山野之義

日本の政治家。金沢市長

山野 之義(やまの ゆきよし、1962年昭和37年〉3月30日[2] - )は、日本政治家自由民主党金沢支部最高顧問[3]金沢大学客員教授金沢市長(3期)、金沢市議会議員(4期)を歴任した。

山野 之義
やまの ゆきよし
内閣府地方創生推進室より公表された肖像
生年月日 (1962-03-30) 1962年3月30日(62歳)
出生地 日本の旗 日本 石川県金沢市
出身校 慶應義塾大学文学部仏文科
前職 ソフトバンク従業員
金沢市議会議員
所属政党自由民主党→)
無所属
称号 文学士慶應義塾大学1984年
公式サイト 山野ゆきよし 公式サイト

金沢市旗 第34-36代 金沢市長
当選回数 4回[1]
在任期間 2010年12月10日 - 2014年8月18日
2014年10月6日 - 2022年2月16日

当選回数 4回
在任期間 1995年5月2日 - 2010年11月9日
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来歴

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石川県金沢市生まれ。金沢市立中央小学校金沢市立野田中学校卒業。1980年3月、石川県立金沢泉丘高等学校卒業。1987年3月、慶應義塾大学文学部仏文科を卒業。1990年4月、ソフトバンクに入社。1994年8月31日、ソフトバンクを退社[4]

1995年4月の金沢市議会議員選挙に立候補し初当選。以後連続4選。市議時代は自民党に所属した。

金沢市長に初当選

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2010年11月9日に市議を辞職。自民党を離党した上で自民党金沢支部・日本創新党の推薦を受けて金沢市長選挙に立候補。民主党県連・社民党県連・国民新党の推薦と公明党金沢総支部の支持を受けた現職の山出保を1364票差の僅差で破り、初当選した。

なお市長選の当時はまだネット選挙が解禁されていなかったが、金沢市選挙管理委員会によると、山野陣営のネット戦略担当者と山野の秘書が告示後にTwitterを利用して山野への投票を呼び掛ける運動を行っていた。市選管は公職選挙法に抵触するおそれがあるとして山野陣営に書き込みの削除などを求めたが、その後も投稿が続いたため石川県警に相談。県警は「ネット選挙解禁の方向で議論が進んでいることもあり判断が難しい」として対応を見送った[5][6][7]

12月10日に初登庁し、同日行われた引き継ぎでは前職の山出から「思い切ってやってください」と激励を受け、握手を交わした。市長としての初登庁について問われた山野は「身が引き締まる思い」との感想を述べた[8]

2014年の出直し市長選挙

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2014年6月17日に、同年11月頃に執行される予定の金沢市長選挙への再選立候補を表明[9]。ところがその後、競輪場外車券売場の金沢市内への設置計画に関して、設置を企図していたビル管理者のXに対して山野が経済産業省の許可後に設置に協力する旨の念書を与えた上で、2010年の市長選においてXの支援を受けていたことが発覚[10]。公職選挙法が禁じる利害誘導を行った疑いがあるとして批判が高まった[11]。また場外車券売場の設置が頓挫した後の2012年6月、Xに対して代替案として市のリサイクル関連施設の入居を提案し、同席していた自民党の高岩勝人市議から賃料月200万円の提示があったことも併せて判明し、特定業者の利益を図ろうとした疑いがあるとしてこちらにも批判が寄せられた[12]

自民・民主系など市議会の主要4会派が百条委員会の設置も辞さないとの構えを見せて進退を迫る中[11]8月18日に山野は記者会見を行い、「今回の問題に関して市民や議会に心配をかけたことに対してお詫びし、自らの政治的・道義的責任を取りたい」として任期途中で市長を辞職することを表明した。また自らの任期途中辞職に伴って執行される「出直し選挙」への立候補について、この時点では「考えが及ばない」として明言を避けていた[10]。同日、市議会は全会一致で山野の辞職を承認した[13]

9月1日、金沢市内の大学生らが山野の自宅を訪問し、出直し選挙への出馬を求める135人分の署名を手渡した[14]。同月3日、山野は記者会見を開いて出直し選挙への立候補を正式に表明。立候補の理由として「選挙で市民の審判を仰ぐべきという声が多かった」ことを挙げた[15]。また山野が再選した場合、本来の任期である同年12月9日までに再度市長選が行われることになるが、山野は「そのことも含め審判を仰ぐ」と述べた[16]

