ライト・ライブリフッド賞

1980年にスウェーデンで創設された国際的な賞

ライト・ライブリフッド賞(ライト・ライブリフッドしょう、英語:Right Livelihood Award)は、1980年スウェーデンの国会議員ヤコブ・フォン・ユクスキュル (Jakob von Uexkullにより創設された、「第二のノーベル賞」や「もう一つのノーベル賞」と称されることもある名誉ある国際的な賞である[1][2][3]

ライト・ライブリフッド賞
ライト・ライブリフッド賞
 スウェーデン
主催ライト・ライブリフッド賞財団
初回1980年
公式サイトhttp://www.rightlivelihood.org/

概要

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「現在のもっとも切羽詰まっている問題に対し実際的模範的な回答を示した者」を表彰する。主に環境保護人権問題、持続可能な開発、健康、平和などの分野にて活躍した人物、団体に授与されることが多い。

授賞は毎年12月第1週にストックホルムにある国会議事堂にて行われ、4人の受賞者が表彰される。4人のうち、1人が、金銭的サポートは必要ない名誉賞を受け取る。残りの3人は、合計約2万スウェーデン・クローナの賞金を受け取ることになる。この賞金は、個人的な使用へのものではなく、今後とも活動を続けていくために授与されるものである。

ノーベル賞とは以下の点で異なる。

  • 選考課程が公開されていないため公には候補者が存在しないノーベル賞と異なり、ノミネートの過程が公開されており、誰でも、「候補者」を推薦することができる。
  • ライト・ライブリフッド賞にはカテゴリはない。
  • 賞金はノーベル賞の5%に過ぎない。
  • アルフレッド・ノーベルの遺産から贈られるものではなく、またノーベル委員会とも関係がない。

ユクスキュルは、ライト・ライブリフッド賞を創設する前に、ノーベル財団に、ノーベル賞と同時に授与する新しい賞を作ろうと働きかけた。だが、1969年にはじまったノーベル経済学賞後に巻き起こった議論の後、ノーベル財団は、いかなる賞とも関係しないと決定していた。そこで、ユクスキュルの提案は却下され、彼は独自にライト・ライブリフッド賞を創設するに至った。

