2020年ロシアグランプリ
2020年ロシアグランプリ (2020ねんロシアグランプリ、英語: 2020 Russian Grand Prix) は、2020年のF1世界選手権第10戦として、2020年9月27日にソチ・オートドロームで開催された。
レース詳細 | |||
---|---|---|---|
日程 | 2020年シーズン第10戦 | ||
決勝開催日 | 9月27日 | ||
開催地 |
ソチ・オートドローム ロシア クラスノダール地方 ソチ | ||
コース | 恒久的レース施設および市街地コース | ||
コース長 | 5.848km | ||
レース距離 | 53周 (309.745km) | ||
決勝日天候 | 晴(ドライ) | ||
ポールポジション | |||
ドライバー | |||
タイム | 1:31.304 | ||
ファステストラップ | |||
ドライバー | バルテリ・ボッタス | ||
タイム | 1:37.030 (51周目) | ||
決勝順位 | |||
優勝 |
| ||
2位 | |||
3位 |
背景
編集- サーキット
- トラックリミット規則の厳格化を目指すFIAは、ターン2で4輪全てがコースをはみ出して走行したドライバーに対し、フリー走行及び予選においてはラップタイムが抹消され、決勝においては2回で黒白旗[注 1]を掲示し、それ以上の場合はスチュワードに報告される。また、フリー走行及び予選においてドライバーが前方にスペースを空けるために著しく減速するのを防止する目的で、ターン12と13で極端な減速をしてはならないと全ドライバーに通告した[3]。
- 本レースで達成する可能性がある記録
- 前戦トスカーナGPで通算90勝目を挙げたルイス・ハミルトンが本レースで優勝すると、歴代最多勝利記録を持つミハエル・シューマッハの91勝に並ぶ[4]。
- セバスチャン・ベッテルが本レースで250戦目の出走を迎える[5]。
エントリー
編集レギュラードライバーは前戦トスカーナGPから変更なし。FP1のみ走行するドライバーはなし。
チーム | No. | ドライバー | コンストラクター | シャシー | パワーユニット |
---|---|---|---|---|---|
メルセデスAMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チーム | 44 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | W11 | メルセデスAMG F1 M11 EQ Performance |
77 | バルテリ・ボッタス | ||||
スクーデリア・フェラーリ | 5 | セバスチャン・ベッテル | フェラーリ | SF1000 | フェラーリ 065 |
16 | シャルル・ルクレール | ||||
アストンマーティン・レッドブル・レーシング | 33 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル | RB16 | ホンダ RA620H |
23 | アレクサンダー・アルボン | ||||
マクラーレンF1チーム | 55 | カルロス・サインツ | マクラーレン | MCL35 | ルノー E-Tech 20 |
4 | ランド・ノリス | ||||
ルノー・DPワールド・F1チーム | 3 | ダニエル・リカルド | ルノー | R.S.20 | ルノー E-Tech 20 |
31 | エステバン・オコン | ||||
スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ | 26 | ダニール・クビアト | アルファタウリ | AT01 | ホンダ RA620H |
10 | ピエール・ガスリー | ||||
BWT・レーシング・ポイント・F1チーム | 11 | セルジオ・ペレス | レーシング・ポイント | RP20 | BWTメルセデス (メルセデスAMG F1 M11 EQ Performance) |
18 | ランス・ストロール | ||||
アルファロメオ・レーシング・オーレン | 7 | キミ・ライコネン | アルファロメオ | C39 | フェラーリ 065 |
99 | アントニオ・ジョヴィナッツィ | ||||
ハースF1チーム | 8 | ロマン・グロージャン | ハース | VF-20 | フェラーリ 065 |
20 | ケビン・マグヌッセン | ||||
ウィリアムズ・レーシング | 63 | ジョージ・ラッセル | ウィリアムズ | FW43 | メルセデスAMG F1 M11 EQ Performance |
6 | ニコラス・ラティフィ | ||||
ソース:[6] |
- 追記
フリー走行
編集予選
