チェバの定理(ちぇばのていり、Ceva's theorem)とは、平面幾何学定理の1つである。定理の名は、1678年にジョバンニ・チェバDe lineis rectisを出版して証明を発表した[1]のにちなむ。今判明している初出は、11世紀のサラゴサの王で数学者 Yusuf al-Mu'taman ibn Hud(英語版) の数学全書 Kitab al-lstikmalである[2]

チェバの定理の第1の場合:三角形ABCの内部の点Oで3本の直線が交わる
チェバの定理の第2の場合:三角形ABCの外部の点Oで3本の直線が交わる

定理

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三角形ABCにおいて、任意の点Oをとり、直線AOとBC、BOとCA、COとABの交点をそれぞれD、E、Fとする。この時、次の等式が成立する。なお、点Oは、三角形の内部にあっても外部にあってもよい。

 

証明の方針

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証明法はいくつかあるが、代表的な方針を述べる。

三角形の面積比を使う証明

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線分の比を三角形の面積比に置き換えて証明する[3]。三角形AFOと三角形BFOとは底辺の比がAF:FBで高さが等しいので、

 

同様にして、三角形AFCと三角形BFCとは底辺の比がAF:FBで高さが等しいので、

 

この2式より、

 

三角形BDOと三角形CDOとは底辺の比がBD:DCで高さが等しいので、

 

同様にして、三角形BDAと三角形CDAとは底辺の比がBD:DCで高さが等しいので、

 

この2式より、

 

三角形CEOと三角形AEOとは底辺の比がCE:EAで高さが等しいので、

 

同様にして、三角形CEBと三角形AEBとは底辺の比がCE:EAで高さが等しいので、

 

この2式より、

 

すなわち、定理の左辺は

 

であるので1に等しい。

メネラウスの定理を使う証明

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チェバの定理はメネラウスの定理を使って容易に証明できる[4]。 三角形ACFに対して線分BOEが交差するので、メネラウスの定理より、

 

が成り立つ。三角形BCFに対して線分AODが交差するので、メネラウスの定理より、

 

チェバの定理はこの2つの式の比を計算することで導くことができる。

チェバの定理のもまた成り立つ。即ち、任意の三角形ABCにおいて直線AB、BC、CA上に点D、E、Fをとり、D、E、Fのうち三角形ABCの辺上にある点が1個或いは3個の時、

 

が成り立つのならば、3直線AD・BE・CFは1点で交わるか、または3直線AD・BE・CFは平行である。ここで、「平行」を「無限遠点で交わる」と解釈すれば、「3直線AD・BE・CFは1点で交わる」と結論づけることができる。

脚注

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  1. ^ Weisstein
  2. ^ Hogendijk, Jan P. (1995-02). “Al-Mu'taman ibn Hūd, 11th century king of Saragossa and brilliant mathematician”. Historia Mathematica 22 (1): 1–18. doi:10.1006/hmat.1995.1001. ISSN 0315-0860. https://doi.org/10.1006/hmat.1995.1001. 
  3. ^ Russell (1905, Ch. 1 §7 Ceva's Theorem)
  4. ^ Hopkins (1902, Art. 986)

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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