新穂高ロープウェイ
新穂高ロープウェイ(しんほたかロープウェイ)は、名鉄グループ[1][2]の奥飛観光開発株式会社[3]が運営する索道(ロープウェイ)[4][5]。中部山岳国立公園内の北アルプスの千石尾根に敷設されており、岐阜県側から西穂高岳へのアクセスルートの一部になっている[6][7]。所在地は岐阜県高山市[8]。
概要
編集第1ロープウェイと第2ロープウェイがある[4]。山頂側の西穂高口駅から続く千石尾根の稜線上に西穂山荘があり、西穂独標を経由して西穂高岳への登山道が通じている[6]。
このうち第2ロープウェイは1998年に全面改修され、日本初で唯一の2階建て構造のゴンドラ(定員121人)を採用した(開業以来の通算で3代目で、第1ロープウェイも同時に3代目のゴンドラに更新されている)[9]。2台のゴンドラにはそれぞれ「ばんりゅう」「ウェストン」の愛称がつけられており[10]、「ばんりゅう」は槍ヶ岳と笠ヶ岳に仏像を安置し、両山を開山した浄土宗僧侶の播隆に、「ウェストン」は日本アルプス・上高地を広く世界に紹介し、登山の楽しみを伝えた「日本近代登山の父」ともいわれるイギリス人宣教師のウォルター・ウェストンにちなんでいる。
2020年7月の開業50周年に併せて第2ロープウェイの2階建てゴンドラをリニューアル、開業以来の通算で4代目となった[11][12]。なお第1ロープウェイは、2003年に4代目のゴンドラに更新されている。
このリニューアルに伴い、2020年5月27日から7月14日までロープウェイは運休し、関連施設も休業した[13][14]。運行再開は当初は2020年7月15日を予定していたが[9][11]、同年7月22日に再開された[12]。
「新穂高GRAND VUE」整備計画
編集名古屋鉄道と奥飛観光開発は、2022年から約10年間をかけ、山頂エリア、山麓エリア、中間エリアを順次整備し、「新穂高GRAND VUE(グランビュー)」として世界水準の山岳リゾートを目指す計画としている[15]。まず山頂エリアの整備を行い、第1期工事として2022年5月から千石園地にデッキを整備し、同年10月の完成を目指す[15]。続いて山頂エリアの第2期工事として2023年5月から同年10月にかけ、岩稜帯の登山を疑似体験できる施設や散策路を整備する計画である[15]。
2022年(令和4年)10月19日、山頂エリアに展望デッキ「槍の回廊」や休憩スペースが整備され、このエリアが「頂(いただき)の森」としてリニューアルオープンした[16]。
西穂高口駅のリニューアル
編集西穂高口駅は1階と2階にロープウェイ乗降場があるが、2023年8月10日に西穂高口駅のリニューアルに着手し、4階に新たに展望休憩スペースを設けることになった[17]。これによりロープウェイ出改札と待合所を2階から分離して3階に移転し、4階にあった飲食店舗と3階にあった売店を2階に移転することになった[17]。工事は売店、ロープウェイ乗降場・待合所、飲食店舗・展望休憩スペース・展望台の3期に分けて実施され、2026年春のグランドオープンを予定している[17]。
2024年(令和6年)4月、まず西穂高口駅の土産ショップが「MEGUMI」と名を改めてリニューアルオープンした[18]。
路線データ・駅一覧
編集第1区線(第1ロープウェイ)
編集新穂高温泉駅 - 鍋平高原駅
第2区線(第2ロープウェイ)
編集しらかば平駅 - 西穂高口駅
ギャラリー
編集-
第1ロープウェイのゴンドラ
-
西穂高口駅展望台から見た第2ロープウェイ
-
新穂高温泉駅
第1ロープウェイ山麓 -
鍋平高原駅
第1ロープウェイ山頂 -
しらかば平駅
第2ロープウェイ山麓
歴史
編集- 1970年(昭和45年)7月15日 - 第1ロープウェイの新穂高温泉駅 - 鍋平高原駅間と第2ロープウェイのしらかば平駅 - 西穂高口駅間が開業[5][12][19]。
- 1987年(昭和62年)- 第1・第2ロープウェイのゴンドラを2代目に更新、第2ロープウェイのゴンドラは定員を61名から66名に増強。
- 1998年(平成10年)7月3日 - 第2ロープウェイを全面改修し[5]、3代目となる2階建てゴンドラを導入[9][20]。同時に第1ロープウェイのゴンドラも3代目に更新。
- 2003年(平成15年) - 第1ロープウェイのゴンドラを4代目に更新[4]。
- 2015年(平成27年)1月19日 - 第1ロープウェイの運行中、ゴンドラが支柱と接触する事故が発生、これに伴い全線運休となる[21]。第2ロープウェイは1月31日に[22]、第1ロープウェイは3月20日に運行再開した[23]。
