栃木市役所
栃木市役所(とちぎしやくしょ)は、栃木県栃木市の執行機関としての事務を行う施設。東武宇都宮百貨店栃木市役所店との複合施設となっている。
栃木市役所 Tochigi City Hall | |
---|---|
情報 | |
旧名称 | 福田屋百貨店栃木店 |
用途 |
|
旧用途 | 商業施設 |
主構造物 |
|
設計者 | 改修時:荒井設計(現・AIS総合設計)[1] |
施工 | 改修時:舘野建設・牧田工務店JVほか[1] |
建築主 | 福田屋百貨店 |
事業主体 | 栃木市 |
管理運営 | 栃木市、東武宇都宮百貨店 |
構造形式 | 鉄骨鉄筋コンクリート構造[1][2] |
敷地面積 |
6,265 m²[2] ※立体駐車場を除く |
建築面積 |
5,554 m²[2] ※立体駐車場を除く |
延床面積 |
23,319 m²[2] ※立体駐車場を除く |
階数 |
|
竣工 | 1990年11月[2] |
改築 | 2013年3月 - 12月[2] |
所在地 |
〒328-0015 栃木県栃木市万町9番25号 |
位置 | 北緯36度22分57秒 東経139度44分3秒 / 北緯36.38250度 東経139.73417度座標: 北緯36度22分57秒 東経139度44分3秒 / 北緯36.38250度 東経139.73417度 |
特記事項 | 栃木市役所庁舎としては3代目にあたる(#沿革) |
概要
編集- 東は栃木県道11号栃木藤岡線(蔵の街大通り)に面し、向かいには下野新聞社栃木支局がある。
- 本庁舎
- 開館時間:午前8時30分から午後5時15分まで
- 閉庁日:土曜日、日曜日
階 | スペース | 内容 |
---|---|---|
5階 | その他 | 501A会議室、501B会議室、501C会議室、情報システム課、危機管理課 |
4階 | 4-A | 保健給食課、生涯学習課、文化課、学校教育課、教育総務課・学校施設課、産業基盤整備課、商工振興課・観光振興課、教育長室、教育委員室、ALT室 |
市議会 | 議場、委員会室、全員協議会室、図書室、議会事務局、正副議長室、議会用会議室、議員控室 | |
その他 | 市政情報センター、401会議室、402会議室、記者室、選挙管理委員会、監査委員事務局 | |
3階 | 3-A | 土木管理課、道路河川整備課、スポーツ連携室、下水道建設課、公園緑地課 |
3-B | 道路河川維持課、都市計画課、市街地整備課、地域づくり推進課、財政課、総合政策課、シティプロモーション課、行財政改革推進課、斎場整備室 | |
3-C | 管財課、住宅課、建築課、蔵の街課、総務課、職員課、契約検査課 | |
正副市長室 | 市長公室、市長室、秘書課、副市長室 | |
その他 | 正庁A、正庁B、301会議室、302会議室、庁講堂 | |
2階 | 2-A | 地域包括ケア推進課(栃木中央地域包括支援センター)、福祉総務課、障がい福祉課(栃木市障がい児者相談支援センター)、健康増進課相談窓口、子育て支援課、保育課、生活福祉課、認定審査会室 |
2-B | 市民生活課、保険医療課、人権・男女共同参画課、環境課 | |
2-C | 会計課、収税課、市民税課、資産税課、交通防犯課、農林整備課、農業振興課(栃木市農業公社)、農業委員会事務局 | |
1階 | 商業施設 | 東武宇都宮百貨店栃木市役所店 |
- 立体駐車場
アクセス
編集(出典:[3])
沿革
編集初代庁舎 (1921–1960)
編集栃木市立文学館 | |
---|---|
情報 | |
旧名称 |
|
用途 | 観光 |
旧用途 | 栃木町・栃木市行政の中枢施設 |
設計者 | 堀井寅吉 |
施工 | 改修時:牧田工務店・清田建設工業JV[4] |
建築主 | 栃木町 |
事業主体 | 栃木町 |
管理運営 | 栃木市 |
構造形式 | 木構造(改修時に一部鉄骨で耐震補強[5]) |
建築面積 | 575 m² [6] |
延床面積 |
1,031.5 m² [5] ※改修前:926.5 m2 |
状態 | 現存 |
階数 | 地上2階 |
エレベーター数 | 0 |
戸数 | 1 |
竣工 | 1921年10月[7] |
改築 | 2019年3月 - 2021年1月 |
所在地 |
〒328-0016 栃木県栃木市入舟町7番31号 |
文化財 | 国登録有形文化財(建造物) |
指定・登録等日 | 1998年9月2日 |
