南條竹則
人物・来歴
編集東京都中央区日本橋本石町生まれで、原宿・浅草千束で育つ[1]。曾祖父は辰野安五郎という千葉県会議員で、裕福な家で女中に育てられた[2][要ページ番号]。開成中学校・高等学校を経て[1]、東京大学文学部西洋史学科卒、同大学院英語英文学修士課程修了。
早稲田大学に在学中だった東雅夫・石堂藍らが創刊した「幻想文学会」や雑誌「季刊 幻想文学」に、南條も在学中から参加、英国小説の翻訳や並木 二郎の名で評論を行い、倉阪鬼一郎らとも知り合う。
1993年、『酒仙』で第5回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞[3]。以後、中国文学に取材した作品も含め幻想小説を多数発表している。温泉逗留、海外旅行を趣味としており、特に中国の食文化への関心が深い[4]。電気通信大学助教授だったが、作家、評論、翻訳に専念するため退職。
著書
編集- 『酒仙』(新潮社) 1993、のち新潮文庫 1996
- 『満漢全席 - 中華料理小説』(集英社) 1995、のち集英社文庫 1998
- 『虚空の花』(筑摩書房) 1995
- 『遊仙譜』(新潮社) 1996
- 『セレス』(講談社) 1999
- 『恐怖の黄金時代 - 英国怪奇小説の巨匠たち』(集英社新書) 2000、のち増補改題『怪奇三昧 英国恐怖小説の世界』(小学館クリエイティブ) 2013
- 『ドリトル先生の英国』(文春新書) 2000
- 『蛇女の伝説 - 「白蛇伝」を追って東へ西へ』(平凡社新書) 2000
- 『あくび猫』(文藝春秋) 2000
- 『猫城』(東京書籍) 2001
- 『幻想秘湯巡り』(同朋舎) 2001、のちKindle版(惑星と口笛ブックス) 2017
- 『寿宴』(講談社) 2002
- 『中華満喫』(新潮選書) 2002
- 『魔法探偵』(集英社) 2004
- 『悪魔聖誕 デビルマンの悪魔学』(ジャイブ) 2004
- 『中華文人食物語』(集英社新書) 2005。新編・中公文庫 2024.6
- 『りえちゃんとマーおじさん』(ソニーマガジンズ) 2006
- 『鬼仙』(中央公論新社) 2006
- 『悲恋の詩人ダウスン』(集英社新書) 2008
- 『美人料理』(中央公論新社) 2008
- 『飽食終日宴会奇譚』(日本経済新聞出版社) 2009
- 『中華美味紀行』(新潮新書) 2009
- 『「悪魔学」入門 - 「デビルマン」を解剖する』(講談社) 2010
- 『人生はうしろ向きに』(集英社新書) 2011
- 『ドリトル先生の世界』(国書刊行会) 2011
- 『泥鰌地獄と龍虎鳳 中華料理秘話』(ちくま文庫) 2013 - 文庫オリジナル
- 『吾輩は猫画家である ルイス・ウェイン伝』(集英社新書ヴィジュアル版) 2015
- 『英語とは何か』(集英社インターナショナル新書) 2018
- 『ゴーストリイ・フォークロア 17世紀~20世紀初頭の英国怪異譚』(KADOKAWA) 2020
- 『酒と酒場の博物誌』(春陽堂書店) 2020
- 『花ちゃんのサラダ 昭和の思い出日記』(集英社新書) 2020
翻訳
編集- 『肉体と死と悪魔 ロマンティック・アゴニー』(マリオ・プラーツ、国書刊行会) 1986、新版 2000 - 訳者の一人
- 『泰西少年愛読本』(須永朝彦編、新書館) 1989 - 作品の共訳
- 『怪談の悦び』(H・R・ウェイクフィールド他、創元推理文庫) 1992
- 『妖魔の宴 フランケンシュタイン編 1』(ブライアン・オールディス他、竹書房文庫) 1992
- 『倫敦幽霊紳士録』(J・A・ブルックス、松村伸一共訳、リブロポート) 1993
- 『ドラマとしてのオペラ 名作オペラを検証する』(ジョーゼフ・カーマン、音楽之友社) 1994
- 『飲食男女』(アン・リー、監訳、新潮社) 1995
- 『怪しげな遺産』(メアリー・ウェズレー、集英社) 1995
- 『幽霊船』(リチャード・ミドルトン、国書刊行会) 1997
- 『アイス・ストーム』(リック・ムーディ、坂本あおい共訳、新潮文庫) 1998
- 『淑やかな悪夢 英米女流怪談集』(シンシア・アスキス他、倉阪鬼一郎, 西崎憲共編訳、東京創元社) 2000、のち創元推理文庫 2006
- 『マイセン 秘法に憑かれた男たち』(ジャネット・グリーソン、集英社) 2000
- 『ねじの回転 心霊小説傑作選』(ヘンリー・ジェイムズ、坂本あおい共訳、創元推理文庫) 2005
- 『イギリス恐怖小説傑作選』(編訳、ちくま文庫) 2005
- 『星々の生まれるところ』(マイケル・カニンガム、集英社) 2006
- 『アーネスト・ダウスン作品集』(岩波文庫) 2007
- 『天使の美酒 / 消えちゃった』(A・E・コッパード、光文社古典新訳文庫) 2009
