SF-A2 開発コード miki(エスエフ エーツー かいはつコード ミキ)とはAH-Softwareから2009年12月4日より販売されている音声合成デスクトップミュージック(DTM)ソフトウェアである。日本語用の女声ボーカル音源である。シンガーソングライターフルカワミキの声を録音し作成された歌声ライブラリを収録しており、メロディと歌詞を入力することでパソコン上でフルカワミキの声をもとにした歌声を合成することが出来る。

SF-A2 開発コード miki
初版 2009年12月4日
最新版
VOCALOID4 / 2015年6月18日
使用エンジン VOCALOID2
対応OS Windows XPVista7
サポート状況 日本語
種別 音声合成DTM
ボーカルシンセサイザー(歌唱合成)
公式サイト SF-A2 開発コード miki - VOCALOID2
テンプレートを表示

製品

編集

ヤマハの開発した音声合成エンジンVOCALOID2を使用しており、「歌愛ユキ」「氷山キヨテル」とともにAH-Softwareで最初のVOCALOID製品として販売されている。ただし本製品については他の2製品と異なり、フルカワミキのマネジメントを行うHEARTFASTと当時の所属プロダクションであるyamaha A&R[1]が発売元、AH-Softwareは販売元という扱いとなっている[2]。「SF-A2 開発コード miki」は「アーティストエディション01」と位置づけられており、AH-Softwareでは本製品に続いて有名アーティストを起用したVOCALOIDをリリースして行く方針を示している[3]

得意なテンポは70 BPM - 170 BPM、得意な音域E2 - G4、高音域と低音域でまるで違うキャラクターの様に聞こえるフルカワミキの生声が忠実に再現しているとされ[4]、また音域の広さも特徴としてあげられている[5]。他のVOCALOID製品では通常3段階のピッチの音声を収録しているのに対し、本製品ではより細かく4段階のピッチで収録し表現力の拡大を図っている[6]

パッケージには漫画家のコザキユースケによるフルカワミキの声質を元にデザインされたキャラクターイラストが用いられている[6]。製品名については「ロボットの工業デザインのような方向性から生まれた[6]」という。

なお、歌声を提供したフルカワミキは本製品発売の2日前の12月2日に、同じVOCALOIDの初音ミクを使用して発表された楽曲「サイハテ」のカバーシングルを発売しているが、これは元々は本製品とは別の企画であったという[7]。ただし発売に際してはタイアップイベントが行われており[6]、またパッケージのイラストにコザキユースケを推薦したのは「サイハテ」作者の小林オニキスであり[8]、レコーディングの時期との兼ね合いから実現はしなかったものの「サイハテ」のなかで本製品を使用する構想もあったとされるなど[7]無関係というわけではない。

2015年6月18日には「VOCALOID4」エンジンに対応した新音源「miki ナチュラル」が発売された。VOCALOID4版ではVOCALOID2版の発売元yamaha A&Rが既に解散しているためか、「制作:ヤマハ株式会社、製造・販売:株式会社AHS」となっている。2024年にはSynthesizer V版が発売予定。

メディアミックス

編集

主な音楽CD

編集

「SF-A2 開発コード miki」が曲に使用されていることが明記された主なCD。

タイトル アーティスト レーベル 発売日
VOCALOIDS★X'mas〜白い夜は静寂を守ってる〜 オムニバス HEARTFAST / yamaha A&R, inc. 2009年11月8日
VOCALOIDを用いたクリスマスソングを収録したコンピレーション・アルバムで、本製品を使用した曲を発売に先立って収録し、パッケージにもキャラクターイラストが使用された[9]。本製品発売の告知も正式発表に先立ってこのCDの特設サイトのバナーを使って行われている[10][3]
THE VOCALOID produced by Yamaha オムニバス VOCALOID RECORDS 2011年9月14日
僕は初音ミクとキスをした みきとP feat. 初音ミク EXIT TUNES 2013年4月17日

KarenTによる配信

編集

以下は、クリプトン・フューチャー・メディアのレーベル「KarenT」により、iTunes Storeなどで、「SF-A2 開発コード miki」の名前が明記された楽曲を収録し販売されているアルバム。

タイトル アーティスト リリース日
clocks 虹原ぺぺろん 2011年5月30日
blue Plutonius(ハヤカワP)
プラチナロマンス Re:nG
イチクラリミックス集「マッシュルームマザー」 市蔵/ピノキオP 2011年10月21日
飛ぶ教室 Plutonius(ハヤカワP) 2012年5月18日

その他

編集
ハローキティといっしょ! ブロッククラッシュ123!!
2010年7月15日にドラスから発売された『ハローキティといっしょ!』のゲームソフト『ハローキティといっしょ! ブロッククラッシュ123!!』のテーマソングにSF-A2開発コードmikiが歌う「WITH」を使用[11]
悪ノ娘」ノベルシリーズ(作:悪ノP(mothy)、出版:PHP研究所
悪ノP(mothy)が鏡音リン・レンを用いて発表した「悪ノ娘」をはじめとする楽曲の小説化。2010年8月から2012年3月にかけて全4巻が発売された。SF-A2 開発コード mikiをモデルにしたキャラクター「ミキナ=フリージス」が登場する。

脚注

編集
  1. ^ 2013年10月1日より親会社の株式会社ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングスに合併された。
  2. ^ VOCALOID2 SF-A2 開発コード miki”. ヤマハエーアンドアール. 2010年11月4日閲覧。
  3. ^ a b “フルカワミキがヴォーカロイドに!女子小学生や先生も登場”. BARKS (ITmedia). (2009年11月13日). https://www.barks.jp/news/?id=1000055289 2009年12月7日閲覧。 
  4. ^ “AHS、女子小学生の声などを使った「VOCALOID2」”. AV Watch (インプレス). (2009年11月13日). https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/328448.html 2010年7月14日閲覧。 
  5. ^ 四本淑三 (2009年11月17日). “開発元に聞く、新ボーカロイドの狙いとこれから”. Ascii.jp (アスキー・メディアワークス): p. 2. https://ascii.jp/elem/000/000/476/476106/index-2.html 2010年7月14日閲覧。 
  6. ^ a b c d DTM magazine』第17巻2(通号 193)、寺島情報企画、2010年2月、106頁。 
  7. ^ a b 後藤勝 (2009年11月13日). “緊急インタビュー 「VOCALOID2」とフルカワミキ そして「サイハテ」、ネットとリアルをめぐる冒険”. 日刊サイゾー (サイゾー). https://www.cyzo.com/2009/12/post_3310_entry.html 2009年12月5日閲覧。 
  8. ^ “フルカワミキ、ボカロイベントで「サイハテ」作者とトーク”. ナタリー (ナターシャ). (2009年12月4日). https://natalie.mu/music/news/24778 2009年12月5日閲覧。 
  9. ^ “コザキユースケ画、フルカワミキのボーカロイド誕生”. コミックナタリー (ナターシャ). (2009年11月13日). http://natalie.mu/comic/news/show/id/23738 2009年12月5日閲覧。 
  10. ^ “ねとらぼ:「SF-A2 miki」とは 新VOCALOID、12月発売”. ITmedia News (ITmedia). (2009年11月4日). https://www.itmedia.co.jp/news/articles/0911/04/news103.html#p 2009年12月5日閲覧。 
  11. ^ “西又葵、KEI…有名作家たちが描く“キティラー”でブロック崩し!”. ジーパラドットコム. (2010年4月8日). http://www.gpara.com/article/cms_show.php?c_id=20128&c_num=14 2010年4月9日閲覧。 

関連項目

編集

外部リンク

編集