斎藤幸平
斎藤 幸平(さいとう こうへい、1987年[2]1月31日[3] - )は、日本の哲学者。専門は経済思想、社会思想、とくにマルクス主義研究。東京大学大学院総合文化研究科・教養学部准教授[4]。学位は博士(哲学)(フンボルト大学)。
生誕 |
1987年1月31日(37歳) 日本・東京都[1] |
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時代 | 現代思想 |
地域 |
日本哲学 西洋哲学 |
出身校 |
東京大学(中退) ウェズリアン大学(BA) ベルリン自由大学(MA) フンボルト大学(PhD) |
学派 |
大陸哲学 マルクス主義 |
研究機関 | 東京大学大学院総合文化研究科 |
研究分野 | 経済哲学、社会哲学、思想史、マルクス主義哲学、マルクス経済学 |
略歴
編集東京都生まれ[5]。芝高等学校を卒業後、東京大学理科二類に入学する。 3か月間在籍[6]した後「フリーマン奨学金」を得て、ウェズリアン大学へ進学する[6]。 2009年、同大学政治経済学部を卒業[7]。
2012年、ドイツのベルリン自由大学大学院哲学研究科修士課程を修了[5]。その後2014年、同じくドイツのフンボルト大学大学院哲学研究科に博士論文 Natur gegen Kapital: Marx' Ökologie in seiner unvollendeten Kritik des Kapitalismus. を提出。 翌2015年、同大学院哲学研究科博士課程を修了する[7]。
2015年、ベルリン・ブランデンブルク科学アカデミーの客員研究員となる[5]。2016年には日本学術振興会海外特別研究員、カリフォルニア大学サンタバーバラ校客員研究員[7]を務める。同年、前掲の博士論文に基づいて、フンボルト大学よりPh. D. の学位を得る[5]。
2017年に帰国し、大阪市立大学大学院経済学研究科准教授に着任[7]。翌2018年、単著 Karl Marx's Ecosocialism: Capitalism, Nature, and the Unfinished Critique of Political Economy. により、カール・マルクス研究の最高峰とされるドイッチャー記念賞を歴代最年少の31歳で受賞。日本人では初めての[8]受賞となった。
2020年、一連の「マルクス経済学のエコロジー的転回に関する研究」業績により第17回日本学術振興会賞を受賞[9][5]。翌2021年、単著『人新世の「資本論」』(集英社)にて新書大賞2021・大賞を受賞する[10]。 同書は翌2021年に、韓国のAsia Book Awards (ABA, 아시아북어워드) 2021年優秀図書賞(一般書部門)にも選出されている[11]。
2022年、東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻准教授に就任[4]。
著書
編集<<書誌情報の記載>> 書誌情報の記載がウィキペディアの標準から外れています。書き直しの協力をお願いします。また脚注との関連性のない外部リンクは不適切です。むしろ、ISBNやISSNの活用をお薦めします。参照→WP:CITEHOW 2022年10月 |
単著
編集- Natur gegen Kapital: Marx' Ökologie in seiner unvollendeten Kritik des Kapitalismus, Frankfurt: Campus Verlag, 2016. ISBN 9783593505473
- Karl Marx's Ecosocialism: Capitalism, Nature, and the Unfinished Critique of Political Economy, New York: Monthly Review Press, 2017. ISBN 9781583676417
- 『大洪水の前に:マルクスと惑星の物質代謝』堀之内出版、2019年。ISBN 978-4-909237-40-8 [注釈 1]
- 『大洪水の前に:マルクスと惑星の物質代謝』加筆修正し文庫化、KADOKAWA〈角川ソフィア文庫〉、2022年。ISBN 978-4-04-111849-8
- 『人新世の「資本論」』集英社〈集英社新書〉、2020年。ISBN 978-4087211351
- 『100分 de 名著テキスト:カール・マルクス『資本論』:甦る、実践の書』NHK出版、2020年。ISBN 978-4-14-223121-8 ※2021年1月号
