日本陸上競技選手権大会クロスカントリー競走

福岡市の国営海の中道海浜公園で開催されるクロスカントリー大会

日本陸上競技選手権大会クロスカントリー競走(にほんりくじょうせんしゅけんたいかいクロスカントリーきょうそう)は、毎年2月下旬または3月上旬に福岡県福岡市国営海の中道海浜公園で開催されるクロスカントリー大会。

日本陸上競技選手権大会クロスカントリー競走
主催 日本陸上競技連盟国営海の中道海浜公園福岡市
創立 1987年
開催時期 2月下旬または3月上旬
開催地 福岡市
競技場 国営海の中道海浜公園
実施種目 クロスカントリー競走
種目数 4
サイト www.fukuoka-xc.jp

前身の福岡国際クロスカントリー大会(ふくおかこくさいクロスカントリーたいかい)についても記述する。

概要

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1987年に福岡国際クロスカントリー大会として始まり、2016年から日本人のみを対象とした日本陸上競技選手権大会U20日本陸上競技選手権大会の種目として開催されている。世界クロスカントリー選手権大会が行われる年にはその日本代表選考会も兼ねて開催される[1]。福岡国際クロカン時代には国際的に評価が高いクロスカントリー大会とされるIAAF公認大会に指定され、シニア種目には中長距離種目の日本人有力選手と外国人選手が招待された[2]

日本選手権としてシニア男女・U20男女の4種目が実施される。各種目の出場選手数はシニアが60人程度、U20は300人を超える規模を持つ[3]。その他にも福岡クロスカントリー大会、海の中道市民クロカンを同時開催し、ジュニア男女、一般男女、中学生駅伝男女などの種目も行なわれる[注 1]

主催は日本陸上競技連盟、国営海の中道海浜公園、福岡市RKB毎日放送TBSテレビであったが、2023年はRKB毎日放送とTBSテレビが主催から外れた[4]

種目

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  • 日本選手権
    • シニア男子 - 10km
    • シニア女子 - 8km
    • U20男子 - 8km
    • U20女子 - 6km
  • 福岡クロスカントリー大会
    • シニア男子 - 2km
    • シニア女子 - 2km
    • 高校男子 - 4km
    • 高校女子 - 4km

コース

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福岡市東区国営海の中道海浜公園にある大芝生広場周辺を利用した特設コースで、1周2kmである。

スタート直後に跨道橋による高さ6mの急坂の登り下りと曲率が大きいコーナーが設けられている[5]。コース後半には前後左右に勾配のある小丘が3つ(通称ドラゴンの背中)続いた後、その先には砂地が設置される。このコースを距離に応じて周回する。

歴代優勝者

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福岡国際クロスカントリー大会

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サムエル・ワンジル
 
メセレト・デファー

シニア男子10kmおよびシニア女子6kmの歴代優勝者記録である。2002年第16回大会までのシニア女子は5kmで実施されていた。ジェフ・シーブラー英語版[注 2]アトランタシドニー10000mに出場した選手である[6]。日本ではNEC、後に富士通に所属し、各陸上競技大会や全日本実業団対抗駅伝競走大会などで活躍した[7]。2005年の優勝者であるメセレト・デファーは、前年のアテネオリンピック女子5000m金メダリストである。サムエル・カビルサムエル・ワンジルミカ・ジェル絹川愛ポール・クイラはいずれも仙台育英学園高等学校に属するジュニア選手であったが、シニアの部に出場して優勝を飾っている[8]

