小林政広

日本の映画監督、脚本家 (1954-2022)

小林 政広(こばやし まさひろ、1954年昭和29年)1月6日 - 2022年令和4年)8月20日[1])は、日本映画監督脚本家。映画製作会社モンキータウンプロダクション代表。

こばやし まさひろ
小林 政広
別名義 林ヒロシ、小林宏一
生年月日 (1954-01-06) 1954年1月6日
没年月日 (2022-08-20) 2022年8月20日(68歳没)
出生地 日本の旗 日本東京都文京区
死没地 日本の旗 日本東京都
血液型 B型
職業 映画監督脚本家
公式サイト モンキータウンプロダクション
主な作品
バッシング
愛の予感
春との旅
海辺のリア
受賞
ロカルノ国際映画祭
金豹賞(グランプリ)
2007年愛の予感
特別賞
2003年女理髪師の恋
東京フィルメックス
最優秀作品賞
2005年バッシング
毎日映画コンクール
日本映画優秀賞
2011年春との旅
高崎映画祭
最優秀監督賞
2018年海辺のリア
その他は受賞歴を参照
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1970年代頃は高田渡に師事し、林ヒロシという名でフォークシンガーをしており、脚本家時代には小林宏一名義での作品もある。

来歴

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東京都文京区本郷生まれ。学習院高等科卒。

痛快!婦警候補生やるっきゃないモン!』などのテレビの脚本家を経て1980年代後半からピンク映画の脚本を執筆。サトウトシキ監督らと組んで数々の話題作を生み出し、名脚本家として名を高めた。並行して『これでいいのだ』『おごるな上司!』などのNHKドラマ脚本も多数執筆している。

1996年平成8年)に『CLOSING TIME』で映画監督としてデビューし、映画製作会社モンキータウンプロダクション設立。

1999年(平成11年)の『海賊版=BOOTLEG FILM』、2000年(平成12年)の『KOROSHI/殺し』、2001年(平成13年)の『歩く、人』と3年連続でカンヌ国際映画祭に出品。

イラクで起きた日本人人質事件に着想を得た2005年(平成17年)の作品『バッシング』はカンヌ国際映画祭コンペティション部門出品後、東京フィルメックスで最高賞を、テヘラン・ファジル国際映画祭では審査員特別賞を受賞。

2007年(平成19年)の第60回ロカルノ国際映画祭(スイス)においては、監督・脚本・主演を務めた『愛の予感』が最高賞の金豹賞はじめ4賞同時受賞の快挙を果たす。

2008年以降ロッテルダム国際映画祭、ブエノスアイレス映画祭、リオデジャネイロ映画祭、ノルウェーシネマテークで彼の特集上映が行なわれるなど特に海外での評価が高い。

2010年(平成22年)淡島千景の最後の出演作となった『春との旅』では、毎日映画コンクール日本映画優秀賞はじめ、フランスでの観客賞、スペインでの最優秀監督賞ほか国内外で賞を獲得。第60回ロカルノ国際映画祭、第24回東京国際映画祭、第13回全州国際映画祭ではコンペティション部門の審査委員も務めた。

2013年(平成25年)には年金不正受給問題に驚愕し、自らの遺書を書くように脚本を生み出したと語った、仲代達矢主演の『日本の悲劇』が公開。同年、韓国 全州国際映画祭の名物企画でもあるJeonju Digital Project(三人三色)による短編作品『逢う時は他人』を発表。

2015年(平成27年)にはスウェーデンの劇作家ストリンドベリが1901年に発表した戯曲『死の舞踏』で、仲代達矢、益岡徹白石加代子と試行錯誤しながらも、朗読劇の演出にも初挑戦。

2016年(平成28年)には仲代達矢を主演に迎えた三作目となる『海辺のリア』を完成させる。2017年(平成29年)6月3日公開。

2022年(令和4年)8月20日、横行結腸がんのため、東京都内の自宅で死去[1][2]。68歳没。

これまでに発表した映画作品のほとんどが彼のオリジナル企画であり、脚本、プロデュースも務めている。15歳の時、フランソワ・トリュフォー監督のカンヌ映画祭 監督賞受賞作『大人は判ってくれない』(1959)に衝撃を受け映画監督になることを決意した[3]