- 『ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた』KADOKAWA、2022年。ISBN 978-4044007157
- Marx in the Anthropocene: towards the Idea of Degrowth Communism, Cambridge: Cambridge University Press, 2022. ISBN 9781108844154
- 『ゼロからの『資本論』』NHK出版〈NHK出版新書〉、2023年。ISBN 978-4140886908
- 『100分 de 名著 テキスト:ヘーゲル『精神現象学』:分断を乗り越える思想』NHK出版、2023年。ISBN 978-4-14-223151-5 ※2023年5月号
- 『マルクス解体:プロメテウスの夢とその先』斎藤幸平・竹田真登・持田大志・高橋侑生共訳、講談社、2023年[注釈 2]。ISBN 978-4-06-531831-7
編著
編集- 『未来への大分岐:資本主義の終わりか、人間の終焉か?』(マルクス・ガブリエル、マイケル・ハート、ポール・メイソン著)集英社新書、2019年。ISBN 978-4-08-721088-0
- 『コモンの「自治」論』松本卓也共編、集英社〈シリーズ・コモン〉、2023年。ISBN 978-4-08-737001-0
共著
編集- (小川公代・栗原康・高橋源一郎)『別冊NHK100分de名著:パンデミックを超えて』NHK出版、2022年。ISBN 978-4-14-407282-6
- (大澤真幸)『未来のための終末論』左右社〈大澤真幸THINKING O〉、2023年。ISBN 978-4-86528-375-4
主な分担執筆
編集- 萱野稔人編著『ベーシックインカムは究極の社会保障か:「競争」と「平等」のセーフティネット』堀之内出版、2012年。ISBN 978-4-906708-50-5
- 西山雄二編『人文学と制度』未來社、2013年。ISBN 978-4-624-01190-1
- 市野川容孝・渋谷望編著『労働と思想』堀之内出版、2015年。ISBN 978-4-906708-56-7
- Buchwalter, Andrew, ed., Hegel and Capitalism, New York: SUNY Press, 2015. ISBN 9781438458755
- 岩佐茂・佐々木隆治編著『マルクスとエコロジー:資本主義批判としての物質代謝論』堀之内出版、2016年。ISBN 978-4-906708-60-4
- Dellheim, Judith, and Frieder Otto Wolf, eds, The Unfinished System of Karl Marx: Critically Reading Capital as a Challenge for Our Times, Palgrave Macmillan, 2018. ISBN 9783319703466
- 内田樹編『ポストコロナ期を生きるきみたちへ』晶文社、2020年。ISBN 978-4-7949-7042-8
- 高橋弘樹編著『天才たちの未来予測図』マガジンハウス新書、2022年。ISBN 978-4-8387-7509-5
翻訳
編集- ミヒャエル・ハインリッヒ『『資本論』の新しい読み方:21世紀のマルクス入門』明石英人・佐々木隆治・隅田聡一郎共訳、堀之内出版、2014年。ISBN 978-4-906708-52-9
- ケヴィン・B・アンダーソン『周縁のマルクス:ナショナリズム、エスニシティおよび非西洋社会について』平子友長監訳、社会評論社、2015年。ISBN 978-4-7845-1495-3
- マルクス・ガブリエル、スラヴォイ・ジジェク『神話・狂気・哄笑:ドイツ観念論における主体性』大河内泰樹共監訳、堀之内出版、2015年。ISBN 978-4-906708-54-3
- ウルリッヒ・ブラント、マークス・ヴィッセン『地球を壊す暮らし方:帝国型生活様式と新たな搾取』中村健吾共監訳、岩波書店、2021年。ISBN 978-4-00-061475-7
- キア・ミルバーン『ジェネレーション・レフト』斎藤幸平監訳・解説、堀之内出版、2021年。ISBN 978-4-909237-58-3
- ポール・ボゴシアン『知への恐れ:相対主義と構築主義に抗して』飯泉佑介・山名諒共訳、堀之内出版、2021年。ISBN 978-4-909237-57-6
論文
編集- 「『精神現象学』における「承認論」の新展開」[12]『ヘーゲル哲学研究』19号、2013年。
