レッドブル (企業)
レッドブル(Red Bull GmbH、ドイツ語発音: [ʁɛt ˈbʊl])は、エナジードリンク「レッドブル」のシリーズで知られるオーストリアの企業である。また、さまざまなスポーツイベントやチームのスポンサーとしても知られている。本社は、オーストリアのフシュル・アム・ゼーにある。レッドブルはもともとタイで開発され、1976年にはクラティンデーンと呼ばれていた。
フシュル・アム・ゼーの本社 | |
現地語社名 | Red Bull GmbH |
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種類 | 非公開会社 |
業種 | 飲料 |
設立 | 1984年 |
創業者 | |
本社 | オーストリア ザルツブルク州ザルツブルク |
事業地域 | 全世界 |
主要人物 |
フランツ・ワツラウィック (飲料事業CEO)[2] アレクサンダー・キルヒマイヤー (CFO) オリバー・ミンツラフ (コーポレートCEO)[2] |
製品 |
レッドブル エナジードリンク |
売上高 | €5.044 billion (2018)[3] |
営業利益 | €1.3 billion (2018) |
利益 | €650 million (2018) |
所有者 |
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従業員数 | €10.554 billion (2023)[3] |
子会社 | |
ウェブサイト |
www |
歴史
編集オーストリアの企業家ディートリヒ・マテシッツとタイの実業家チャリアオ・ユーウィッタヤーが1984年にレッドブル社を設立した。マテシッツは、1982年にドイツのBlendax社(後にプロクター・アンド・ギャンブルが買収)に勤務していた際、タイを訪れてTC Pharmaceutical社のオーナーであるチャリアオと出会った。マテシッツは、1970年代にチャリアオの会社が開発したエナジードリンク「クラティンデーン」が時差ぼけを解消してくれることを知った[5]。このときの契約では、2人はそれぞれ50万ドルを出資してレッドブル社を設立。その見返りとして、両社はそれぞれ会社の49%の株式を取得し、残りの2%の株式はチャリアオの息子であるチャルームが取得することになっていた。また、マテシッツが会社を経営することにも合意していた。
1984年から1987年にかけて、レッドブル社はKrating Daengの製法をヨーロッパ人の嗜好に合うように、炭酸を入れて甘さを抑えたものに変更した。1987年、レッドブル社は「レッドブル」という名前でオーストリアで販売を開始し、オーストリアでは、若い社会人をターゲットにしたマーケティングで大成功を収めた。1990年代初頭にはヨーロッパ全土に拡大し、1997年にはアメリカ市場にも進出し、1年で市場の75%を獲得した。 レッドブルの創業者たちの資産は会社の成功とともに増加し、2012年3月にはチャリアオとマテシッツの両氏の純資産はそれぞれ53億ドル以上と推定されている[6][7]。 171か国以上に販売を拡大し、2012年にはレッドブルを52億缶販売し、世界で最も消費されたエナジードリンクとなった[8]。
宣伝手法
編集当初、レッドブルはバイラル広告を狙って、大学生に無料でケースを配布した。この戦略は大成功を収め、売上は急速に拡大していった。その後、レッドブルは、スポーツやエンターテインメントをベースにしたさまざまな広告キャンペーンを通じて、都会の若い社会人をターゲットにした洗練されたマーケティングで知られるようになった。現在のモットーである「レッドブル翼をさずける(Red Bull Gives You Wings)」は、この飲料の刺激的な特性をそのまま表している。
スポンサーシップ
編集最初のバイラルキャンペーン以来、レッドブルは、飛込競技、BMX、スキー、ダウンヒルやスケートボードなどのエクストリームスポーツのイベントのスポンサーを務めてきた。1990年代には、レッドブルは1996年にオリンピックで金メダルを獲得したボート競技選手のゼノ・ミュラーのスポンサーとなった。
また、Red Bull Flugtag、ソープボックスダービーのオリジナル版、レッドブル・ボックスカート・レース、冬のエクストリームスポーツイベント、アイスクロス・ダウンヒルの世界ツアーの、レッドブル・クラッシュドアイスなどを所有し開催。アーティストにレッドブルの缶を使った作品を依頼する国際的なアートコンペティションのRed Bull Art of the Can Competitionなどの大会を主催している。
また、サイバーアスリート・プロフェッショナル・リーグのスポンサーを務めていた。かつては独自のエアレースイベント「レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ」を主催していたが、2019年に最終シーズンを迎えた。
モータースポーツ