受賞者

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受賞者      
1980
ハッサン・ファトヒー   エジプト
プレンティ・インターナショナルPlenty International   アメリカ   グアテマラ   レソト
1981
マイク・クーリー英語版   イギリス
ビル・モリソン英語版   オーストラリア
パトリック・ヴァン・レンズバーグPatrick van Rensburg) / Education with Production   ボツワナ   南アフリカ
1982
エリック・ダンマン英語版/ Future in Our Hands   ノルウェー
アンワー・ファザール英語版   マレーシア
ペトラ・ケリー   西ドイツ
Participatory Institute for Development Alternatives   スリランカ
Sir George Trevelyan, 4th Baronet   イギリス
1983
レオポルド・コール英語版   オーストリア
エイモリー・ロビンス英語版, ハンター・ロビンス英語版 / Rocky Mountain Institute   アメリカ
マンフレッド・マックス=ニーフ英語版 / CEPAUR   チリ
High Chief Ibedul Gibbons and the People of Belau   パラオ
1984
イマネ・カリフェ英語版   レバノン
自営女性労働者協会 (SEWA) / エラ・バット   インド
Winefreda Geonzon / Free Legal Assistance Volunteers' Association (FREE LAVA)   フィリピン
ワンガリ・マータイ / グリーンベルト運動英語版   ケニア
1985
テオ・ファン・ボーヴェン英語版   オランダ
キャリー・ファウラー英語版 (Rural Advancement Fund International)   アメリカ
パット・ロイ・ムーニー英語版 (Rural Advancement Fund International)   カナダ
Lokayan / Rajni Kothari   インド
ドナウ川サークル英語版   ハンガリー
1986
ロベルト・ユンク英語版   オーストリア
ロザリー・バーテル英語版   カナダ
アリス・スチュワート英語版   イギリス
en:Ladakh Ecological Development Group / ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ英語版   インド
en:Evaristo Nugkuag / AIDESEP   ペルー
1987
ヨハン・ガルトゥング   ノルウェー
チプコ運動英語版   インド
ハンス・ペーター・デュル英語版 / Global Challenges Network   西ドイツ
en:Institute for Food and Development Policy / フランシス・ムア・ラッペ   アメリカ
モルデハイ・ヴァヌヌ   イスラエル
1988
en:International Rehabilitation Council for Torture Victims / en:Inge Genefke   デンマーク
ホセ・ルッツェンベルガー英語版   ブラジル
en:John F. Charlewood Turner   イギリス
ms:Sahabat Alam Malaysia / Mohammed Idris, en:Harrison Ngau Laing, en:Penan people   マレーシア
1989
生活クラブ事業連合生活協同組合連合会   日本
en:Melaku Worede   エチオピア
en:Aklilu Lemma / Legesse Wolde-Yohannes   エチオピア
サバイバル・インターナショナル英語版   イギリス
1990
アリス・テッパー・マーリン / Council on Economic Priorities   アメリカ
de:Bernard Lédéa Ouedraogo   ブルキナファソ
フェリシア・ランガー英語版   イスラエル
ATCC (Asociación de Trabajadores Campesinos del Carare)   コロンビア
1991
エドワード・ゴールドスミス   イギリス
en:Narmada Bachao Andolan   インド
ベングト・ダニエルソン と マリー=テレーズ・ダニエルソン (Marie-Thérèse Danielsson)   フランス領ポリネシア
ジェトン・アンジャイン英語版 / ロンゲラップ環礁の島民   マーシャル諸島
土地なし農民運動 / 土地司牧委員会ポルトガル語版   ブラジル
1992
en:Finnish Village Action Movement (Kylätoiminta)   フィンランド
en:Gonoshasthaya Kendra / ザフルッラー・チョードリ英語版   バングラデシュ
Helen Mack Chang   グアテマラ
ジョン・ゴフマン / アラ・ヤロシンスカヤ   アメリカ /   ウクライナ
1993
en:Arna Mer-Khamis / Care and Learning   イスラエル
en:Organisation of Rural Associations for Progress / Sithembiso Nyoni   ジンバブエ
ヴァンダナ・シヴァ   インド
西ショショーニ族地域のen:Mary Dann and Carrie Dann   アメリカ
1994
アストリッド・リンドグレーン   スウェーデン
SERVOL (Service Volunteered for All)   トリニダード・トバゴ
ハヌマッパ・スダルシャン英語版 / Vivekananda Girijana Kalyana Kendra(VGKK)   インドカルナータカ州
ケン・サロ=ウィワ / オゴニ民族生存運動   ナイジェリアオゴニ
1995
en:András Bíró / Hungarian Foundation for Self-Reliance   ハンガリー
en:Serb Civic Council   ボスニア・ヘルツェゴビナ
カルメル・ブディアルジョ英語版 / Tapol   インドネシア /   イギリス
スラック・シワラック英語版   タイ
1996
ハーマン・デイリー   アメリカ
ロシア兵士の母の委員会連合   ロシア
ケーララ民衆科学運動 (Kerala Sastra Sahitya Parishad)   インド
ジョージ・ヴィソルカス英語版   ギリシャ
1997
ジョセフ・キ=ゼルボ英語版   ブルキナファソ
高木仁三郎   日本
マイケル・シュナイダー   フランス
en:Michael Succow   ドイツ
en:Cindy Duehring   アメリカ
1998
乳児用食品国際行動ネットワーク英語版 (IBFAN)
サミュエル・エプスタイン   アメリカ
