ルヴァンスレーヴ
ルヴァンスレーヴ(欧字名:Le Vent Se Leve、2015年1月26日 - )は、日本の競走馬、種牡馬[1]。主な勝ち鞍は2017年の全日本2歳優駿、2018年のジャパンダートダービー、マイルチャンピオンシップ南部杯、チャンピオンズカップ。
ルヴァンスレーヴ | ||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
第19回チャンピオンズカップ優勝時 (2018年12月2日) | ||||||||||||||||||
欧字表記 | Le Vent Se Leve[1] | |||||||||||||||||
品種 | サラブレッド[1] | |||||||||||||||||
性別 | 牡[1] | |||||||||||||||||
毛色 | 鹿毛[1] | |||||||||||||||||
生誕 | 2015年1月26日[1] | |||||||||||||||||
抹消日 | 2020年8月27日 | |||||||||||||||||
父 | シンボリクリスエス[1] | |||||||||||||||||
母 | マエストラーレ[1] | |||||||||||||||||
母の父 | ネオユニヴァース[1] | |||||||||||||||||
生国 | 日本(北海道白老町)[1] | |||||||||||||||||
生産者 | (有)社台コーポレーション白老ファーム[1] | |||||||||||||||||
馬主 | (株)G1レーシング | |||||||||||||||||
調教師 | 萩原清(美浦)[1] | |||||||||||||||||
競走成績 | ||||||||||||||||||
タイトル |
JRA賞最優秀ダートホース(2018年) NARダートグレード競走特別賞(2018年) | |||||||||||||||||
生涯成績 |
10戦7勝[1] 中央:5戦4勝 地方:5戦3勝 | |||||||||||||||||
獲得賞金 |
2億9144万4000円[1] 中央:1億6344万4000円 地方:1億2800万円 | |||||||||||||||||
WBRR | M118 / 2018年[2] | |||||||||||||||||
|
馬名の意味はフランス語で「風立ちぬ」[3]。2018年のJRA賞最優秀ダートホースで、同年のNARグランプリダートグレード競走特別賞を受賞した。
戦績
編集2歳(2017年)
編集2017年8月13日新潟ダート1800mの新馬戦で1番人気で出走。スタートで出遅れたものの向正面で押し上げ、3コーナーで一気に先頭に立つと後続を引き離しビッグスモーキーに7馬身をつけて圧勝、デビュー戦を飾る[4]。10月14日東京のプラタナス賞は中団待機から直線で楽に先頭に立つとソリストサンダーに2馬身半差をつけてデビュー2連勝となる[5]。そして12月13日川崎の全日本2歳優駿は最後方追走から3コーナー付近でスパートし、直線半ばで先頭に立つと外から追い上げたドンフォルティスの追撃を振り切り、無敗でJpnI初制覇をあげた[6]。
3歳(2018年)
編集4月1日中山の伏竜ステークスから始動。ミルコ・デムーロが同日の阪神で騎乗[注 1]するため内田博幸に乗り替わってのレースとなったが、粘るドンフォルティスを差し切れず2着となった[7]。続く6月17日東京のユニコーンステークスにはドンフォルティスが出走しないこともあって前走に引き続き1番人気に推され、直線で先頭に抜け出すと後続に0.6秒差をつける圧勝を飾った[8]。その後7月11日大井のジャパンダートダービーに出走し、最後の直線で大外から先行集団を差し切って優勝[9]。史上初めて全日本2歳優駿・ユニコーンS・ジャパンDダービーの3競走を制覇した[10]。
次走は10月8日盛岡のマイルチャンピオンシップ南部杯に参戦。初の古馬との対戦となったが、前走で2着に破ったオメガパフュームがシリウスステークスに勝利[11]、ユニコーンステークスで本馬に次ぐ2番人気だったグリムが白山大賞典を圧勝する[12]など、既に同世代の馬たちが古馬相手に重賞を勝利していることもあり、GI/JpnI4勝馬ゴールドドリームから僅差の2番人気に推された。レースではゴールドドリームと並ぶような形で中団から競馬を進め、直線で先頭に立つと後続の追走を振り切り、3歳馬として史上初めて同競走を制覇した[13]。