一方、同月9日付でリサイクル施設入居提案に関する背任未遂容疑での告発が石川県警に受理された[17]。なお場外車券売場設置問題とリサイクル施設入居提案問題に関して郷原信郎弁護士金沢大学法務研究科佐藤美樹教授は、いずれも山野の道義的・倫理的責任はあるとしつつも、前者は公選法違反の公訴時効が成立していること、後者は背任未遂の要件を満たさないことを理由として刑事責任は問えないとの見解を示している[18]

同年9月28日、自身の辞職に伴う金沢市長選挙に再び立候補。政党の推薦は受けなかったものの、山野を支持する一部の自民党市議や自民党県議から支援を受けた。10月5日、自民党・公明党推薦新人、民主党社民党推薦新人、共産党推薦新人3候補を大差で破り再選された[19]

辞職した当人が出直し選挙において再選されたため、2期目の任期は公職選挙法の規定により1期目の残り期間が満了する2014年12月9日までとなり、2014年11月23日に再び市長選挙告示された。この市長選挙には山野以外に立候補の届け出がなく、無投票で3選となった。金沢市長選の無投票は公選制となった1947年以降2回目のことであった。

2018年11月の市長選に自民党公明党国民民主党の推薦を受けて立候補し、共産党推薦の新人を破り4選。投票率は24.92%で、過去最低を記録した[20]

2022年1月13日、会見で同年3月に行われる石川県知事選挙への立候補を表明した[21]。24日、市議会議長に2月16日付の退職届を提出した[22]。2月16日、市長を退任した(同市長職務代理者は相川一郎副市長)。

3月13日の投開票の結果、元衆議院議員の馳浩に約8,000票差で敗れ次点で落選した。同年10月1日付でソフトバンクの戦略顧問に就任し、行政や大学のデジタル化を支援する業務を担当する[23]

9月1日付で金沢大学客員教授に就任した[24]

市政・活動

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育鵬社の教科書を採用
2015年5月25日に開かれた金沢市総合教育会議で、山野は教科書採択の方針などについて言及。「学習指導要領が改訂されたときに『神話を大切に』ということがあった。思わず私は膝を打った。国の成り立ちである神話をできるだけ子どもたちに分かりやすく伝えることが大切な方針ではないか」「私は偉人教育にずっとこだわってきた。人物に分かりやすく焦点が当たっているものを方針として考えてもいいかと思う」「日本語が最も美しいといわれているのは、五七調の言葉である。以前、議会の質問で、憲法について質問を受けた。やはり憲法を考える際、美しい日本語ということについても議論をしていってほしい」と述べた[25]。この発言が教科書採択への示唆を与えたとの指摘が地元の教育関係者から挙がる[26]。山本由起子市議は市議会本会議で山野に対し、「首長としての政治的中立性の則(のり)を超えたとの認識はないか」と質問した[27]
同年9月1日、金沢市教育委員会は、市立中学校24校で翌年から4年間使う歴史の教科書に育鵬社版を採択したと発表した[28]。採択の会議では最終的に育鵬社と帝国書院の2社が残り、4対3で前者が決まった[27]
2020年夏、他社版に切り替える動きが全国で相次ぐも[29][30]、金沢市教委は同年9月1日、市立中学校で翌年から4年間使う歴史の教科書について、育鵬社版を引き続き採択したと発表した[31]
その他
  • 2018年11月28日バチカンパウロ6世記念ホールでローマ教皇フランシスコと謁見し、教皇を金沢市に招請した[32]。全国では、ローマ教皇と謁見した6人目の首長となった[32]
  • 同年4月28日、新型コロナウイルス対策の財源に充てるため、自身の5月から2021年3月までの月額給与を20%減額する条例案を市議会臨時会に提出した。副市長については10%減額する[33]。同日、同条例案は全会一致で可決された[34]
  • 同年12月、LGBTなど性的少数者のカップルが婚姻に相当する関係にあると認める「パートナーシップ宣誓制度」を2021年度中に導入すると発表[35]。同制度は7月1日に開始された[36]

