紀伊國屋じんぶん大賞
紀伊國屋じんぶん大賞(きのくにやじんぶんたいしょう)は、紀伊國屋書店が主催する人文書籍の賞。一般読者の投票、社内選考委員およびスタッフ有志の投票によって決定している[1]。対象は前年の12月~当年11月に刊行された書籍(新書・文庫を含む)毎年、大賞とともにベスト30が発表される。
歴代の受賞者
編集第1回(2011年)
編集第2回(2012年)
編集- 大賞:國分功一郎『暇と退屈の倫理学』朝日出版社[3]
- 第2位:開沼博『「フクシマ」論:原子力ムラはなぜ生まれたのか』青土社
- 第3位:東浩紀『一般意志2.0:ルソー、フロイト、グーグル』講談社
- 第4位:與那覇潤『中国化する日本:日中「文明の衝突」一千年史』文藝春秋
- 第5位:宇野常寛『リトル・ピ-プルの時代』幻冬舎
第3回(2013年)
編集- 大賞:柄谷行人『哲学の起源』岩波書店[4]
- 第2位:小熊英二『社会を変えるには』講談社〈講談社現代新書〉
- 第3位:ダニエル・L・エヴェレット『ピダハン:「言語本能」を超える文化と世界観』(屋代通子訳)みすず書房
- 第4位:坂口恭平『独立国家のつくりかた』講談社〈講談社現代新書〉
- 第5位:片山杜秀『未完のファシズム:「持たざる国」日本の運命』新潮社〈新潮選書〉
第4回(2014年)
編集- 大賞:千葉雅也『動きすぎてはいけない:ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』河出書房新社[5]
- 第2位:國分功一郎『来るべき民主主義:小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題』幻冬舎〈幻冬舎新書〉
- 第3位:白井聡『永続敗戦論:戦後日本の核心』太田出版
- 第4位:鈴木健『なめらかな社会とその敵』勁草書房
- 第5位:速水健朗『1995年』筑摩書房〈ちくま新書〉
第5回(2015年)
編集- 大賞:東浩紀『弱いつながり:検索ワードを探す旅』幻冬舎[6]
- 第2位:石岡良治『視覚文化「超」講義』フィルムアート社
- 第3位:加藤直樹『九月、東京の路上で:1923年関東大震災ジェノサイドの残響』ころから
- 第4位:ティム・インゴルド『ラインズ:線の文化史』(工藤晋訳)左右社
- 第5位:最相葉月『セラピスト:Silence in Psychotherapy』新潮社
第6回(2016年)
編集- 大賞:岸政彦『断片的なものの社会学』朝日出版社[7]
- 第2位:森田真生『数学する身体』新潮社
- 第3位:大澤聡『批評メディア論:戦前期日本の論壇と文壇』岩波書店
- 第4位:武田砂鉄『紋切型社会:言葉で固まる現代を解きほぐす』朝日出版社
- 第5位:小熊英二『生きて帰ってきた男:ある日本兵の戦争と戦後』岩波書店〈岩波新書〉
第7回(2017年)
編集- 大賞:加藤陽子『戦争まで:歴史を決めた交渉と日本の失敗』朝日出版社[8]
- 第2位:ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史』(柴田裕之訳)河出書房新社
- 第3位:管賀江留郎『道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』洋泉社
- 第4位:栗原康『村に火をつけ、白痴になれ:伊藤野枝伝』岩波書店
- 第5位:道場親信『下丸子文化集団とその時代』みすず書房
第8回(2018年)
編集- 大賞: 國分功一郎『中動態の世界:意志と責任の考古学』医学書院〈シリーズケアをひらく〉[9]
- 第2位:東浩紀『ゲンロン 第0号:観光客の哲学』ゲンロン
- 第3位:松村圭一郎『うしろめたさの人類学』ミシマ社
- 第4位:上間陽子『裸足で逃げる:沖縄の夜の街の少女たち』太田出版
