地域副読本
地域副読本(ちいきふくどくほん)は、地域学習のための教材として、教科書とは別に制作された副読本。「地域副読本」または「社会科副読本」と呼ばれている。
概要
編集小学校の社会科で、児童が住む身近な地域を学習する際、住んでいる自治体の学習用に使用。教科書に準じる教材である。かつては、3年生で各市町村区、4年生で各都道府県と、明確に分かれていたが、社会科科目が1~2年生で無くなった影響で、どちらも3~4年生用となった。また中学校地理で使用される物もある。
主に地元の教育委員会、研究会等が発行し、その場合競争入札によって制作会社が選定されるケースが多く、公費で発行し検定教科書と同様に無償配布される。各市町村区立の公立学校に配布され、私立学校には配布されないケースもある。検定教科書と異なり必ずしも使用義務は無いため、未使用の学校も存在する。
農業、林業、漁業等、その地域で特筆する産業や文化がある場合、別途その分野だけの副読本を配布する地域もあり、また海外日本人学校でも、その地域の現地学習用に作成された副読本がある。
子供向けの分かり易い内容である事から、近年自治体のホームページで全頁を公開したり、また近年数百円の実費で本を販売し、大人への地域情報として活用される例も増えている。
配布数が極端に少ない海外日本人学校や過疎地域の自治体では、コストの兼ね合いから、製本せず、CD-ROM等のデジタルデータを代替にする所もある。
市町村合併に伴う問題
編集平成の大合併のように自治体の広域化が進むと学習範囲が児童が直接経験する身近な地域をはるかに超え、一致しない事例が増え、副読本の地域性について再検討の必要性が高まっている。[1]
この問題の解決策として、山口県の大内地区のように、合併前の旧自治体だけの狭い範囲を学ぶ地域副読本をそのまま発行しているケースもある。
タイトル
編集自治体名だけの物、「のびゆく〇〇」「わたしたちの〇〇」(〇〇は自治体名)がほとんどで平仮名表記になっているのは、この漢字がまだ使用学年で履修されていないためである。
内容
編集市町村区
編集市町村区の場合、原則的にそれぞれの自治体が単独で発行しているが、富士河口湖町と鳴沢村のように共同で1冊を発行する所もある。下記で特に記述の無い物は、小学校で使用されている物。
- 北海道
- 札幌市「わたしたちの札幌」北海道社会科教育連盟監修/北海道教育評論社発行
- 網走市「あばしり」網走市社会科副読本編頷委員会
- 北見市「きたみ」
- 旭川市「あさひかわ」
- 上富良野町「かみふらの」上富良野町教育委員会・社会科副読本編集委員会/植平印刷株式会社
- 登別市「のぼりべつ」登別市教育委員会・登別市社会科副読本編集委員会編
- 小樽市「わたしたちの小樽」
- 室蘭市「わたしたちのきょうど」→「わたしたちのむろらん」→「わたしたちの室蘭」室蘭市教育委員会・社会科副読本編集委員会/北海印刷株式会社
- 恵庭市「のびゆく恵庭」
- 函館市「わたしたちの函館」
- 中標津町「私たちの町 中標津」
- 大樹町「たいき」大樹町教育研究所編/大樹町教育委員会発行
- 根室市「ねむろ」根室市社会科副読本編集委員会編/根室市教育委員会/根室印刷株式会社
- 釧路市「くしろ」
- 長沼町「ながぬま」長沼町社会科副読本編集委員会編/長沼町教育委員会
- 紋別市「もんべつ」
- 旭川市
- 「あさひかわ」
- 「美しいまちに」
- 名寄市「なよろ」
- 苫小牧市
- 「のびゆく苫小牧」苫小牧市教育研究所編/苫小牧市教育委員会
- 「053(ゼロごみ)のまち とまこまい」(小学校)
- 「ごみとリサイクル」(中学校)
- 千歳市「わたしたちの千歳」千歳市社会科副読本編集委員会編/千歳市教育委員会
- 岩見沢市「いわみざわ」岩見沢市立教育研究所/岩見沢市教育委員会
- 小樽市「わたしたちの小樽」