不祥事

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  • 2020年3月25日、山野を支援する「山野ゆきよし金沢市校下後援会連合会」が政治団体の届け出をせずに市内の町会組織の会費を徴収していたとして、石川県警は同連合会の当時の幹部らを政治資金規正法違反容疑で書類送検した[37]

脚注

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  1. ^ うち1回は出直し選挙への立候補による当選のため、実質的な任期は3期。
  2. ^ 『全国歴代知事・市長総覧』日外アソシエーツ、2022年、184頁。
  3. ^ 自由民主党金沢支部
  4. ^ 市長プロフィール金沢市役所
  5. ^ “選挙:金沢市長選 当選の新人陣営、ツイッターで活動 選管注意無視、県警は沈黙”. 毎日新聞. (2010年12月12日). オリジナルの2010年12月12日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20101212201125/http://mainichi.jp/select/biz/news/20101212ddm041010046000c.html 2014年9月21日閲覧。 
  6. ^ “ツイッターで「逆転させて」 金沢市長選で陣営呼びかけ”. 朝日新聞. (2010年12月13日). オリジナルの2010年12月16日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20101216060621/http://www.asahi.com/politics/update/1213/OSK201012130053.html 2014年9月21日閲覧。 
  7. ^ “陣営ツイッター、選管指導従わず…金沢市新市長”. 読売新聞. (2010年12月13日). オリジナルの2010年12月13日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20101213195524/http://www.yomiuri.co.jp/election/local/news/20101212-OYT1T00351.htm 2014年8月18日閲覧。 
  8. ^ “山野・金沢市長:公約実現へ独自色 初登庁で意気込み /石川”. 毎日新聞. (2010年12月11日). オリジナルの2010年12月16日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20101216035445/http://mainichi.jp/area/ishikawa/news/20101211ddlk17010630000c.html 2014年8月18日閲覧。 
  9. ^ “山野氏が再選出馬表明 金沢市長選 「積極果敢に市政運営」”. 北國新聞. (2014年6月17日). http://www.hokkoku.co.jp/subpage/E20140617002.htm 2014年8月18日閲覧。 
  10. ^ a b “金沢市長:辞職願提出 場外車券場巡り業者に便宜で引責”. 毎日新聞. (2014年8月18日). http://mainichi.jp/select/news/20140818k0000e040158000c.html 2014年8月18日閲覧。 
  11. ^ a b “山野市長に進退迫る 金沢市議会主要4会派 車券売場問題で”. 北國新聞. (2014年8月15日). http://www.hokkoku.co.jp/subpage/H20140815102.htm 2014年8月18日閲覧。 
  12. ^ “「山野氏から賃料提示」 車券場代替で元管理者”. 中日新聞. (2014年9月13日). https://web.archive.org/web/20140913213317/http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2014091302100008.html 2014年9月21日閲覧。 
  13. ^ “金沢市長が辞職=市議会が全会一致で容認”. 時事通信. (2014年8月18日). http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2014081800546 2014年8月18日閲覧。 
  14. ^ “金沢の大学生が山野前市長に出馬要請 (01日)”. 北陸朝日放送. (2014年9月1日). http://www.hab.co.jp/headline/news0000013856.html 2014年9月21日閲覧。 
  15. ^ “支援者に便宜で辞職、出直し出馬する前金沢市長”. 読売新聞. (2014年9月2日). https://web.archive.org/web/20140909155837/http://www.yomiuri.co.jp/election/local/20140902-OYT1T50086.html 2014年9月21日閲覧。 
  16. ^ “山野氏が再出馬表明 激励受け「審判仰ぐ」”. 中日新聞. (2014年9月4日). https://web.archive.org/web/20140913145129/http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2014090402100005.html 2014年9月13日閲覧。 