- 第5位:山本貴光『文学問題〈F+f〉+』幻戯書房
第9回(2019年)
編集- 大賞:木庭顕『誰のために法は生まれた』朝日出版社[10]
- 第2位:倉橋耕平『歴史修正主義とサブカルチャー:90年代保守言説のメディア文化』青弓社〈青弓社ライブラリー〉
- 第3位:吉川浩満『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』河出書房新社
- 第4位:小松理虔『新復興論』ゲンロン
- 第5位:福尾匠『眼がスクリーンになるとき:ゼロから読むドゥルーズ『シネマ』』フィルムアート社
第10回(2020年)
編集※[11]
- 大賞:東畑開人『居るのはつらいよ:ケアとセラピーについての覚書』医学書院〈シリーズケアをひらく〉
- 第2位:綿野恵太『「差別はいけない」とみんないうけれど。』平凡社
- 第3位:荒木優太『在野研究ビギナーズ:勝手にはじめる研究生活』明石書店
- 第4位:北村紗衣『お砂糖とスパイスと爆発的な何か:不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門』書肆侃侃房
- 第5位:小川さやか『チョンキンマンションのボスは知っている:アングラ経済の人類学』春秋社
第11回(2021年)
編集- 大賞:デヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ:クソどうでもいい仕事の理論』(酒井隆史・芳賀達彦・森田和樹訳)岩波書店
- 第2位:斎藤幸平『人新世の「資本論」』集英社〈集英社新書〉
- 第3位:読書猿『独学大全:絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』ダイヤモンド社
- 第4位:熊代亨『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』イースト・プレス
- 第5位:近内悠太『世界は贈与でできている:資本主義の「すきま」を埋める倫理学』ニューズピックス
第12回(2022年)
編集- 大賞:岸政彦『東京の生活史』筑摩書房[16]
- 第2位:北丸雄二『愛と差別と友情とLGBTQ+:言葉で闘うアメリカの記録と内在する私たちの正体』人々舎[17]
- 第3位:川添愛『言語学バーリ・トゥードRound1:AIは「絶対に押すなよ」を理解できるか』東京大学出版会
- 第4位:松本俊彦『誰がために医師はいる:クスリとヒトの現代論』みすず書房
- 第5位:國分功一郎/熊谷晋一郎『責任の生成:中動態と当事者研究』新曜社
第13回(2023年)
編集※[18]
- 大賞:高島鈴『布団の中から蜂起せよ:アナ-カ・フェミニズムのための断章』人文書院 ISBN 978-4-409-24152-3
- 第2位:三木那由他『言葉の展望台』講談社 ISBN 978-4-06-528345-5
- 第3位:千葉雅也『現代思想入門』講談社〈講談社現代新書〉ISBN 978-4-06-527485-9
- 第4位:ショーン・フェイ『トランスジェンダー問題:議論は正義のために』(高井ゆと里訳)明石書店 ISBN 978-4-7503-5463-7
- 第5位:吉川浩満『哲学の門前』紀伊國屋書店 ISBN 978-4-314-01193-8
第14回(2024年)
編集- 大賞[19]:田野大輔・小野寺拓也『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』岩波書店〈岩波ブックレット〉ISBN 978-4-00-271080-8
- 第2位:石岡丈昇『タイミングの社会学:ディテールを書くエスノグラフィー』青土社 ISBN 978-4-7917-7556-9