編集ルイス・ハミルトンが5戦連続で今季8度目のポールポジションを獲得した。Q3で2番手のマックス・フェルスタッペンと3番手でチームメイトのバルテリ・ボッタスに0.5秒以上の大差を付ける圧巻な走りを見せたが、Q2では1回目のアタックでトラックリミット違反を犯してタイムが抹消され、2回目にミディアムタイヤでアタック中にセバスチャン・ベッテルがクラッシュし、残り2分15秒のところで赤旗中断となったためQ2敗退の危機が差し迫った。再開後にソフトタイヤで残り0秒というギリギリのタイミングでスタートラインを通過し、何とかQ3に進出することができたが、決勝に向けてのタイヤ戦略に影響を残した[8][注 2]。一方、メルセデス勢に割って入ったフェルスタッペンはQ2をミディアムタイヤで通過し、Q3でボッタスを上回ってフロントローを獲得した[9][注 2]。なおフェルスタッペンはこのラップの前半、前を走っていたボッタスのスリップストリームを利用して加速できた。一説ではP2だったボッタスが決勝のスタートでより有利なP3を得るために故意にフェルスタッペンの前を走っていたとも言われている。この説に関してボッタスはNetflixのインタービューで「故意かどうかを知っているのは僕だけだ」と応えている。[10]ロシアグランプリのコースはスタートから約1kmがほぼストレートでスリップストリームが利用できないP2に比べてポールポジションのスリップストリームを利用できるP3の方がオーバーテイクできる可能性が高い。
予選結果
編集順位 | No. | ドライバー | コンストラクター | Q1 | Q2 | Q3 | Grid |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 44 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:32.983 | 1:32.835 | 1:31.304 | 1 |
2 | 33 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル-ホンダ | 1:33.630 | 1:33.157 | 1:31.867 | 2 |
3 | 77 | バルテリ・ボッタス | メルセデス | 1:32.656 | 1:32.405 | 1:31.956 | 3 |
4 | 11 | セルジオ・ペレス | レーシング・ポイント-BWTメルセデス | 1:33.704 | 1:33.038 | 1:32.317 | 4 |
5 | 3 | ダニエル・リカルド | ルノー | 1:33.650 | 1:32.218 | 1:32.364 | 5 |
6 | 55 | カルロス・サインツ | マクラーレン-ルノー | 1:33.967 | 1:32.757 | 1:32.550 | 6 |
7 | 31 | エステバン・オコン | ルノー | 1:33.557 | 1:33.196 | 1:32.624 | 7 |
8 | 4 | ランド・ノリス | マクラーレン-ルノー | 1:33.804 | 1:33.081 | 1:32.847 | 8 |
9 | 10 | ピエール・ガスリー | アルファタウリ-ホンダ | 1:33.734 | 1:33.139 | 1:33.000 | 9 |
10 | 16 | シャルル・ルクレール | フェラーリ | 1:34.071 | 1:33.239 | 10 | |
11 | 26 | ダニール・クビアト | アルファタウリ-ホンダ | 1:33.511 | 1:33.249 | 11 | |
12 | 18 | ランス・ストロール | レーシング・ポイント-BWTメルセデス | 1:33.852 | 1:33.364 | 12 | |
13 | 63 | ジョージ・ラッセル | ウィリアムズ-メルセデス | 1:34.020 | 1:33.583 | 13 | |
14 | 5 | セバスチャン・ベッテル | フェラーリ | 1:34.134 | 1:33.609 | 14 | |
15 | 23 | アレクサンダー・アルボン | レッドブル-ホンダ | 1:33.919 | 1:33.153 | 1:33.008 | 15 1 |
16 | 8 | ロマン・グロージャン | ハース-フェラーリ | 1:34.592 | 16 | ||
17 | 99 | アントニオ・ジョヴィナッツィ | アルファロメオ-フェラーリ | 1:34.594 | 17 | ||
18 | 20 | ケビン・マグヌッセン | ハース-フェラーリ | 1:34.681 | 18 | ||
19 | 7 | キミ・ライコネン | アルファロメオ-フェラーリ | 1:35.267 | 19 | ||
20 | 6 | ニコラス・ラティフィ | ウィリアムズ-メルセデス | 1:35.066 | 20 2 | ||
107% time: 1:39.141 | |||||||
ソース:[11][12] |
- 追記
決勝
編集バルテリ・ボッタス(メルセデス)が開幕戦オーストリアGP以来となる2勝目。2位には3戦ぶりの完走を果たしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が入った。一方でルイス・ハミルトン(メルセデス)は2回の5秒加算ペナルティを受けた影響で3位で終わり、ミハエル・シューマッハの歴代最多勝記録に並ぶのは次戦以降にお預けとなった。また、2点のペナルティポイント加算処分により1年間の累計ペナルティポイントが10点となってしまい、1レース出場停止の可能性があったが、レース後にチームからの指示であることが判明したため、ハミルトンへのペナルティポイントは取り消され、メルセデスに25000ユーロ(約300万円)の罰金が科されることになった[16]。
展開
編集レース結果
編集順位 | No. | ドライバー | コンストラクター | 周回数 | タイム/リタイア原因 | Grid | Pts. |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 77 | バルテリ・ボッタス | メルセデス | 53 | 1:34:00.364 | 3 | 26 FL |
