フットライト・パレード
『フットライト・パレード』(Footlight Parade)は、1933年のアメリカ合衆国のプレコードのミュージカル映画。
フットライト・パレード | |
---|---|
Footlight Parade | |
1933年 | |
監督 |
ロイド・ベーコン バスビー・バークレー (ミュージカルシーン) |
脚本 |
マニュエル・セフ ジェイムズ・セイモア |
原案 |
クレジット無し: ロバート・ロード ピーター・ミルン |
製作 | ロバート・ロード |
出演者 |
ジェームズ・キャグニー ジョーン・ブロンデル ルビー・キーラー ディック・パウエル |
音楽 |
ハリー・ウォレン (作曲)[1] アル・ダビン (作詞)[1] サミー・フェイン (作曲)[2] アーヴィング・カール (作詞)[2] |
撮影 | ジョージ・バーンズ |
編集 | ジョージ・エイミー |
配給 | ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ |
公開 |
1933年9月30日 (プレミア) 1933年10月21日 |
上映時間 | 102分[3] |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | 70万3000ドル (estimated)[4][5] |
配給収入 |
160万1000ドル (U.S.) 81万5000ドル (international)[4][5][6] |
ジェームズ・キャグニー、ジョーン・ブロンデル、ルビー・キーラー、ディック・パウエルが主演し、フランク・マクヒュー、ガイ・キビー、ヒュー・ハーバート、ルース・ドネリーが助演した。ロバート・ロードとピーター・ミルンのストーリーを基にマニュエル・セフとジェイムズ・セイモアが脚本を執筆し、ロイド・ベーコンが監督、バスビー・バークレーがミュージカルシーンの振付および監督を務めた。楽曲は「By a Waterfall」、「Honeymoon Hotel」、「上海リル」を含み、ハリー・ウォレン(作曲)、アル・ダビン(作詞)、サミー・フェイン(作曲)、アーヴィング・カール(作詞) が手がけた。
1992年、アメリカ議会図書館により文化的、歴史的、審美的に優れているとしてアメリカ国立フィルム登録簿に選出された[7]。
あらすじ
編集チェスター・ケント(ジェームズ・キャグニー)はブロードウェイ・ミュージカルの演出家としてのキャリアを諦め、映画館で上映前に上演されるプロローグの演出をすることとなる。アメリカ中の映画館で需要のある膨大な数のプロローグが次々と舞い込み、同僚たちからプレッシャーをかけられるが、身近に情報を漏らす者がいるらしくアイデアをライバルにどんどん盗まれ仕事はハードになっていく。あまりにも忙しすぎて、事務員のナン(ジョーン・ブロンデル)がケントに恋していること、ナンが身を粉にしてケントに尽くしていることに気づかない。
チェーン展開しているアポリナリス映画館の大きな契約話が舞い込むが、契約を締結するには一晩で3つの別々の劇場で豪華なプロローグを上演しアポリナリス氏(ポール・ポルカシ)に印象付ける必要がある。ケントの3曲の振付やリハーサルの様子が漏れるのを防ぐためにケントおよびスタッフたちは缶詰めとなる。ケントは自身とビーのダンスによる「Honeymoon Hotel」、Human Waterfallで知られる「By a Waterfall」、「上海リル」を演出する[8]。
登場人物
編集-
ルビー・キーラー
-
フランク・マクヒュー
-
ルース・ドネリー
-
ヒュー・ハーバート
- ジェームズ・キャグニー as チェスター・ケント(プロローグのミュージカルを演出)
- ジョーン・ブロンデル as ナン・プレスコット(ケントの事務員)
- ルビー・キーラー as ビー・ソーン(ダンサーから事務員となりダンサーに戻る)
- ディック・パウエル as スコット・ブレア(グールド夫人の保護下にある若い俳優)
- フランク・マクヒュー as フランシス(ダンス監督)
- ルース・ドネリー as ハーネット・バワーズ・グールド(プロデューサーの妻)
- ガイ・キビー as サイラス・グールド(プロデューサー)
- ヒュー・ハーバート as チャールズ・バワーズ(グールド夫人の兄弟で検閲官)
- クレア・ドッド as ヴィヴィアン・リッチ(ナンの元友人。ゴールドディギングで成功。ナンによると波乱万丈の過去を持つ)
- ゴードン・ウェスコット as ハリー・トンプソン(ケントのアシスタント)
- アーサー・ホール as アル・フレイザー(プロデューサー)
- レネー・ホイットニー as シンシア・ケント(ケントの強欲な妻)
- ポール・ポルカシ as ジョージ・アポリナリス(チェーン映画館のオーナー)
- バーバラ・ロジャース as グレイシー(ケントのダンサーでスパイ)
- フィリップ・ファヴァシャム as ジョー・バーリントン(グールド夫人の保護下にある若い俳優)
