N-アセチルノイラミン酸
N-アセチルノイラミン酸(N-Acetylneuraminic acid、Neu5Ac、NeuAc、NANA)は、脳のガングリオシドの分解で得られるアミノ糖であり、(N-アセチルノイラミン酸はセラミドと結合することによってガングリオシドを生じる。)シアル酸の最も多い型である。(2番目はN-グリコリルノイラミン酸である。)
N-アセチルノイラミン酸 | |
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5-(acetylamino)-3,5-dideoxy-D-glycero-α-D-galacto-non-2-ulopyranosonic acid | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 131-48-6 |
PubChem | 439197 |
ChemSpider | 392681 |
MeSH | N-Acetylneuraminic+Acid |
ChEBI | |
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特性 | |
化学式 | C11H19NO9 |
モル質量 | 309.27 g mol−1 |
精密質量 | 309.105981 |
外観 | 白色の結晶性粉末 |
融点 |
186 °C (分解) |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
この化学種の負電荷型は体内の器官をコーティングする粘液質の素になっている。Neu5Acは、侵入する病原菌に対して囮として作用する役割があり、その動作体であるガングリオシドは脳の構造に分布している。
インフルエンザA型ウイルスおよび一部のコロナウイルス(OC43、HKU1)が結合する糖鎖分子である。細胞表面上の糖鎖末端のNeu5Acは、感染を開始する受容体として機能する[1]。
脚注
編集- ^ 高橋忠伸, 「インフルエンザウイルスが結合する糖鎖分子の機能解明」『ウイルス』 66巻 1号 2016年 p.101-116, 日本ウイルス学会, doi:10.2222/jsv.66.101
関連項目
編集外部リンク
編集- 高橋忠伸「インフルエンザウイルスが結合するシアル酸分子種の機能解明とシアリダーゼを利用したウイルス検出技術の開発」『Trends in Glycoscience and Glycotechnology』第31巻第181号、FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)、2019年、SJ80-SJ82、doi:10.4052/tigg.1938.2SJ。