- Il marxismo giapponese del ventunesimo secolo e la rilettura di Marx attraverso la MEGA, IL PONTE, 2013
- Die Rolle der Differenz in Hegels System der Sittlichkeit, Hegel-Jahrbuch, 2014 (De Gruyter)
- The Emergence of Marx’s Critique of Modern Agriculture Ecological Insights from His Excerpt Notebooks, MONTHLY REVIEW, October 2014 (Volume 66, Number 5)
- Marx's Ecological Notebooks, MONTHLY REVIEW, February 2016 (Volume 67, Number 9)
- Marx' Fraas-Exzerpt und der neue Horizont des Stoffwechsels
出演
編集テレビ番組
編集- SWITCHインタビュー 達人達「柴咲コウ×斎藤幸平」(NHK Eテレ、2021年8月21日)[13]
- 100分de名著 ヘーゲル”精神現象学”(NHK Eテレ、2023年5月1日 - 5月22日)
- サンデージャポン(TBS、不定期出演)- ゲスト
ウェブ番組
編集- ビデオニュース・ドットコム(2021年5月1日)
ラジオ
編集- 大竹まこと ゴールデンラジオ!(文化放送、2022年11月11日、2023年9月15日)
脚注
編集注釈
編集- ^ 本書は、ドイッチャー賞受賞作 Karl Marx's Ecosocialism.(2017)の邦訳増補改訂版である。
- ^ Marx in the Anthropocene. (2022) の邦訳版。
出典
編集- ^ “名著、げすとこらむ。『資本論』ゲスト講師:斎藤幸平”. 100分 de 名著. NHK. 2022年1月12日閲覧。
- ^ “人類は資本主義を本当にこのまま続けられるか”. 東洋経済ONLINE. 東洋経済新報社 (2019年11月21日). 2020年6月6日閲覧。
- ^ https://twitter.com/koheisaito0131/status/32187985231347712
- ^ a b “齋藤幸平(サイトウ コウヘイ)- 新任教員紹介”. 東京大学 大学院総合文化研究科・教養学部. 2022年5月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年4月20日閲覧。
- ^ a b c d e "第17回日本学術振興会賞受賞者及び受賞理由."日本学術振興会公式サイト. 2024年7月20日閲覧。
- ^ a b “経済思想家・斎藤幸平:米留学で「リベラルの資本主義の議論はきれいごと」と感じる”. AERA dot. 週刊朝日 2021年4月16日号. 朝日新聞社 (2021年4月13日). 2022年1月12日閲覧。
- ^ a b c d “大阪市立大学大学院経済学研究科・経済学部”. 2018年11月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月7日閲覧。
- ^ [1]ドイッチャー賞公式サイト
- ^ "日本学術振興会賞:第17回受賞者一覧."日本学術振興会公式サイト. 2024年7月20日閲覧。
- ^ 歴代の大賞中央公論新社:新書大賞公式サイト. 2024年7月20日閲覧。
- ^ Asia Book Awards Committee Report 20212022年10月6日閲覧。
- ^ "「『精神現象学』における「承認論」の新展開」."『ヘーゲル哲学研究』19号、2013年。
- ^ “柴咲コウ×斎藤幸平”. NHK (2021年8月21日). 2021年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月29日閲覧。
外部リンク
編集- 東京大学 大学院総合文化研究科・教養学部 齋藤 幸平
- 斎藤幸平のプロフィール - LIBERARY(リベラリー)
- 斎藤幸平 (@koheisaito0131) - X(旧Twitter)
- 斎藤 幸平 - 東洋経済オンライン
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