P-47 (ゲーム)

1988年にNMKが開発し、ジャレコが発売したビデオゲーム

P-47』(ピーよんじゅうなな - ザ・フリーダム・ファイター、P-47: THE FREEDOM FIGHTER)は、日本マイコン開発が開発し[3]、1988年5月にジャレコが発売した業務用ビデオゲーム[4]第二次世界大戦を題材とする、2人同時プレイ可能な横スクロールシューティングゲームである[2]

P-47
ジャンル 横スクロールシューティング
対応機種 アーケード (AC)
PCエンジン (PCE)
Amiga
Amstrad CPC (CPC)
Atari ST (ST)
コモドール64 (C64)
PC/AT互換機 (DOS)
ZX Spectrum (ZX)
iOS
PlayStation 4 (PS4)
Nintendo Switch (NSW)
開発元 AC
日本マイコン開発
発売元 AC
ジャレコ
音楽 岡村静良[1]
人数 AC
1 - 2人(同時プレイ)
メディア AC
業務用基板
(基板販売のみ[2]
発売日 AC
日本 1988051988年5月
PCE
日本 198903201989年3月20日
Amiga,CPC,ST,C64,DOS,ZX
ヨーロッパ 1990年
iOS
INT 201107202011年7月20日
PS4,NSW
日本 202007022020年7月2日
対象年齢 PS4,NSW
日本の旗CEROA(全年齢対象)
デバイス AC
8方向レバー+2ボタン[2]
システム基板 メガシステム1[2]
CPU MC68000 (@ 12 MHz)
サウンド MC68000 (@ 7MHz)
YM2151 (@ 3.5 MHz)
OKI6295 (@ 4 MHz)×2
ディスプレイ ラスタースキャン
横モニター
256×224ピクセル
60.00Hz
パレット1024色
テンプレートを表示

ジャレコのシステム基板メガシステム1」の第1作[2]。日本国外では『P-47: The Phantom Fighter』のタイトルで発売された。

1989年に日本国内ではPCエンジンに移植されたほか、1990年に欧州ではAmigaAmstrad CPCAtari STコモドール64PC/AT互換機ZX Spectrumに移植された。

2011年にはアーケード版がiOS用ソフトとして配信。2020年にアーケードアーカイブスPlayStation 4版とNintendo Switch版が配信された[5][6]

ゲーム内容

編集

アメリカ空軍の戦闘機P-47サンダーボルトを操作し、ドイツ軍を殲滅する。自機を操作して機銃と特殊武器で敵を破壊しながら進む。敵からの攻撃に当たると一撃死なため、避けるしかない[7]。全8面で構成され、最終ボスであるビスマルクを撃沈すればゲームクリアとなる。

メインショットの機銃はパワーアップせず、4種のサブウエポンにより装備を強化する。

空中の特定の地点を撃ち込むと、ボーナススコアが入ったり、1upなどの各種アイテムが出現する箇所が存在する。

アイテム

編集
T(ターレット)
レバーを入れた方向に射撃をする。どの角度にも攻撃でき死角が無くなるが、威力が弱く射撃方向に自機も移動する。レバーをニュートラル状態にすると斜め下前方に射撃を行う。3段階のパワーアップが可能で2連射、3連射、4連射と連射速度が上がる[7]
M(ミサイル)
自機前方にミサイルを発射する。3段階のパワーアップが可能で4・6・8とミサイルの数が増える。この武器のみは他の特殊武器のアイテムを取ってもパワーは落ちることがなく再度取ると前のパワーより1つ上がった状態となる[7]
B(ボンバー)
斜め前方に爆弾を投下する。自機より少し前方へ落ちるが、自機の速度や移動方向によって落下軌道が異なる[7]。地上物に対して絶大な効果を発揮。
E(エクスプロージョン)
自機前方へと飛んで分散し敵飛行物を破壊する。散らばる前の弾丸は非常に高い攻撃力を持ち、近接状態で連射すると敵機に大ダメージを与えることができる。3段階のパワーアップが可能で分散する弾数と分散前の威力が4・6・8と上がる[7]
S(スピードアップ)
自機の速度を上げる。最高10段階まで上がる[7]
1up
自機を1機追加。
CONTINUE (PCE版)
コンティニューが可能となる残量が一回増える[7]

