ソラニン

ナス科の植物に含まれるステロイドアルカロイドの1種

ソラニン: solanine)とは、主にナス科の植物に含まれるステロイドアルカロイドの1種である。分子式C45H73NO15分子量 868.07、CAS登録番号は 20562-02-1。

α-ソラニン
識別情報
CAS登録番号 20562-02-1
PubChem 6537493
特性
化学式 C45H73NO15
モル質量 868.05882 g/mol
外観 結晶性の固体
融点

271 - 273 °C

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ジャガイモの表皮や芽、ホオズキイヌホオズキなどに含まれている。なお、トマトの葉には類似物質のトマチンが含まれる[1]。現在では、ポテトグリコアルカロイド(PGA)と呼ばれ、α-ソラニンとα-チャコニン(カコニン、: α-chaconine)が該当する。

毒性

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神経に作用する毒性を持ち、中毒になると溶血作用を示し、頻脈、頭痛、嘔吐、胃炎、下痢、食欲減退などを起こす。可逆的ではあるものの、コリンエステラーゼ阻害作用もある。この他、ハムスターによる動物実験では、催奇性が報告されている[2]

成人の中毒量はおよそ 200–400 mg、小児の場合はその約10分の1程度と推定されている[1]。低血圧、神経症状の兆しがあれば 24時間の入院観察を要する。大量に摂取した場合は、昏睡状態に陥り、死亡する場合もある[2]

中毒の防止法

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市販ジャガイモの含有量は、皮部約 50 mg、可食部 100 gあたり平均約 1.5 mgであるが、自家栽培では含有量の多い小型のものが多いため、皮部約 70 mg、可食部 100 gあたり平均約 45 mg(30〜90 mg)である。100g中の含有量が20 mgを超えるものは、食用に用いないのが望ましい[2]

特にジャガイモにおいて、必要な対策(芽をえぐる、含有量の多い小いもを避ける、皮部の非食用、日陰の保存、切った後に良く洗い流す等)を取らずに調理し、中毒する例が多い。中毒に至る量の少ない小児にジャガイモを与える場合には、より注意を要する。

中毒時の治療

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胃洗浄を行ったり、吸着剤や下剤を投与する。解毒剤や拮抗剤の投与は行わない[1]

脚注

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  1. ^ a b c じゃがいもの芽(ソラニン) 財団法人 日本中毒情報センター (PDF)
  2. ^ a b c 小机信行、ジャガイモのグリコアルカロイド(その1) : グリコアルカロイド中毒の症例とグリコアルカロイドの測定 Beacon 19 pp.45-53 19840331 賢明女子学院短期大学, NAID 110004702286

関連項目

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外部リンク

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