フアン・パブロ・オレゴ英語版   チリ
en:Katarina Kruhonja / Vesna Teršelič   クロアチア
1999
ヘルマン・シェーア英語版   ドイツ
フアン・ガルセス英語版   スペイン
COAMA (Consolidation of the Amazon Region)   コロンビア
Grupo de Agricultura Orgánica   キューバ
2000
en:Tewolde Berhan Gebre Egziabher   エチオピア
Munir Said Thalib   インドネシア
en:Birsel Lemke   トルコ
ウェス・ジャクソン   アメリカ
2001
ホセ・アントニオ・アブレウ   ベネズエラ
グーシュ・シャローム英語版 / Rachel Avnery, ウリ・アブネリ   イスラエル
レオナルド・ボフ   ブラジル
トライデント・プラウシェアズ英語版   イギリス
2002
マーティン・グリーン   オーストラリア
en:Kamenge Youth Centre (Centre Jeunes Kamenge)   ブルンジ
en:Kvinna Till Kvinna (Women for Women) - 戦争・紛争地域における女性支援基金   スウェーデン
マルティン・アルマダ   パラグアイ
2003
デビッド・ロンギ   ニュージーランド
ウォールデン・ベロ英語版 / ニカノール・ペルラス英語版   フィリピン
経済正義実践市民連合   韓国
SEKEM - イブラヒム アブーリーシュ英語版   エジプト
2004
スワミ・アグニヴェーシュ英語版 / Asghar Ali Engineer   インド
メモリアル英語版   ロシア
ビアンカ・ジャガー英語版   ニカラグア
ラウル・モンテネグロ英語版   アルゼンチン
2005
モード バーロウ英語版, トニー・クラーク英語版   カナダ
アイリーン・フェルナンデス英語版   マレーシア
ロイ・セサナ英語版 - First People of the Kalahari   ボツワナ
フランシスコ・トレド英語版   メキシコ
2006
ダニエル・エルズバーグ   アメリカ
ルース・マノラマ英語版   インド
チコ・ウィテカー英語版   ブラジル
メデジン国際詩祭英語版   コロンビア
2007
クリストファー・. ウィーラマントリー英語版   スリランカ
デッカ・イブラヒム・アブディ英語版   ケニア
パーシー・シュマイザー英語版, ルイーズ・シュマイザー   カナダ
グラミン・シャクティ   バングラデシュ
2008
クリシュナマル・ジャガナサン英語版 - Sankaralingam Jagannathan LAFTI   インド
エイミー・グッドマン   アメリカ
アシャ・ハジ・エルミ英語版   ソマリア
モニカ・ハウザー英語版   イタリア
2009
キャサリン・ハムリン英語版   オーストラリア
ルネ・ンゴンゴ英語版   コンゴ民主共和国
デヴィッド・スズキ   カナダ
アラン・ウェア英語版   ニュージーランド
2010
ンニモ・バッセイ英語版   ナイジェリア
en:Erwin Kräutler   オーストリア   ブラジル
en:Shrikrishna Upadhyay   ネパール
人権のための医師団英語版   イスラエル
2011
黄鳴   中国
ジャクリーヌ・ムーデイナ英語版   チャド
en:GRAIN
アイナ・メイ・ガスキン英語版   アメリカ
2012
武器貿易反対キャンペーン英語版   イギリス
ジーン・シャープ   アメリカ
tr:Hayrettin Karaca   トルコ
シマ・サマー英語版   アフガニスタン
2013
en:Paul F. Walker   アメリカ合衆国
ハンス・ルドルフ・ヘレン英語版 - en:Biovision International   スイス
ラージー・アッ=スーラーニー   パレスチナ国
デニ・ムクウェゲ   コンゴ民主共和国
2014
ビル・マッキベン英語版 and en:350.org   アメリカ合衆国
バジル・フェルナンド英語版 - アジア人権委員会英語版 (AHRC)   香港
アスマ・ジャハンギール   パキスタン
アラン・ラスブリッジャー   イギリス
エドワード・スノーデン   アメリカ合衆国
2015
トニー・デブルム英語版 - マーシャル諸島国民   マーシャル諸島[4]
シェイラ・ワット=クルーティエ英語版   カナダ[4]
カシャ・ナバゲセラ英語版   ウガンダ[4]
ジーノ・ストラーダイタリア語版 - エマージェンシー (組織)英語版   イタリア[4]
2016
日刊紙『ジュムフリイェトトルコ語版   トルコ[5]
シリア民間防衛隊(通称「ホワイト・ヘルメット」)   シリア[5]
人権活動家ムズン・ハサンドイツ語版   エジプト[5]
人権活動家スヴェトラーナ・ガヌシュキナロシア語版   ロシア[5]
2017
ロバート・ビロット英語版   アメリカ合衆国[6]
コリン・ゴンサルベス英語版   インド[6]
カディジャ・イスマユロヴァ英語版   アゼルバイジャン[6]
en:Yetnebersh Nigussie   エチオピア[6]
2018
テルマ・アルダナ英語版, イヴァン・ヴェラスケス・ゴメス英語版   グアテマラ /   コロンビア[7]
アブドッラー・アルハミド英語版, ワリード・アブルハイル英語版, ムハンマド・アルカタニ英語版   サウジアラビア[7]
ヤクバ・サワドゴ英語版   ブルキナファソ[7]
トニー・リナウド英語版   オーストラリア[7]
2019
人権擁護者アミナトウ・ハイダーアラビア語版英語版   西サハラ[8][9]
弁護士、人権擁護者郭建梅中国語版英語版   中国[8][9]
環境運動家グレタ・トゥーンベリ   スウェーデン[8][9]
ヤノマミ族著作家祈祷師、政治指導者ダヴィ・コペナワ・ヤノマミポルトガル語版英語版   ブラジル[8][9]
2020 ナスリン・ソトゥーデ英語版   イラン
ブライアン・スティーブンソン英語版   アメリカ合衆国
ロッティ・カニングハム・レンスペイン語版   ニカラグア
アレシ・ビャリャツキ   ベラルーシ
2021 Marthe Wandou   カメルーン
Vladimir Slivyak   ロシア
Freda Huson   カナダ
Legal Initiative for Forest and Environment (LIFE)   インド
2022 オレクサンドラ・マトイチュク   ウクライナ
市民自由センター
Fartuun Adan   ソマリア
Ilwad Elman
Africa Institute for Energy Governance (AFIEGO)   ウガンダ
Cecosesola (Central Coperativa de Servicios Sociales del Estado Lara)   ベネズエラ
2023 Eunice Brookman-Amissah   ガーナ
Mother Nature Cambodia   カンボジア
SOS Méditerranée   欧州連合
Phyllis Omido   ケニア