編集レッドブルはモータースポーツの世界で多くのスポンサー活動を行っており、その原点は1989年にオーストリア出身のF1ドライバー、ゲルハルト・ベルガーをレッドブル・スポンサードアスリートとして支援することから開始された[9]。オーストラリアのV8スーパーカーでは888レースチーム、ドイツツーリングカー選手権(DTM)では、アプト・アウディ・チーム、ダカール・ラリーではKAMAZ Master、フォルクスワーゲン・トゥアレグ・チーム、プジョー・スポール。世界ラリー選手権のシトロエン、フォルクスワーゲン、Mスポーツ・フォード、シュコダ、世界ツーリングカー選手権のセアト、チャンプカーのニール・ジャニとPKVレーシング、フォーミュラDのリース・ミレンのポンティアック、レッドブル・レーシングのチーム代表、クリスチャン・ホーナーが所有するチーム、アーデン・インターナショナル。日本ではSUPER GT、スーパーフォーミュラのチーム無限のスポンサーだった。またレッドブルはこれまで、ザウバー(1995-2004)とアロウズ(2001-2003)のF1チーム、IRLのレッドブル・チーバー・レーシングのスポンサーおよび共同オーナーを務めた。
モーターサイクルレースシリーズでは、1997年から2001年までロードレース世界選手権(WGP)のWCMヤマハチームのメインスポンサーをはじめ、以後ブリティッシュスーパーバイク選手権(BSB)のレッドブル・ホンダチームとHMプラント・レッドブル・ホンダチーム、KTMのワークスチームのスポンサーとして存在感を示してきた。
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ザウバー・C14(1995年)
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フォルクスワーゲン・レーストゥアレグ(2006年)
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ダラーラ・GP2/08(2008年)
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シトロエン・DS3 WRC(2010年)
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アウディ・RS5 DTM(2017年)
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ホンダ・NSX-GT(2022年)
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KTM・RC16(2017年)
オーナーシップ
編集- レッドブルは多くのスポーツチームを買収し、全面的にブランドを変更することで、その存在感を高めてきた。
モータースポーツ
編集モータースポーツでは、レッドブル・レーシング(旧ジャガー・レーシング)とRB・フォーミュラワン・チーム(旧ミナルディ→スクーデリア・トロ・ロッソ→スクーデリア・アルファタウリ→ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム)を所有している[10][11]。またレーシングドライバー育成プログラムである、レッドブル・ジュニアチームを運営している。
2006年、NASCARにチーム・レッドブルで参戦を発表。NASCARカップシリーズのロウズ・モーター・スピードウェイでデビューした。しかしチームは2011年12月に閉鎖され、その資産はBKレーシングに買収された[12]。
モーターサイクルでは、レッドブル・KTM・ファクトリーレーシングとレッドブル・ホンダ・ワールドスーパーバイクのタイトルスポンサーであり、レプソル・ホンダのメインスポンサーでもある。
サッカー
編集レッドブルは、サッカーにも積極的に取り組んでいる。2005年4月6日、レッドブルはオーストリアのクラブ、SVアウストリア・ザルツブルグを買収し、名称をレッドブル・ザルツブルグに変更したが、これはオーストリア国内やヨーロッパ中のサポーターグループから激しい批判を受けた。また、ザルツブルグのセカンドチームであるFCリーフェリングも買収した。
同年にレッドブルは、アンシュッツ・エンターテイメント・グループ(AEG)からメジャーリーグサッカーのメトロスターズを買収し、チーム名をニューヨーク・レッドブルズに変更した。AEGは、メトロスターズ専用のスタジアム建設に着手しようとしていたが、AEGがチームの売却を完了したため、着工が1カ月遅れた。同社はチームの新スタジアム、レッドブル・アリーナの建設費を負担し、2010年3月20日に開幕戦を迎えた。
2007年、レッドブルはサンパウロ州カンピーナスの下位リーグに、レッドブル・ブラジルを設立した。10年後にカンピオナート・ブラジレイロ・セリエAに到達する計画が失敗に終わったため、レッドブル・ブラジルは2019年にセリエBのクルベ・アトレティコ・ブラガンティーノと合弁し、チーム名をレッドブル・ブラガンチーノに変更した[13]。レッドブル・ブラガンチーノは2019シーズンのセリエBのチャンピオンとなり、2020シーズンにセリエAに昇格した。
2009年、ライプツィヒ近郊に本拠地を置くドイツ5部リーグのSSVマルクランシュテットのサッカーライセンスを購入し、2009-10シーズン以降はRBライプツィヒと改称した。RBライプツィヒは、10年以内にドイツ1部リーグであるブンデスリーガに到達することを目標としていたが、最終的にこの目標は達成され、RBライプツィヒは7シーズンで4回の昇格を果たし、2016-17シーズンからのブンデスリーガで戦い[14]。
