マーク・ノップラー

イギリスのミュージシャン (1949-)
Mark Knopflerから転送)

マーク・ノップラー OBEMark Freuder Knopfler OBE1949年8月12日[1] - )は、イギリススコットランドグラスゴーに生まれたミュージシャンギタリストソングライター音楽プロデューサー

マーク・ノップラー
OBE
2015年(65歳時)撮影
基本情報
出生名 Mark Freuder Knopfler
生誕 (1949-08-12) 1949年8月12日(75歳)
イギリスの旗 イギリス スコットランド グラスゴー
出身地 イギリスの旗 イギリス イングランド ニューカッスル・アポン・タイン
ジャンル
職業 映画音楽作曲家、マルチ・インストゥルメンタリスト(マルチプレイヤー)、音楽プロデューサーシンガーソングライター
担当楽器 ヴォーカルギター
活動期間 1965年 - 現在
レーベル ヴァーティゴマーキュリーワーナーリプリーズヴァーヴヴァージンEMI英語版ブルーノート
共同作業者 ダイアー・ストレイツノッティング・ヒルビリーズチェット・アトキンスボブ・ディランエリック・クラプトンエミルー・ハリスサニー・ランドレススティングブリューワーズ・ドループ英語版ジェームス・テイラー
公式サイト markknopfler.com
1979年(30歳時)撮影
1981年(31歳時)撮影
2006年(56歳時)撮影

音楽的には、ボブ・ディランJ・J・ケイルハンク・マーヴィン等から強い影響を受けている[2]

ポップカルチャー情報ローリング・ストーン』の2003年8月号のカバーストーリー「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリスト」において第27位となった[3][4]。2011年の改訂版では第44位[5][3][6]

来歴

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父は、ユダヤ系ハンガリー人のエルヴィーン・クノップフラー (Erwin Knopfler. 1908-1993)。建築家であり、チェスプレーヤーとしても名を知られていた[注 1][7]。「#サーネーム」と「#父」も参照のこと。母はルイーザ・マリー (Louisa Mary Laidler Knopfler [9][10][注 2])。イギリス人[10](あるいはアイルランド人)である。

1939年、故郷ミシュコルツで暮らしていたエルヴィーンの家族は、ナチス弾圧から逃れるため、ハンガリーからオランダを経てスコットランドグラスゴーに移住した。第1子の長女ルース・セルマ (Ruth Selma. 1947–2020) [9][10]、第2子で長男のマーク・フロイダー (Mark Freuder. 1949- )、そして第3子で次男のデヴィッド英語版(David. 1952- ) の3姉弟[11]は、共にこの待避地で生まれている。

マークが7歳か8歳の時[10]、家族はグラスゴーからイングランド北東部の都市ニューカッスル・アポン・タインへと転居した[10]。それからしばらく経って、マークはギター独学で学び始めた。

リーズ大学卒業後は新聞記者教師をしつつ複数のバンドを掛け持ちしてパブに出入りするようになる。なお、生来左利きであるが、ギターを弾く時は右手で爪弾く。1970年代半ばにロックバンドダイアー・ストレイツ」を結成。その後、リーダーとして活動休止までバンドを牽引し、スターダムに押し上げる。

ダイアー・ストレイツでの活動を通して、その独特のフィンガー・ピッキング奏法によるギタープレイや、トータルな楽曲プロデュース能力が、他の多くのミュージシャンの目にとまることとなり、数多くのセッションに参加。ボブ・ディランを筆頭に、スティーリー・ダンエルトン・ジョンスティングエリック・クラプトンブライアン・フェリージュールズ・ホランド英語版など、数多くのミュージシャンと親交を深める。また、ほぼ同時期に映画音楽にも参入し、『ローカル・ヒーロー』『CAL』『プリンセス・ブライド』『ワグ・ザ・ドッグ』などを手がける。

1988年からはダイアー・ストレイツとしての活動を一度停止し、1990年には、ノッティング・ヒルビリーズ名義のアルバム『ミッシング』や、チェット・アトキンスと連名のアルバム『ネック&ネック』を発表した。