2023 Eunice Brookman-Amissah   ガーナ
Mother Nature Cambodia   カンボジア
SOS Méditerranée   欧州連合
Phyllis Omido   ケニア
2024 Joan Carling   フィリピン
Issa Amro   パレスチナ
Youth Against Settlements
Anabela Lemos   モザンビーク
Justiça Ambiental!
Forensic Architecture   イギリス

出典・注釈

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  1. ^ About the Right Livelihood Award”. Right Livelihood Award. 2011年10月4日閲覧。
  2. ^ Associated Press (2011年9月29日). “Right Livelihood Awards, aka ‘alternative Nobels’ go to activists from US, Spain, Chad, China”. Washington Post. 2011年10月4日閲覧。
  3. ^ 2012年度「五井平和賞」受賞者 公益財団法人 五井平和財団、2021年2月19日閲覧。
  4. ^ a b c d Announcement of the 2015 Laureates Right Livelihood Award » News & Media » Press Room - 2015年10月7日閲覧
  5. ^ a b c d 反体制派支配地域で救援活動を行う民間防衛隊(ホワイト・ヘルメット)がスウェーデンのライト・ライブリフッド賞を受賞(2016年9月22日) - シリア・アラブの春 顛末記:最新シリア情勢
  6. ^ a b c d LAUREATES”. Right Livelihood Award. 2018年1月3日閲覧。
  7. ^ a b c d 2018 Right Livelihood Award Laureates Honoured Today” (英語). ライト・ライブリフッド賞 (2018年11月23日). 2018年12月10日閲覧。
  8. ^ a b c d 2019 Laureates” (英語). ライト・ライブリフッド賞. 2019年10月1日閲覧。
  9. ^ a b c d 学生活動家トゥンベリさんらに「もう1つのノーベル賞」”. ロイター (2019年9月26日). 2019年10月1日閲覧。

外部リンク

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