  17. ^ “告発:山野前市長を背任未遂で 県警が受理 /石川”. 毎日新聞. (2014年9月11日). http://mainichi.jp/area/ishikawa/news/20140911ddlk17010374000c.html 2014年9月13日閲覧。 
  18. ^ “場外車券場問題 専門家が指摘”. 中日新聞. (2014年9月18日). http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2014091802100006.html 2014年9月21日閲覧。 
  19. ^ “金沢市長に山野氏再選 3新人破る、任期は2カ月”. 中日新聞. (2014年10月5日). https://web.archive.org/web/20141006122241/http://www.chunichi.co.jp/s/article/2014100501001800.html 2014年10月6日閲覧。 
  20. ^ “「チャンスつかめるまちに」 金沢市長 山野氏4選”. 中日新聞. (2018年11月13日). https://web.archive.org/web/20181114141354/http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2018111302100014.html 2018年11月14日閲覧。 
  21. ^ “石川知事選、山野之義・金沢市長も出馬表明…馳浩氏・山田修路氏と保守三つどもえに”. 読売新聞. (2022年1月13日). https://www.yomiuri.co.jp/election/local/20220113-OYT1T50250/ 2022年1月15日閲覧。 
  22. ^ 石川県知事、金沢市長選は同日に 山野氏、退職届を提出、2月16日辞職”. 北國新聞 (2022年1月25日). 2022年1月26日閲覧。
  23. ^ “山野之義前金沢市長、ソフトバンク戦略顧問に 10月から”. 北國新聞. (2022年9月5日). https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/843985 2022年9月5日閲覧。 
  24. ^ 山野前金沢市長が金大客員教授に”. 2023年2月5日閲覧。[リンク切れ]
  25. ^ 平成27年度第1回金沢市総合教育会議議事録” (PDF). 金沢市 (2015年5月25日). 2022年6月23日閲覧。
  26. ^ 育鵬社中学校歴史・公民教科書採択までの経過” (PDF). いしかわ教育総合研究所. 2022年6月23日閲覧。
  27. ^ a b 金沢市議会 平成27年9月 定例月議会 09月09日-02号”. 金沢市 会議録検索システム. 2022年6月23日閲覧。
  28. ^ “金沢市が育鵬社教科書を初採択 東京都小笠原村、山口、福岡などでも”. 産経新聞. (2015年9月1日). https://www.sankei.com/article/20150901-GWBY32UCMNILHHOEGJGTK6ZF4Q/ 2022年6月23日閲覧。 
  29. ^ 國枝すみれ (2020年9月22日). “安倍氏が支援した育鵬社教科書の採択が激減した理由 菅首相は…”. 毎日新聞. https://mainichi.jp/articles/20200921/k00/00m/040/185000c 2022年6月23日閲覧。 
  30. ^ 宮崎亮 (2020年10月11日). “歴史・公民、育鵬社版が激減 中学教科書、前回採択の半数以上が他社版に切り替え”. 朝日新聞. https://www.asahi.com/articles/DA3S14654658.html 2022年6月23日閲覧。 
  31. ^ 9月7日付、金沢市教育委員会に対する「育鵬社版歴史教科書を採択したことに抗議する」を発表しました”. 自由法曹団ホームページ (2020年9月7日). 2022年6月23日閲覧。
  32. ^ a b 「ローマ教皇を金沢に招請 山野市長 バチカンで謁見 右近の縁紹介、親書渡す」(2018年11月29日付北國新聞朝刊42面)2021年4月2日閲覧
  33. ^ 金沢市広報 号外第8号” (PDF). 金沢市役所 (2020年4月28日). 2020年11月17日閲覧。
  34. ^ 令和2年度 臨時第1回金沢市議会、6月定例月議会 審議結果” (PDF). 金沢市議会. 2020年11月17日閲覧。
  35. ^ 三井新 (2020年12月12日). “金沢市、同性パートナー制度導入へ 北陸初、来年度にも”. 朝日新聞. https://www.asahi.com/articles/ASNDC7HDGNDCPISC00W.html 2021年7月8日閲覧。 
  36. ^ 小佐野慧太 (2021年4月13日). “金沢市 7月導入目指す 同性カップルなど認定制度 基本方針案”. 中日新聞. https://www.chunichi.co.jp/article/235493 2021年7月8日閲覧。 
  37. ^ “市長後援会幹部、書類送検 金沢中署、政治資金法違反容疑で /石川”. 毎日新聞. (2020年3月27日). https://mainichi.jp/articles/20200327/ddl/k17/040/257000c 2020年4月5日閲覧。 

外部リンク

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公職
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