仁科記念賞

公益財団法人仁科記念財団が毎年顕彰する物理学の学術賞
仁科賞から転送)

仁科記念賞(にしなきねんしょう)は、公益財団法人仁科記念財団が毎年顕彰する物理学学術賞である。対象は原子物理学とその応用に関するもので、独創的で優秀な研究成果を収めた個人あるいはグループに授与される。日本の現代物理学の父と称賛された仁科芳雄の功績を記念して1955年に創設された。

仁科記念賞 Nishina Memorial Prize
受賞対象原子物理学とその応用
日本
主催公益財団法人仁科記念財団
報酬賞状、賞牌、副賞
初回1955年
公式サイトhttps://www.nishina-mf.or.jp/project/kinen/

受賞者一覧

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年度 受賞者 業績
2024 下浦享 4中性子状態の実験的研究
青木大 アクチノイド化合物における超伝導の先駆的研究
村上修一 スピンホール効果とトポロジカル物質の理論
2023 市川温子 ニュートリノ振動におけるCP 非保存位相角δへの制限
2022 齊藤英治 スピン流物理学の開拓
小松英一郎 宇宙背景放射を用いた標準宇宙論への貢献
2021 有馬孝尚
木村剛
スピン誘起マルチフェロイクスの発見と開拓
瀧田正人 サブPeVガンマ線天文学の創始と銀河宇宙線の起源の解明
宮崎聡 すばる望遠鏡広視野カメラの開発による観測的宇宙論の展開
2020[1][2] 仲沢和馬 原子核乾板を用いたダブルストレンジネス原子核の研究
鹿野田一司 有機伝導体における強相関量子液体の研究
2019[3] 岩佐義宏 電界誘起2次元超伝導の発見
吉田滋
石原安野
超高エネルギー宇宙ニュートリノの発見
2018[4] 柴田大 数値相対論による連星中性子星合体の研究
田中耕一郎 固体におけるテラヘルツ極端非線形光学の開拓
2017[5] 武居弘樹 大規模コヒーレントイジングマシンの実現
安達千波矢 熱活性化遅延蛍光現象を用いた高効率有機ELの実現
甲元真人 トポロジカル量子物性物理学の創始
2016[6] 高柳匡 ホログラフィ原理を用いたエンタングルメント・エントロピー公式の発見と展開
2015 笠真生
古崎昭
トポロジカル絶縁体・超伝導体の分類理論
本林透
櫻井博儀
中性子過剰核における魔法数の異常性の発見
2014[7] 松田祐司 重い電子の二次元閉じこめによる新しい電子状態の創出
小林隆
中家剛
ミューニュートリノビームからの電子ニュートリノ出現事象の発見
2013 香取秀俊 光格子時計の発明
高橋義朗 イッテルビウム超低温量子系の創出
近藤敬比古
小林富雄
浅井祥仁
ヒッグス粒子発見に対する貢献
2012 井上邦雄 地球内部起源反ニュートリノの検出
細野秀雄 鉄系超伝導体の発見
初田哲男
青木慎也
石井理修
格子量子色力学に基づく核力の導出
2011 秋葉康之 衝突型重イオン反応の諸研究、特にレプトン対生成による高温相の検証
藤澤彰英
居田克巳
高温プラズマにおける自発電磁場の実験的検証
2010 金子邦彦 大自由度カオスの理論
前野悦輝 スピン三重項超伝導体ルテニウム酸化物の発見
2009 大栗博司 トポロジカルな弦理論の研究
田村裕和 ハイパー核ガンマ線スペクトロスコピーの研究
2008 家正則 すばる望遠鏡による初期宇宙の探査
上田正仁 引力相互作用する原子気体のボース・アインシュタイン凝縮の理論的研究
早野龍五 反陽子ヘリウム原子の研究
2007 細谷裕 細谷機構の発見
2006 田島俊樹 レーザーを用いたプラズマ電子加速の先駆的研究
西森秀稔 ランダムスピン系における「西森線」の発見
三島修 水・非晶質氷の相転移ポリアモルフィズムの実験的研究
2005 永長直人 異常ホール効果の理論的研究
西川公一郎 加速器ビームによる長基線ニュートリノ振動の観測
森田浩介 新超重113番元素の合成
2004 蔡兆申 ジョセフソン接合素子を用いた2個の量子ビット間の量子もつれ状態の実現
丹羽公雄 原子核乾板全自動走査機によるタウニュートリノの発見
2003 北岡良雄 核磁気共鳴法による新しい超伝導状態の解明
鈴木厚人 原子炉反電子ニュートリノの消滅の観測
中野貴志 レーザー電子ガンマ線による新粒子の発見
2002 小山勝二 超新星残骸での宇宙線加速
樽茶清悟 人工原子・分子の実現
永井泰樹
井頭政之
原子核による速中性子捕獲現象の研究
2001 鈴木洋一郎
中畑雅行
太陽ニュートリノの精密観測によるニュートリノ振動の発見
高崎史彦
生出勝宣
B中間子におけるCP対称性の破れの発見
天谷喜一
清水克哉
超高圧下における酸素及び鉄の超伝導の発見
2000 折戸周治
山本明
宇宙線反陽子の観測
小西憲一 小西アノマリーの発見
堀内昶 フェルミ粒子分子動力学による原子核の研究
1999 井上研三
角藤亮
超対称標準理論における電弱対称性の量子的破れ
梶田隆章 大気ニュートリノ異常の発見
中村泰信 超伝導素子を用いたコヒーレント2準位系の観測と制御
1998 秋光純 梯子型物質における超伝導の発見
清水富士夫 原子波ホログラフィーの開拓
近藤都登 トップクォーク発見に対する貢献
1997 木舟正
谷森達
超高エネルギーガンマー線天体の研究
三田一郎 B中間子系でのCP対称性の破れの理論
安岡弘志 高温超伝導体におけるスピンギャップの発見
1996 中村修二 短波長半導体レーザーの研究
板谷謹悟 固液界面でのアトムプロセスの解明に関する研究
中井直正
井上允
