1960年の映画
出来事
編集→「1960年 § できごと」も参照
世界
編集- 1月 - 米国、全米脚本家組合(WGA)が映画のTV放映権をめぐってストライキ (1960年全米脚本家組合ストライキ)[1][2]。3月、映画俳優組合(SAG)も同様の理由でストライキ[1][3]。
- 2月 - イタリア、フェデリコ・フェリーニ監督『甘い生活』公開[1][4]。
- 2月7日 - 国際東宝、ニューヨーク事務所開設[5]。
- 3月10日 - 日本映画見本市、台北市で開催(15日まで)[5]。
- 3月16日 - フランス、ヌーヴェルヴァーグを代表する作品『勝手にしやがれ』(ジャン=リュック・ゴダール監督)公開[1][6]。
- 5月21日 - 東宝、パリ事務所を新設[7]。
- 6月 - 第13回カンヌ国際映画祭で市川崑監督『鍵』が特別賞受賞[8][9]。
- 7月 - 東映の長編漫画映画『少年猿飛佐助』がベニス国際児童映画祭入賞[10]。
- 7月27日 - 第1回東宝映画祭がベネズエラのカラカスで1週間開催[7]。
- 8月3日 - 東宝直営館であるロサンゼルス・ラブレア劇場がオープン[7]。オープニング作品は稲垣浩監督『無法松の一生』、清水雅社長、俳優・三船敏郎、女優・水野久美らが出席[7]。
- 9月
- 9月6日 - イタリア、ルキノ・ヴィスコンティ監督『若者のすべて』、第21回ヴェネツィア国際映画祭で公開[1][12]。
- 11月3日 - 第2回東宝映画祭が香港で開催(9日まで)[13]。取締役・川喜多長政と藤本真澄、脚本家・井手俊郎、作家・石原慎太郎、女優・司葉子と北あけみなどが出席[13]。
- 月日不詳
- フランス、ルネ・クレール監督、映画人で初めてアカデミー・フランセーズ会員となる[1][14]。
日本
編集- 1月
- 東映、アイドホール試験を開始する[9]。
- 1月3日 - 『任侠中仙道』 / 『ひばり十八番 弁天小僧』公開、ヒット[15]。
- 1月15日 - 第10回ブルーリボン賞で、月形龍之介が大衆賞、足立怜二郎と東映剣会が技術賞、『警視庁物語』のスタッフ・キャストが特別賞受賞[15]。
- 1月21日 - イーストマン・カラー・フィルム値下げ、アグファ・カラー・フィルムも同調値下げ[16]。2月10日、国産カラー・フィルムも値下げ[16]。
- 2月
- 3月
- 4月
- 5月
- 6月
- 7月
- 8月
- 9月
- 新東宝労組、会社再建を迫るためにストライキ[9]。
- 9月1日 - 東和映画は、東宝系の中央映画と合併し、社名を東和株式会社とした[8][9][13]。
- 9月10日 - NHKと民放4局がテレビのカラー本放送を始めた[10][9][注 1]。
- 9月15日 - 黒澤プロダクションの第1回作品『悪い奴ほどよく眠る』先行ロードショー[16]。10月1日、一般公開[16][13]。
- 9月16日 - 東宝、松竹系も含めた東宝の番組編成による関西地区洋画興行再編を実施[16]。関西洋画チェーンに紅系、白系 緑系の3系統が発足[16]。
- 9月19日 - 東京銀座に東映会館竣工[15][9][23]。9月20日、丸の内東映劇場・丸の内東映パラス開業[17]。丸の内東映、こけら落としは『海賊八幡船』[15][24]。
- 10月
- 11月
- 12月
周年
編集- 創業65周年
日本の映画興行
編集配給会社 | 年間配給収入
(単位:百万円) |
前年対比 |
---|---|---|
松竹 | 4,261 | 79.1% |
東宝 | 4,781 | 104.0% |
大映 | 4,608 | 97.9% |
新東宝 | 1,321 | 64.0% |
東映 | 9,749 | 113.9% |
日活 | 6,246 | 112.7% |
- 出典: 東宝 編『東宝75年のあゆみ 1932 - 2007 資料編』(PDF)東宝、2010年4月、48頁。
各国ランキング
編集日本配給収入ランキング
編集順位 | 題名 | 配給 | 配給収入 |
---|---|---|---|
1 | 天下を取る[35] | 日活 | 3億2392万円 |
2 | 波濤を越える渡り鳥 | 日活 | 3億0012万円 |
3 | 闘牛に賭ける男[36] | 日活 | 2億9133万円 |
4 | 喧嘩太郎 | 日活 | 2億7669万円 |
5 | 娘・妻・母[37] | 東宝 | 2億7561万円 |
6 | あじさいの歌[38] | 日活 | 2億7037万円 |
7 | 水戸黄門 | 東映 | 2億6694万円 |