- 第3位:周司あきら・高井ゆと里『トランスジェンダー入門』集英社〈集英社新書〉ISBN 978-4-08-721274-7
- 第4位:東浩紀『訂正可能性の哲学』ゲンロン ISBN 978-4-907188-50-4
- 第5位:デヴィッド・グレーバー/デヴィッド・ウェングロウ『万物の黎明:人類史を根本からくつがえす』(酒井隆史訳)光文社 ISBN 978-4-334-10059-9
脚注
編集- ^ リーフレット「紀伊國屋じんぶん大賞2022」じんぶん大賞2022事務局編集・発行、2022年2月。
- ^ “発表!!紀伊國屋じんぶん大賞2010 | 本の「今」がわかる 紀伊國屋書店”. www.kinokuniya.co.jp. 2021年12月25日閲覧。
- ^ “発表!!「紀伊國屋じんぶん大賞2011――読者がえらぶ人文書ベストブック」”. 本の「今」がわかる 紀伊國屋書店. 2021年12月25日閲覧。
- ^ “発表!!紀伊國屋じんぶん大賞2012──読者と選ぶ人文書ベスト30”. 本の「今」がわかる 紀伊國屋書店. 2021年12月25日閲覧。
- ^ “発表!!紀伊國屋じんぶん大賞2013──読者と選ぶ人文書ベスト30”. 本の「今」がわかる 紀伊國屋書店. 2021年12月25日閲覧。
- ^ “発表!!紀伊國屋じんぶん大賞2015 ──読者と選ぶ人文書ベスト30”. 本の「今」がわかる 紀伊國屋書店. 2021年12月25日閲覧。
- ^ “発表!!紀伊國屋じんぶん大賞2016――読者と選ぶ人文書ベスト30”. 本の「今」がわかる 紀伊國屋書店. 2021年12月25日閲覧。
- ^ “発表!!紀伊國屋じんぶん大賞2017――読者と選ぶ人文書ベスト30”. 本の「今」がわかる 紀伊國屋書店. 2021年12月25日閲覧。
- ^ “発表!!紀伊國屋じんぶん大賞2018――読者と選ぶ人文書ベスト30”. 本の「今」がわかる 紀伊國屋書店. 2021年12月25日閲覧。
- ^ “発表!!紀伊國屋じんぶん大賞2019――読者と選ぶ人文書ベスト30 | 本の「今」がわかる 紀伊國屋書店”. www.kinokuniya.co.jp. 2021年12月25日閲覧。
- ^ “「紀伊國屋じんぶん大賞2020 読者と選ぶ人文書ベスト30」を発表”. 本の「今」がわかる 紀伊國屋書店. 2019年12月27日閲覧。
- ^ “「紀伊國屋じんぶん大賞2021 読者と選ぶ人文書ベスト30」を発表”. 2021年1月23日閲覧。
- ^ “紀伊國屋じんぶん大賞2021 読者と選ぶ人文書ベスト30が決定 ブックフェアも開催中|じんぶん堂”. 朝日新聞社. 2021年12月29日閲覧。
- ^ “「紀伊國屋じんぶん大賞2022 読者と選ぶ人文書ベスト30」を発表”. 株式会社 紀伊國屋書店. 2021年12月29日閲覧。
- ^ “1位に岸政彦編『東京の生活史』 紀伊國屋じんぶん大賞2022 読者と選ぶ人文書ベスト30が決定|じんぶん堂”. 朝日新聞社. 2021年12月29日閲覧。
- ^ “身近な人の人生から迫る沖縄社会の深部 新企画「沖縄の生活史 ~語り、聞く復帰50年」”. 沖縄タイムス. 2021年12月29日閲覧。
- ^ “失われた主語を取り戻すために、対抗する。 北丸雄二さんが語る『愛と差別と友情とLGBTQ+』”. ハフポスト. 2021年12月29日閲覧。
- ^ “【紀伊國屋じんぶん大賞2023】読者と選ぶ人文書ベスト30”. 紀伊國屋書店 - 本の「今」に会いに行こう. 2023年1月22日閲覧。
- ^ 「紀伊國屋じんぶん大賞2024 読者と選ぶ人文書ベスト30」を発表紀伊國屋書店「プレスリリース」2023年12月15日付(2024年2月23日閲覧)
外部リンク
編集- 紀伊國屋じんぶん大賞 事務局 (@jinbuntaisho) - X(旧Twitter)