ポスターは、没後50周年となるマリリン・モンローが特集されている[9]

パルム・ドールは、オーストリアのミヒャエル・ハネケが監督した『愛、アムール』が受賞した[10]。ハネケは2009年の『白いリボン』に続いて2度目の受賞である[11]

公式選出

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コンペティション部門

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コンペティション部門には以下の作品が選ばれた[12][13]

日本語題 原題 監督 製作国
ムーンライズ・キングダム Moonrise Kingdom ウェス・アンダーソン   アメリカ合衆国
君と歩く世界 De rouille et d'os ジャック・オーディアール   フランス
  ベルギー
ホーリー・モーターズ Holy Motors レオス・カラックス   フランス
コズモポリス Cosmopolis デヴィッド・クローネンバーグ   カナダ
ペーパーボーイ 真夏の引力 The Paperboy リー・ダニエルズ   アメリカ合衆国
ジャッキー・コーガン Killing Them Softly アンドリュー・ドミニク   アメリカ合衆国
リアリティー Reality マッテオ・ガローネ   イタリア
愛、アムール Amour ミヒャエル・ハネケ   フランス
  ドイツ
  オーストリア
欲望のバージニア Lawless ジョン・ヒルコート   アメリカ合衆国
3人のアンヌ 다른 나라에서 ホン・サンス   韓国
蜜の味 〜テイスト オブ マネー〜 돈의 맛 イム・サンス   韓国
ライク・サムワン・イン・ラブ アッバス・キアロスタミ   日本
  フランス
天使の分け前 The Angels' Share ケン・ローチ   イギリス
霧の中 Im Nebel セルゲイ・ロズニツァ   ウクライナ
汚れなき祈り Dincolo de dealuri クリスティアン・ムンジウ   ルーマニア
Baad el Mawkeaa ユスリ・ナスララ英語版   エジプト
MUD -マッド- Mud ジェフ・ニコルズ   アメリカ合衆国
あなたはまだ何も見ていない Vous n'avez encore rien vu アラン・レネ   フランス
闇のあとの光 Post Tenebras Lux カルロス・レイガダス   メキシコ
  フランス
  ドイツ
  オランダ
オン・ザ・ロード On the Road ウォルター・サレス   ブラジル
  フランス
  イギリス
  アメリカ合衆国
パラダイス:愛 Paradise: Liebe ウルリヒ・ザイドル   オーストリア
偽りなき者 Jagten トマス・ヴィンターベア   デンマーク

カンヌクラシックス

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修復されたプリント[14]

日本語タイトル 原題 監督 製作国
An All-Colored Vaudeville Show (1935) (short) Roy Mack United States
楢山節考 (1958) 楢山節考 / Narayama bushikō 木下恵介   日本
5時から7時までのクレオ (1962) Cléo de 5 à 7 アニエス・ヴァルダ   フランス
  イタリア
Final Cut: Ladies and Gentlemen (2012) Final Cut: Hölgyeim és uraim György Pálfi Hungary
ア・グレイト・デイ・イン・ハーレム (1994) ジーン・バック   アメリカ合衆国
The Great Spy Chase (1964) Les Barbouzes ジョルジュ・ロートネル   フランス
  イタリア
ジャミン・ザ・ブルース(1944)| Jammin' the Blues (short) ジョン・ミリ   アメリカ合衆国
ジョーズ(1975) Jaws スティーヴン・スピルバーグ   アメリカ合衆国
イタリア旅行 (1954) Viaggio in Italia ロベルト・ロッセリーニ   イタリア
  フランス
アラビアのロレンス(1962) Lawrence of Arabia デヴィッド・リーン   イギリス
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ (1984) C'era una volta in America セルジオ・レオーネ   イタリア
  アメリカ合衆国
リング (1927年の映画)(1927) The Ring アルフレッド・ヒッチコック   イギリス
暴走機関車(1985) Runaway Train アンドレイ・コンチャロフスキー   アメリカ合衆国
テス (映画)(1979) Tess (1979 film) ロマン・ポランスキー   フランス
  イギリス
Twenty Years Later (1984) Cabra Marcado para Morrer エドゥアルド・コウチーニョ Brazil
Xica (1976) Xica da Silva カルロス・ディエギス Brazil

World Cinema Foundation[15]

English title Original title Director(s) Production country
After the Curfew (1954) Lewat Djam Malam Usmar Ismail Indonesia
Kalpana (1954) कल्पना / Kalpana Uday Shankar India

ある視点部門

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ある視点部門には以下の作品が選ばれた[12]

