荒 道子(あら みちこ、本名:田中 道子(たなか みちこ)[1]1934年(昭和9年)11月20日[1] - )は、日本の声楽家メゾソプラノアルト)、音楽教育者。海外経験が豊富であり、欧州の歌劇場と専属契約する日本人歌手の草分けとして、オペラの重要な役柄を務めた。また、数多くのコンサートでも活躍している。現在は音楽教育者として後進の育成に注力している。

あら みちこ
荒 道子
出生名 荒 道子
生誕 (1934-11-20) 1934年11月20日(90歳)
出身地 日本の旗 日本 愛知県 豊橋市
学歴 東京藝術大学
ベルリン音楽大学
(現:ベルリン芸術大学
ルイジ・ケルビーニ音楽院
ジャンル クラシック音楽
職業 声楽家メゾソプラノアルト
オペラ歌手
音楽教育者
事務所 1976-1980 ヴッパータール市立歌劇場

経歴

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愛知県豊橋市[2]出身。愛知県立時習館高等学校[3]卒業。1961年(昭和36年)東京藝術大学声楽科卒[1]

藝大在学中にモーツァルトフィガロの結婚』マルチェリーナでデビュー[4]。1964年(昭和39年)には2月16,18日 日生劇場 ストラヴィンスキー放蕩者のなりゆき』(指揮森正)トルコ女ババ[5]、続いて3月20日 NHK歌劇の夕べ・東京文化会館大ホール 石井歓『役の行者』(指揮:若杉弘)葛城の魔女[6]を演じた後、留学に出発する。

1964 - 1966年(昭和39 - 41年)ベルリン音楽大学[7](現:ベルリン芸術大学)に留学。その間ミチコ・デ・コーヴァ夫人(田中路子)に大変世話になった[8]という。

1967年(昭和42年)3月26,30日,4月1日 日生劇場・二期会提携公演 日生劇場 ヘンデルジュリアス・シーザー(ジューリオ・チェーザレ)』(指揮:若杉弘)コルネリア[9]を務める。1968年7月6,8日 二期会 東京文化会館 ロッシーニ『シンデレラ(チェネレントラ)』(指揮:ニコラ・ルッチ)タイトルロール[10]を演じ、その公演に対して[4]同年度の第19回芸術選奨文部大臣新人賞を受賞。同年11月20日 - 12月3日 明治百年記念 文化庁芸術祭オペラ特別公演 石井歓『袈裟と盛遠』(指揮:若杉弘)官女で全国8ヶ所公演[11]

1969年(昭和44年)イタリアフィレンツェルイジ・ケルビーニ音楽院[4]に留学。1971年(昭和46年)修了。フィレンツェに1976年まで7年間暮らす[12]。この間、ミラノでL.・グァルリーニ夫人に師事[12]。フィレンツェ市立劇場、シエーナのリヌォバーティー劇場、ジェノヴァのマルゲリータ劇場等に出演[1]。1975年にはプッチーニ蝶々夫人』スズキを務める[12]

その間、一時帰国し、1971年には7月4 - 13日 二期会 リヒャルト・シュトラウスナクソス島のアリアドネ』(指揮:若杉弘)女優[13]、10月5,6日 文化庁芸術祭 東京室内歌劇場特別公演 モンテヴェルディオルフェオ』(指揮:田中信昭)使者シルビア[14]、11月7 - 11日 二期会 オッフェンバックホフマン物語』(指揮:ヤン・ポッパー)ミューズ[15]、11月21日 - 12月2日 文化庁移動芸術祭 二期会『フィガロの結婚』(指揮:秋山和慶)ケルビーノで全国公演[16]、11月22,23日 NHK交響楽団第567回定期演奏会 ベルリオーズファウストの劫罰』(指揮:ジャン・フルネ)マルグリート[17]というハードスケジュールをこなしている。

1974年7月17,18,19日 二期会『コジ・ファン・トゥッテ』(指揮:飯守泰次郎)ドラベッラ[18]を務める。

1976年(昭和51年)[1]ドイツのヴッパータール市立歌劇場と契約[4]

同年11月24,25日 二期会『コジ・ファン・トゥッテ』(指揮:ズデニェク・コシュラー)ドラベッラ[19]を再び務める。1977年7月27日 - 8月2日 文化庁青少年芸術劇場 二期会 プッチーニ『蝶々夫人』(指揮:森正)スズキで九州公演[20]