1884年に宇都宮へ移転するまで栃木県庁が所在していたその跡地に、1921年10月15日、栃木町役場の庁舎が落成した[7]。木造2階建て瓦葺き、塔屋(時計塔)付きの洋館である。設計者は町の技師・堀井寅吉[6][7][8]とされているが確たる資料はなく、棟札には「建築技師 柏分寅雄 / 仝技手 藤野兼政(略)大工棟梁 牧田榮作」と記されている[9]。柏分は堀井の旧姓だが、寅吉が「寅雄」となっている点に疑問が残されている[9]。1階に事務室や食堂、2階に議場や貴賓室などがあった。外観としては、1階は板張りにペンキを塗り、2階は白壁で木組みを露わにし[7]、北側の玄関ポーチおよびその上部のアーチ型の意匠に大正時代の洋風建築様式が見える[8]。時計塔の流行は当時既に廃れていたというが、単に名残として留めたか、官庁としての威容を示すためのものだったと見られている[7]。
1937年の市政施行に伴って名称が栃木市役所となり、続けて使用されたが、1960年の新庁舎開庁とともにその役目を終え、栃木市役所別館と改称された。
階 | 内容(1956年8月付)[10] |
---|---|
2階 | 議事室、議会事務局、議長室、市長室、厚生課、農業委員会 |
1階 | 玄関・東入口、助役、総務課、税務課、会計課・収入役、農林課、土木課、交換室、謄写室 / 増築部分:商工課、社会福祉事務所 |
2016年、市が新たに文学館として整備する計画を公表し、2019年から工事を開始した[4]。建築から90年以上が経過した間に増改築があり、商工観光課の事務室が置かれた時期もあった[11]が、整備にあたって増築された部分を取り壊し、耐震補強やバリアフリー化を施した上で落成当時の姿を復原した[4][12]。2022年4月に栃木市立文学館として開館した[12][13]。
2代庁舎 (1960–2014)
編集初代庁舎が機能する間、5か村(下都賀郡大宮村、皆川村、吹上村、寺尾村、国府村)の編入合併・人口増加とともに事務が複雑化し、職員も増えたため、教育委員会および国民健康保険調査事務局を公民館に置いて分掌したほか、会議室もないという様相を呈し、キャパシティが限界を迎えた[14]。よって1958年度予算をもって新庁舎の建設を決定[15]、同年12月19日に入札を行い、井上工業に落札(1億2050万円)[14]。隣接する中央公民館とともに1959年1月10日に着工し[14]、翌年1月15日に竣工した[16]。なお、市役所チャイムを服部時計店に発注している[17]。
庁舎前には1,300 m2の広場があり、砂利が敷かれた[16]。構造としては窓口を1階に集中し、来庁する市民が階段の昇降をせずに済むよう配慮された[14]。
2014年2月7日に役目を終えて閉庁するまでの54年間、市役所として機能した[18]。その跡地には、2019年から2021年にかけて栃木市立美術館が建設された[19]。
階 | 内容(1959年1月付)[14] |
---|---|
3階 | 正庁、会議室、教育委員会室2、教育委員室、教育長室、和室(12畳)、書庫、交換室、予備室など |
2階 | 議場(傍聴席一般49、記者席15)、議員控室3、市長室、議長室、助役室、秘書室、図書室、応接室2、小会議室、総務課、土木課、議会事務局、選挙管理委員会、監査委員、新聞記者室、印刷室、永久保存書庫など |
1階 | 玄関ホール、事務室、市民室、面接室、応接室、収入役室、電気室、暖房機械室、倉庫書庫、宿直室、小使室など |
3代庁舎 (2014–)
編集福田屋百貨店栃木店の閉店
編集2010年、市街地中心部に位置して商業の中核をなしていた福田屋百貨店栃木店が、業績悪化により閉店を決定した。同年12月、市に対して店舗建物の無償譲渡(土地および隣接する7階建ての立体駐車場は有償)の申し入れがあり、2011年1月から検討委員会が開かれた[2]。
福田屋が同年2月をもって閉店すると、中心地の人通りは明らかに減少した[20][21]。2012年1月より11回にわたって開催された[2]住民説明会では、「中心市街地の衰退は防いでほしい」「生鮮食料品の販売だけでも復活してもらいたい」などの要望が聞かれ[20]、中心市街地への商業機能誘致が責務となった。
一方、東日本大震災を受けて市庁舎にも注目が集まった。2代目の市庁舎は築50年を超えて耐震性が落ちていたほか、旧栃木市、下都賀郡大平町、藤岡町、都賀町の新設合併、上都賀郡西方町の編入合併を経て職員が増加し、事務量も増えたことで手狭になり、前回の移転時と同様機能を分散していた[2]。検討委員会の試算では、新たに庁舎を建設した場合には土地代を除く建設費だけで約65億円かかるが、既存の建物を改修すると約21億円で済むという結果が出た[20]。