1995年、ノップラー達はダイアー・ストレイツを解散させる。翌1996年、ノップラーはサウンドトラックを除けば初のソロ・アルバム『ゴールデン・ハート』をリリースした。続く2枚目の『セイリング・トゥ・フィラデルフィア』は全世界で400万枚を超える大ヒットとなる。2004年秋にはアルバム『シャングリ・ラ』を発売。2006年には数年来レコーディングを続けてきたカントリー歌手エミルー・ハリスとのデュエットアルバム『オール・ザ・ロードランニング』の発売と、プロモーションツアーを敢行した。

その後も、『Kill To Get Crimson』(2007年)、『Get Lucky』(2009年)、『Privateering』(2012年)といったソロ・アルバムを全英アルバムチャートのトップ10に送り込み[12]2015年に発売された8作目のソロ・アルバム『Tracker』では、ソロで初、バンド時代も含めれば24年ぶりとなる全英トップ3入りを果たしている。

ディスコグラフィ

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ダイアー・ストレイツ

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ソロ・アルバム

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スタジオ・アルバム

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  • ゴールデン・ハート - "Golden Heart" - 1996年
  • セイリング・トゥ・フィラデルフィア - "Sailing to Philadelphia" - 2000年
  • ラグピッカーズ・ドリーム - "The Ragpicker's Dream" - 2002年
  • シャングリ・ラ - "Shangri-La" - 2004年
  • "Kill to Get Crimson" - 2007年
  • "Get Lucky" - 2009年
  • プライベティアリング - "Privateering" - 2012年
  • "Tracker" - 2015年
  • "Down the Road Wherever" - 2018年
  • "One Deep River" - 2024年

サウンドトラック

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その他のアルバム

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一族

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サーネーム

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"Knopfler日本語音写: ノップラー、クノップラー)" というサーネームは、父方のもので、起源は12世紀バイエルン貴族のサーネームに求められる[13]。「ボタン(締め具・留め具としてのボタン)」を意味する古高ドイツ語 "knopf" (cf. wikt: Knopf) から生じている[13]。ただし、現代のドイツ語圏ではすっかり廃れており、英語圏(多いほうから米・英)とその次にアルゼンチンに多く分布するサーネームとなっている[14]

父はユダヤ系ハンガリー人で、その名を Erwin Knöpfler (Erwin Knopfler) といった。人名の読み(日本語音写形)は、ハンガリー語準拠で「エルヴィーン・クノップフラー[15]」、英語準拠で「エルヴィン・ノップラー」が慣習的表記と言える。

1908年12月2日ハンガリー北東部の都市ミシュコルツで生まれ[11]、イングランドの[資料1]ロンドン[11]あるいは[資料2]ブリストル[8]1993年に亡くなっている[11]建築家で、チェスプレーヤーとしても知られている。

エルヴィーンの父は、ブダペスト生まれのユダヤ系ハンガリー人、ヨージェフ・クノップフラー (József Knöpfler, Joseph Knopfler) [16]1874年生まれ[16]米国マサチューセッツ州ニューベッドフォード1952年に亡くなっている[16]

関連事象

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[上]M. knopfleri の骨格図
[下]M. knopfleri の全身骨格ディスプレイ

ノップラー氏の悪竜

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イギリスの学術雑誌ネイチャー』の2001年1月25日発売号に新恐竜(小型獣脚類)が記載された。その学名Masiakasaurus knopfleri和名を「マシアカサウルス・クノプフレリ表記揺れ: ノップレリ、ほか)」というが、"knopfleri" は "Mark Knopfler" の名にちなんで命名されたもので[17]、「ノップラー氏にちなんだ」「ノップラー氏にゆかりある」などといった意味をもつ献名である。

これは、化石発掘チームが、大好きなノップラーの音楽[注 3]を聴きながら作業をしていた時に限ってこの恐竜の化石が幾つも見付かり、他の音楽を聴きながら作業していた時には何も見付からなかったというエピソードに由来している[19]。思いがけず恐竜の名前に採用されることとなったノップラーは、『ネイチャー』の発売前日に日刊タブロイド紙ザ・サン』の取材を受けており、ウィットに富んだ感想を述べている[19]。それについては、該当項目で詳説している。

中国語圏の分類学では、「悪意ある恐竜」「凶暴な恐竜」などといった語意をもつ Masiakasaurus を「惡龍」と漢訳し、knopfleri には "Mr. Knopfler" の漢訳名である「諾弗勒氏」の省略形「諾氏」を当てている。このことから、Masiakasaurus knopfleri は「諾氏惡龍簡体字: 诺氏恶龙)」と綴る。ほかには「諾弗勒惡龍簡体字: 诺弗勒恶龙)」という異表記が多く見られる。