日本語題 原題 監督 製作国
Miss Lovely アシム・アルワリア英語版   インド
La Playa DC ファン・アンドレス・アランゴ   コロンビア
Les Chevaux de Dieu ナビル・アユチ英語版   モロッコ
ルノワール 陽だまりの裸婦 Renoir ジル・ブルドス英語版   フランス
黒いスーツを着た男 Trois Monde カトリーヌ・コルシニ   フランス
アンチヴァイラル Antiviral ブランドン・クローネンバーグ   カナダ
セブン・デイズ・イン・ハバナ 7 días en La Habana フリオ・メデム
ローラン・カンテ
ファン・カルロス・タビオ英語版
ベニチオ・デル・トロ
ギャスパー・ノエ
パブロ・トラペロ
エリア・スレイマン
  スペイン  フランス
Le grand soir ブノワ・ドゥレピーヌ
ギュスタブ・ケルベル
  フランス
わたしはロランス Laurence Anyways グザヴィエ・ドラン   カナダ
父の秘密 Después de Lucía ミシェル・フランコ   メキシコ
À perdre la raison ヨアヒム・ラフォーズ   ベルギー
Студент ダルジャン・オミルバエフ英語版   カザフスタン
La Pirogue ムサ・トゥーレ   セネガル
ホワイト・エレファント Elefante Blanco パブロ・トラペロ   アルゼンチン
Confession d'un enfant du siècle シルビィ・ベレイド   フランス
11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち 若松孝二   日本
二重生活 浮城谜事 ロウ・イエ   中国
ハッシュパピー 〜バスタブ島の少女〜 Beasts of the Southern Wild ベン・ザイトリン   アメリカ合衆国

コンペティション外

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日本語題 原題 監督 製作国
Cruel Summer カニエ・ウェスト   アメリカ合衆国
  カタール
孤独な天使たち Io e te ベルナルド・ベルトルッチ   イタリア
マダガスカル3 Madagascar 3: Europe's Most Wanted エリック・ダーネル英語版
トム・マクグラス
コンラッド・ヴァーノン
  アメリカ合衆国
私が愛したヘミングウェイ Hemingway & Gellhorn フィリップ・カウフマン   アメリカ合衆国
テレーズの罪 Thérèse Desqueyroux クロード・ミレール   フランス

ミッドナイト・スクリーニング

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日本語題 原題 監督 製作国
ダリオ・アルジェントのドラキュラ Dario Argento's Dracula ダリオ・アルジェント   イタリア
  フランス
  スペイン
愛と誠 三池崇史   日本
マニアック Maniac フランク・カルフン英語版   アメリカ合衆国
  フランス
ソウルガールズ The Sapphires ウェイン・ブレア英語版   オーストラリア

65周年記念上映

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日本語題 原題 監督 製作国
Une journée particulière ジル・ジャコブ
サミュエル・フォーレ
  フランス

スペシャル・スクリーニング

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日本語題 原題 監督 製作国
トラブゾン狂騒曲 小さな村の大きなゴミ騒動 Der Müll im Garten Eden ファティ・アキン   ドイツ
ロマン・ポランスキー 初めての告白 Roman Polanski: A Film Memoir ロラン・ブーズロー   イギリス
  ドイツ
The Central Park Five ケン・バーンズ
サラ・バーンズ
デヴィッド・マクマホン
  アメリカ合衆国
Les Invisibles セバスチャン・リフシッツ英語版   フランス
レイモン・ドゥパルドンのフランス日記 Journal de France クローディーヌ・ヌーガレ
レイモン・ドゥパルドン
  フランス
A Música Segundo Tom Jobim ネルソン・ペレイラ・ドス・サントス   ブラジル
Villegas ゴンザロ・ トバル   アルゼンチン
  オランダ
  フランス
メコンホテル Mekong Hotel アピチャートポン・ウィーラセータクン   タイ
抵抗 The Resistance ぺ主 社主 ぃ   中国

短編映画

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4500本の応募作品の内、以下の作品が選出された[16]

日本語題 原題 監督 製作国
Mi Santa Mirada Alvaro Aponte-Centeno   プエルトリコ
Gasp Eicke Bettinga   ドイツ
Ce Chemin Devant Moi Mohamed Bourokba   フランス
Falastein, sandouk al intezar lil burtuqal Bassam Chekhes   シリア
The Chair Grainger David   アメリカ合衆国
Night Shift Zia Mandivwalla   ニュージーランド
Chef de meute Chloé Robichaud   カナダ
Yardbird Michael Spiccia   オーストラリア
Cockaigne Emilie Verhamme   ベルギー
Sessiz-be deng L. Rezan Yesilbas   トルコ

シネファウンデーション

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シネファウンデーション英語版では、映画学校の学生によって製作された短編映画に焦点を当てている。320学校の1700人以上の応募作品から選ばれている[16]