三好真
銀河中心巨大ブラックホールの発見
1995 佐藤武郎 超低温における量子的相分離現象の実験的研究
川上則雄
梁成吉
共形場理論に基づく1次元電子系の研究
1994 川畑有郷 アンダーソン局在およびメソスコピック系における量子輸送現象の理論
田辺徹美 クーラーリングを用いた電子・分子イオン衝突の精密研究
岩崎洋一
宇川彰
大川正典
福来正孝
格子量子色力学の大規模数値シミュレーションによる研究
1993 伊藤公孝
伊藤早苗
高温プラズマにおける異常輸送とL-H遷移の理論
勝又紘一 新しい型の磁気相転移の研究
1992 山本喜久 光子数スクイーズ状態の形成および自然放射の制御
大貫惇睦
長谷川彰
遍歴する重い電子系のフェルミ面に関する研究
柳田勉 ニュートリノ質量におけるシーソー機構
1991 北村英男 挿入型放射光源の開発研究
齋藤修二 星間分子の分光学的研究
和達三樹 ソリトン物理学とその応用
1990 佐藤勝彦 素粒子論的宇宙論
十倉好紀 電子型銅酸化物超伝導体の発見
横谷馨 リニアコライダーにおけるビーム相互作用の研究
1989 谷畑勇夫 不安定原子核ビームによる原子核の研究
野本憲一 超新星の理論的研究
1988 松本敏雄 宇宙背景輻射サブミリ波スペクトルの観測
吉川圭二 ひもの場の理論
齋藤軍治 有機超伝導体の新しい分子設計と合成
1987 高柳邦夫 シリコンの表面構造の研究
森本雅樹
海部宣男
ミリ波天文学の開拓
小柴昌俊
戸塚洋二
須田英博
超新星爆発に伴うニュートリノの検出
1986 鈴木増雄 相転移秩序形成及び量子多体系の統計物理学
藤川和男 場の量子論における異常項の研究
佐藤哲也 散逸性磁気流体プラズマの非線形ダイナミックス
1985 田中豊一 ゲル相転移現象の研究
飯島澄男 少数原子集団の動的観察
田中靖郎 てんま衛星による中性子星の研究
1984 江口徹
川合光
格子ゲージ理論
石川義和 中性子散乱による金属強磁性の研究
川路紳治 二次元電子系における負磁気抵抗および量子ホール効果の実験的研究
1983 山内泰二 ウプシロン粒子の発見に対する貢献
増田彰正 希土類元素の微量精密測定と宇宙・地球科学への応用
1982 安藤恒也 MOS反転層における二次元電子系の理論的研究
外村彰 電子線ホログラフィー法の開発とその応用
1981 杉本大一郎 近接連星系の星の進化
吉村太彦 宇宙のバリオン数の起源
1980 伊達宗行 超強磁場の発生
鳥塚賀治 原子核巨大共鳴の研究
九後汰一郎
小嶋泉
非可換ゲージ場の共変的量子化の理論
1979 守谷亨 遍歴電子強磁性の理論
小林誠
益川敏英
基本粒子の模型に関する研究
1978 廣田榮治 高分解能高感度分光法によるフリーラディカルの研究
有馬朗人
丸森寿夫
原子核の集団運動現象の解明
1977 塩谷繁雄 ピコ秒分光法による半導体の高密度励起効果の研究
牧二郎
原康夫
素粒子の四元模型
1976 磯矢彰 静電高圧加速器の研究とその新機軸の開発
大久保進
飯塚重五郎
強い相互作用による素粒子反応に対する選択規則(OZI則英語版)の発見
1975 山崎敏光 核磁気能率における中間子効果の発見
花村榮一 多励起子系の理論的研究
1974 大塚頴三 半導体電子輸送現象のサイクロトロン共鳴による研究
崎田文二 素粒子の超多重項理論および二重性理論の研究
1973 中西襄 場の量子論における散乱振幅の諸性質の分析
佐藤文隆
冨松彰
重力場方程式の新しい厳密解の発見とそれの宇宙物理学への応用
1972 川崎恭治 臨界現象の動力学的理論
真木和美 超伝導体の理論的研究
1971 菅原寛孝 基本粒子の対称性の応用
森永晴彦 インビームスペクトロスコピーの創出と原子核構造の研究
1970 木越邦彦 炭素―14による年代測定に関する研究
西川哲治 線型加速器に関する基礎研究
1969 松田久 原子質量精密測定用大分散質量分析装置の開発
池地弘行
西川恭治
イオン波エコーの研究
1968 森肇 非平衡状態の統計力学
近藤淳 希薄合金の抵抗極小の解明
1967 小川修三
山口嘉夫
基本粒子の対称性に関する研究
西村純 超高エネルギー相互作用における横向き運動量の研究
1966 小田稔 SCO-X-1の位置決定
豊沢豊 固体光物性の動力学的理論
1965 三谷健次
田中茂利
弱電離プラズマのサイクロトロン周波数における負吸収の研究
三宅三郎 宇宙線ミュー中間子およびニュートリノの研究
1964 岩田義一 静電磁場における電子、およびイオンの運動に関する研究
瀬谷正男 真空分光計に関する研究
1963 林忠四郎 天体核現象の研究
1962 高山一男 低密度プラズマの研究――特に共鳴探針法の発明
佐々木亘 ゲルマニウムの熱い電子の異方性の研究
1961 丹生潔 中間子多重発生の火の玉模型
福井崇時
宮本重徳
ディスチャージチェンバーの研究と開発
松原武生 量子統計力学の方法
1960 吉森昭夫 磁性結晶におけるスピンのらせん状配列の理論
1959 江崎玲於奈 エサキダイオードの発明、およびその機能の理論的解明
中根良平 化学交換反応による同位元素濃縮
1958 杉本健三 原子核の励起状態の磁気能率、および電気四極子能率の測定
沢田克郎 電子ガスの相関エネルギーに関する研究
1957 久保亮五 非可逆過程の統計力学
1956 芳田奎 強磁性体における磁気異方性エネルギー
三井進午
西垣晋
江川友治
潮田常三
同位元素による植物の栄養ならびに土壌肥料学的研究
1955 緒方惟一 大型質量分析器の完成
西島和彦 素粒子の相互変換