1980年からは日本に拠点を移し、10月2 - 14日 文化庁移動芸術祭 二期会 ビゼーカルメン』(指揮:尾高忠明)タイトルロールで全国公演[21]。同年11月21 - 23日 二期会 マスネウェルテル』(指揮:小林研一郎)シャルロッテ[22]。1981年3月14 - 16日 藤原歌劇団 ベッリーニカプレーティとモンテッキ』(指揮:ニコラ・ルッチ)ロメオ、9月30日 - 10月3日 東京室内歌劇場 ロッシーニ『イタリアのトルコ人』初演(指揮:田中信昭)ザイーダ[23]。1982年9月22 - 24日 二期会 ヴェルディファルスタッフ』(指揮:小澤征爾)メグ・ペイジ[24]。1983年5月20,21日 二期会 ブリテン真夏の夜の夢』(指揮:佐藤功太郎)ヒポリタ[25]。1984年2月14 - 16日 二期会 ヴェルディ『リゴレット』(指揮:外山雄三)マッダレーナ[26]。1986年2月19 - 21日 二期会 ヨハン・シュトラウス2世こうもり』(指揮:尾高忠明)オルロフスキー公爵[27]などに出演している。

コンサートにおいても、NHK交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団新日本フィルハーモニー交響楽団東京フィルハーモニー交響楽団東京交響楽団東京都交響楽団群馬交響楽団名古屋フィルハーモニー交響楽団読売日本交響楽団東京室内管弦楽団などと、『第九』(多数)、ベルリオーズ:劇的交響曲『ロメオとジュリエット』(指揮:小澤征爾)[28]マーラー交響曲第2番『復活』(指揮:小澤征爾)[28]ベートーヴェンミサ・ソレムニス』(指揮:ハンス・シュミット=イッセルシュテット[29]ヘンデルオラトリオメサイア』(指揮:奥田耕天)等で協演[4]

2009年11月21日[30]、2014年11月29日には故郷の豊橋市でリサイタルを開催し「生涯現役」を貫いている[31]

畑中良輔、畑中更予、アンドレア・バラントゥーニ、ジュリエッタ・シミオナート、L.・グァルリーニ夫人に師事。

音楽教育者としては、武蔵野音楽大学講師、同大学助教授、同大学教授東京学芸大学講師を務め、後進の育成に力を注いだ。門下生に本岩孝之、勝又久美子[32]、國光智子[33]、小坂井貴子[34]、KAE[35]などがいる。2019年(令和元年)現在も故郷の豊橋市で「荒道子 声楽研究会」を主宰しており、毎月レッスンを行っている[36]。2019年(令和元年)6月9日には穂の国とよはし芸術劇場アートスペースにおいて「荒道子 声楽研究発表会 2019ヴォーカルコンサート」を開催した[37]

二期会会員[38]日本演奏連盟会員[39]