監督作品

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作品名 公開年 出演者 外部サイト
CLOSING TIME 1996年 深水三章中原丈雄夏木マリ北村一輝 [4]
海賊版=BOOTLEG FILM 1998年 柄本明椎名桔平/北村一輝/舞華 [5]
一週間 愛欲日記 2000年 葉月蛍川瀬陽太 [6]
KOROSHI/殺し 2000年 石橋凌緒形拳大塚寧々光石研/深水三章 他 [7][8]
歩く、人 2001年 緒形拳/香川照之/大塚寧々/林泰文占部房子
暗黒牙狼街 BOSS 2001年 加勢大周白竜松方弘樹長宗我部陽子 [9]
STONED TOWN 2002年 Akeboshi市川実和子 [10]
女理髪師の恋 2003年 北村一輝/荻野目慶子佐藤二朗/林泰文/竹中直人
フリック 2004年 香川照之/田辺誠一/大塚寧々/田中隆三/占部房子/高田渡 [11][12]
バッシング 2005年 占部房子/田中隆三/大塚寧々/香川照之 他
幸福 2006年 石橋凌/桜井明美/香川照之/村上淳橘実里/柄本明 他
気仙沼伝説 2006年 鈴木京香杉本哲太國村隼倍賞美津子渡辺真起子岸部一徳/香川照之 他 [13]
愛の予感 2007年 渡辺真起子/小林政広
白夜 2009年 眞木大輔(MAKIDAI)/吉瀬美智子
ワカラナイ 2009年 小林優斗柄本時生/渡辺真起子/小澤征悦宮田早苗角替和枝ベンガル
春との旅 2010年 仲代達矢徳永えり大滝秀治菅井きん淡島千景田中裕子小林薫/柄本明/香川照之/戸田菜穂
ギリギリの女たち 2012年 渡辺真起子/中村優子藤真美穂
逢う時は他人 2013年 中村優子/本多菊雄/小林政広
日本の悲劇 2013年 仲代達矢/北村一輝/大森暁美寺島しのぶ [14]
海辺のリア 2016年 仲代達矢黒木華原田美枝子/小林薫/阿部寛 [15]

脚本作品

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映画

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  • 『名前のない黄色い猿たち』(1982) 第8回 城戸賞受賞作品(未映画化)
  • 『獣』(1988)          (監督:サトウトシキ)
  • 『鍵のある風景』(1988)     (監督:サトウトシキ)
  • 『おいしい水の作り方』(1989)  (監督:サトウトシキ)
  • 『禁止区域』(1989)       (監督:サトウトシキ)
  • 『異常者たちの夜』(1990)     (監督:サトウトシキ)
  • 『古川敏夫の遅く来た青春』(1991)(監督:サトウトシキ)
  • 『単純な話』(1992)       (監督:サトウトシキ)
  • 『投稿ビデオ』(1992)      (監督:サトウトシキ)
  • 『ナオミ』(1993)        (監督:サトウトシキ)
  • 『タンデム』(1994)       (監督:サトウトシキ)
  • 『河原崎家の一族』(1995)    (監督:サトウトシキ)
  • 『キリング・エンジェル 夢犯』(1995)(監督:金澤克次
  • 『ルナティック』(1995)     (監督:サトウトシキ)
  • 『ロマンティックマニア』(1996) (監督:サトウトシキ)脚本協力
  • 『不倫日記』(1996)       (監督:サトウトシキ)
  • 『奥さまはゆうれい』(1996)   (監督:サトウトシキ)
  • 『夢の後始末』(1996)      (監督:サトウトシキ)
  • 『団地妻』(1997)        (監督:サトウトシキ)
  • 『赤い犯行』(1997)       (監督:上野俊哉
  • 『白衣いんらん日記』(1997)   (監督:女池充
  • 『迷い猫』(1998)        (監督:サトウトシキ)
  • 『空色のクレヨン』(1998)    (監督:上野俊哉)
  • 『今宵かぎりは… 』(1999)    (監督:サトウトシキ)
  • 『涙くんさよなら』(1999)    (監督:サトウトシキ)
  • 『空色のクレヨン2』(1999)   (監督:上野俊哉)
  • 『みちのく温泉逃避行』(1999)  (監督:サトウトシキ)
  • 『団地妻不倫でラブラブ』(2000) (監督:サトウトシキ)
  • 『一週間』(2000)        (監督:小林政広)
  • 『兄嫁エピソードI』(2000)    (監督:上野俊哉)
  • 『青空』(2000)         (監督:サトウトシキ)
  • 『新・兄嫁』(2001)       (監督:上野俊哉)
  • 『団地の奥さん同窓会へ行く』(2004)(監督:サトウトシキ)
  • 『でらしね』(2004)       (監督:中原俊
  • 帰郷』 (2020)         (監督:杉田成道