12月2日中京のチャンピオンズカップでは、出走を予定していたゴールドドリームが直前で筋肉痛により回避[14]したため、単勝オッズ1.9倍の圧倒的支持を受けた。これまでの中団待機策から一転して先行し、逃げたアンジュデジールを2番手から追走[15]。直線半ばで先頭に並びかけるとそのまま後続を突き放し、クロフネ、カネヒキリ、アロンダイトに次ぐ史上4頭目の3歳馬による同競走制覇を達成した[16]。また、3歳での古馬混合GI/JpnI2勝はタイキシャトルとシンボリクリスエスに並ぶ快挙となった。
この年はGI/JpnI3勝の成績を収め、2018年度JRA賞では276票中274票でJRA賞最優秀ダートホースに選出された[17]。また、JRA賞最優秀3歳牡馬の投票においても、有馬記念を勝ったブラストワンピース、ダービー馬ワグネリアンに次ぐ69票の支持を集めた[18]。
4歳(2019年)
編集2月17日東京のフェブラリーステークスからの始動を予定していたが、左前脚に軽度の不安を発症したため回避、あわせてドバイワールドカップへの登録も見送った[19]。その後は6月26日大井の帝王賞での復帰が発表されていた[20]が、再び左前脚に不安を発症したため回避[21]。上半期は全休となった。
その後も休養は長引き、2019年を出走なしで終える。
5歳(2020年)
編集5月5日船橋のかしわ記念で1年5ヵ月ぶりに復帰し、当年度のフェブラリーステークス優勝馬モズアスコットと人気を分け合う2番人気に推された。7頭立てとなったレースではスタートで出遅れた[22]ものの2番手まで位置を押し上げ、逃げるワイドファラオを追走したが、最後の直線で後退し5着に敗退。鞍上のデムーロは「1年5カ月ぶりということで、4角ではバテていました。ただ、馬の状態、走りは良かったので次は楽しみ」とコメントした[23]。
次走は6月24日大井の帝王賞に出走。デムーロがオメガパフュームに騎乗するため、ダミアン・レーンを鞍上に迎えての出走となった[24]。4番人気に推されたレースではクリソベリルの後ろに位置を取ったが、直線で失速し10着に敗れた[25]。
帝王賞後は追分ファームリリーバレーで秋へ向けた調整がなされていたが、8月17日に「本来のパフォーマンスを取り戻すのは難しい」として、現役引退が発表された[26]。引退後は社台スタリオンステーションで種牡馬入りする[26]。
競走成績
編集以下の内容は、netkeiba.comの情報[27]に基づく。
競走日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 距離(馬場) | 頭 数 |
枠 番 |
馬 番 |
オッズ (人気) |
着順 | タイム (上がり3F) |
着差 | 騎手 | 斤量 [kg] |
1着馬(2着馬) | 馬体重 [kg] |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2017. 8.13 | 新潟 | 2歳新馬 | ダ1800m(稍) | 15 | 5 | 9 | 3.4 (1人) | 1着 | 1:54.8(38.5) | -1.1 | M.デムーロ | 54 | (ビッグスモーキー) | 486 | |
10.14 | 東京 | プラタナス賞 | 500万下 | ダ1600m(不) | 11 | 6 | 6 | 1.4 (1人) | 1着 | R1:36.2(35.4) | -0.4 | M.デムーロ | 55 | (ソリストサンダー) | 486 |
12.13 | 川崎 | 全日本2歳優駿 | JpnI | ダ1600m(良) | 13 | 6 | 9 | 1.8 (1人) | 1着 | 1:41.6(38.2) | -0.2 | M.デムーロ | 55 | (ドンフォルティス) | 486 |
2018. 4. 1 | 中山 | 伏竜S | OP | ダ1800m(良) | 9 | 7 | 7 | 1.6 (1人) | 2着 | 1:54.9(36.6) | 0.2 | 内田博幸 | 57 | ドンフォルティス | 496 |
6.17 | 東京 | ユニコーンS | GIII | ダ1600m(重) | 16 | 7 | 14 | 2.3 (1人) | 1着 | 1:35.0(35.2) | -0.6 | M.デムーロ | 56 | (グレートタイム) | 488 |
7.11 | 大井 | ジャパンDダービー | JpnI | ダ2000m(良) | 14 | 1 | 1 | 2.2 (1人) | 1着 | 2:05.8(36.5) | -0.3 | M.デムーロ | 56 | (オメガパフューム) | 490 |
10. 8 | 盛岡 | マイルCS南部杯 | JpnI | ダ1600m(良) | 14 | 7 | 12 | 2.1 (2人) | 1着 | 1:35.3(35.3) | -0.2 | M.デムーロ | 55 | (ゴールドドリーム) | 488 |