移植版

編集
タイトル 発売日 対応機種 開発元 発売元 メディア 型式 売上本数 備考
P-47   198903201989年3月20日
PCエンジン NMK エイコム 2メガビットHuCARD[8] AC89001 -
P47 Thunderbolt   1990年
Amiga
Amstrad CPC
Atari ST
コモドール64
PC/AT互換機
ZX Spectrum
Source Firebird Software フロッピーディスク - -
P-47 - The Phantom Fighter INT 201107202011年7月20日
iPhone
(iOS)
DotEmu
(移植担当)
DotEmu ダウンロード - -
P-47 THE FREEDOM FIGHTER   2020年7月2日[5][6]
PlayStation 4
Nintendo Switch
ハムスター
(移植担当)
ハムスター ダウンロード
(アーケードアーカイブス)
- - アーケード版の移植
PCエンジン版
1989年3月20日にエイコムより発売。ゲーム内容は概ねアーケード版と同様であるが、2メガの[7]ROM容量やハードスペックの都合により、2人同時プレイはカットされ1人プレイのみの仕様となった。この他にも、ステージレイアウトの一部変更、一部ステージボスの変更、面ごとのデモ画面やクリアボーナスのカット等の変更点がある。コンティニューは有限だが、新アイテムに1クレジットが追加されるC(コンティニュー)がある。ステージ5にPCE版のオリジナルキャラとして「装甲飛行船ハイデンベルグ」が追加されている[7]。全ステージをクリア後には、アーケード版には無かったエンディング画面やスタッフクレジットを追加。

スタッフ

編集
PCエンジン版
  • まつもとゆきお
  • スーパーバイザー:ありまようすけ
  • プログラム・スーパーバイザー:だてたみお
  • 企画:たかおかあきら
  • コンストラクター:あきはばらけんいち
  • メイン・デザイナー:折上英作
  • サウンド・アーティスト:SIZLLA LEONA(岡村静良)
  • サウンド・プログラマー:ちだかずひろ(綾部和
  • メイン・プログラマー:K.TETSURO

評価

編集
評価
レビュー結果
媒体結果
Computer and Video Games75/100点(ST)[9]
Crash71/100点 (ZX)[10]
ファミ通27/40点 (PCE)[11]
Sinclair User76/100点 (ZX)[10]
Your Sinclair79/100点 (ZX)[10]
マル勝PCエンジン29/40点(PCE)
PC Engine FAN20.69/30点(PCE)[8]
Commodore User75/100点(Amiga)[12]
Zzap!6472/100点(Amiga)[12]
Zero75/100点(ST)[9]
Aktueller Software Markt8.6/12点(ST)[9]
5.2/12点 (C64)[13]
ST Format67/100点(ST)[9]
Commodore Force58/100点(C64)[13]
The Games Machine78/100点(DOS)[14]
受賞
媒体受賞
第2回ゲーメスト大賞年間ヒットゲーム 43位[15]
アーケード版

ゲーム誌『ゲーメスト』の企画「第2回ゲーメスト大賞」(1988年度)で、読者投票により年間ヒットゲーム43位を獲得している[15]

PCエンジン版

ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では合計27点(満40点)[11][出典無効]、『マル勝PCエンジン』では7・7・7・8の合計29点(満40点)、『PC Engine FAN』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通りとなっており、20.69点(満30点)となっている[8]。また、この得点はPCエンジン全ソフトの中で287位(485本中、1993年時点)となっている[8]。同雑誌1993年10月号特別付録の「PCエンジンオールカタログ'93」では、「難易度は普通で、淡々とゲームが進んでいく。背景は派手ではないが、昔のソフトにしては美しい」と紹介されている[8]

項目 キャラクタ 音楽 操作性 熱中度 お買得度 オリジナリティ 総合
得点 3.52 3.34 3.57 3.64 3.35 3.27 20.69

続編・関連作品

編集
P-47 ACES
1995年に続編としてジャレコメガシステム32でリリース。本作のサンダーボルトに加え、ブラックウィドウソードフィッシュスピットファイアの全4機体中から選べる。また、アニメ調の絵のパイロットのキャラクターがそれぞれの機体に設定された。グラフィックは大幅に進化したものの、ゲームバランスは前作と比べると非常に難易度が高い。
P-47II MD (THE FREEDOM STAR)
1990年ごろにジャレコ[注 1]が『P-47II FREEDOM STAR』としてセガ・エンタープライゼスの家庭用ビデオゲーム機「メガドライブ」向けに開発を行っていた『P-47』をベースとするシューティングゲーム[18][19]。第二次世界大戦を舞台に米軍の戦闘機「P-47 サンダーボルト」を操縦して、日本軍が建造中の超大型重爆撃機「FUGAKU」の破壊を目指すストーリー[19]。音楽は『P-47』のアレンジとなっているが、ゲームシステムやステージ構成は原作から大幅な変更が加えられている[19]
本作はジャレコのメガドライブ参入第1弾として開発されていたが、未発売に終わっていた[19]。その後、ジャレコの権利を保有しているシティコネクションによって2015年に本作の音楽がサントラ化されたほか[20]、メガドライブ用のカートリッジ『P-47II MD』(セガ非ライセンス商品)として、2025年3月13日に発売される予定となっている[19]

脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ 企画は『E.D.F.』や『ゲーム天国』を手がけた荒井正広で、NMKが開発を担当した業務用版、PCエンジン版と異なりジャレコ内製となっている[16][17]。荒井によると『P-47』メガドライブ移植版の開発の要請を受けて開発が始まり、業務用版の『E.D.F.』と並行して別チームによって開発が進められ、本作の開発終了後にチームはスーパーファミコン版『スーパーE.D.F.』の開発に移行したと述べている[17]。メインプログラムは『プラスアルファ』のメインプログラマーが担当し[17]、サウンドプログラムとデータの作成は内田哉が担当した[16]