男子 記録 女子 記録
10 1996[9]   ジェフ・シーブラー英語版 29分42秒   Liu Shixiang (5km)
16分18秒
11 1997[9]   ジェフ・シーブラー 28分44秒   大南敬美 16分08秒
12 1998[9]   ジュリアス・ギタヒ 28分43秒   川上優子 16分16秒
13 1999[9]   ジェフ・シーブラー 29分00秒   キリー・リスク 16分09秒
14 2000[9]   瀬戸智弘 29分33秒   ユリア・オルテアヌ 16分40秒
15 2001[10]   山口洋司 30分41秒   ユリア・オルテアヌ 16分40秒
16 2002[11]   サムエル・カビル 28分50秒   山中美和子 15分36秒
17 2003[12]   サムエル・ワンジル 29分13秒   エミリー・モンドー (6kmに変更)
18分51秒
18 2004[13]   サムエル・ワンジル 29分02秒   市川良子 19分25秒
19 2005[14]   サムエル・ワンジル 29分20秒   メセレト・デファー 19分16秒
20 2006[15]   徳本一善 30分27秒   福士加代子 19分38秒
21 2007[8]   ミカ・ジェル 29分29秒   絹川愛 19分56秒
22 2008[16]   ポール・クイラ 28分18秒   マリア・コノワロワ 18分54秒
23 2009[17]   ジョセフ・キプトゥー・ビレチ 29分15秒   クセーニャ・アガフォノワ 19分33秒
24 2010[18]   鎧坂哲哉 29分04秒   小島一恵 19分32秒
25 2011[19]   ビタン・カロキ 27分52秒   新谷仁美 19分09秒
26 2012   大迫傑[20] 30分27秒   新谷仁美[21] 20分18秒
27 2013   チャールズ・ディランゴ 29分47秒   新谷仁美 20分00秒
28 2014   カレミ・ズク 28分43秒   チャルチサ・テジュツ 19分23秒
29 2015   ジョナサン・ディク英語版 29分22秒   荘司麻衣 19分54秒
      5000m
      第28回大会はアジアクロスカントリー選手権大会を兼ねて開催

日本選手権

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シニア男子 記録 シニア女子 記録 U20男子 記録 U20女子 記録
99 2016 市田孝
旭化成
(12km)
35分59秒
阿部有香里
しまむら
27分13秒 渡邉奏太
吉原工高
24分19秒 安藤富貴子
立命館宇治高
19分43秒
100 2017 鬼塚翔太
東海大
36分07秒 一山麻緒
ワコール
26分46秒 中谷雄飛
佐久長聖高
24分02秒 髙松智美ムセンビ
薫英女学院高
19分51秒
101 2018 大迫傑
ナイキ
(10kmに変更)
29分53秒
木村友香
ユニバーサル
26分31秒 中谷雄飛
佐久長聖高
24分05秒 廣中璃梨佳
長崎商高
19分50秒
102 2019 坂東悠汰
法政大
29分36秒 田中希実
ND28アスリートクラブ
26分43秒 葛西潤
関西創価高
23分48秒 廣中璃梨佳
長崎商高
19分56秒
103 2020 浦野雄平
國學院大
29分18秒 石澤ゆかり
エディオン
26分58秒 石田洸介
東農大二高
23分48秒 小坂井智絵
成田高
20分19秒
104 2021 三浦龍司
順天堂大
29分10秒 萩谷楓
エディオン
25分54秒 佐藤圭汰
洛南高
23分19秒 不破聖衣来
健大高崎高
19分49秒
105 2022 松枝博輝
富士通
28分46秒 小林成美
名城大
26分34秒 吉岡大翔
佐久長聖高
23分36秒 水本佳菜
薫英女学院高
19分55秒
106 2023 塩尻和也
富士通
29分15秒 和田有菜
日本郵政グループ
27分22秒 永原颯磨
佐久長聖高
24分01秒 名和夏乃子
長野東高
20分20秒
107 2024 山口智規
早稲田大学
29分16秒 酒井美玖
肥後銀行
26分11秒 濵口大和
佐久長聖高
23分35秒 奥本菜瑠海
大分東明高等学校
20分20秒

テレビ中継

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大会の模様はRKB毎日放送が制作を行ない、TBS系列28局ネットで開催当日の夕方に84分枠[注 3](2020年以降は15:30 - 16:54)にて放送される(以前は全編事前収録だったが、2020年以降スタジオ部分とシニア男子10kmは生放送、他の種目はダイジェスト版での放送となっている)。またU20の部に関してはRKBの番組公式サイトにてライブ配信がなされた。

2023年は、前述の通りにRKB毎日放送とTBSテレビが主催から外れたため、テレビ中継からは撤退となった。代わりに公益財団法人福岡県スポーツ推進基金の公式YouTubeチャンネルにて福岡クロスカントリー大会、海の中道市民クロカンも含めた全種目のライブ配信を実施した[22]。なお、RKB毎日放送は新たに『ブレイキンワールドシリーズin北九州』(2023年2月25日)を放送[23]

中継出演者(2022年)

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別記が無い場合は、いずれもRKBアナウンサー
スタジオ解説
スタジオMC
男女レース解説
レース実況
現地リポート・インタビュー
U-20競技ネット配信実況

