柏レイソルのアカデミー
概要
編集2016年8月27日、J1 2ndステージ第10節川崎フロンターレ戦試合終了時のメンバー[1]。外国籍のクリスティアーノを除いた日本人選手全員がアカデミー出身者で占められた。 |
柏レイソルはサッカー選手の育成において日本で最も長い歴史を持つクラブのひとつで、前身の日立製作所サッカー部時代の1969年に、全国で初めて日本サッカー協会公認のサッカースクールを開催している[2]。
1986年4月、育成組織の起源となる「日立サッカースクール柏」が開校[3]。1993年のJリーグ発足後は「柏レイソルユース」と名称を改め、年々その規模を拡大させていき、育成部門全体を包括する「柏レイソルアカデミー」へと発展を遂げた[2]。
アカデミー発足当初は各カテゴリーの指導者が各自の方針で育成を行っていたが、2003年にU-15コーチに就任した吉田達磨を中心にアカデミー全体のプレーモデルがまとめられ、全カテゴリーの選手が一貫したコンセプトのもとでプレーする環境が整えられた[2][4]。吉田の志向するボールポゼッションを重視したサッカーは、当時の育成現場においては異端とされるスタイルだったが、その後FCバルセロナやスペイン代表の隆盛に伴い全国的に波及していった[2][5]。
酒井直樹、明神智和、近藤直也、酒井宏樹、工藤壮人といった日本代表経験者をはじめ、アカデミーからは毎年多くのプロサッカー選手が輩出され、吉田がトップチームの監督に就任した2015年以降は、トップチーム所属選手の約半数をアカデミー出身者が占めている[6][7]。(詳細は#出身者一覧を参照)
組織
編集U-18、U-15、U-12のカテゴリーから成るアカデミー本体のほか、ホームタウンエリアの12クラブと提携し、柏レイソルアライアンスグループ(2012年3月までは『柏レイソルアカデミー提携クラブ』)として育成理念や情報の共有を行っている[3][8]。2015年には日体大柏高校と相互支援契約を結び、指導者の派遣や、U-18に昇格できなかった選手たちの受け入れをスタートさせた[9]。
柏レイソルアライアンスグループ
編集育成理念
編集柏レイソルアカデミーでは、「将来、レイソルの軸となる選手の育成」「世界で活躍できる選手の育成」「サッカー界で活躍できる選手(人間)の育成」「社会に貢献できる人間の育成」という4つの理念を掲げている[3]。
戦術的特徴
編集11人制でプレーする場合は、基本的に中盤の底にアンカーを置いた4-1-4-1のフォーメーションを用いて、ゴールキーパーからショートパスを繋いで攻撃を組み立てるポゼッションフットボールを志向する[14][15][16]。日々のトレーニングにおいてもパス、トラップ等の基本技術やボールを受ける予備動作は重視され、アカデミー出身者にはテクニック面に優れた選手が多く見られる[14][17][18]。
トレーニング施設
編集アカデミーの所属選手はトップチームと同じ日立柏総合グラウンドでトレーニングを行うため、カテゴリーをまたいだ交流や練習参加が盛んに行われ、ナイター設備やトレーニングルーム、ロッカールーム、シャワールーム等の施設が完備されている[14][17]。2005年頃からスポーツ栄養学に基づいた食育にも取り組んでおり、トレーニング終了後はトップチームの選手と同様に敷地内の食堂「ピアノ」で食事を取ることになっている[14][19]。
国際志向
編集「柏から世界へ」のスローガンのもとクラブ全体で国際志向を掲げ、各カテゴリーで積極的な海外遠征を実施している[20]。ビジャレアル国際ユーストーナメント(2008年・3位)、ダラスカップ(2013年・準優勝)、コパ・サンパウロ・ジ・フチボウ・ジュニオール(2014年・ベスト32)といった国際大会に招待チームとして参加し、育成年代から世界各国のビッグクラブと対戦する機会を設けている[20]。
2015年7月には前年のアル・アインインターナショナルチャンピオンシップでMVPに選出されたU-18所属の伊藤達哉が、同大会で対戦したドイツ・ブンデスリーガのハンブルガーSVに移籍した[21]。その他にも指宿洋史、杉田祐希也などが、アカデミー卒業後に日本国外のクラブでプロデビューを果たしている。
成績
編集第32回日本クラブユースサッカー選手権 (U-18)大会決勝・FC東京U-18戦のスターティングイレブン[22]。1990年度生まれのメンバーは「黄金世代」と称され、大学経由を含め計11名がプロ入りした[2]。 |
リーグ戦年度別成績
編集2003年のJFAプリンスリーグU-18創設後の成績
年 | U-18 | U-15 | U-12 | |||
リーグ | 順位 | リーグ | 順位 | リーグ | 順位 | |
2003 | 千葉県1部 | - | - | |||
2004 | ||||||
2005 | ||||||
2006 | ||||||
2007 | 関東ユース(U-15) | 3位 | ||||