12. 2 | 中京 | チャンピオンズC | GI | ダ1800m(良) | 15 | 2 | 2 | 1.9 (1人) | 1着 | 1:50.1(35.6) | -0.4 | M.デムーロ | 56 | (ウェスタールンド) | 490 |
2020. 5. 5 | 船橋 | かしわ記念 | JpnI | ダ1600m(良) | 7 | 7 | 7 | 2.5 (2人) | 5着 | 1:40.2(37.7) | 1.6 | M.デムーロ | 57 | ワイドファラオ | 499 |
6.24 | 大井 | 帝王賞 | JpnI | ダ2000m(重) | 14 | 2 | 2 | 8.6 (4人) | 10着 | 2:07.5(38.1) | 2.2 | D.レーン | 57 | クリソベリル | 485 |
- タイム欄のRはコースレコード勝ち(プラタナス賞は2歳コースレコード)を示す。
種牡馬時代
編集2021年に種牡馬入りした。初年度の種付け料は150万円で223頭に種付けを行い、国内の最多種付頭数となった[28]。
2024年より初年度産駒がデビュー。5月20日の名古屋競馬2歳新馬戦でエレインアスティ[29]が産駒初勝利した。
主な産駒
編集- 2022年産
- ソルジャーフィルド(2024年JBC2歳優駿)
- エレインアスティ(2024年ネクストスター名古屋)
血統表
編集ルヴァンスレーヴの血統 | (血統表の出典)[§ 1] | |||
父系 | ロベルト系 |
[§ 2] | ||
父 *シンボリクリスエス 1999 黒鹿毛 |
父の父 Kris S.1977 黒鹿毛 |
Roberto | Hail to Reason | |
Bramalea | ||||
Sharp Queen | Princequillo | |||
Bridgework | ||||
父の母 Tee Kay1991 黒鹿毛 |
Gold Meridian | Seattle Slew | ||
Queen Louie | ||||
Tri Argo | Tri Jet | |||
Hail Proudly | ||||
母 マエストラーレ 2006 鹿毛 |
ネオユニヴァース 2000 鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo | |
Wishing Well | ||||
*ポインテッドパス | Kris | |||
Silken Way | ||||
母の母 オータムブリーズ1998 鹿毛 |
*ティンバーカントリー | Woodman | ||
Fall Aspen | ||||
セプテンバーソング | *リアルシャダイ | |||
ダイナフェアリー | ||||
母系(F-No.) | ファンシミン系(FN:9-f) | [§ 3] | ||
5代内の近親交配 | Roberto 3×5=15.63%、Hail to Reason 4×5=9.38% | [§ 4] | ||
出典 |
叔母(母の半妹)にクイーン賞勝ち馬アイアンテーラー、いとこ(母の半妹の仔)にJBCクラシック・川崎記念・チャンピオンズカップ優勝馬チュウワウィザード、3代母の半弟に重賞4勝馬ローゼンカバリー。
社台グループの名牝系であるファンシミン系に属し、同じ牝系からはアドマイヤマックスやラインクラフト、ソングオブウインドなど活躍馬が多数輩出されている。また、いとこにはニコニコ動画の企画「リアルダービースタリオン」にて繁殖牝馬として供用されているシュシュブリーズがいる[33][34]。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c d e f g h i j k l m n “ルヴァンスレーヴ|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2022年6月29日閲覧。
- ^ “LONGINES WORLD'S BEST RACEHORSE RANKINGS 2018”. IFHA. 2022年1月8日閲覧。
- ^ “【チャンピオンズC】3歳が砂王!ルヴァンも「バケモン」”. スポーツニッポン. (2018年12月3日) 2019年3月5日閲覧。
- ^ 【新潟新馬戦】ルヴァンスレーヴが7馬身差V 昨年エピカリスに続き萩原厩舎から砂の新星誕生スポーツ報知、2017年12月13日閲覧
- ^ ルヴァンスレーヴが楽々とレコードV! 無傷2連勝!/プラタナス賞netkeiba.com、2017年12月13日閲覧
