マリユドゥの滝
マリユドゥの滝(マリユドゥのたき)は、沖縄県八重山郡竹富町の西表島を流れる浦内川にある滝である。日本の滝百選に選ばれている[1]。
マリユドゥの滝 | |
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所在地 | 沖縄県八重山郡竹富町上原870-3 |
位置 | 北緯24度21分25.9秒 東経123度48分11.5秒 / 北緯24.357194度 東経123.803194度座標: 北緯24度21分25.9秒 東経123度48分11.5秒 / 北緯24.357194度 東経123.803194度 |
落差 | 16 m |
滝幅 | 20 m |
水系 | 浦内川 |
プロジェクト 地形 |
概要
編集浦内川は、西表島中央部の山地に源を発する沖縄県最長の河川で[2]、マリユドゥの滝はその中上流部に位置する。落差は約16mとそれほど大きくないが、2段に分かれており、長径130m、短径80mの楕円形の滝壺を持つ[3][4]。西表島の他の滝と同様、崖は砂岩層である。
名称
編集「マリ」(mari)は「丸い」、「ユドゥ」(yudu)は「淀」の意味で、元来は滝ではなく、滝壺の名前である。「マリ」は「マーリ」のことで、廻るという意味であり、滝壺に落ちた水が廻ることに由来するともいう。カンピレーの滝のさらに上流には、長さ約4kmの淀みがあり、マリユドゥに対して、ナーユドゥ(長い淀の意味)と呼ばれる[3]。
マリユドの滝[6]、マリウドゥの滝[5]、マリウドの滝[7]、マリュドウの滝[1]、マリュドゥの滝[8]、マリュードの滝[9]等の様々な表記がされるが、元来は4拍(モーラ)であり、マリュードの滝等の表記は正しくないとされる[10]。
自然
編集自然景観に優れ、自然休養林に設定されている[11][12]。滝の周囲には木生シダが林立している[3]。
浦内川はマリユドゥの滝の直下まで至る長大な汽水域を有しており、約400種に及ぶ魚類が生息する魚類の宝庫である。このうち、日本では西表島のみに生息するウラウチフエダイをはじめ、シミズシマイサキ、ヨコシマイサキ、ニセシマイサキ、カワボラの5種は、汽水域上端からマリユドゥの滝に至る1.5kmの淡水域を主な生息地としている[13][14]。2015年には、渇水対策のために、マリユドゥの滝下流に取水用の送水管が設置されており、環境への影響を懸念する声がある[15][16][17]。滝壺にはウナギ、テナガエビ、コイメジロ等が住む[18]。
伝承
編集この滝を含む浦内川の上流一帯は聖域とされてきた。1727年(享保12年)の『八重山島諸記帳』によれば当時は稲葉院と呼ばれており、若夏(旧暦4月-5月)には火気や飲食は厳禁とされ、被り物は脱ぐことが定められていた[19]。
滝壺には水鯖(みずさば)という怪物がいて、酉の日と寅の日に人が近づくと水面に現れて暴れ回り、これを見た人は高熱を出して死んだという伝承がある。「サバ」は方言で「サメ」を意味するため、「水鯖」は淡水に住むサメのような生物であろうとも考えられている[19]。
滝壺にはワニが住んでいたという伝承もある。このワニは洪水によって河口近くのトゥドゥマリの浜に流され、その後、西表島南西部の外離島、網取、崎山、鹿川に出没したという。「ワニ」は方言で「フカ」(サメ)を意味し、浦内川の汽水域には体長1.5m程のオオメジロザメが多数生息しているため、西表島に複数伝わるワニ伝承のいくつかはこの種であるとする説がある[20]。ワニは東南アジア等から漂着したイリエワニであるとする説もある[19]。
アクセス
編集浦内川河口から遊覧船で約8㎞上流の軍艦岩までさかのぼり、そこから続く遊歩道で徒歩約40分のところにある[2][4]。遊歩道の途中にはこの滝を望む展望台もある[4][21]。
脚注
編集- ^ a b “日本の滝100選”. 日本の森・滝・渚 全国協議会. 2019年10月15日閲覧。
- ^ a b “川の散歩 浦内川”. 沖縄県土木建築部河川課 (2014年12月17日). 2019年10月15日閲覧。
- ^ a b c 角川日本地名大辞典編纂委員会 (8 July 1986). "マリユドゥの滝". 角川日本地名大辞典 47 沖縄県. 角川書店. p. 654.