2008 | 1位 | |||||
2009 | 2位 | |||||
2010 | 1位 | 関東ユース(U-15) 1部 |
4位 | |||
2011 | プリンス関東2部 | 1位 | 1位 | |||
2012 | プリンス関東1部 | 3位 | 8位 | |||
2013 | 2位 | 2位 | ||||
2014 | プレミアEAST | 1位 | 1位 | |||
2015 | 8位 | 9位 | こくみん共済 U-12 in 千葉 |
1位 | ||
2016 | 7位 | 7位 | 1位 | |||
2017 | 5位 | 5位 | 1位 | |||
2018 | 5位 | 8位 | ||||
2019 | 2位 | 5位 | ||||
2020 | 中止 | 9位 | ||||
2021 | 5位 | 8位 | ||||
2022 | 9位 | 関東ユース(U-15) 2部A |
3位 | |||
2023 | 4位 | 関東ユース(U-15) 2部B |
2位 | |||
2024 | 関東ユース(U-15) 1部 |
獲得タイトル
編集- U-18
- 日本クラブユースサッカー選手権 (U-18)大会 : 1回 (2012年)
- 高円宮杯U-18サッカープレミアリーグEAST : 1回 (2014年)
- U-15
- 日本クラブユースサッカー選手権 (U-15)大会 : 1回 (2002年)
- JFA 全日本U-15サッカー大会 : 1回 (2004年)
- 高円宮杯 JFA 全日本U-15サッカー選手権大会・関東大会 : 2回 (2004年、2017年)
- 関東ユース (U-15)サッカーリーグ : 3回 (2008年、2011年、2014年)
- U-12
- JFA 全日本U-12サッカー選手権大会 : 3回 (1995年、1997年、2011年)
- ダノンネーションズカップ in JAPAN : 3回 (2005年、2006年、2017年)
- 全農チビリンピック : 1回 (2015年)
国際大会の主な戦歴
編集- U-18
2012年 ウェイファンカップ(濰坊杯) 5位
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2014年 コパ・サンパウロ・ジ・フチボウ・ジュニオール ベスト32[23]
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2014年 U-17クラブワールドカップ GL敗退[25]
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2017年 アル・カス・インターナショナルカップ 5位[28]
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2018年 アル・カスインターナショナルカップ 準優勝[29]
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- U-15
2014年 アル・カスインターナショナルカップ 7位[30]
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- U-12
出身者一覧
編集
サッカー選手以外の出身者
編集- 平川雅之(元柏レイソルテクニカルコーチ)
- ナオト・インティライミ(シンガーソングライター)
- 松原直哉(柏レイソルフィジカルコーチ)
- 山本紘之(日本テレビアナウンサー)
- ROLAND(ホスト)
スポンサー
編集2011年からホームタウンエリアの千葉県松戸市に本社を構えるマブチモーター株式会社とスポンサー契約を結び、各カテゴリーの選手が公式戦で着用するユニフォームにロゴを掲出している[3][33]。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ “川崎Fvs柏の試合結果・データ (明治安田生命J1リーグ:2016年8月27日)”. Jリーグ. 2017年5月2日閲覧。
- ^ a b c d “アカデミー概要”. 柏レイソル. 2015年12月1日閲覧。
- ^ 小澤一郎 (2012年12月29日). “柏レイソルの育成戦略が示す、日本的な育成システムの構築法”. フットボールチャンネル. 2015年12月1日閲覧。
- ^ 川端暁彦 (2014年12月15日). “【川端編集長のニュース一言解説】柏レイソル・吉田達磨新監督が目指すのは、バルセロナのスタイル”. J論. 2015年12月1日閲覧。
- ^ 舩木渉 (2015年6月7日). ““柏から世界へ”は生え抜きの選手とともに。小学生からトップまで受け継がれるアイデンティティ”. フットボールチャンネル. 2017年5月2日閲覧。
- ^ 上田悠太 (2016年3月28日). “柏は超地域密着クラブ、日本人選手の関連外4人だけ”. 日刊スポーツ. 2017年5月2日閲覧。