- 『盗まれた細菌 / 初めての飛行機』(ウェルズ、光文社古典新訳文庫) 2010
- 『黒死荘の殺人』(カーター・ディクスン、高沢治共訳、創元推理文庫) 2012
- 『屋根の上の魚 リチャード・ミドルトン作品集』(盛林堂ミステリアス文庫) 2013
- 『不思議屋 / ダイヤモンドのレンズ』(フラン・オブライエン、光文社古典新訳文庫) 2014
- 『南方熊楠英文論考 〈ノーツアンドクエリーズ〉誌篇』(飯倉照平監修、松居竜五, 田村義也, 志村真幸, 中西須美, 前島志保共訳、集英社) 2014 - 訳者で参加
- 『胸の火は消えず』(メイ・シンクレア、編訳、共訳、創元推理文庫) 2014
- 『完訳 エリア随筆』全4巻(チャールズ・ラム、藤巻明註釈、国書刊行会) 2014 - 2017
- 『エリア随筆抄』(編訳、岩波文庫) 2022.10
- 『D・G・ロセッティ作品集』(松村伸一共編訳、岩波文庫) 2015
- 『カンタヴィルの幽霊 / スフィンクス』(オスカー・ワイルド、光文社古典新訳文庫) 2015
- 『小説ライムライト チャップリンの映画世界』(チャールズ・チャップリン、デイヴィッド・ロビンソン解説、上岡伸雄共訳、集英社) 2017.1
- 『ケンジントン公園のピーター・パン』(J・M・バリー、光文社古典新訳文庫) 2017.5
- 『怪談』(ラフカディオ・ハーン、光文社古典新訳文庫) 2018.7
- 『英国怪談珠玉集』(編訳、国書刊行会) 2018.7
- 『紫の雲』(M・P・シール、アトリエサード、ナイトランド叢書) 2018.12
- 『消えた心臓 / マグヌス伯爵 好古家の怪談集』(M・R・ジェイムズ、光文社古典新訳文庫) 2020.6
- 『手招く美女 怪奇小説集』(オリヴァー・オニオンズ、高沢治, 館野浩美共訳、国書刊行会) 2022.2
- 『カーミラ レ・ファニュ傑作選』(J・S・レ・ファニュ、光文社古典新訳文庫) 2023.12
アーサー・マッケン
編集ヒュー・ロフティング
編集- 『ガブガブの本 『ドリトル先生』番外篇』(ヒュー・ロフティング、国書刊行会) 2002
- 『ドリトル先生アフリカへいく』(ヒュー・ロフティング、集英社) 2008
- 『タブスおばあさんと三匹のおはなし』(ヒュー・ロフティング、集英社) 2010
- 『トミーとティリーとタブスおばあさん』(ヒュー・ロフティング、集英社) 2012
G・K・チェスタトン
編集- 『木曜日だった男 一つの悪夢』(G・K・チェスタトン、光文社古典新訳文庫) 2008
- 『ブラウン神父の無心』(G・K・チェスタトン、坂本あおい共訳、ちくま文庫) 2012
- 『ブラウン神父の知恵』(G・K・チェスタトン、坂本あおい共訳、ちくま文庫) 2016.1
- 『詩人と狂人たち ガブリエル・ゲイルの生涯の逸話』(G・K・チェスタトン、創元推理文庫) 2016.11
- 『ポンド氏の逆説 新訳版』(G・K・チェスタトン、創元推理文庫) 2017.10
- 『奇商クラブ 新訳版』(G・K・チェスタトン、創元推理文庫) 2018.11
- 『知りすぎた男』(G・K・チェスタトン、創元推理文庫) 2020.5
- 『裏切りの塔』(G・K・チェスタトン、創元推理文庫) 2021.5
- 『マンアライヴ』(G・K・チェスタトン、創元推理文庫) 2023.1
ロバート・ルイス・スティーヴンソン
編集- 『新アラビア夜話』(スティーヴンスン、坂本あおい共訳、光文社古典新訳文庫) 2007
- 『爆弾魔 新アラビア夜話 続』(R・L・スティーヴンソン, ファニー・スティーヴンソン、国書刊行会) 2021.4
- 『臨海楼綺譚 新アラビア夜話 第2部』(スティーヴンスン、光文社古典新訳文庫) 2022.4
アルジャノン・ブラックウッド
編集- 『地獄 英国怪談中篇傑作集』(ウォルター・デ・ラ・メーア, メイ・シンクレア, アルジャノン・ブラックウッド、坂本あおい共訳、メディアファクトリー) 2008
- 『秘書綺譚 ブラックウッド幻想怪奇傑作選』(アルジャーノン・ブラックウッド、光文社古典新訳文庫) 2012
- 『人間和声』(アルジャーノン・ブラックウッド、光文社古典新訳文庫) 2013
H・P・ラブクラフト
編集- 『インスマスの影 クトゥルー神話傑作選』(H・P・ラヴクラフト、新潮文庫) 2019.7
- 『狂気の山脈にて クトゥルー神話傑作選』(ラヴクラフト、新潮文庫) 2020.12
- 『アウトサイダー クトゥルー神話傑作選』(ラヴクラフト、新潮文庫) 2022.7
脚注
編集- ^ a b ACCほっとタウン2015年8月号 (PDF)
- ^ 『花ちゃんのサラダ』
- ^ 南條竹則 | 著者プロフィール | 新潮社(2020年8月21日閲覧)
- ^ 編著で『珍饌会 露伴の食』がある。講談社文芸文庫、2019