市村 眞一(いちむら しんいち[2]1925年3月30日[2][3] - 2024年7月3日)は、日本の経済学者[2]京都大学名誉教授、大阪国際大学名誉教授、国際東アジア研究センター名誉顧問、東アジア経済学会名誉顧問。Ph.D.マサチューセッツ工科大学、1953年)[3]経済学博士大阪大学、1961年)[4]。論文の題は「日本経済の構造」[5]。専門は経済発展論(低開発国問題)、アジア経済学、計量経済学Econometric Societyのフェロー(1962年‐)。

市村眞一
生誕 (1925-03-30) 1925年3月30日
京都市下京区三哲通猪熊西入
死没 (2024-07-03) 2024年7月3日(99歳没)
研究機関 国際東アジア研究センター
京都大学
大阪大学
和歌山大学
研究分野 経済発展
計量経済学
母校 マサチューセッツ工科大学
京都大学
博士課程
指導教員
ポール・サミュエルソン[1]
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京都市出身[3]。妻の父は近藤伝八陸軍大佐[6][7]

人物

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評価

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  • 原洋之介は、市村が東アジア共同体について、西洋諸国が「ヨーロッパ人」という意識を共有したような意識を東アジア諸国が共有できなければ、アジアの一体化はユートピアでしかなく、アジアの一体化は多くの対立・困難を乗り越えなければならず、数世代の時間がかかる長い道のりであり、そのためには相互理解を深める必要があり、「アジアの多くの国で、偉大な指導者が再登場し、近代化への障害という壁を乗り越えない限り、アジアは新しい世界秩序の中で重要な役割を果たすことはできないであろう」と述べている[12]として、理想主義的であり現実主義的でもある指摘は、決して忘れてはならない最も基本的な立脚点を提示していると評している[9]
  • 長尾信吾広島大学名誉教授)は、アジア経済に対する市村の視覚には、「政治的視点からも経済を視る」「経済学者の分析には、ロゴスパトスが必要である」という独自点があり、「貧困アジアの研究に身を投じた数量経済学のエキスパートにふさわしい」として、市村の著書を「確かに本書では『政治的視点』も『パトス』も、十分にその役割を果たしているように思われる。ときにパトスの『ほとばしり』を見るとしても」と評している[13]
  • 京都大学東南アジア地域研究研究所の後輩に当たる三重野文晴は市村を以下のように高く評している[14]

市村真一先生(京都大学名誉教授、東南アジア研究所元所長(1969-1979))は、東南アジア研究センター(東南アジア研究所の前身)の設立間もない1968年にセンターに着任され、その翌年の69年から10年間、所長としてあらゆる面における研究基盤の構築に尽力してこられた。市村先生は日本人として戦後米国で経済学博士号(MIT Ph.D)を得た第一世代の経済学者として、動学的成長論や日本経済のマクロ計量モデル分析で卓越した業績をあげられた後、センター設立に参画された。そして経済学や社会科学に軸足をおくとともに、幅広い観点から、複合領域たる東南アジア地域研究とその研究基盤の構築をリードしてこられた。その尽中の成果は日本の東南アジア研究の源流の一つを形づくったことにとどまらず、アジア諸国間や日米間におけるアジア研究の相互交流にも及んでいる。

— 三重野文晴[14]

略歴

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学外における役職
  • Econometric Society Council Member(1967年1月から1973年12月まで)[3]
  • 国連開発計画委員会委員(現:開発政策委員会英語版)(1972年から1990年まで)
  • 東アジア経済学会 (EAEA: The East Asian Economic Association) 会長(1992年から2002年まで)
  • 社団法人日本教育会会長(1983年から1990年まで)

研究課題

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  • アジア、太平洋諸国の計量モデル
  • 中国の地域間産業連関表の作成
  • 日本とアジアの経験に基づく「発展の政治経済学」

著書

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  • 『欧米の教育と日本の教育』(創文社 1964年)
  • 『日本経済の構造 産業連関分析』(創文社 1969年)
  • 『試練に立つ経済大国』(日本経済新聞社 1970年)
  • 『現代をどうとらえるか-イデオロギーを超えて-』(講談社現代新書 1970年)
  • 『世界のなかの日本経済』(中公新書 1973年)
  • 『歴史の流れのなかに』(創文社 1976年)
  • 『日本経済の進路を索めて』(創文社 1985年)
  • 『教育の正常化を願って』(創文社 1985年、増補版1990年)
  • 『日本とアジア発展の政治経済学』<ICSEAD叢書>(長尾信吾訳、創文社 2003年)
  • 『激変するアジア情勢と中国及び日本の国家戦略』(國民會館<國民會館叢書>、2004年)
  • 『経済学の基礎-経済循環の構造と計測-』(創文社 2005年)
  • 『日本の教育をまもるもの 続・教育の正常化を願って』(創文社 2005年)
  • 皇室典範を改正しなければ、宮家が無くなる』(藤原書店 2012年)
  • 『日本とアジア 経済発展と国づくり』(藤原書店 2022年)
  • 『師恩友益 一経済学者の交友の想い出』(藤原書店 2023年)