- 帯広市「おびひろ」
- 夕張市「ゆうばり」
- 八雲町「わたしたちのまち八雲」
- 東神楽町「ひがしかぐら」東神楽町教育委員会
- 浦幌町「うらほろ」浦幌町教育研究所
- 士幌町「しほろ」士幌町郷土読本編集委員会→士幌町社会科副読本改定委員会編/士幌町教育委員会
- 浦幌町「うらほろ」浦幌町教育研究所編集/浦幌町教育委員会
- 鹿追町「しかおい」鹿追町立教育研究所編/鹿追町教育委員会
- 新冠町「にいかっぷ わたしたちの町」新冠町教育研究協議会社会科副読本編集委員会編/新冠町教育委員会
- 弟子屈町
- 広島町「ひろしま郷土読本」広島町社会科郷土読本編集委員会編/広島町教育委員会
- 中札内村「なかさつない」
- 東京都
- 千代田区「わたしたちの千代田区」千代田区教育研究会社会科研究部/千代田区教育委員会
- 港区「わたしたちの港区」
- 大田区
- 「わたしたちの大田区」(小学校)大田区小学校社会科研究部編/大田区教育委員会
- 「のびゆく大田区」(中学校)大田区教育委員会中学校社会科副読本作成委員会編
- 文京区「わたしたちの文京区」文京区小学校教育研究課社会科研究部編/文京区教育委員会
- 練馬区「わたしたちの練馬区・東京都」練馬区教育委員会
- 板橋区「わたしたちの板橋」
- 世田谷区「わたしたちの世田谷」世田谷区教育委員会
- 目黒区「わたしたちの目黒区」目黒区教育委員会編
- 杉並区「わたしたちの杉並区」杉並区教育委員会
- 江東区「わたしたちの江東区」
- 江戸川区「わたしたちの江戸川区」社会科副読本編集委員会/江戸川区教育委員会
- 葛飾区「のびゆく葛飾」
- 足立区「わたしたちの足立」「わたしたちの足立と東京」足立区立小学校社会科副読本編集委員会編/足立区教育委員会
- 町田市「わたしたちの町田」町田市小学校社会科副読本編集委員会
- 小平市「わたしたちの小平市」小平市小学校社会科副読本編集委員会編/小平市教育委員会
- 小金井市「わたしたちの小金井市」
- 西東京市「わたしたちの西東京市」
- 調布市「わたしたちの調布」
- 武蔵野市「わたしたちの武蔵野市」
- 八王子市「わがまち八王子」「わたしたちの東京 八王子版」八王子市郷土教育調査会小学校部編-八王子市郷土教育調査会
- 八丈町「わたしたちの八丈島」八丈町社会科副読本作成委員会編/八丈町教育委員会発行/コロニー東村山印刷所
- 小笠原村
- 「わたしたちの小笠原」(小学校)小笠原村教育委員会小学校社会科副読本編集委員会 編
- 「ひらけゆく小笠原」(中学校)小笠原村教育委員会中学校社会科副読本編集委員会編
- 青ヶ島村「わたしたちの青ヶ島」青ヶ島村教育委員会
- 埼玉県
- さいたま市「わたしたちのさいたま市」わたしたちのさいたま市社会科副読本編集委員会/さいたま市教育委員会
- 北本市「きたもと」
都道府県
編集この節の加筆が望まれています。 |
- 関東
- 「わたしたちの神奈川県」
- 「わたしたちの東京」→「わたしたちの東京都」東京都小学校社会科研究会著/明治図書
- 「すすむ千葉県」千葉県教育研究会社会科教育部会-千葉県教科書販売
- 「わたしたちの茨城県」茨城県教育研究会社会科研究部/編-ひばり出版
- 中部
- 「わたしたちの新潟県」新潟県・新潟市小学校教育研究会編/(株)野島出版
- 「にいがたの農林水産業」
- 「のびゆく郷土」(長野県)信州社会科教育研究会編/信濃教育会出版部
海外
編集- 「わたしたちのまちマナウス」マナオス日本人学校
- 「わたしたちのオランダ」アムステルダム日本人学校
- 「インドネシア 小学部編」→「ふしぎがいっぱいジャカルタのまち」ジャカルタ日本人学校
- 「スラバヤ」スラバヤ日本人学校
- 「わたしたちのウィーン」ウィーン日本人国際学校
- 「わたしたちのデリー」ニューデリー日本人学校