- 2020年(令和2年)
- 2021年
- 新型コロナウイルス感染症に伴い、5月27日より6月21日まで平日の営業を休止 [24]。
- 2022年 -
- 2023年 - 支索交換工事(2年に分けて実施)のため5月8日から8月9日まで営業を休止(第1ロープウェイは7月21日再開)[28]。
- 2024年 - 支索交換工事のため5月7日から7月31日まで営業を休止(第1ロープウェイは7月12日再開)[29]。
運行ダイヤ
編集新穂高ロープウェイでは通年運行を実施しており、ダイヤは以下のとおりとなっている。
- 運行ダイヤ
- 第1ロープウェイ(新穂高温泉駅 - 鍋平高原駅間):毎時0分・30分発
- 第2ロープウェイ(しらかば平駅 - 西穂高口駅間):毎時15分・45分発
- 始発・最終
- 始発
- 新穂高温泉駅発:8時30分(4月 - 11月)、8時(8月・10月の土日祝日)、9時(12月 - 3月)
- 西穂高口駅発:8時45分(4月 - 11月)、8時15分(8月・10月の土日祝日)、9時15分(12月 - 3月)
- 最終
- 新穂高温泉駅発:16時(4月 - 11月)、15時30分(12月 - 3月)
- 西穂高口駅発:16時45分(4月 - 11月)、16時15分(12月 - 3月)
星空観賞便
編集接続交通機関
編集周辺施設
編集- 西穂高口駅展望台 - 西穂高口駅屋上にある展望スペース。標高2,156 mにあり、北アルプスの山並(槍ヶ岳、西穂高岳など)が、ほぼ360度の視界で見渡せる。
- 山びこポスト - 西穂高口駅展望台に2007年9月に設置された1959年製のポスト[7]。通年集配型としては国内最高所のポスト(標高2,156 m)である[7]。
- 新穂高ビジターセンター「山楽館(さんがくかん)」 - 鍋平高原駅およびしらかば平駅を降りたところに在る温泉浴場を備えたビジターセンター。地下1階では山岳写真家・小池潜の写真展を常時開催[34]。売店、喫茶店、露天風呂「神宝乃湯」などがある[35]。
-
西穂高口駅展望台から望む西穂高岳
-
西穂高口駅展望台の「山びこポスト」
脚注
編集- ^ 名鉄グループ 業種別リスト - 旅行・レジャー 名古屋鉄道、2023年3月21日閲覧。
- ^ “飛騨・高山エリアでは新穂高ロープウェイ等…名鉄グループが地元の観光地を楽しむ旅行プラン『ジモ旅』PR”. ニュースOne (2021年10月27日). 2021年10月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月5日閲覧。
- ^ 会社概要 奥飛観光開発株式会社、2023年3月21日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 中島信『絶景!日本全国ロープウェイ・ゴンドラ コンプリートガイド』扶桑社、2017年9月10日、116-117頁。ISBN 978-4-594-07781-5。
- ^ a b c d e 国土交通省鉄道局 (監修)『令和三年度鉄道要覧』電気車研究会、2021年10月1日、375頁。ISBN 978-4-88548-134-5。
- ^ a b “令和3年度北アルプス岐阜県側冬山安全登山マップ”. 岐阜県中部山岳国立公園 岐阜県中部山岳国立公園活性化推進協議会事務局. 2023年8月10日閲覧。
- ^ a b c “新穂高ロープウェイのご紹介”. 岐阜県中部山岳国立公園 岐阜県中部山岳国立公園活性化推進協議会事務局. 2023年8月10日閲覧。
- ^ “新穂高ロープウェイについて”. 新穂高ロープウェイ. 2023年8月10日閲覧。
- ^ a b c d e “国内唯一の2階建てロープウェー引退 地球11周分運行”. 朝日新聞デジタル. (2020年5月27日). オリジナルの2020年5月27日時点におけるアーカイブ。 2022年3月5日閲覧。
- ^ 新穂高ロープウェイの公式フェイスブック
- ^ a b c d “新2階建てゴンドラ取り付け 新穂高ロープウェイ”. 中日新聞Web. (2020年6月26日). オリジナルの2020年9月16日時点におけるアーカイブ。 2022年3月5日閲覧。
- ^ a b c d e f “日本唯一の「2階建て」ゴンドラがリニューアル 新穂高ロープウェイ開業50周年で”. 乗りものニュース (2020年7月21日). 2022年3月5日閲覧。