受賞歴

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ディスコグラフィー

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脚注

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出典

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  1. ^ a b c d e 荒道子”. tc5810.fc2web.com. 2020年8月30日閲覧。
  2. ^ 2009/11/16 のニュース 21日に荒道子リサイタル”. 東日新聞. 2020年8月30日閲覧。
  3. ^ c-bridge. “荒 道子リサイタル”. ビジネスサポート・コミュニケーションブリッジ. 2020年9月1日閲覧。
  4. ^ a b c d e 慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団第113回定期演奏会(1988年)パンフレット
  5. ^ イーゴリ・ストラヴィンスキー, W. H. ・オーデン. “《遊蕩児一代記(レイクス・プログレス)》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2020年8月31日閲覧。
  6. ^ 石井歓, 坪内逍遥. “《役の行者》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2020年8月30日閲覧。
  7. ^ EP 世界民謡集~平田恭子/荒道子/黄耀明/高橋修一 演奏者の横顔
  8. ^ ⑩3人の巨匠との出会い 岩城宏之氏と出会う―憧れのN響とも共演/メゾソプラノ歌手・荒 道子さん”. 東日新聞. 2020年9月6日閲覧。
  9. ^ ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル, ジャーコモ・フランチェスコ・ブッサーニ. “《ジュリアス・シーザー》”. opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2020年9月1日閲覧。
  10. ^ ジョアキーノ・ロッシーニ, シャルル・ペロー. “《シンデレラ》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2020年9月1日閲覧。
  11. ^ 石井歓, 山内泰雄. “《袈裟と盛遠》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2020年12月14日閲覧。
  12. ^ a b c ⑧イタリアでの7年 言葉の壁と「生活したからこそ分かること」/メゾソプラノ歌手・荒 道子さん”. 東日新聞. 2020年9月6日閲覧。
  13. ^ リヒャルト・シュトラウス, フーゴ・フォン・ホーフマンスタール. “《ナクソス島のアリアドネ》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2020年9月1日閲覧。
  14. ^ クラウディオ・モンテヴェルディ, アレッサンドロ・ストリッジョ. “《オルフェーオ》” (Italian). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2020年9月1日閲覧。
  15. ^ ジャック・オッフェンバック, ジュール・バルビエ. “《ホフマン物語》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2020年9月1日閲覧。
  16. ^ ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト, ピエール=オーギュスタン・ボーマルシェ. “《フィガロの結婚》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2020年9月1日閲覧。
  17. ^ エクトル・ベルリオーズ, ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ. “《ファウストの劫罰》”. opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2020年9月1日閲覧。
  18. ^ ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト, ロレンツォ・ダ・ポンテ. “《コシ・ファン・トゥッテ ――女はみんなこうしたもの――》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2020年9月1日閲覧。
  19. ^ ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト, ロレンツォ・ダ・ポンテ. “《コシ・ファン・トゥッテ》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2020年9月1日閲覧。
  20. ^ ジャコモ・プッチーニ, ルイージ・イッリカ. “《蝶々夫人》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2020年9月1日閲覧。
  21. ^ ジョルジュ・ビゼー, プロスペル・メリメ. “《カルメン》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2020年9月1日閲覧。
  22. ^ ジュール・マスネ, ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ. “《ウェルテル》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2020年9月1日閲覧。
  23. ^ ジョアキーノ・ロッシーニ, カテリーノ・マッツォーラ. “《イタリアのトルコ人》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2020年9月6日閲覧。
  24. ^ ジュゼッペ・ヴェルディ, ウィリアム・シェイクスピア. “《ファルスタッフ》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2020年9月6日閲覧。
  25. ^ ベンジャミン・ブリテン, ウィリアム・シェイクスピア. “《真夏の夜の夢》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2020年12月14日閲覧。
  26. ^ ジュゼッペ・ヴェルディ, ヴィクトール・ユゴー. “《リゴレット》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2020年9月6日閲覧。
  27. ^ ヨハン・シュトラウスII世, アンリ・メイヤック. “《こうもり》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2020年9月6日閲覧。
  28. ^ a b Concert” (英語). Japan Philharmonic Orchestra. 2020年9月6日閲覧。
  29. ^ 砂川稔HISTORY”. 2020年9月6日閲覧。
  30. ^ 21日に荒道子リサイタル”. 東日新聞. 2020年9月6日閲覧。
  31. ^ 生涯現役 同年代へエール アルト歌手・荒道子さん(79歳)/11月に豊橋でリサイタル/口ずさみたくなる曲を―「赤とんぼ」なども曲目に”. 東日新聞. 2020年9月6日閲覧。
  32. ^ aso's opera”. www6.big.or.jp. 2020年8月30日閲覧。
  33. ^ 第3期生”. www.nntt.jac.go.jp. 2020年9月6日閲覧。
  34. ^ 小坂井貴子 – 名古屋音楽学校”. 2020年9月6日閲覧。
  35. ^ KAE音楽教室 | 習い事の体験申込はスクルー”. skuroo.net. 2020年9月6日閲覧。
  36. ^ ⑫歌うということ 曲と言葉、情感が重なって初めて表現できる/メゾソプラノ歌手・荒 道子さん”. 東日新聞. 2020年9月6日閲覧。
  37. ^ 2019年6月スケジュール”. 穂の国とよはし芸術劇場. 2020年9月6日閲覧。
  38. ^ 二期会のアーティスト - 東京二期会”. www.nikikai.net. 2020年8月30日閲覧。
  39. ^ 会員名簿|公益社団法人 日本演奏連盟”. www.jfm.or.jp. 2020年8月30日閲覧。
  40. ^ Wikipedia「芸術選奨新人賞」の項目を参照