編著

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  • 『現代人のための名著』(会田雄次永井陽之助宇野精一との編著、講談社現代新書 1968年)
  • 『日本経済の計量分析-リーディングス-』(建元正弘との編著、東洋経済新報社 1970年)
  • 『共産圏諸国の政治経済の動向』(猪木正道との編著、創文社 1974年)
  • 『東南アジアを考える』(創文社 1974年)
  • 『東南アジアの経済発展』<東南アジア研究叢書>(創文社 1975年)
  • 『日本企業インアジア-ビジネスマンの見た東南アジア-』(東洋経済新報社<東経選書> 1980年)
  • 『日本の教育・理想と苦悩』(創文社 1981年)
  • 『アジアに根づく日本的経営』(東洋経済新報社<東経選書> 1988年)
  • 『ゼミナール・現代日本の政治経済』(高坂正堯との編著、PHP研究所 1988年)
  • 『中国から見た日本的経営』(東洋経済新報社 1998年)
  • 『中国経済の地域間産業連関分析』<ICSEAD叢書>(王慧烔との編著、創文社 2004年)
  • 『中国の計量経済学モデル』<ICSEAD叢書>(ローレンス・クラインとの編著、創文社 2006年)
  • 『日本経済のマクロ計量分析』(ローレンス・クラインとの編著、日本経済新聞出版社 2011年)

共著

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  • 『今昔秀歌百撰』(特定非営利活動法人文字文化協會 2012年)
編者は他に岡崎久彦蔡焜燦遠藤浩一藍川由美福田逸高島俊男桶谷秀昭稲田朋美鷲尾英一郎小堀桂一郎笹原宏之松本徹早川聞多土田龍太郎

訳書・英文

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  • アレクサンダー・エクスタイン他編『中国の経済発展』<東南アジア研究叢書>(監訳、創文社、1979年)
  • (co-edited with Roy Bahl) Decentralization Politics in Asian Development (London: World Scientific, 2009)

関連項目

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脚注

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  1. ^ Ichimura, Shinichi (1953). An inquiry into non-linear macro-dynamic theories of economic fluctuations (Ph.D. thesis). MIT. 2017年3月5日閲覧
  2. ^ a b c 市村真一』 - コトバンク
  3. ^ a b c d e 「市村真一教授略歴」 『東南アジア研究』第25巻第3号、1987年
  4. ^ 国立国会図書館 NDL-OPAC(書誌 詳細表示)
  5. ^ 博士論文書誌データベース
  6. ^ 「語り継ぐ」 南京・真珠湾・落下傘”. 読売新聞社. 2013年5月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年11月30日閲覧。
  7. ^ 天皇陛下御在位20年奉祝に関する各界の取り組み 学界・文化界・芸能界一覧”. 天皇陛下御即位二十年奉祝委員会. 2017年12月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年12月2日閲覧。
  8. ^ a b 東南アジア研究 2016, p. 93
  9. ^ a b 東南アジア研究 2016, p. 100
  10. ^ 新しい歴史教科書をつくる会『新しい教科書誕生!!』PHP研究所、2000年8月1日、332頁。ISBN 978-4569612553 
  11. ^ 教科書改善の会が発足”. 教科書改善の会 (2007年8月1日). 2018年7月14日閲覧。
  12. ^ 東南アジア研究 2016, p. 99-100
  13. ^ 東南アジア研究 2016, p. 101
  14. ^ a b 三重野文晴 (2016年). “Newsletter : Center for Southeast Asian Studies, Kyoto University No.73” (PDF). CSEAS NEWSLETTER No.73 (京都大学東南アジア地域研究研究所): p. 10. http://www.cseas.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2016/04/cseas73_en.pdf 
  15. ^ 産経新聞「正論」メンバーの市村真一さん死去 99歳 アジア経済論”. イザ! (2024年7月13日). 2024年7月12日閲覧。

参考文献

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