- ^ 『『柏レイソル アライアンス グループ』を新設~柏レイソル アライアンス アカデミーに柏イーグルスTOR'82が新たに参加~』(プレスリリース)柏レイソル、2012年10月17日 。
- ^ 吉田太郎 (2015年5月7日). “強豪・柏日体高が相互支援契約で“柏アカデミーのひとつ”に。新しい形の強化策で戦国・千葉制覇目指す”. ゲキサカ. 2015年12月22日閲覧。
- ^ “AZ’86東京青梅 代表挨拶”. AZ’86東京青梅 (2023年7月31日). 2023年11月17日閲覧。
- ^ “レノヴェンス オガサFC”. レノヴェンス オガサFC (2023年7月31日). 2023年11月17日閲覧。
- ^ 『「レイソルS.S.青梅」との提携契約終了についてのご報告』(プレスリリース)柏レイソル、2008年6月18日 。2013年2月25日閲覧。
- ^ 『「レイソルS.S.盛岡」との提携契約終了についてのご報告』(プレスリリース)柏レイソル、2008年9月18日 。2016年1月20日閲覧。
- ^ a b c d “アカデミー出身の秋野、中谷が語る柏レイソルU-18”. サッカーキング (2014年5月16日). 2015年12月22日閲覧。
- ^ “柏レイソルU-18の下平監督「アカデミーの使命は『本当のプロ選手』をトップチームに送り出すこと」”. サッカーキング (2014年5月16日). 2017年5月2日閲覧。
- ^ 安藤隆人 (2014年7月1日). “【U-18プレミアリーグ】強豪チームの現在地|柏U-18編”. サッカーダイジェストWeb. 2017年5月2日閲覧。
- ^ a b “高円宮杯U-18サッカーリーグ2014チャンピオンシップ 柏レイソルU-18 チーム紹介”. 日本サッカー協会. 2015年12月22日閲覧。
- ^ 須賀大輔. “【柏レイソルU-18】トップチームの約6割がユース出身!日本屈指のアカデミーで頑張る選手達が普段から意識していることとは?”. ヤンサカ. 2017年5月2日閲覧。
- ^ 『柏レイソルジュニアユース 食育コンクール 優秀賞を受賞』(プレスリリース)柏レイソル、2007年12月19日 。
- ^ a b 鈴木潤 (2015年4月23日). “『柏から世界へ』三位一体で世界を目指す…快進撃の柏、ACLで飛躍の理由”. サッカーキング. 2015年12月22日閲覧。
- ^ 『柏レイソルU-18所属 伊藤達哉選手 ハンブルガーSVに加入』(プレスリリース)柏レイソル、2015年7月13日 。
- ^ “公式記録” (PDF). 日本クラブユースサッカー連盟. 2015年12月22日閲覧。
- ^ “Copa Sao Paulo Hitachi de Futebol Junior”. 柏レイソル. 2017年5月2日閲覧。
- ^ “Al Ain International Football Juniors Championship 2014”. 柏レイソル. 2017年5月2日閲覧。
- ^ “第10回 U-17クラブワールドカップ マドリード2014”. 柏レイソル. 2017年5月2日閲覧。
- ^ “第11回 U-17クラブワールドカップ マドリード2015”. 柏レイソル. 2017年5月2日閲覧。
- ^ “Alkass International Cup 2016 Fixtures & Results” (English). アル・カス・インターナショナルカップ. 2017年5月2日閲覧。
- ^ “Alkass International Cup 2017 Fixtures & Results” (English). アル・カス・インターナショナルカップ. 2017年5月2日閲覧。
- ^ “Alkass International Cup 2018”. 柏レイソル. 2018年4月26日閲覧。
- ^ “Al Kass International Cup 2014”. 柏レイソル. 2017年5月2日閲覧。
- ^ “U-12ジュニアサッカー ワールドチャレンジ2014”. 柏レイソル. 2017年5月2日閲覧。
- ^ “XIIIº TORNEO CIUDAD DE MIRANDA INFANTIL” (Español). Club Deportivo La Charca. 2017年5月2日閲覧。
- ^ 『マブチモーター株式会社がアカデミー・ユニフォームスポンサーに』(プレスリリース)柏レイソル、2011年1月21日 。
関連項目
編集外部リンク
編集- アカデミー|柏レイソル Official Site
- アカデミースタッフブログ
- 柏レイソルアカデミー (reysol.academy) - Facebook
- 柏レイソルアカデミー (@kswacademy) - X(旧Twitter)