日本語題 原題 監督 製作国
Behind Me Olive Trees Pascale Abou Jamra   レバノン ALBA
理容師 秋野翔一   日本 東京芸術大学
Les Ravissements Arthur Cahn   フランス La Fémis
Slug Invasion Morten Helgeland   デンマーク The Animation Workshop
Tambylles Michal Hogenauer   チェコ FAMU
Matteus Leni Huyghe   ベルギー Sint-Lukas Brussels
Tabăra din Răzoare Cristi Iftime   ルーマニア UNATC
Doroga na Taisia Igumenseva   ロシア 全ロシア映画大学
Terra Piero Messina   イタリア イタリア国立映画実験センター
Los anfitriones Miguel Angel Moulet   キューバ EICTV
The Ballad of Finn + Yeti Meryl O'Connor   アメリカ合衆国 UCLA
Head over Heels Timothy Reckart   イギリス NFTS
Abigail Matthew James Reilly   アメリカ合衆国 NYU
Resen Eti Tsicko   イスラエル テルアビブ大学
Pude ver un puma Eduardo Williams   アルゼンチン UCINE

審査員

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コンペティション部門の審査員長であるナンニ・モレッティ。
コンペティション部門
ある視点部門
シネファウンデーション及び短編部門[17]

受賞

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公式選出
独立選出
  • 監督週間[20]
  • 批評家週間[21]
    • Grand Prix Nespresso - 『ヒア・アンド・ゼア』 Aqui y alla (Antonio Méndez Esparza監督)
    • Visionary Prize - Sofia's Last Ambulance (Ilian Metev監督)
    • Prix SACD - God's Neighbors (Meni Yaesh監督)
    • ACID/CCAS Prize - The Wild Ones (Alejandro Fadel監督)

参考文献

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  1. ^ Festival de Cannes 2012”. festival-cannes.com. 2011年12月11日閲覧。
  2. ^ Festival 2012”. marchedufilm. 2011年12月11日閲覧。
  3. ^ Nanni Moretti named 2012 Cannes jury president”. LA Times. 2012年1月21日閲覧。
  4. ^ Tim Roth to lead Cannes Un Certain Regard jury”. BBC News. 2012年4月13日閲覧。
  5. ^ The Artist star to host Cannes film ceremonies”. The Telegraph. 2012年4月19日閲覧。
  6. ^ Bruce Willis movie to open Cannes Film Festival”. BBC News (2012年3月9日). 2012年3月9日閲覧。
  7. ^ Claude Miller’s last film to close the Festival de Cannes” (2012年4月18日). 2012年4月22日閲覧。
  8. ^ Kilday, Gregg (2012年3月8日). “Wes Anderson's 'Moonrise Kingdom' to Open the Cannes Film Festival”. The Hollywood Reporter. 2012年3月9日閲覧。
  9. ^ The iconic actress and sex symbol was selected in tribute to the 50th anniversary of her death.”. hollywoodreporter.com. 2012年3月3日閲覧。
  10. ^ a b Awards 2012”. Cannes. 2012年5月27日閲覧。
  11. ^ Michael Haneke wins Cannes Palme d'Or for second time”. BBC News. 2012年5月27日閲覧。
  12. ^ a b 2012 Official Selection”. Cannes. 2012年4月19日閲覧。
  13. ^ Cannes Film Festival 2012 line-up announced”. timeout. 2012年4月19日閲覧。
  14. ^ Restored prints 2012”. festival-cannes.com. 30 July 2017閲覧。
  15. ^ Documentaries about Cinema 2012”. festival-cannes.com. 30 July 2017閲覧。
  16. ^ a b Short films in the spotlight at the 65th Festival de Cannes”. festival-cannes.com. Cannes Film Festival. 2012年4月17日閲覧。
  17. ^ The Jury for the Cinéfondation and Short Films”. Cannes Film Festival. 2012年3月29日閲覧。
  18. ^ Cannes (2012年5月27日). “Awards 2012”. festival-cannes.fr. Cannes Film Festival. 2012年5月27日閲覧。
  19. ^ Staff writer (2012年5月25日). “The 15th Cinéfondation award winners revealed today by Jean-Pierre Dardenne and his Jury”. festival-cannes.fr. Cannes Film Festival. 2012年5月25日閲覧。
  20. ^ Ford, Rebecca (2012年5月25日). “Cannes 2012: 'No' Takes Top Prize at Directors' Fortnight”. The Hollywood Reporter. 2012年5月25日閲覧。
  21. ^ 'Aqui y alla' wins Critics' Week top prize”. Variety (2012年5月24日). 2012年5月25日閲覧。

外部リンク

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