- 「たんけんホーチミン市」ホーチミン日本人学校
- 「わたしたちのコロンボ」コロンボ日本人学校
- 「ソウル」ソウル日本人学校
- 「釜山」釜山日本人学校
- 「北京」北京日本人学校
- 「広州」広州日本人学校
- 「蘇州」蘇州日本人学校
- 「大連」大連日本人学校
- 「香港」香港日本人学校
- 「VIVA PANAMA」パナマ日本人学校
- 「見たい知りたい学びたいパキスタン」イスラマバード日本人学校
- 「私たちのダッカ」ダッカ日本人学校
- 「マレーシア」クアラルンプール日本人学校
- 「わたしたちとジョホールバル マレーシア」ジョホール日本人学校
- 「PULAU MUTIARA」ペナン日本人学校
- 「私たちのサバ」コタキナバル日本人学校
- 「ヤンゴン」ヤンゴン日本人学校
- 「わたしたちの台中」台中日本人学校
- 「高雄を学ぼう」高雄日本人学校
- 「わたしたちのニューヨーク」ニューヨーク日本人学校
- 「PAMPA」ブエノスアイレス日本人学校
- 「みんなで学ぶ社会科」カラカス日本人学校
- 「アンデスのふもと」サンチャゴ日本人学校
- 「VIVA PANAMA」パナマ日本人学校
- 「わたしたちのパラグアイ」アスンシオン日本人学校
- 「交流活動ハンドブック」リオデジャネイロ日本人学校
- 「CONOZCAMOS EL PERU」リマ日本人学校
- 「ビバ!メヒコ」メキシコ日本人学校
- 「わがまちアグアスカリエンテス」アグアスカリエンテス日本人学校
- 「私たちのローマ」ローマ日本人学校
- 「チャオイタリア」ミラノ日本人学校
- 「伸びゆくロッテルダム」ロッテルダム日本人学校
- 「わたしたちのギリシャ」アテネ日本人学校
- 「私たちのスイス」チューリッヒ日本人学校
- 「私たちのスペイン・マドリッド」マドリッド日本人学校
- 「バルセロナ」バルセロナ日本人学校
- 「私たちのベルリン・ドイツ」ベルリン日本人学校
- 「わたしたちのまちデュッセルドルフ」デュッセルドルフ日本人学校
- 「Hamburg」ハンブルク日本人学校
- 「わたしたちの住むフランス」パリ日本人学校
- 「わたしたちのベルギー」ブラッセル日本人学校
- 「CZESC POLSKA」ワルシャワ日本人学校
- 「わたしたちのブカレスト」ブカレスト日本人学校
- 「私たちのロンドン」ロンドン日本人学校
- 「わたしたちのモスクワ」在ロシア日本国大使館附属モスクワ日本人学校
- 「私たちのシドニー」シドニー日本人学校
- 「パース」パース日本人学校
- 「メルボルン」メルボルン日本人学校
- 「すばらしきアブダビ」アブダビ日本人学校
- 「私たちのアラブ首長国連邦(連邦とドバイを知ろう)」ドバイ日本人学校
- 「OUR TEHRAN IRAN」テヘラン日本人学校
- 「サウジアラビア」リヤド日本人学校
- 「私たちの住むトルコ・イスタンブル」イスタンブル日本人学校
- 「みんなで学ぶバハレーン」バハレーン日本人学校
- 「ピラミッドの見えるまち 」カイロ日本人学校
- 「カティカ・ナイロビ」ナイロビ日本人学校
- 「大地から学ぶ」ヨハネスブルグ日本人学校[3]
脚注
編集- ^ 池俊介「市町村合併に伴う社会科副読本の課題」『早稲田大学大学院教育学研究科紀要』第18号、早稲田大学大学院教育学研究科、2008年、1-14頁、ISSN 1340-2226、NAID 120002221302。
- ^ 副読本作成事業箕面市ホームページ内
- ^ 現地事情に関する補助教材の作成状況文部科学省ホームページ内
関連項目
編集外部リンク
編集- 寺本潔「戦後最初の社会科地域副読本と思われる『わたくしたちの港区』の内容と価値」『論叢:玉川大学教育学部紀要』第2011号、2012年3月、37-46頁、ISSN 1348-3331、NAID 120006868303。