2017-18シーズンからは、欧州カップ戦であるUEFAチャンピオンズリーグへの出場を果たし、2019-20シーズンはベスト4の成績を収めた。
2021-22・2022-23のDFBポカールではクラブ創設初の主要タイトル獲得&連覇を成し遂げた。
Jリーグでは、2015年にセレッソ大阪とスポンサー契約、2022年にセレッソの株の大半を保有するヤンマーとプレミアム・パートナー契約を締結した。両チーム間では、南野拓実がレッドブルザルツブルグに、岡澤昂星がレッドブルブラカンチーノへ移籍し活躍した。
2024年9月には、NTT東日本から大宮アルディージャ並びに大宮アルディージャVENTUSの運営会社の全株式を取得[15]。社名をRB大宮に変更し、10月より運営開始[16]。
アイスホッケー
編集2000年にオーストリア・アイスホッケーリーガのECザルツブルグを買収し、名称をレッドブル・ザルツブルグに変更した。さらに、DELのEHCミュンヘンを買収し、2012年にはチームのタイトルスポンサーとなり、2013年には完全に買収した。
音楽産業
編集様々な音楽関連の活動を通じて、ブランドのプロモーションを行っている。2007年には、自社のレコードレーベル、レッドブル・レコードを立ち上げた。サンタモニカにあるレコーディング施設、Red Bull Studioを運営している。
メディア
編集Red Bull Media Houseは、スポーツ、ライフスタイル番組、音楽、ゲームを専門とするメディア企業である[17]。
同社はいくつかの雑誌を発行している。『The Red Bulletin』(ライフスタイル)、『Servus』(食、健康、ガーデニング)、『Terra Mater』(自然、科学、歴史)、『Bergwelten』(アルピニズム)、『Seitenblicke』(セレブリティ)。
脚注
編集- ^ “Red Bull Policy Center”. policies.redbull.com. 2022年4月10日閲覧。
- ^ a b c “レッドブル社が新体制に移行も、F1活動は安泰。故マテシッツ氏が生前に新風洞建設を承認、長期的な予算を確保”. auto sport. 2022年11月5日閲覧。
- ^ a b “Red Bull the company – Who makes Red Bull? Red Bull Origin :: Energy Drink :: Red Bull”. 5 June 2019閲覧。
- ^ Chalerm Yoovidhya & family Forbes. Retrieved 5 January 2020.
- ^ “Selling energy”. The Economist. (2002年5月9日). ISSN 0013-0613 2021年6月13日閲覧。
- ^ https://www.forbes.com/profile/dietrich-mateschitz/,
- ^ https://www.forbes.com/profile/yoovidhya-family/,
- ^ http://www.redbull.com/cs/Satellite/en_INT/How-it-all-started/001242939605518?pcs_c=PCS_Product&pcs_cid=1242937556879
- ^ ゲルハルト・ベルガー:レッドブル初のモータースポーツアスリートがF1史に刻んだレガシー Redbull.com
- ^ Red Bull snaps up Jaguar F1 team article
- ^ Red Bull swoop for Minardi deal article
- ^ Ryan, Nate (20 June 2011). “Lack of success drives Red Bull to pull out of NASCAR”. USA Today 13 April 2014閲覧。
- ^ “Red Bull expands global football empire, takes over at Bragantino” (英語). SportBusiness Sponsorship (2019年3月28日). 2021年6月13日閲覧。
- ^ Welle (www.dw.com), Deutsche. “RB Leipzig seal promotion to first division | DW | 08.05.2016” (英語). DW.COM. 2021年6月13日閲覧。
- ^ “株式譲渡について”. 大宮アルディージャ (2024年8月6日). 2024年8月8日閲覧。
- ^ “J3大宮、10月1日付けで社名を『RB大宮株式会社』に変更…先月にレッドブルと全株式譲渡で契約締結”. Soccer-king (2024年9月25日). 2024年9月25日閲覧。
- ^ “When a Brand Becomes a Publisher: Inside Red Bull's Media House” (英語). MediaShift (2014年11月10日). 2021年6月13日閲覧。
外部リンク
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