モンゴル語族
モンゴル語族(モンゴルごぞく)は、モンゴル高原(モンゴル国と中国の内モンゴル自治区)を中心に、中央ユーラシアの各地で話される語族である。
モンゴル語族 | |
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話される地域 | モンゴル、中国北部など |
言語系統 | アルタイ語族 |
祖語 | モンゴル祖語 |
下位言語 | |
ISO 639-5 | xgn |
モンゴル語族諸言語は、母音調和を行うこと、語彙的意味を持つ名詞や動詞の語幹に文法的意味を持つ接尾辞が次々と付けられる膠着語であることなど、文法の類型上、テュルク語族やツングース語族とよく似ており、これらを総称してアルタイ諸語とする学者もいるが、広く認められる段階にはない。
分布
編集モンゴル諸語を話す人々の一般的な民族分類に従い、東から順にあげる。
分類
編集分類と話者数はJanhunen (2006)[1]による。ただし、南部モンゴル語群については、Nugteren (2011)[2]による。
- モンゴル語族
文字と文献
編集モンゴル民族がモンゴル諸語を文字で表記することは、1204年にチンギス・ハーンがナイマンを破ってウイグル語を使う書記官を捕虜とし、文字により言葉を記録することの利を理解して諸子にウイグル文字を学ばせたのが始まりであると歴史書には記録されている。現存する最古のモンゴル語文献資料は、1224年頃に建てられたと見られる「チンギス・ハーン碑文」ことイェスンゲ紀功碑である。しかしながら、絶対年代が明確である現存資料としては、1246年11月11日の紀年を持つモンゴル帝国のハーン、グユクによるローマ教皇インノケンティウス4世に宛てた勅書に推された玉璽の銘文が最古の(ウイグル式)モンゴル文字モンゴル語の資料である。
ただし、中国資料に記録された契丹の言語にあてられた漢字がモンゴル語で解釈できるという説があり、将来、契丹文字が完全に解読されて契丹語がモンゴル諸語に属すると証明されれば、契丹文字碑文が現存する最古のモンゴル諸語文献ということになる。
13世紀後半にはチンギスの孫クビライに仕えたチベット仏教の高僧パクパ(パスパ)がチベット文字をもとにしてパスパ文字を考案したが、元の終焉とともに廃れた。現在も内モンゴルで使われ、モンゴル国で使用の是非が議論されているモンゴル文字は、チンギス・ハーン以来のウイグル式文字である。
ソ連領内で使われるブリヤート語とカルムイク語、並びに同国に影響を強く受けたモンゴル国のハルハ・モンゴル語もキリル文字による言文一致の正書法が考案された。ブリヤート語は36文字、カルムイク語は39文字、ハルハ・モンゴル語は35文字である。
なお、上の分類で「孤立的諸言語」とされた諸言語はいずれも文字をもたず、伝統的な書き言葉をもってこなかったが、中国内のモンゴル諸語では、ラテン文字のアルファベットを用いて書き言葉を創り出す努力が払われている。