杉山晋輔
杉山 晋輔(すぎやま しんすけ、1953年〈昭和28年〉5月14日 - )は、日本の外交官。外務事務次官を経て、アメリカ合衆国駐箚特命全権大使を務めた[1]。2021年より、三井不動産株式会社顧問[2]。
すぎやま しんすけ 杉山 晋輔 | |
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米国農務省で(2018年5月) | |
生誕 |
1953年5月14日(71歳) 日本 愛知県 |
出身校 | 早稲田大学法学部中退 |
職業 | 外交官(アメリカ合衆国駐箚特命全権大使) |
人物
編集愛知県出身。父は国際法学者で法大教授だった杉山茂雄。学習院初等科[3]、東京教育大学附属中学校・高等学校(現・筑波大学附属中学校・高等学校)を経て、早稲田大学法学部在学中に外交官試験に合格し、外務省入省。
アジア大洋州局長、外務審議官等の要職を歴任し、第2次安倍内閣の下で外務事務次官を、安倍・菅義偉政権で駐米大使を務めた。
経歴
編集- 1976年10月 - 外務公務員採用上級試験合格[4]
- 1977年3月 - 早稲田大学法学部中退、翌4月外務省入省[4]
- 1978年-1980年 - 英語研修(イギリスオックスフォード大学)[5]
- 1987年-1988年 - 北米局安全保障課首席事務官[6]
- 1992年10月 - 経済局国際エネルギー課企画官[4]
- 1993年8月 - 大臣官房(事務次官室)[4]
- 1995年1月 - 総合外交政策局総務課企画官[4]
- 1995年8月 - 総合外交政策局国連政策課長[4]
- 1998年1月 - 条約局条約課長[4]
- 2000年4月 - 在大韓民国日本国大使館公使[4]
- 2004年7月 - 在エジプト日本国大使館公使[4]
- 2005年8月 - 大臣官房参事官兼中東アフリカ局[4]
- 2005年12月 - 兼経済協力局(免2006年7月)[4]
- 2006年10月 - 兼国際協力局[4]
- 2007年2月 - 大臣官房審議官兼中東アフリカ局、国際協力局[4]
- 2008年7月 - 地球規模課題審議官[4]
- 2011年1月 - アジア大洋州局長[4]
- 2013年6月 - 外務審議官(政務担当)
- 2016年6月14日 - 外務事務次官[7]
- 2018年1月19日 - 退任[8]
- 2018年1月29日 - 在アメリカ合衆国駐箚特命全権大使
- 2020年12月25日 - 閣議で冨田浩司の次期駐米大使就任決定により、杉山が近い将来駐米大使を退任することが確定[9]
- 2021年1月18日 - ドナルド・トランプ退陣を目前に控え、オンライン形式で離任前の記者会見を開く[10]
- 2021年2月26日 退官
- 2021年7月1日 三井不動産株式会社 顧問
エピソード
編集2001年に発覚した外務省機密費流用事件において、当時の斎藤邦彦次官付き秘書官をしていた杉山も、2億円の流用着服疑惑等で名前が挙がった[11]。
外務省アジア大洋州局長在職中の2012年、中国当局の船が尖閣諸島の日本側海域に侵入する問題がたけなわの頃、駐日中国大使館の韓志強公使に、電話を通じて「日本の領海への侵入は容認できない」との抗議を行った[12]。
2015年7月6日、ユネスコ諮問機関イコモスによる端島の第39回世界遺産委員会における登録勧告に対して、登録反対運動をしていた韓国と取り付けた日韓合意が韓国側により突如反故にされた。この対応で、岸田文雄外相、杉山晋輔政務担当外務審議官らと連携をとる佐藤地ユネスコ大使は、韓国代表側が求める徴用工に言及する“強い言葉(「forced labor」)”を一段和らげた形ながら、その趣旨を大幅に盛り込む形で譲歩した。
2017年12月19日、中国外交部の報道官華春瑩が定例記者会見で恩賜上野動物園のパンダ「シャンシャン」(香香、Xiāng Xiāng)について日本人記者から質問を受け、当時外務次官だった杉山(中国語読みでShān Shān、つまりシャンシャン)に関する質問と勘違いするという珍事が発生した[13]。
著書
編集共著
編集- 『国際紛争の多様化と法的処理―栗山尚一先生・山田中正先生古稀記念論集』(信山社, 2007年)
- 『国際法の新展開と課題―林司宣先生古稀祝賀』(信山社, 2009年)
同期
編集- 秋元義孝(12年駐オーストラリア大使・10年儀典長・大使)
- 佐野利男(13年軍縮会議代表部大使・10年駐デンマーク大使・08年軍縮不拡散・科学部長)
- 鈴木敏郎(12年中東・北アフリカ諸国情勢担当大使・10年駐シリア大使・08年中東アフリカ局長)
- 梅本和義(13年国連次席大使・11年駐スイス大使・08年北米局長)
- 長崎輝章(13年駐バチカン大使・10年駐グアテマラ大使)
- 太田清和(10年シアトル総領事)
- 佐藤悟(11年駐スペイン大使・10年外務報道官・08年中南米局長)
- 小寺次郎(12年駐サウジアラビア大使・10年欧州局長・08年国際情報統括官)
- 八木毅(12年駐印大使兼ブータン大使・10年経済局長)
- 長嶺安政(13年外務審議官(経済)・12年駐オランダ大使・10年国際法局長)
- 深田博史(13年駐ベトナム大使・10年駐セネガル大使・08年領事局長)
- 角茂樹(11年駐バーレーン大使・08年国連大使)
- 川田司(11年駐アルジェリア大使・10年領事局長)
- 井上進(11年駐コートジボワール大使)
- 小池政行(日本赤十字看護大学教授)
- 佐渡島志郎(11年駐バングラデシュ大使・10年国際協力局長)
- 花田吉隆(11年駐東ティモール大使)
- 高原寿一(12年駐チュニジア大使)
- 手塚義雅(12年駐トリニダード・トバゴ大使)
脚注
編集- ^ 閣議及び閣僚懇談会議事録首相官邸
- ^ “特別職国家公務員の再就職状況の公表について(令和3年4月1日~令和4年3月31日)”. 外務省. 2022年9月29日閲覧。
- ^ “ワシントンDC桜友会 報告”. 学習院桜友会 (2019年6月9日). 2024年9月3日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o 杉山晋輔外務省アジア大洋州局長 講師略歴、第18回 国際交流会議 アジアの未来
- ^ 『週刊東洋経済』2018年6月23日号 42頁
- ^ 『岡本行夫 現場主義を貫いた外交官』朝日文庫 321頁
- ^ 「外務次官に杉山氏決定 アジア大洋州局長は金杉氏 」日本経済新聞2016/6/14
- ^ 外務省 杉山晋輔・前外務次官が「開放感」毎日新聞
- ^ 駐米大使に冨田氏決定 : 日本経済新聞
- ^ 「日米同盟、着実に深化」 杉山駐米大使が離任会見 - 産経ニュース
- ^ 『杉山晋輔外務審議官の罪状』の章「闇権力の執行人」(鈴木宗男、講談社、2007年)、「外務省犯罪黒書」(佐藤優、講談社、2015年)
- ^ 領海侵入に抗議=外務省時事ドットコム(2012/09/24-13:19)
- ^ INC., SANKEI DIGITAL (2017年12月19日). “【シャンシャン狂騒曲】中国外務省副報道局長、質問聞き間違え「政治文書に基づき処理を」…” (日本語). 産経ニュース 2018年7月25日閲覧。