8 | 名もなく貧しく美しく | 東宝 | 2億5154万円 |
8 | ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐 | 東宝 | 2億5154万円 |
10 | 新吾二十番勝負 | 東映 | 1億7789万円 |
- 出典:『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』キネマ旬報社〈キネマ旬報ムック〉、2012年5月、170頁。ISBN 978-4873767550。
順位 | 題名 | 製作国 | 配給 | 配給収入 |
---|---|---|---|---|
1 | ベン・ハー | MGM | 5億9025万円 | |
2 | アラモ | ユナイテッド・アーティスツ | 2億6754万円 | |
3 | 眠れる森の美女 | 日本RKO | 1億7824万円 | |
4 | チャップリンの独裁者 | ユナイテッド・アーティスツ | 1億6800万円 | |
5 | 許されざる者 | ユナイテッド・アーティスツ | 1億3330万円 | |
6 | 連邦警察[39] | ワーナー・ブラザース | 1億2791万円 | |
7 | 太陽がいっぱい | 新外映配給 | 1億2441万円 | |
8 | バッファロー大隊 | ワーナー・ブラザース | 1億1922万円 | |
9 | スパルタカス | ユニバーサル・ピクチャーズ | 1億1014万円 | |
10 | サイコ | パラマウント映画 | 1億0512万円 |
- 出典:『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』キネマ旬報社〈キネマ旬報ムック〉、2012年5月、171頁。ISBN 978-4873767550。
北米配給収入ランキング
編集順位 | 題名 | スタジオ | 配給収入 |
---|---|---|---|
1. | スパルタカス | ユニバーサル映画 | $14,000,000 |
2. | サイコ | パラマウント映画 | $9,100,000 |
3. | 栄光への脱出 | ユナイテッド・アーティスツ | $8,500,000 |
4. | スイスファミリーロビンソン | ウォルト・ディズニー | $7,900,000 |
4. | アラモ | ユナイテッド・アーティスツ | $7,900,000 |
6. | アパートの鍵貸します | ユナイテッド・アーティスツ | $6,700,000 |
7. | バターフィールド8 | MGM | $6,000,000 |
8. | オーシャンと十一人の仲間 | ワーナー・ブラザース | $5,500,000 |
9. | ママは腕まくり | MGM | $5,300,000 |
10. | 孤独な関係 | 20世紀フォックス | $5,200,000 |
- 出典:Finler, Joel Waldo (2003). The Hollywood Story. Wallflower Press. pp. 358–359. ISBN 978-1-903364-66-6
日本公開映画
編集1960年の日本公開映画を参照。
受賞
編集- 第33回アカデミー賞
- 作品賞 - 『アパートの鍵貸します』
- 監督賞 - ビリー・ワイルダー(『アパートの鍵貸します』)
- 主演男優賞 - バート・ランカスター(『エルマー・ガントリー/魅せられた男』)
- 主演女優賞 - エリザベス・テイラー(『バターフィールド8』)
- 第18回ゴールデングローブ賞
- 作品賞 (ドラマ部門) - 『スパルタカス』
- 主演女優賞 (ドラマ部門) - グリア・ガーソン(『ルーズベルト物語』)
- 主演男優賞 (ドラマ部門) - バート・ランカスター(『エルマー・ガントリー/魅せられた男』)
- 作品賞 (ミュージカル・コメディ部門) - 『アパートの鍵貸します』、『終わりなき唄』
- 主演女優賞 (ミュージカル・コメディ部門) - シャーリー・マクレーン(『アパートの鍵貸します』)
- 主演男優賞 (ミュージカル・コメディ部門) - ジャック・レモン(『アパートの鍵貸します』)
- 監督賞 - ジャック・カーディフ(『息子と恋人』)
- 第26回ニューヨーク映画批評家協会賞 - 『アパートの鍵貸します』、『息子と恋人』
- 第21回ヴェネツィア国際映画祭
- 金獅子賞 - 『ラインの仮橋』
- 主演男優賞 - ジョン・ミルズ(『栄光の旋律』)
- 主演女優賞 - シャーリー・マクレーン(『アパートの鍵貸します』)[40]