- ハーマン・ビング as フランク(音楽監督)
- ビリー・バーティ as プロローグのネズミ役、少年役
- ホバート・カヴァナー as Title-Thinkerupper
- ジョージ・チャンドラー as 薬剤師
注釈:
- ドロシー・ラムーア、ヴィクトリア・ヴィントン、アン・サザーン、リン・ブラウニングがコーラス・ガールの一員として出演した。ラムーアにとって映画デビュー作となった[9]。
- ジョン・ガーフィールドがクレジット無しで「上海リル」のシーンで映画デビューしたとされることがある[9]。2003年のターナー・クラシック・ムービーズのドキュメンタリー「ジョン・ガーフィールド・ストーリー」でこれを否定し、複数の経歴表によるとこの時ニューヨークにおり、その後、舞台版『巨人登場』再演の巡業でシカゴに行っていた[10][11]。
- 冒頭で短時間映る映画はジョン・ウェイン主演の『討伐隊』である。一緒に映っているのはフランク・マクヒューとされるが定かではない。
使用楽曲
編集- "Honeymoon Hotel" - ハリー・ウォレン(作曲)、アル・ダビン(作詞)
- 上海リル "Shanghai Lil" - ハリー・ウォレン(作曲)、アル・ダビン(作詞)
- "By a Waterfall" - サミー・フェイン(作曲)、アーヴィング・カール(作詞)
- "My Shadow" - サミー・フェイン(作曲)、アーヴィング・カール(作詞)
- "Ah, the Moon Is Here" - サミー・フェイン(作曲)、アーヴィング・カール(作詞)
- "Sitting on a Backyard Fence" - サミー・フェイン(作曲)、アーヴィング・カール(作詞)
制作
編集元々ヴォードヴィルやブロードウェイに出演していたキャグニーは、ワーナーの重役たちにこの作品の主役を懇願し、映画でダンスを披露する最初の作品となった[13]。1931年の『民衆の敵』で撮影3日でエドワード・ウッズと役が交代になり、ギャングの役柄の印象が定着していた。これによりスターとなったキャグニーはキャリアを通してギャングの役を演じた[14]。
キャグニーが演じたチェスター・ケントは当時興行主として有名であったチェスター・ヘイルをモデルにし、事務所はヘイルが所属していたロサンゼルスのプロローグ制作会社フランチョン&マルコのサンセット・ブルバードの事務所をモデルにした[9]。
当初の配役ではスタンリー・スミスが子役で出演する予定であったが、ディック・パウエルと交代となり、『四十二番街』、『ゴールド・ディガース』に続きルビー・キーラーと共演した3作目となった。最初の2作ともワーナーのバークレーのミュージカル映画である[13]。
当初振付はバークレーでなくラリー・セベロスであり、セベロスはバークレーとワーナーを$100,000で契約不履行で訴えた[15][16]。
グールド夫人役は当初ルース・ドネリーでなくドロシー・テナントが配役された。他の役でもユージン・ポーレット、ジョージ・ダブス、パトリシア・エリスなどの名が挙がっていた。
カリフォルニア州バーバンクにあるワーナーのスタジオで見積$703,000(2012年の貨幣価値で約$13,000,000)で撮影された。1933年9月30日にプレミア公開され、10月21日に一般公開された[17][18][19]。
宣伝
編集他の多くのプレコードの映画と同様、露出の高い女性の描かれたポスター、ロビーカード、ジョーン・ブロンデルの宣材写真が使用された[2]。
プレコード時代のシーン
編集プレコード時代に制作されていたため、売春への言及や卑猥な言葉などユーモアが際どいことがあった[21]。例えばディック・パウエル演じるスコットは他の女性と恋に落ちるまでグールド夫人に「囲われている」ことになっていた。ジョーン・ブロンデル演じるナンは、ケントを横取りしようとするルームメイトに他の職業を勧める[22]。「上海リル」ではリルおよび他の女性たちは波止場の酒場や阿片窟の売春婦であることが明白である[23]。ヒュー・ハーバート演じるチャールズはケントのショーを検閲し、人形に服を着させるなど再三やり直しを命じる。ナンがヴィヴィアン・リッチを紹介する際、「Bitch」と言いそうになり言い直す。
評価
編集アメリカン・フィルム・インスティチュートより以下のように認められた。
- 1992年: アメリカ議会図書館によるアメリカ国立フィルム登録簿
- 2006年: ミュージカル映画ベスト – ノミネート[24]
関連項目
編集脚注
編集- ^ a b Allmovie Overview
- ^ a b TCM Full Credits
- ^ a b [1]
- ^ a b c Sedgwick, John (2000) Popular Filmgoing in 1930s Britain: A Choice of Pleasures University of Exeter Press. p.168 ISBN 9780859896603