2 | 33 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル-ホンダ | 53 | +7.729 | 2 | 18 |
3 | 44 | ルイス・ハミルトン 1 | メルセデス | 53 | +22.729 | 1 | 15 |
4 | 11 | セルジオ・ペレス | レーシング・ポイント-BWTメルセデス | 53 | +30.558 | 4 | 12 |
5 | 3 | ダニエル・リカルド | ルノー | 53 | +52.065 2 | 5 | 10 |
6 | 16 | シャルル・ルクレール | フェラーリ | 53 | +1:02.186 | 10 | 8 |
7 | 31 | エステバン・オコン | ルノー | 53 | +1:08.006 | 7 | 6 |
8 | 26 | ダニール・クビアト | アルファタウリ-ホンダ | 53 | +1:08.740 | 11 | 4 |
9 | 10 | ピエール・ガスリー | アルファタウリ-ホンダ | 53 | +1:29.766 | 9 | 2 |
10 | 23 | アレクサンダー・アルボン | レッドブル-ホンダ | 53 | +1:37.860 3 | 15 | 1 |
11 | 99 | アントニオ・ジョヴィナッツィ | アルファロメオ-フェラーリ | 52 | +1 Lap | 17 | |
12 | 20 | ケビン・マグヌッセン | ハース-フェラーリ | 52 | +1 Lap | 18 | |
13 | 5 | セバスチャン・ベッテル | フェラーリ | 52 | +1 Lap | 14 | |
14 | 7 | キミ・ライコネン | アルファロメオ-フェラーリ | 52 | +1 Lap | 19 | |
15 | 4 | ランド・ノリス | マクラーレン-ルノー | 52 | +1 Lap | 8 | |
16 | 6 | ニコラス・ラティフィ | ウィリアムズ-メルセデス | 52 | +1 Lap | 20 | |
17 | 8 | ロマン・グロージャン | ハース-フェラーリ | 52 | +1 Lap | 16 | |
18 | 63 | ジョージ・ラッセル | ウィリアムズ-メルセデス | 52 | +1 Lap | 13 | |
Ret | 55 | カルロス・サインツ | マクラーレン-ルノー | 0 | アクシデント | 6 | |
Ret | 18 | ランス・ストロール | レーシング・ポイント-BWTメルセデス | 0 | アクシデント | 12 | |
ソース:[17][18] |
- 追記
- ^FL - ファステストラップの1点を含む
- ^1 - ハミルトンはレコノサンスラップにおいて規定外の場所でスタート練習を2回行ったため、5秒ペナルティ及びペナルティポイント1点が2回科せられたが、レース後にチームからの指示であることが判明したためペナルティポイント2点は取り消され、メルセデスに罰金が科された(5秒ペナルティ2回はピットインで消化)[19][20][21][22][23][16]
- ^2 - リカルドはターン2でショートカットしてコースに復帰したため5秒ペナルティとペナルティポイント1点(合計3点)が科されたが、ピットインでペナルティを消化しなかったため、レースタイムに5秒加算された[24][21]
- ^3 - アルボンはターン2でショートカットしてコースに復帰したため5秒ペナルティとペナルティポイント1点(合計5点)が科されたが、ピットインでペナルティを消化しなかったため、レースタイムに5秒加算された[25][21]
- バルテリ・ボッタス - 1:37.030 (51周目)
第10戦終了時点のランキング
編集
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- 注:ドライバー、コンストラクター共にトップ5のみ表示。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ “Russian Grand Prix 2020 - F1 Race”. The Official F1 Website. 2020年9月25日閲覧。
- ^ “最も柔らかい3種類のタイヤが使用されるロシアGP”. Bella Gara (2020年9月23日). 2020年9月25日閲覧。
- ^ “F1ロシアGP:FIA、ターン12&13での不必要な減速を禁じる。ターン2ではトラックリミット違反を取り締まり”. autosport web (2020年9月25日). 2020年9月25日閲覧。
- ^ “F1ロシアGP木曜会見(3):シューマッハーに並ぶ最多91勝目を目前に控えるも、複雑な思いを抱くハミルトン”. autosport web (2020年9月25日). 2020年9月25日閲覧。
- ^ “Russian Grand Prix - Seb e Charles: “Concentrating on our goals””. フェラーリ (2020年9月25日). 2020年9月25日閲覧。
- ^ “Entry List - DOC 5”. FIA (2020年9月24日). 2020年9月25日閲覧。
- ^ 特記のない場合、“F1ロシア予選:圧巻ポールのハミルトン、Q2で赤旗危機”一発”。フェルスタッペン意地の2番手”. motorsport.com (2020年9月26日). 2020年9月27日閲覧。