商業施設の誘致と庁舎機能の対策を両立すべく、2012年3月、福田屋百貨店栃木店の建物は市庁舎として利活用し、その1階には商業施設を誘致することが決定した。同年8月に市は土地・建物等を福田屋から入手した[2]。
改修工事
編集設計業務は宇都宮市内に本社を置く荒井設計(9月に社名をAIS総合設計へ変更)が受注[1]、2013年3月に契約を議決・締結し、同月中に工事に入った[2]。外装は洗浄のみ、内装を全面的にリニューアルするという方針で作業が進められた[1]。
まず商業施設であったために、明るさの確保や天候の観察の上で肝要な窓の不足が課題となった[1]。外部の避難階段が不要になったため取り外し、そこに開口部を設けたほか、中央エスカレーターの吹き抜けを活かして明るさを保った[1]。また4階の議場では、天井の高さを確保するために屋上を一部改築し、内部は柱を撤去して無柱空間を作り上げた[1]。建設当時から2層の増築を想定していたことが功を奏し、各部署の収容や議場の確保に成功した[1]。
2013年12月に主要な工事は完了し、2014年2月に全面移転を行った[2]。1階の東武宇都宮百貨店栃木市役所店は3月16日に開店した[2]。
年譜
編集- 初代庁舎
- 1921年(大正10年)10月15日 - 栃木町役場庁舎(初代庁舎)が竣工[7]。
- 1937年(昭和12年)4月1日 - 市制施行に伴って栃木市役所となる。
- 1960年(昭和35年)- 2代庁舎の開庁にともなって別館となる。
- 2022年(令和4年)4月27日 - 栃木市立文学館として新装開館[13]。
- 2代庁舎
- 1958年(昭和33年)12月19日 - 2代庁舎建築にあたる入札[14]。
- 1959年(昭和34年)
- 1960年(昭和35年)1月15日 - 2代庁舎竣工[16]。
- 2010年(平成22年)3月29日 - 栃木市、下都賀郡大平町、藤岡町、都賀町の1市3町合併により、栃木市が新設される。市役所は引き続き使用。
- 2014年(平成26年)
- 2022年(令和4年)11月3日 - 跡地に栃木市立美術館が開館[19]。
- 3代庁舎
支所
編集合併以前の旧市町域を単位として、行政区域が栃木地域・大平地域・藤岡地域・都賀地域・西方地域・岩舟地域と6区分されているため、栃木地域に本庁、その他5地域に総合支所が置かれている。
- 栃木地域
- 本庁舎
- 寺尾支所
- 〒328-0204 栃木市梅沢町1183
- 国府支所
- 〒328-0002 栃木市惣社町228-1
- 大宮出張所
- 〒328-0011 栃木市大宮町422-1
- 吹上出張所
- 〒328-0125 栃木市吹上町782-1
- 皆川出張所
- 〒328-0067 栃木市皆川城内町699
- 大平地域
- 大平総合支所
- 〒329-4404 栃木市大平町富田558番地
- 藤岡地域
- 藤岡総合支所
- 都賀地域
- 都賀総合支所
- 〒328-0111 栃木市都賀町家中5982番地1
- 西方地域
- 西方総合支所
- 岩舟地域
- 岩舟総合支所
- 〒329-4392 栃木市岩舟町静5133-1
-
大平総合支所
-
藤岡総合支所
-
都賀総合支所
-
西方総合支所
-
岩舟総合支所
脚注
編集- ^ a b c d e f g h i 加藤光男 (2014年10月9日). “栃木市、商業施設の撤退跡を庁舎に”. 日経クロステック(xTECH). 日本経済新聞社. p. 2. 2020年6月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月12日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 国土交通省関東地方整備局広報広聴対策官室2016 (2016年11月). “政策広報 関東の窓 第124号” (pdf). 国土交通省関東地方整備局. pp. 15–16. 2020年6月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月12日閲覧。
- ^ a b c “栃木市役所本庁舎へのアクセス”. 栃木市 (2019年11月20日). 2020年6月12日閲覧。
- ^ a b c “(仮称)文化芸術館・文学館 整備工事について”. 栃木市 (2020年1月16日). 2020年5月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月12日閲覧。
- ^ a b “(仮称)文化芸術館・文学館整備事業の見直しについて” (pdf). 栃木市 (2018年8月). 2020年5月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月12日閲覧。
