モロネ科 (学名:Moronidae) はスズキ目の下位分類群の一つ。北アメリカの淡水と北西大西洋から2属6種が知られる。

モロネ科
生息年代: 始新世 - 現世, 55 - 0 Ma[1]
ニシウミスズキ Dicentrarchus labrax
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
: モロネ科 Moronidae
学名
Moronidae
Jordan & Evermann, 1896[2]
英名
temperate bass

分類

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1896年にアメリカ魚類学者であるデイビッド・スター・ジョーダンバートン・ウォーレン・エバーマン英語版によって初めて科として提唱された[2]。『Fishes of the World』5th editionでは、マンジュウダイ科スダレダイ科とともにモロネ目に分類されている[3]。マンジュウダイ科とスダレダイ科をマンジュウダイ目とし、本科をユーペルカ系のincertae sedisに分類する見解もある[4]。『Fishes of the World』で提唱されたモロネ目をニザダイ目に分類する見解もある[5]

下位分類

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2属6種が分類されている[3][6]。かつて本科に含まれていたスズキ属は、現在は独自のスズキ科に分類されている[5]

絶滅種

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形態

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体はわずかに側扁した楕円形で、口は大きく、上顎は後方に向かって広がり、口を閉じた状態では顎の大部分が露出する。犬歯は無く、小さな円錐形の歯帯がある。口蓋の側面と前面にも歯帯があり、舌の基部にも2本の平行な歯帯がある。鰓蓋には3本の平たい棘があり、前鰓蓋骨には細かい歯がある[8]。第一背鰭は8-10棘、第二背鰭は1棘と10-13軟条から成る。臀鰭は3棘と9-12軟条から成り[3]、臀鰭は第二背鰭より後方から始まる。尾鰭は二叉し、尾柄は密な鱗で覆われる。頭部と体は小さくざらざらした鱗で覆われる。側線には50-72個の孔があり[8]、尾鰭にほぼ達しており、主線の上下には側線鱗が並ぶ[3]。最大種は全長200cmに達するストライプドバスで、最小種は全長45cmのホワイトバスである[6]

分布と生態

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全種が北大西洋に分布する。ディケントラルクス属は東大西洋に分布し、ノルウェー南部から北アフリカまで、また地中海黒海の沿岸や河口に生息する。モロネ属は北アメリカ東部に分布し、1種が海水、3種が淡水に生息する。他の地域にも導入されている[6][3]

夏には沿岸、河口で生活し、冬には沖合の深場に移動する。若い個体は群れを作るが、成魚は単独で生活する。主にエビ軟体動物、小魚を捕食する肉食魚である[9]

人との関わり

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スポーツフィッシングの対象魚であり、種によっては商業漁業[10]養殖にも利用されている[11]

脚注

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出典

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  1. ^ Paleodb Moronidae”. 2024年11月6日閲覧。
  2. ^ a b Richard van der Laan; William N. Eschmeyer & Ronald Fricke (2014). “Family-group names of Recent fishes”. Zootaxa 3882 (2): 001–230. doi:10.11646/zootaxa.3882.1.1. PMID 25543675. https://www.researchgate.net/publication/268078514. 
  3. ^ a b c d e J. S. Nelson; T. C. Grande; M. V. H. Wilson (2016). Fishes of the World (5th ed.). Wiley. pp. 495–497. ISBN 978-1-118-34233-6. https://sites.google.com/site/fotw5th/ 
  4. ^ Ricardo Betancur-R; Edward O. Wiley; Gloria Arratia et al. (2017). “Phylogenetic classification of bony fishes”. BMC Evolutionary Biology 17 (162): 162. Bibcode2017BMCEE..17..162B. doi:10.1186/s12862-017-0958-3. PMC 5501477. PMID 28683774. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5501477/. 
  5. ^ a b GENERA/SPECIES BY FAMILY/SUBFAMILY IN Eschmeyer's Catalog of Fishes”. Eschmeyer's Catalog of Fishes (2020年). 2024年11月6日閲覧。
  6. ^ a b c Fishbase Moronidae”. 2024年11月6日閲覧。
  7. ^ David, Lorre R. (1946). “Some Typical Upper Eogene Fish Scales from California”. Contributions to Paleontology IV. https://authors.library.caltech.edu/records/v03cm-86s21. 
  8. ^ a b Family: MORONIDAE, Temperate bass, Temperate Basses”. Shorefishes of the Greater Caribbean online information system. Smithsonian Tropical Research Institute. 2024年11月6日閲覧。
  9. ^ Fishing Techniques. Basses lining. Technology Fact Sheets”. FAO Fisheries and Aquaculture Division [online]. Rome (2005年2月17日). 2024年11月6日閲覧。
  10. ^ Temperate Basses (Moronidae)”. Connecticut Department of Energy & Environmental Protection. 2024年11月6日閲覧。
  11. ^ European Sea Bass”. seafish. 2024年11月6日閲覧。

関連項目

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