ジ・オーブアレックス・パターソンはこの話題を触れ、イラストも描いている[20]

脚注

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注釈

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  1. ^ スコティッシュ・チェス選手権英語版1953年大会準優勝[7]、ほか[8]
  2. ^ 結婚前はルイーザ・マリー・レイドラー (Louisa Mary Laidler)。
  3. ^ アメリカの『ABCニュース』は代表曲として「マネー・フォー・ナッシング[18]1985年リリース)を挙げている[19]が、この曲を聴いていたのかどうかは言及されていない。

出典

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  1. ^ Geni: Mark.
  2. ^ 35 Fender Stratocaster stars: part 1” (English). MusicRadar英語版. 2015年2月16日閲覧。
  3. ^ a b ローリング・ストーン誌が選ぶ最も偉大な100人のギタリストランキング”. MUSICANDY (2014年10月18日作成、2020年8月17日更新). 2021年5月9日閲覧。
  4. ^ Fricke, David (03 December 2010). “100 Greatest Guitarists: David Fricke’s Picks” (English). Rolling Stone (Penske Media Corporation (PMC)). https://www.rollingstone.com/music/music-lists/100-greatest-guitarists-david-frickes-picks-146383/kim-thayil-227804/ 2021年5月9日閲覧。 
  5. ^ ローリング・ストーン誌の選ぶ最も偉大な 100人のギタリスト”. Move & Music. Noize TV (2011年10月). 2021年5月9日閲覧。
  6. ^ Rolling Stone (18 December 2015). “100 Greatest Guitarists” (English). Rolling Stone (Penske Media Corporation (PMC)). https://www.rollingstone.com/music/music-lists/100-greatest-guitarists-153675/ritchie-blackmore-52823/ 2021年5月9日閲覧。 
  7. ^ a b PHPwh: Erwin.
  8. ^ a b ChessScotland.
  9. ^ a b Rest in Peace – Ruth Selma Knopfler has Died on 73 (1947 – 2020)” (English). DireStraits blog.com (16 July 2020). 2021年5月8日閲覧。
  10. ^ a b c d e Mark Knopfler - Dire StraitsMark (b. 8/12/1949, Glasgow) and David Knopfler (b. 12/27/1951) < Film, the Arts, & Media” (English). The American Hungarian Federation. Bryan Dawson. 2021年5月8日閲覧。
  11. ^ a b c d Geni: Erwin.
  12. ^ MARK KNOPFLER | Artist | Official Charts - 「Albums」をクリックすれば表示される。
  13. ^ a b Knopfler History, Family Crest & Coats of Arms” (English). House of Names (HouseOfNames.com). 2021年5月8日閲覧。
  14. ^ Knopfler Surname” (English). Forebears. Forebears.io. 2021年5月8日閲覧。
  15. ^ Knopfler の発音 ハンガリー語”. Forvo. 2021年5月8日閲覧。
  16. ^ a b c Geni: Joseph.
  17. ^ Sampson, Carrano et Forster 2001, p. 504,
       "Etymology. From masiaka (Malagasy, meaning vicious), sauros (Greek, meaning lizard) and knopferi (after singer/songwriter Mark Knopfer, whose music inspired expedition crews)."
  18. ^ Dire Straits (YouTube Official Channel) - Money For Nothing.
  19. ^ a b c Lawson, Willow (7 January 2006). “Dinosaur Named for Rock Star” (English). ABC News (ABCN) (Walt Disney Television). https://abcnews.go.com/Technology/story?id=99049&page=1 2021年5月8日閲覧。 
  20. ^ Alex Paterson [@alexrjpaterson] (2017年3月22日). "When you see the dinosaur that got named after Mark Knopfler it makes the #DavidAttenborough shrimp seem a little bit melancholy". X(旧Twitter)より2021年5月8日閲覧

参考文献

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雑誌、広報、論文、ほか

関連項目

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外部リンク

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当事者発信
※恐竜 Masiakasaurus knopfleri の由来名となったマーク・ノップラー、その代表曲であるダイアー・ストレイツマネー・フォー・ナッシング」のミュージック・ビデオ(公式チャンネル動画)。
他者発信