- ^ a b “栃木市役所別館(旧栃木町役場庁舎)”. 国指定文化財等データベース. 文化庁. 2021年11月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月19日閲覧。
- ^ a b c d e f 日向野 1981, p. 25.
- ^ a b 栃木市教育委員会 2014, p. 51.
- ^ a b “旧栃木町役場庁舎”. 文化遺産オンライン. 文化庁. 2021年11月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月19日閲覧。
- ^ 村山東昌 (1956年8月20日). “栃木市政だより 第40号” (pdf). 栃木市役所. p. 1. 2023年10月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月19日閲覧。
- ^ “(仮称)文学館工事現場”. 栃木市 (2020年9月4日). 2020年5月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月29日閲覧。
- ^ a b 佐藤拓夫 (2022年7月6日). “【新オープン】栃木市立文学館が開館!1921年建築の旧役場を利用した大正レトロな空間”. 美術展ナビ. 読売新聞社. 2022年11月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月1日閲覧。
- ^ a b 根岸敦生 (2022年5月14日). “旧栃木町役場→文学館 地元ゆかりの作家ら紹介”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社. 2022年12月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月1日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i “栃木市政だより 第66号” (pdf). 栃木市役所. p. 3 (1959年1月10日). 2023年10月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月12日閲覧。
- ^ “栃木市政だより 第57号” (pdf). 栃木市役所. p. 1 (1958年4月20日). 2020年6月12日閲覧。
- ^ a b c d 栃木市史編さん委員会 1981, p. 815.
- ^ 栃木市史編さん委員会 1981, p. 814.
- ^ a b c d e “広報とちぎ 2014年2月号” (pdf). 栃木市. p. 8 (2014年1月20日). 2021年11月19日閲覧。
- ^ a b るるぶ&more.編集部 (2023年1月8日). “【栃木】蔵の街・栃木に文化の拠点が続々オープン! 栃木市立文学館と栃木市立美術館ってどんなところ?”. るるぶ&more.. JTBパブリッシング. 2023年1月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月8日閲覧。
- ^ a b c 加藤光男 (2014年10月9日). “栃木市、商業施設の撤退跡を庁舎に”. 日経クロステック(xTECH). 日本経済新聞社. p. 1. 2020年6月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月12日閲覧。
- ^ “地方百貨店、存続懸け積極策 テナントに競合業態、市役所出店も”. SankeiBiz. 産業経済新聞社 (2019年10月24日). 2020年6月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月12日閲覧。
- ^ “広報とちぎ 2014年5月号” (pdf). 栃木市. p. 1 (2014年4月25日). 2021年11月19日閲覧。
参考文献
編集- 栃木市教育委員会『とちぎガイドブック』栃木市、2014年3月25日。
- 栃木市史編さん委員会『栃木市史 史料編近現代1』栃木市、1981年3月31日。
- 日向野徳久『写真集明治大正昭和栃木 ふるさとの想い出197』国書刊行会、1981年2月26日。
外部リンク
編集- 市役所アクセス・業務時間・庁舎案内 - 栃木市