出典

編集
  1. ^ Nick Dwyer, Sizlla Okamura (岡村静良) (2017年11月30日). “Interview: Sizlla Okamura The composer of Viewpoint on the Neo-Geo discusses being an unwitting innovator”. Red Bull Music Academy. Red Bull. 2024年6月15日時点のオリジナルよりアーカイブ2024年12月2日閲覧。
  2. ^ a b c d e 新“メガシステム1”第一弾 米、独の空中戦 ジャレコから「P-47」基板」『ゲームマシン』第333号、アミューズメント通信社、1988年6月1日、21面。オリジナルの2020年1月31日時点におけるアーカイブ。
  3. ^ 大瀬古ヤエ「P-47 THE FREEDOM FIGHTER」『シューティングゲームサイド』第8号、マイクロマガジン社、2013年9月27日、19頁、ISBN 9784896374391 
  4. ^ 現在発売中のシステム基板とソフト一覧」『ゲームマシン』第477号、アミューズメント通信社、1994年8月1日、21面。オリジナルの2020年1月31日時点におけるアーカイブ。
  5. ^ a b 『アーケードアーカイブス P-47』Switch、PS4向けに7月2日配信決定! 機銃と特殊兵器を駆使し、襲い来る敵軍部隊を撃退するシューティングゲーム” (日本語). ファミ通.com. KADOKAWA (2020年7月1日). 2020年7月2日閲覧。
  6. ^ a b PS4/Switch版「アーケードアーカイブス P-47」が7月2日に配信スタート” (日本語). 4Gamer.net. Aetas (2020年7月1日). 2020年7月2日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g h i 『ピーシーエンジンファン 通巻5号』徳間書店、1989年4月1日、10,11,12,13,14,15,16,17,頁。 
  8. ^ a b c d e 「10月号特別付録 PCエンジンオールカタログ'93」『PC Engine FAN』第6巻第10号、徳間書店、1993年10月1日、90頁。 
  9. ^ a b c d P47 Thunderbolt for Atari ST (1990)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2018年4月21日閲覧。
  10. ^ a b c P47 Thunderbolt for ZX Spectrum (1990)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2018年4月21日閲覧。
  11. ^ a b P・47 まとめ [PCエンジン”. ファミ通.com. KADOKAWA CORPORATION. 2018年4月21日閲覧。
  12. ^ a b P47 Thunderbolt for Amiga (1990)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2018年4月21日閲覧。
  13. ^ a b P47 Thunderbolt for Commodore 64 (1990)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2018年4月21日閲覧。
  14. ^ P47 Thunderbolt for DOS (1990)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2018年4月21日閲覧。
  15. ^ a b 「ゲーメスト大賞11年史」『GAMEST MOOK Vol.112 ザ・ベストゲーム2 アーケードビデオゲーム26年の歴史』第5巻第4号、新声社、1998年1月17日、22-23頁、ISBN 9784881994290 
  16. ^ a b 吉川延宏、荒井正広、内田哉、志貫徹『シュー大祭 ~シューティングゲーム大感謝祭~ 2024 【DAY-02】』ゲーセンミカド、2024年4月7日、該当時間: 6:32:10-6:37:45https://www.youtube.com/live/JUHkxKA6Yrk?t=235302024年12月7日閲覧 
  17. ^ a b c イケダミノロック、吉川延宏、荒井正広、ちゃんたけ『シティコネクション presents『P-47Ⅱ MD』情報解禁 SPゲーセンミカドシティコネクション、2024年12月1日、該当時間: 0:42-3:45,5:55-6:05,10:42-14:18,25:50-26:10https://www.youtube.com/watch?v=K_toKSam_ZY2024年12月7日閲覧 
  18. ^ 戸塚伎一 (2016年12月14日). “幻の未発売タイトルも遊べた“ジャレコゲーム史”の棚卸し! ゲストトークでは当時の秘話も! ジャレコ展リポート”. ファミ通.com. KADOKAWA DWANGO. 2016年12月5日時点のオリジナルよりアーカイブ2024年12月2日閲覧。
  19. ^ a b c d e 簗島 (2024年12月3日). “幻のMD用STGが35年の時を経て復活。MD/MD互換機用ソフト「P-47II MD」,2025年3月13日に発売。予約受付開始”. 4Gamer.net. Aetas, Inc.. 2024年12月3日閲覧。
  20. ^ ジャレコのスーパーファミコン作品を網羅したサントラCDが発売決定、あのシューティングタイトルの音源も収録!?”. KADOKAWA (2015年2月18日). 2015年2月19日時点のオリジナルよりアーカイブ2024年12月2日閲覧。

外部リンク

編集