天塩弥生駅
天塩弥生駅(てしおやよいえき)は、北海道(上川支庁)名寄市字弥生にかつて存在した、北海道旅客鉄道(JR北海道)深名線の駅(廃駅)である。事務管理コードは▲121415[2]。
天塩弥生駅 | |
---|---|
駅跡に建つ駅舎を模した民宿(2017年9月17日) | |
てしおやよい Teshio-yayoi | |
◄北母子里 (15.6 km) (3.2 km) 西名寄► | |
所在地 | 北海道名寄市字弥生 |
所属事業者 | 北海道旅客鉄道(JR北海道) |
所属路線 | 深名線 |
キロ程 | 114.6 km(深川起点) |
電報略号 |
テヤ ハチ(改称前) |
駅構造 | 地上駅 |
ホーム | 1面1線(廃止時) |
開業年月日 | 1937年(昭和12年)11月10日[1] |
廃止年月日 | 1995年(平成7年)9月4日[1] |
備考 | 深名線廃線に伴い廃駅 |
歴史
編集- 1937年(昭和12年)11月10日 - 鉄道省名雨線の名寄駅 - 当駅間開通に伴い、初茶志内駅(はっちゃしない)として開業[3][4]。一般駅[5]。
- 1941年(昭和16年)10月10日 - 当駅 - 朱鞠内駅間が延伸開業し、全通。路線名を深名線に改称、それに伴い同線の駅となる。
- 1949年(昭和24年)6月1日 - 日本国有鉄道に移管。
- 1951年(昭和26年)7月20日 - 天塩弥生駅に改称[6]。
- 1960年(昭和35年)9月15日 - 貨物・荷物の取り扱いを廃止[1][7]。
- 1982年(昭和57年)3月29日 - 無人駅化[8][7][9]。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化により、JR北海道に継承[1]。
- 1995年(平成7年)9月4日 - 深名線の全線廃止に伴い、廃駅となる[4]。
駅名の由来
編集旧駅名の「初茶志内」は、アイヌ語の「ハッチャウㇱナイ(hat-cha-us-nay)」(ヤマブドウを・摘む・いつもする・沢〔=いつもそこでヤマブドウをとる沢〕)に由来する[3][10]。
その後、当駅が所在した地名から「弥生」の名称を採用し、既に幌内線に弥生駅があったことから旧国名の「天塩」を冠した[3][4][10]。
駅構造
編集廃止時点で、1面1線の島式ホーム(※片面使用)を有する地上駅であった。ホームは、線路の北側(名寄方面に向かって左手側)に存在した。分岐器を持たない棒線駅となっていた[11]。かつては1面2線の島式ホームを有する列車交換可能な交換駅であり、ここを始発・終着とする名寄駅からの区間列車も運転されていた。そのほか、駅舎側の線から駅舎側に分岐し駅舎東側の貨物ホームへの貨物側線を1線有していた[12]。使われなくなった駅舎側の1線は、交換設備運用廃止後は撤去された。貨物側線は1983年(昭和58年)4月時点では、分岐器が深川方、名寄方の両方向とも維持されていた形で残存していたが[12]、1993年(平成5年)までに撤去された[11]。ホーム前後の線路は分岐器の名残で湾曲していた[11]。
無人駅となっていたが、有人駅時代の駅舎が改築されて残っていた。駅舎は構内の北側に位置し、ホーム西側とを結ぶ通路で連絡した[11]。駅舎は無人化後縮小され、待合室部分のみの間口の狭い建物となっていた(1993年(平成5年)時点ではこの形状[11])。
利用状況
編集駅周辺
編集名寄市内の山間に位置した[12]。
- 北海道道798号西風連名寄線
- 弥生共同墓地
- 初茶志内山 - 駅の南。標高201m。
- ジェイ・アール北海道バス深名線「天塩弥生」停留所
駅跡
編集駅舎やホームは廃駅後しばらく放置された後、1998年(平成10年)に全て解体され、駅跡地は整地された。2000年(平成12年)時点では跡地が残るのみで[13]、2010年(平成22年)時点では民家の裏の荒廃した空き地となっていた[14]。2011年(平成23年)時点では駅附近の線路跡が確認でき、バラストが残存していた[15]。駅名標のレプリカが名寄市の「名寄市北国博物館」にキマロキ編成とともに保存されている[15]。
2015年(平成27年)、ある夫妻が天塩弥生駅跡地と周辺の土地を名寄市から購入し、2016年(平成28年)3月26日から「天塩弥生駅」の屋号で、昭和40年代までに建設された道内の駅舎をイメージした民宿を営業している[16][17][18]。
隣の駅
編集脚注
編集- ^ a b c d 石野哲 編『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 II』(初版)JTB、1998年10月1日、848頁。ISBN 978-4-533-02980-6。
- ^ 日本国有鉄道営業局総務課 編『停車場一覧 昭和41年3月現在』日本国有鉄道、1966年、224頁。doi:10.11501/1873236 。2022年12月10日閲覧。
- ^ a b c 『北海道 駅名の起源』(第1版)日本国有鉄道北海道総局、札幌市、1973年3月25日、115頁。ASIN B000J9RBUY。
- ^ a b c 太田幸夫 (2004-02-29). 北海道の駅 878ものがたり ~駅名のルーツ探求~ (1 ed.). 札幌市: 富士コンテム. p. 195. ISBN 4-89391-549-5
- ^ 大蔵省印刷局(編)「鉄道省告示 第418号」『官報』第3253号、国立国会図書館デジタルコレクション、1937年11月4日。
- ^ 「日本国有鉄道公示第176号」『官報』1951年7月14日(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ^ a b 『新名寄市史 第2巻』名寄市史編さん委員会、2000年11月、434頁。
- ^ 「通報 ●深名線上多度志駅ほか9駅の駅員無配置について(旅客局)」『鉄道公報』日本国有鉄道総裁室文書課、1982年3月29日、3面。
- ^ 「天塩弥生駅など無人化に あすから営業近代化 ローカル線廃止への不安も」『名寄新聞』1982年3月28日。
- ^ a b 太田幸夫 (2004-02-29). 北海道の駅 878ものがたり ~駅名のルーツ探求~ (1 ed.). 札幌市: 富士コンテム. p. 195. ISBN 4-89391-549-5
- ^ a b c d e f 書籍『JR・私鉄全線各駅停車1 北海道630駅』(小学館、1993年6月発行)77ページより。
- ^ a b c d 書籍『国鉄全線各駅停車1 北海道690駅』(小学館、1983年7月発行)206ページより。
- ^ 書籍『鉄道廃線跡を歩くVII』(JTBパブリッシング、2000年1月発行)36ページより。
- ^ 書籍『新 鉄道廃線跡を歩く1 北海道・北東北編』(JTBパブリッシング、2010年4月発行)43ページより。
- ^ a b 書籍『北海道の鉄道廃線跡』(著:本久公洋、北海道新聞社、2011年9月発行)180-181ページより。
- ^ 「天塩弥生駅復活へ 名寄の富岡さん夫妻 多くの人つながる場に レストラン・ゲストハウス来春オープン」名寄新聞2015年11月23日
- ^ 「昭和の駅舎を再現する民宿 元鉄道マンのこだわりに応える」北海道住宅新聞2015年9月25日
- ^ 「天塩弥生駅 ランチと宿泊の営業スタート ファンらが開業を祝福 鉄道の話題でにぎわい見せる」『名寄新聞』2016年3月29日。