- ^ 「2階建てゴンドラ刷新」『中日新聞朝刊』中日新聞社、2019年7月13日、[要ページ番号]。
- ^ a b “新穂高の「2階建てゴンドラ」 観光客なき引退式”. 岐阜新聞Web (岐阜新聞社). (2020年5月27日). オリジナルの2020年6月6日時点におけるアーカイブ。 2022年3月5日閲覧。
- ^ a b c “新穂高ロープウェイ山頂駅周辺を一体開発 デッキ整備、眺望楽しみ飲食”. 岐阜新聞 (2022年5月18日). 2022年5月18日閲覧。
- ^ “北アルプスの絶景一望、展望デッキオープン 新穂高ロープウェイの山頂エリア”. 岐阜新聞 (2022年10月19日). 2022年10月19日閲覧。
- ^ a b c “新穂高ロープウェイ 山頂エリア西穂高口駅のリニューアルを実施します”. 名古屋鉄道株式会社広報部. 2023年8月10日閲覧。
- ^ “新穂高ロープウェイ西穂高口駅、土産ショップリニューアル オオシラビソのアロマなど限定アイテム充実”. 岐阜新聞. 2024年4月23日閲覧。
- ^ 新穂高ロープウェイ公式ホームページ「ゴンドラの歴史」
- ^ 『鉄道ジャーナル』第32巻第10号、鉄道ジャーナル社、1998年10月、87頁。
- ^ “運行中ゴンドラ破損 新穂高ロープウェイ、支柱と接触”. 岐阜新聞Web (2015年1月21日). 2015年1月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月5日閲覧。
- ^ “第2ロープウェイ、31日再開へ 事故で運休の新穂高”. 朝日新聞デジタル (2015年1月27日). 2015年1月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月5日閲覧。
- ^ “新穂高第1ロープウェイ、20日再開へ 1月に衝突事故”. 朝日新聞デジタル (2015年3月17日). 2015年3月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月5日閲覧。
- ^ “新穂高ロープウェイ 平日営業再開のお知らせ”. 新穂高ロープウェイ. 2024年11月7日閲覧。
- ^ “ライトアップ中止、酒蔵巡り延期 コロナ第6波で飛騨の観光関係者は落胆”. 中日新聞Web. (2022年2月12日). オリジナルの2022年2月12日時点におけるアーカイブ。 2022年3月5日閲覧。
- ^ “白銀の壁「雪の回廊」がお出迎え 新穂高ロープウェイ駅に登場”. 岐阜新聞Web. (2022年2月13日). オリジナルの2022年2月13日時点におけるアーカイブ。 2022年3月5日閲覧。
- ^ 「新穂高ロープウェイが3月14日から平日運行を再開」『山と渓谷オンライン』2022年3月9日。2024年11月7日閲覧。
- ^ “メンテナンス工事期間中における第1ロープウェイ等の営業について”. 新穂高ロープウェイ. 2024年11月7日閲覧。
- ^ “メンテナンス工事に伴うロープウェイ運行計画について”. 新穂高ロープウェイ. 2024年11月7日閲覧。
- ^ “新穂高ロープウェイ 『星空観賞便』”. 飛騨高山旅ガイド. (一社)飛騨・高山観光コンベンション協会. 2024年11月9日閲覧。
- ^ “星空観賞便”. 新穂高ロープウェイ. 2024年11月9日閲覧。
- ^ 『4/1ダイヤ改正と、一部路線の廃止について』(PDF)(プレスリリース)濃飛乗合自動車、2021年3月4日 。2022年3月5日閲覧。
- ^ 『令和3年4月1日(木)乗合バスダイヤ改正【3/23追記】』(プレスリリース)富山地方鉄道、2021年3月23日 。2022年3月5日閲覧。
- ^ “新穂高ロープウェイ施設のご案内”. 奥飛観光開発株式会社. 2017年5月3日閲覧。
- ^ “新穂高ロープウェイ”. ライブリー信州 2011年. 2020年6月16日閲覧。[リンク切れ]
関連項目
編集外部リンク
編集- 新穂高ロープウェイ - 公式ウェブサイト
- 新穂高ロープウェイ (@rwsoumu) - X(旧Twitter)
- 新穂高ロープウェイ (shinhotaka.ropeway) - Facebook
- 新穂高ロープウェイ shinhotakaropeway (@shinhotaka.ropeway) - Instagram
- 新穂高ロープウェイ - YouTubeチャンネル
- 奥飛観光開発株式会社 - 運営会社