出典

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  1. ^ “仁科記念賞に鹿野田氏ら”. 朝日新聞デジタル. (2020年11月10日). https://www.asahi.com/articles/DA3S14688927.html 2021年9月26日閲覧。 
  2. ^ “仁科賞に鹿野田氏と仲沢氏 量子や原子核の研究”. 47NEWS. 共同通信社. (2020年11月9). https://www.47news.jp/5474391.html 2021年9月26日閲覧。 
  3. ^ 今年の仁科記念賞に超伝導研究の岩佐氏とニュートリノ観測の吉田、石原の両氏に”. サイエンスポータル. 科学技術振興機構 (2019年11月11日). 2021年9月26日閲覧。
  4. ^ 仁科記念賞に柴田大、田中耕一郎の2氏”. サイエンスポータル. 科学技術振興機構 (2018年11月14日). 2021年9月26日閲覧。
  5. ^ 仁科記念賞に武居、安達、甲元の3氏に”. サイエンスポータル. 科学技術振興機構 (2017年11月15日). 2021年9月26日閲覧。
  6. ^ 仁科記念賞に高柳氏 「量子もつれ」を公式で説明”. サイエンスポータル. 科学技術振興機構 (2016年11月11日). 2021年9月26日閲覧。
  7. ^ 仁科記念賞に松田祐司、小林隆、中家剛氏”. サイエンスポータル. 科学技術振興機構 (2014年11月12日). 2021年9月26日閲覧。

外部リンク

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