幾何学において、チェビアン[1]:Cevian)またはチェバ線[2]とは三角形頂点とその対辺を結ぶ線分の総称である[3][4]中線角の二等分線などはチェバ線の特別な場合である。チェバ線に関する有名な定理を発表したジョバンニ・チェバに由来する[5]

長さ

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三角形とそのチェビアンd

スチュワートの定理

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チェビアンの長さdスチュワートの定理を用いて次の様に求めることができる。

 

中線

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チェビアンが中線である場合、中線定理を用いることができる。

 
 
 

ただし 

角の二等分線

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チェビアンが角の二等分線の場合、以下の様に求められる[6]

 
 
 

ただし、sは半周長 

頂垂線

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チェビアンが頂垂線である場合、以下の様に求められる。

 
 

比率

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3つのチェビアンが共点

図の様に、それぞれの頂点に対するチェビアンが内部の点で交わっているとき、以下の式が成り立つ[7]

 

最初の式はチェバの定理である。

中界線

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周長を二等分するチェビアンは中界線英語版と呼ばれ、ナーゲル点で交わる。

面積の二等分線

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面積を二等分するチェビアンは中線であり、重心で交わる。

角の三等分線

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6本の角の三等分線の辺に対して同じ側にあるもの交点は、モーリーの三角形と呼ばれる正三角形を成す。

チェビアンで分割された三角形の面積

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ラウスの定理によって三角形とチェビアンで作られた三角形との比を決定することができる。

チェバ三角形

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ABCと点Pについて直線BC,APの交点をD、直線CA,BPの交点をE,直線AB,CPの交点をFとする。このとき、線分AD,BE,CFをチェバ族、チェバ単体という[8]。また、DEFPチェバ三角形(Cevian triangle)という[9][10][11]P重心座標p : q : rとし、D,E,Fの重心座標は以下の様に与えられる。

 

チェバ円

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チェバ三角形の外接円チェバ円(cevian circle)という[12]

チェバ円共役

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ABCと点Pについて、Pのチェバ三角形をDEF、チェバ円をΓとする。またΓBC,CA,ABの、D,E,Fでない方の交点をそれぞれA",B",C"とする。このとき、3つのチェビアンAA",BB",CC"は一点で交わる。この3つのチェビアンの交点を、チェバ円共役点と言い、Pとそのチェバ円共役点の関係をチェバ円共役(Cyclocevian conjugate)という[13][10]。またチェバ円共役点のチェバ三角形をチェバ円三角形(Cyclocevian triangle)と言う。チェバ円共役が成り立つことはテルケムの定理と呼ばれている。

  • ジェルゴンヌ点は自身とチェバ円共役
  • 重心と垂心はチェバ円共役

P三線座標p : q : ra,b,cを三角形の辺の長さとし、チェバ円共役点の三線座標は以下の式で与えられる。 

反チェバ三角形

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ABCと点Pについて、以下の3つの条件を満たす三角形A'B'C'P反チェバ三角形(Anticevian triangle)または反チェバ単体という[14][10][8]。反チェバ三角形を成す直線は反チェバ線と言われる。

  • A'B'C'はそれぞれAP,BP,CP上にある。
  • B'C',C'A',A'B'はそれぞれ点A,B,Cを通る。
  • A'B'C'に対するPのチェバ三角形はABCである。

P三線座標p : q : rとし、A',B',C'の三線座標は以下の様に与えられる。

 

チェバ共役

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ABCと任意の点P,Qについて、Pのチェバ三角形とQの反チェバ三角形は配景である。この配景の中心をQPチェバ共役点といい、QQPチェバ円共役点の関係をチェバ共役(Ceva conjugate)という[15][10][11]

P三線座標p : q : rQの三線座標をp' : q' : r'とすると、QPチェバ共役点の三線座標は以下の式で与えられる。

 