- ^ 【全日本2歳優駿】ルヴァンスレーヴが3連勝で戴冠サンケイスポーツ、2017年12月13日閲覧
- ^ “ドンフォルティスがルヴァンスレーヴを破って快勝!/伏竜S”. netkeiba.com 2018年7月19日閲覧。
- ^ “ルヴァンスレーヴが人気に応え圧勝! JRA重賞初V/ユニコーンS”. netkeiba.com 2018年7月19日閲覧。
- ^ “【ジャパンダートダービー】ルヴァンスレーヴが突き抜け3歳ダート王!”. netkeiba.com 2018年7月19日閲覧。
- ^ 斎藤修. “ダート戦線上半期を振り返る”. netkeiba.com 2018年7月19日閲覧。
- ^ “【シリウスS】オメガパフュームが古馬を破って重賞初制覇!/JRAレース結果”. netkeiba.com 2018年10月8日閲覧。
- ^ “【金沢・白山大賞典】JRA3歳馬グリムが逃げ切って5馬身差のレコードV/地方競馬レース結果”. netkeiba.com 2018年10月8日閲覧。
- ^ “【マイルCS南部杯】ルヴァンスレーヴが完勝! 3歳馬初の南部杯V!/地方競馬レース結果”. netkeiba.com 2018年10月8日閲覧。
- ^ “【チャンピオンズC】ゴールドドリームが右肩筋肉痛で回避 ルメール騎乗予定も…”. netkeiba.com 2018年12月2日閲覧。
- ^ “【チャンピオンズC 勝負の分かれ目】「ダートのアーモンドアイ」が初めての先行策で圧勝。「形」のない、この馬だけの強さを発揮”. netkeiba.com 2018年12月2日閲覧。
- ^ “【チャンピオンズC】3歳馬ルヴァンスレーヴ完勝! ダート界の頂点に輝く!/JRAレース結果”. netkeiba.com 2018年12月2日閲覧。
- ^ “最優秀ダート馬はルヴァンスレーヴ 12年ぶり3歳受賞”. スポーツニッポン 2019年1月10日閲覧。
- ^ “「2018年度JRA賞」各部門受賞馬および特別賞の決定について” (PDF). JRA広報室. 2021年12月27日閲覧。
- ^ “【JRA】ルヴァンスレーヴはフェブラリーS回避、ドバイワールドCも登録せず”. netkeiba.com 2019年3月23日閲覧。
- ^ “ルヴァンスレーヴ、復帰目標は帝王賞”. サンケイスポーツ. (2019年4月12日) 2019年6月18日閲覧。
- ^ “ルヴァンスレーヴ、左前脚不安で帝王賞を回避”. スポーツニッポン 2019年6月18日閲覧。
- ^ 斎藤修. “【かしわ記念回顧】スローの逃げが叶ってワイドファラオ”. netkeiba.com. 2020年5月6日閲覧。
- ^ “1年5カ月ぶりルヴァンスレーヴ5着/かしわ記念”. 日刊スポーツ 2020年5月6日閲覧。
- ^ “ルヴァンスレーヴは帝王賞でレーン騎手とコンビ”. サンケイスポーツ. (2020年6月5日) 2020年6月25日閲覧。
- ^ “【帝王賞レース後コメント】クリソベリル川田将雅騎手ら”. netkeiba.com 2020年6月25日閲覧。
- ^ a b “ルヴァンスレーヴが引退”. netkeiba.com 2020年8月17日閲覧。
- ^ “ルヴァンスレーヴ”. netkeiba.com. 株式会社ネットドリーマーズ. 2020年6月25日閲覧。
- ^ “2021年の種付情報の公開と各種雄馬の種付頭数”. 公益財団法人 ジャパン・スタッドブック・インターナショナル. 2021年12月17日閲覧。
- ^ “エレインアスティ | 競走馬データ”. netkeiba. 2024年6月6日閲覧。
- ^ a b c “血統情報:5代血統表|ルヴァンスレーヴ”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2017年12月24日閲覧。
- ^ “ルヴァンスレーヴの血統表”. netkeiba.com. 2017年12月24日閲覧。
- ^ 柏木集保. “青梅特別と高速コンディションが微妙に影響した展開/ユニコーンS”. netkeiba.com. 2018年7月14日閲覧。
- ^ 公益社団法人日本軽種馬協会. “シュシュブリーズ”. JBISサーチ. 2018年12月2日閲覧。
- ^ “シュシュブリーズ”. 『リアルダービースタリオン』公式サイト. 2018年12月2日閲覧。
外部リンク
編集- 競走馬成績と情報 netkeiba、スポーツナビ、KEIBA.GO.JP、JBISサーチ
- ルヴァンスレーヴ - 競走馬のふるさと案内所