脚注

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出典

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  1. ^ “青学大の神野ら出場 日本選手権クロスカントリー”. 日本経済新聞. (2016年2月17日). https://www.nikkei.com/article/DGXLSSXK30506_X10C16A2000000/ 2017年2月23日閲覧。 
  2. ^ Indoor, Cross Country, Race Walking and Combined Events Permit Meetings IAAF (2010-08-07). 2011年2月27日閲覧
  3. ^ 第25回福岡クロスカントリー大会 ジュニア男子8km MIT (2011-02-26). 2011年2月28日閲覧
  4. ^ 第106回日本陸上競技選手権大会クロスカントリー競走・第38回U20日本陸上競技選手権大会クロスカントリー競走 大会要項 - 2023年2月4日閲覧。
  5. ^ 2011福岡国際クロスカントリー アーカイブ 2011年3月1日 - ウェイバックマシン TBS. 2011年2月27日閲覧
  6. ^ Jeff Schiebler Olympic Results[リンク切れ]Archived 2020年4月17日, at the Wayback Machine. Sports-Reference.com 2011年2月28日閲覧
  7. ^ 陸上選手権 5000m記録 アーカイブ 2011年10月13日 - ウェイバックマシン 東日本実業団陸上競技連盟. 2011年2月28日閲覧
  8. ^ a b Nakamura, Ken (2007-03-05). High School students steal the show in Fukuoka. IAAF. 2011年2月27日閲覧
  9. ^ a b c d e 日本陸上競技連盟八十年史編集委員会 『日本陸上競技連盟八十年史』、2005年、150-151ページ。
  10. ^ Nakamura, Ken (2001-03-19). Japanese World Cross Country team. IAAF. 2011年2月27日閲覧
  11. ^ Nakamura, Ken (2002-03-19). Japanese Team for the World Cross Country Championships in Dublin アーカイブ 2005年3月19日 - ウェイバックマシン. IAAF. 2011年2月27日閲覧
  12. ^ Nakamura, Ken (2003-03-03). Samuel Wanjiru and Emilie Mondor win Fukuoka Cross Country. IAAF. 2011年2月27日閲覧
  13. ^ Nakamura, Ken (2004-02-29). Wanjiru and Ichikawa take Fukuoka XC wins. IAAF. 2011年2月27日閲覧
  14. ^ Nakamura, Ken (2005-03-07). Wanjiru and Defar win in the mud of Fukuoka. IAAF. 2011年2月27日閲覧
  15. ^ Nakamura, Ken (2006-03-05). Fukushi takes runaway win far ahead of Ndereba - Fukuoka XC - UPDATED. IAAF. 2011年2月27日閲覧
  16. ^ Nakamura, Ken & Onishi, Akihiro (2008-03-01). Kuira, Konovalova prevail at Fukuoka Cross Country. IAAF. 2011年2月27日閲覧
  17. ^ Nakamura, Ken (2009-03-07). Kiptoo Birech and Agafanova win Fukuoka Cross Country . IAAF. 2011年2月27日閲覧
  18. ^ Nakamura, Ken (2010-02-27). Japanese World XC selection firms up over ‘Power’ and ‘Camel’ hills - Fukuoka Cross Country. IAAF. 2011年2月27日閲覧
  19. ^ Nakamura, Ken (2011-02-26). Karoki wins again - Kenyans and hosts dominate at Fukuoka Cross Country. IAAF. 2011年2月27日閲覧
  20. ^ 第26回 福岡国際クロスカントリー大会. 日本陸上競技連盟 (2012-02-28). 2013年2月25日閲覧
  21. ^ 第26回 福岡国際クロスカントリー大会. 日本陸上競技連盟 (2012-02-28). 2013年2月25日閲覧
  22. ^ 第106回日本陸上競技選手権大会クロスカントリー競走”. 公益財団法人福岡県スポーツ推進基金. 2023年3月23日閲覧。
  23. ^ Create Presents ブレイキンワールドシリーズ in 北九州 ~Road To PARIS 2024 ダンス人類最強決戦~”. RKBオンライン. 2023年2月6日閲覧。

注釈

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  1. ^ 2020年から2022年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、日本選手権・U20以外の種目は中止した。
  2. ^ ジェフリー・シーブラー(Jeffrey Schiebler)
  3. ^ 2014年は当初例年通り84分枠で放送予定だったが、前継番組であるソチ冬季オリンピック中継が放送時間を延長したため15分短縮した69分間

外部リンク

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