このように3つの三角形D,E,Fについて、DEの、EFのチェビアン三角形になっていることをチェバ線の入れ子(Cevian nest)と言う[2]。チェバ線の入れ子の2組が配景的であるとき、残り1組も配景的である[10][16]

チェバ点

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ABCと任意の点P,Qについて、Qの反チェバ三角形をA"B"C"BC,A"Pの交点をA'とする。B',C' も同様に定義する。 ABCA'B'C' は配景的であり、配景の中心をP,Qチェバ点(cevapoint)という[10][17][11]。このときPQP,Qのチェバ点チェバ共役、QPP,Qのチェバ点チェバ共役と言うことができる。

P三線座標p : q : rQの三線座標をp' : q' : r'とすると、P,Qのチェバ点の三線座標は以下の式で与えられる。

 

関連

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出典

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  1. ^ 構成的ガロア理論と数論的基本群における計算代数手法の揺籃」『(No Title)』。 
  2. ^ a b 『数学オリンピック幾何への挑戦 ユークリッド幾何をめぐる船旅』日本評論社、2/15、82頁。 
  3. ^ Coxeter, H. S. M.; Greitzer, S. L. (1967). Geometry Revisited. Washington, DC: Mathematical Association of America. p. 4. ISBN 0-883-85619-0. https://archive.org/details/geometryrevisite00coxe 
  4. ^ Some authors exclude the other two sides of the triangle, see Eves (1963, p.77)
  5. ^ Lightner, James E. (1975). “A new look at the 'centers' of a triangle”. The Mathematics Teacher 68 (7): 612–615. JSTOR 27960289. 
  6. ^ Johnson, Roger A., Advanced Euclidean Geometry, Dover Publ., 2007 (orig. 1929), p. 70. 
  7. ^ Alfred S. Posamentier and Charles T. Salkind, Challenging Problems in Geometry, Dover Publishing Co., second revised edition, 1996
  8. ^ a b 一松信,畔柳和生 著、Hitotsumatsu, Shin 編『重心座標による幾何学』(初版)現代数学社京都市、2014年、20頁。ISBN 978-4-7687-0437-0 
  9. ^ Weisstein, Eric W.. “Cevian Triangle” (英語). mathworld.wolfram.com. 2024年3月21日閲覧。
  10. ^ a b c d e f g ENCYCLOPEDIA OF TRIANGLE CENTERS”. faculty.evansville.edu. 2024年3月21日閲覧。
  11. ^ a b c 三角形の心”. taurus.ics.nara-wu.ac.jp. 2024年7月7日閲覧。
  12. ^ Weisstein, Eric W.. “Cevian Circle” (英語). mathworld.wolfram.com. 2024年3月21日閲覧。
  13. ^ Weisstein, Eric W.. “Cyclocevian Conjugate” (英語). mathworld.wolfram.com. 2024年3月21日閲覧。
  14. ^ Weisstein, Eric W.. “Anticevian Triangle” (英語). mathworld.wolfram.com. 2024年3月21日閲覧。
  15. ^ Weisstein, Eric W.. “Ceva Conjugate” (英語). mathworld.wolfram.com. 2024年3月21日閲覧。
  16. ^ Cevian nest”. Igor Minevich. 2024年3月23日閲覧。
  17. ^ Weisstein, Eric W.. “Cevapoint” (英語). mathworld.wolfram.com. 2024年3月21日閲覧。

関連

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  • Eves, Howard (1963), A Survey of Geometry (Vol. One), Allyn and Bacon 
  • Ross Honsberger (1995). Episodes in Nineteenth and Twentieth Century Euclidean Geometry, pages 13 and 137. Mathematical Association of America.
  • Vladimir Karapetoff (1929). "Some properties of correlative vertex lines in a plane triangle." American Mathematical Monthly 36: 476–479.
  • Indika Shameera Amarasinghe (2011). “A New Theorem on any Right-angled Cevian Triangle.” Journal of the World Federation of National Mathematics Competitions, Vol 24 (02), pp. 29–37.