- ^ a b c “マリユドゥの滝”. 竹富町観光協会. 2019年10月15日閲覧。
- ^ a b “【第1部】八重山の針路と選択 12 観光化された西表島”. 八重山毎日新聞. (2006年7月4日)
- ^ “マリユドゥの滝”. デジタル大辞泉プラス. コトバンク. 2019年10月15日閲覧。
- ^ “浦内川から取水へ”. 八重山毎日新聞. (2014年11月8日)
- ^ “マリュドゥの滝”. 日本の地名がわかる事典. コトバンク. 2019年10月15日閲覧。
- ^ “浦内川”. 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンク. 2019年10月15日閲覧。
- ^ 安渓遊地 (2017年3月19日). “フロッピーから)西表島にワニの足跡を追って”. 安渓遊地・貴子研究室. 2019年10月15日閲覧。
- ^ “西表自然休養林” (PDF). 林野庁九州森林管理局. 2019年10月15日閲覧。
- ^ “西表島森林生態系保護地域 エリアごとの概況”. 林野庁九州森林管理局. 2019年10月15日閲覧。
- ^ “沖縄県西表島浦内川からの取水に関する質問状”. 日本魚類学会 自然保護委員会 (2015年5月29日). 2019年10月15日閲覧。
- ^ “沖縄県西表島浦内川の取水施設建設計画再考の要望書”. 日本生態学会自然保護専門委員会 (2015年7月6日). 2019年10月15日閲覧。
- ^ “竹富町の導水管敷設工事 浦内川以外の取水策要望”. 八重山毎日新聞. (2015年6月13日)
- ^ 鈴木寿之、森誠一「シリーズ 西表島浦内川における取水問題」『魚類学雑誌』第63巻第1号、日本魚類学会、2016年4月25日、43-46頁、doi:10.11369/jji.63-43。
- ^ 中根淳一 (2016年5月23日). “沖縄県最長河川のいま:西表島・浦内川(後編)”. パタゴニア. 2019年10月15日閲覧。
- ^ 新本光孝・砂川季昭・山盛直「レクリェーション・エリアの分析(西表島の森林レクリェーションに関する研究 (III))(農学部附属熱帯農学研究施設)」『琉球大学農学部学術報告』第23巻、琉球大学農学部、1976年12月1日、425-437頁、CRID 1050574201783943168、hdl:20.500.12000/4319。
- ^ a b c 安渓遊地「名のある川とその生き物たち-南島最長の西表島浦内川誌(上)」『西表島浦内川河口域の生物多様性と伝統的自然資源利用の綜合調査報告書1』(PDF)西表島浦内川流域研究会、2005年2月28日、18-21頁 。
- ^ 鈴木寿之・森誠一「シリーズ 西表島浦内川の魚類」『魚類学雑誌』第63巻第1号、日本魚類学会、2016年4月25日、39-43頁、doi:10.11369/jji.63-39。
- ^ “西表島のジャングルの奥にある神々の聖地「マリユドゥの滝&カンビレーの滝」で心を清めてきました”. GIGAZINE. (2014年3月22日)
参考文献
編集- 日本歴史地名大系(オンライン版) 小学館 (『日本歴史地名大系』 平凡社、1979年-2002年 を基にしたデータベース)
関連項目
編集- マヤグスクの滝 - この滝の上流で浦内川に合流するイタジキ川にある滝。
外部リンク
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