舞台

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テレビ

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受賞歴

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『CLOSING TIME』

『海賊版=BOOTLEG FILM』

『KOROSHI/殺し』

  • 2000年 第53回カンヌ国際映画祭 「監督週間」正式出品作品

歩く、人

  • 2001年 第54回カンヌ国際映画祭 「ある視点部門」正式出品作品

『女理髪師の恋』

バッシング

愛の予感

  • 2007年 第60回ロカルノ国際映画祭 金豹賞(グランプリ)/国際芸術映画評論連盟賞/ヤング審査員賞/ダニエル・シュミット賞

『ワカラナイ』

  • 2009年 第62回ロカルノ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品

『春との旅』

『ギリギリの女たち』

  • 2011年 第24回東京国際映画祭 特別上映「震災を越えて」出品作品
  • 第41回ロッテルダム国際映画祭 正式出品作品
  • 第31回全州(チョンジュ)国際映画祭 正式出品作品
  • 第7回大阪アジアン映画祭 正式出品作品

『日本の悲劇』

  • 2013年 バンガロール国際映画祭 栄誉賞/ウズール国際映画祭 審査員特別賞

『海辺のリア』

  • 2018年 高崎映画祭 最優秀監督賞/最優秀主演男優賞/最優秀助演女優賞

書籍

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脚注

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  1. ^ a b 小林政広氏 68歳(こばやし・まさひろ = 映画監督)」『読売新聞読売新聞社、2022年9月7日、北海道朝刊、28面。2022年9月7日閲覧。
  2. ^ 映画監督 小林政広さん死去「愛の予感」などで高い評価」『NHK NEWS WEB』2022年9月7日。2022年9月7日閲覧。
  3. ^ PROFILE”. モンキータウンプロダクション. 2024年12月4日閲覧。
  4. ^ CLOSING TIME”. モンキータウンプロダクション. 2003年2月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月4日閲覧。
  5. ^ 海賊版=BOOTLEG FILM”. モンキータウンプロダクション. 2002年12月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月4日閲覧。
  6. ^ ※別題として「一週間」という題名がある。ビデオ題は「女子社員 愛欲依存症」となっている。
  7. ^ KOROSHI”. モンキータウンプロダクション. 2002年12月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月4日閲覧。
  8. ^ KOROSHI 殺し”. 映画チラシサイト. 2022年1月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月4日閲覧。
  9. ^ オリジナルビデオ
  10. ^ 「AKEBOSHI Promotion Film」制作
  11. ^ フリック 原案・脚本・監督 小林政広”. Softgarage. 2007年9月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月4日閲覧。
  12. ^ フリック”. Softgarage. 2024年12月4日閲覧。
  13. ^ 未公開作品
  14. ^ 「Jeonju Digital Project」制作の短編作品
  15. ^ 2017年6月3日に公開

外部リンク

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