- ^ “F1 Topic:ハミルトンがピットレーンでQ2再開を待たなかった理由。タイヤ戦略変更で、レースに影響も”. autosport web (2020年9月27日). 2020年9月27日閲覧。
- ^ “フェルスタッペンが最前列獲得「キャリアベストの予選。有利なタイヤで好結果目指す」レッドブル・ホンダ【F1第10戦】”. autosport web (2020年9月27日). 2020年9月27日閲覧。
- ^ “Formula 1: Drive to Survive | Netflix Official Site” (英語). www.netflix.com. 2021年3月22日閲覧。
- ^ “FORMULA 1 VTB RUSSIAN GRAND PRIX 2020 - QUALIFYING” (2020年9月26日). 2020年9月27日閲覧。
- ^ “FORMULA 1 VTB RUSSIAN GRAND PRIX 2020 - STARTING GRID”. The Official F1 Website (2020年9月27日). 2020年9月27日閲覧。
- ^ “Doc 41 - Russian Grand Prix - Offence - Car 23 - Gearbox”. FIA (2020年9月27日). 2020年9月27日閲覧。
- ^ a b “【追記】アルボンとラティフィがギヤボックス交換で5グリッド降格/2020年F1第10戦ロシアGPグリッド”. autosport web (2020年9月27日). 2020年9月27日閲覧。
- ^ “Doc 42 - Russian Grand Prix - Offence - Car 6 - Gearbox”. FIA (2020年9月27日). 2020年9月27日閲覧。
- ^ a b “厳罰に怒りのハミルトン。スチュワードはメルセデスの過失を認め、ペナルティポイントを撤回【F1第10戦決勝】”. autosport web (2020年9月28日). 2020年9月28日閲覧。
- ^ “FORMULA 1 VTB RUSSIAN GRAND PRIX 2020 - RACE RESULT”. The Official F1 Website (2020年9月27日). 2020年9月27日閲覧。
- ^ a b “Russia 2020 - Result”. STATS F1 (2020年9月27日). 2020年9月27日閲覧。
- ^ “Doc 46 - Russian Grand Prix - Offence - Car 44 - 1st Practice start”. FIA (2020年9月27日). 2020年9月27日閲覧。(レース中1回目)
- ^ “Doc 47 - Russian Grand Prix - Offence - Car 44 - 2nd Practice start”. FIA (2020年9月27日). 2020年9月27日閲覧。(レース中2回目)
- ^ a b c “ボッタスが得意のソチで今季2勝目、最速ラップも記録。ホンダPU勢は全4台が入賞【決勝レポート/F1第10戦】”. autosport web (2020年9月27日). 2020年9月27日閲覧。
- ^ “Doc 54 - Russian Grand Prix - Replacement for Document 46 - Offence - Car 44 - 1st Practice Start”. FIA (2020年9月27日). 2020年9月28日閲覧。(レース後1回目)
- ^ “Doc 55 - Russian Grand Prix - Replacement for Document 47 - Offence - Car 44 - 2nd Practice Start”. FIA (2020年9月27日). 2020年9月28日閲覧。(レース後2回目)
- ^ “Doc 48 - Russian Grand Prix - Offence - Car 3 - RD Instruction”. FIA (2020年9月27日). 2020年9月27日閲覧。
- ^ “Doc 50 - Russian Grand Prix - Offence - Car 23 - RD Instruction Turn 2”. FIA (2020年9月27日). 2020年9月27日閲覧。
- ^ “FORMULA 1 VTB RUSSIAN GRAND PRIX 2020 - FASTEST LAPS”. The Official F1 Website (2020年9月27日). 2020年9月27日閲覧。
- ^ “Russia 2020 - Laps led”. STATS F1 (2020年9月27日). 2020年9月27日閲覧。
- ^ “2020 Formula One Russian Grand Prix - Driver Standings”. Motorsport Stats (2020年9月27日). 2020年9月27日閲覧。
- ^ “2020 Formula One Russian Grand Prix - Team Standings”. Motorsport Stats (2020年9月27日). 2020年9月27日閲覧。
前戦 2020年トスカーナグランプリ |
FIA F1世界選手権 2020年シーズン |
次戦 2020年アイフェルグランプリ |
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