- 第10回ベルリン国際映画祭
- 金熊賞 - 『El Lazarillo de Tormes (トルメス盲導犬)』
- 監督賞 - ジャン=リュック・ゴダール(『勝手にしやがれ』)
- 男優賞 - フレドリック・マーチ(『風を受けて』)
- 女優賞 - ジュリエット・メニエル(『歳の市』)
- 第2回モスクワ映画祭
- 第34回キネマ旬報ベスト・テン
- 外国映画第1位 - 『チャップリンの独裁者』
- 日本映画第1位 - 『おとうと』
- 第15回毎日映画コンクール
- 日本映画大賞 - 『おとうと』
誕生
編集- 1月11日 - スタンリー・トゥッチ、アメリカの俳優
- 1月12日 - オリヴァー・プラット、カナダの俳優
- 1月25日 - 荒木由美子、女優
- 2月28日 - 大川透、声優
- 3月10日 - 熊谷真実、女優
- 3月13日 - ジョー・ランフト、アメリカのアニメ脚本家・声優(+1960年)
- 3月29日 - 鶴ひろみ、声優(+2017年)
- 4月11日 - 川野太郎、俳優
- 5月15日 - 亜希いずみ、女優
- 5月22日 - 庵野秀明、映画監督・アニメーター
- 6月5日 - 東ちづる、女優
- 6月24日 - 犬童一心、映画監督
- 7月9日 - 浅野ゆう子、女優
- 7月21日 - 船越英一郎、俳優
- 8月10日 - アントニオ・バンデラス、スペインの俳優
- 8月16日 - ティモシー・ハットン、アメリカの俳優・映画監督
- 8月17日 - ショーン・ペン、アメリカの俳優・映画監督
- 8月24日 - 三池崇史、映画監督
- 9月8日 - 紺野美沙子、女優
- 9月9日 - ヒュー・グラント、イギリスの俳優
- 9月27日 - ジャン=マルク・バール、フランスの俳優
- 10月5日 - 黒木瞳、女優
- 10月12日 - 真田広之、俳優
- 10月13日 - 生瀬勝久、俳優
- 10月18日 - ジャン=クロード・ヴァン・ダム、アメリカの俳優
- 10月22日 - 室井滋、女優
- 10月27日 - 山村紅葉、女優
- 11月9日 - 石田えり、女優
- 11月10日 - 川島なお美、女優(+2015年)
- 12月3日 - ダリル・ハンナ、アメリカの女優
- 12月3日 - ジュリアン・ムーア、アメリカの女優
- 12月10日 - 佐藤浩市、俳優
- 12月12日 - 西村雅彦、俳優
- 12月29日 - 岸本加世子、女優
死去
編集日付 | 名前 | 国籍 | 年齢 | 職業 | |
1月 | 3日 | ヴィクトル・シェストレム | 80 | 映画監督 | |
2月 | 21日 | ジャック・ベッケル | 53 | 映画監督 | |
11月 | 5日 | マック・セネット | 80 | 映画監督・俳優 | |
16日 | クラーク・ゲーブル | 59 | 俳優 | ||
12月 | 15日 | ヴェラ・クルーゾー | 46 | 女優 | |
18日 | 寿々喜多呂九平 | 61 | 映画監督・脚本家 |
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c d e f g 石原良太 1986, p. 89.
- ^ THOMAS DOHERTY (2023年7月18日). “The Last Time Actors and Writers Both Went on Strike: How Hollywood Ended the 1960 Crisis” (英語). The Hollywood Reporter 2023年11月19日閲覧。
- ^ “1960s SAG-AFTRA” (英語). SAG-AFTRA公式サイト. SAG-AFTRA. 2023年11月19日閲覧。 “SAG theatrical strike March 7-April 18 halts 8 major productions, (後略).”
- ^ “甘い生活 (1960) - Release info” (英語). IMDb. 2023年11月19日閲覧。
- ^ a b c d 東宝 1982b, p. 85.
- ^ “勝手にしやがれ (1960) - Release info” (英語). IMDb. 2023年11月8日閲覧。
- ^ a b c d e f 東宝 1982b, p. 86.
- ^ a b c d e f g h 谷川 1993, p. 136.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 松竹 1985, p. 685.
