重要港湾
重要港湾(じゅうようこうわん)は、日本における港湾の一区分。1950年(昭和25年)に制定された港湾法で定められた制度で、同法第2条第2項において「国際海上輸送網又は国内海上輸送網の拠点となる港湾その他の国の利害に重大な関係を有する港湾で政令で定めるもの」と定義されている。2014年4月現在で、102港が重要港湾に指定されている[1]。
概要
編集重要港湾は海上輸送網の拠点と位置づけられているが、後背地に工業地帯を有しているものが多く、日本の産業政策上、重要性の高い港湾が重要港湾とされる傾向が強いことを示している。重要港湾の整備を促進するため、整備費用に係る国庫補助金は地方港湾のそれと比べて、高率に設定されている。
重要港湾が備えるべき港湾施設等は必ずしも法令等で明示されていないが、例えば係留施設を見ると、地方港湾では物揚場(-4.5m未満の係留施設)が主流であるのに対し、重要港湾では物揚場もあるが岸壁(-4.5m以上の係留施設)が主体となっているように、一般により高スペックの港湾施設が重要港湾には必要だとされている。
しかし多すぎる重要港湾に対して国の投資が分散し、一方でこれまでコンテナ船の幹線が寄港していた横浜港や神戸港が世界のハブ港湾に比べて投資も規模も見劣りするようになった結果、日本にハブ港湾が存在しなくなる状態になった。日本の至る所にそこそこの規模のコンテナ港湾があり釜山港や上海港に向かう路線が就航しているため、高い国内運送料を払って横浜や神戸に運送する荷主が減り、結果として釜山港が日本全国の貨物が集中し世界のコンテナ船が集まる東アジアのハブ港湾となり、日本国内の企業や消費者は世界の超大型コンテナ船の幹線が直接国内に寄港する時間的・経済的メリットを次第に受けられなくなっている。遅ればせながら港湾投資を集約する動きはあり、重要港湾の中でも特に地域拠点となる重要な港湾については国際拠点港湾(旧・特定重要港湾、18港)に昇格、さらに上位に国際ハブ港として国際戦略港湾(京浜、阪神の5港)の指定を受けている。
新たな港湾開発や港湾統合などで、港数は時代とともに変動している。近年では1999年6月に中津港(大分県)が地方港湾から重要港湾に昇格。逆に2000年4月には石狩港(北海道)、大湊港(青森県)、福井港(福井県)、八幡浜港(愛媛県)、青方港(長崎県)、水俣港(熊本)の6港が港格と利用実態との乖離などの理由で地方港湾に格下げされた。ただ、このときの格下げは地元の反発が強かったため、旧運輸省が特定地域振興重要港湾制度を創設、一定の配慮を示している。また、2012年10月には石巻港が国際拠点港湾である仙台塩釜港と統合されたため、重要港湾の指定から外れている[1]。
重要港湾一覧
編集※カッコ内は港湾管理者/重要港湾指定年月日[1]
北海道
編集東北
編集青森県
編集岩手県
編集秋田県
編集山形県
編集- 酒田港(山形県/1951年1月19日)
福島県
編集関東
編集茨城県
編集千葉県
編集- 木更津港(千葉県/1968年4月17日)
神奈川県
編集- 横須賀港(横須賀市/1951年1月19日)
中部
編集新潟県
編集石川県
編集福井県
編集- 敦賀港(福井県/1951年1月19日)
静岡県
編集愛知県
編集三重県
編集近畿
編集京都府
編集- 舞鶴港(京都府/1951年1月19日)
大阪府
編集- 阪南港(大阪府/1968年4月17日)
兵庫県
編集和歌山県
編集- 日高港(和歌山県/1983年10月4日)
中国
編集岡山県
編集広島県
編集鳥取県
編集島根県
編集山口県
編集四国
編集徳島県
編集香川県
編集愛媛県
編集- 宇和島港(愛媛県/1960年6月9日)
- 松山港(愛媛県/1951年1月19日)
- 今治港(今治市/1951年1月19日)
- 東予港(愛媛県/1964年4月1日)
- 新居浜港(新居浜港務局/1951年9月22日)
- 三島川之江港(愛媛県/1971年4月1日)
高知県
編集九州・沖縄
編集福岡県
編集佐賀県
編集長崎県
編集- 長崎港(長崎県/1951年1月19日)
- 佐世保港(佐世保市/1951年1月19日)
- 厳原港(長崎県/1951年9月22日)
- 郷ノ浦港(長崎県/1959年6月11日)
- 福江港(長崎県/1951年9月22日)
熊本県
編集大分県
編集宮崎県
編集鹿児島県
編集- 鹿児島港(鹿児島県/1951年1月19日)
- 志布志港(鹿児島県/1969年4月1日)
- 川内港(鹿児島県/1970年5月1日)
- 西之表港(鹿児島県/1960年6月9日)
- 名瀬港(鹿児島県/1954年7月2日)