- ^ a b c 山川 1987, p. 277.
- ^ “「通夜の客」より わが愛(1960)”. allcinema. スティングレー. 2019年10月8日閲覧。
- ^ “若者のすべて (1960) - Release info” (英語). IMDb. 2023年11月19日閲覧。
- ^ a b c d e f g 東宝 1982b, p. 87.
- ^ “ルネ・クレール - 略歴・フィルモグラフィー”. KINENOTE. キネマ旬報社. 2023年11月19日閲覧。
- ^ a b c d e 東映 1992, p. 28.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 東宝 2010b, p. 213.
- ^ a b 東映 1992, pp. 28–29.
- ^ “波多 伸二(ハタ シンジ)とは”. コトバンク. 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治 - 平成」(2010年刊). 朝日新聞社. 2019年10月7日閲覧。
- ^ 松竹 1985, p. 270.
- ^ a b c 東映 1992, p. 29.
- ^ “日本初のカラーテレビ受像機”. 東芝未来科学館. 2019年7月13日閲覧。 “カラーテレビの本放送開始に先駆け日本初のカラーテレビ受像機21型D-21WEを開発し、7月1日に市販を開始した。”
- ^ “続々べらんめえ芸者”. 映画.com. 2023年3月21日閲覧。
- ^ “沿革”. 東映公式サイト. 東映. 2020年4月1日閲覧。
- ^ “海賊八幡船”. 日本映画製作者連盟公式サイト. 日本映画製作者連盟. 2023年3月21日閲覧。
- ^ 小学館. “日本映画史(年表)”. コトバンク. 『日本大百科全書』(ニッポニカ). 朝日新聞社. 2019年7月6日閲覧。 “1960松竹ヌーベル・バーグ、大島渚、篠田正浩、吉田喜重ら若手台頭。大島渚『日本の夜と霧』(松竹)、上映4日で打ち切り”
- ^ a b 東宝 2010b, p. 214.
- ^ 松竹 1985, p. 686.
- ^ 東宝 1982b, p. 88.
- ^ 角川春樹、藤岡和賀夫、阿久悠『ザ・ブーム』角川書店、1982年1月25日、212頁。
- ^ 週刊朝日 編『戦後値段史年表』朝日新聞出版〈朝日文庫〉、1995年、23頁。ISBN 4-02-261108-1。
- ^ “小売物価統計調査(動向編) 調査結果”. 統計局. 2016年8月3日閲覧。
- ^ “主要品目の東京都区部小売価格:昭和25年(1950年)〜平成22年(2010年)” (Excel). 統計局. 2016年8月3日閲覧。
- ^ a b c “過去データ一覧”. 一般社団法人日本映画製作者連盟. 2016年8月2日閲覧。
- ^ a b 日活 2014, p. 114.
- ^ 天下を取る - KINENOTE
- ^ 闘牛に賭ける男 - KINENOTE
- ^ 娘・妻・母 - KINENOTE
- ^ あじさいの歌 - KINENOTE
- ^ 連邦警察 - allcinema
- ^ “第21回 ベネチア国際映画祭(1960年)”. 映画.com. 2019年7月17日閲覧。
参考文献
編集- 石原良太 編『映画賞・映画祭日本・外国受賞作品大全集 : 栄光と虚栄・アカデミー賞からヨコハマ映画祭』芳賀書店、1986年6月。ISBN 4-8261-0520-7。
- 松竹『松竹九十年史』松竹、1985年12月。全国書誌番号:87001945。
- 谷川義雄『年表・映画100年史』風濤社、1993年5月。ISBN 4-89219-113-2。
- 東映『クロニクル東映-II 1947-1991』東映、1992年10月。全国書誌番号:93017746。
- 東宝『東宝五十年史』東宝、1982年11月。全国書誌番号:83041631。
- 渋沢社史データベース版(1982年11月刊行本が底本)
- 東宝 編『東宝75年のあゆみ ビジュアルで綴る3/4世紀 1932 - 2007』東宝、2010年4月。
- 東宝 編『東宝75年のあゆみ 1932 - 2007 資料編』(PDF)東宝、2010年4月。
- 日活『日活100年史 = Nikkatsu-celebrating 100 years of history』日活、2014年3月。全国書誌番号:22411179。
- 山川浩二『昭和広告60年史』講談社、1987年。ISBN 4-06-202184-6。