- ^ a b Warner Bros financial information in The William Schaefer Ledger. See Appendix 1, Historical Journal of Film, Radio and Television, (1995) 15:sup1, 1-31 p 15 DOI: 10.1080/01439689508604551
- ^ “Which Conema Films Have Earned the Most Money Since 1947?”. The Argus Weekend Magazine (Melbourne): p. 3. (March 4, 1944) August 6, 2012閲覧。
- ^ “Complete National Film Registry Listing | Film Registry | National Film Preservation Board | Programs at the Library of Congress | Library of Congress”. Library of Congress, Washington, D.C. 20540 USA. April 29, 2020閲覧。
- ^ Green, Stanley (1999) Hollywood Musicals Year by Year (2nd ed.), pub. Hal Leonard Corporation ISBN 0-634-00765-3 page 25
- ^ a b c "Footlight Parade" notes, tcm.com; accessed July 27, 2015.
- ^ McGrath, Patrick J. (August 23, 2006) (英語). John Garfield: The Illustrated Career in Films and on Stage. McFarland. ISBN 978-0-7864-2848-9
- ^ Nott, Robert (2003) (英語). He Ran All the Way: The Life of John Garfield. Hal Leonard Corporation. ISBN 978-0-87910-985-1
- ^ TCM Music
- ^ a b Miller, Frank. Footlight Parade (1933; article), TCM.com; accessed July 27, 2015.
- ^ Nixon. Rob. The Public Enemy (1931; article), TCM.com; accessed July 27, 2015.
- ^ Spivak, Jeffrey (2011) (英語). Buzz: The Life and Art of Busby Berkeley. University Press of Kentucky. ISBN 978-0-8131-2643-2
- ^ Neibaur, James L. (October 3, 2014) (英語). James Cagney Films of the 1930s. Rowman & Littlefield. ISBN 978-1-4422-4220-3
- ^ Business Data for Footlight Parade, IMDb; accessed July 27, 2015.
- ^ Release Dates for Footlight Parade, IMDb; accessed July 27, 2015.
- ^ Overview for Footlight Parade, tcm.com; accessed July 27, 2015.
- ^ D. W. (November 25, 1934). “TAKING A LOOK AT THE RECORD”. The New York Times. ProQuest 101193306
- ^ (英語) Music, Narrative and the Moving Image: Varieties of Plurimedial Interrelations. BRILL. (May 15, 2019). ISBN 978-90-04-40131-0
- ^ Ashby, LeRoy (May 12, 2006) (英語). With Amusement for All: A History of American Popular Culture Since 1830. University Press of Kentucky. p. 223. ISBN 978-0-8131-7132-6 . "footlight parade hays code."
- ^ Spivak, Jeffrey (2011) (英語). Buzz: The Life and Art of Busby Berkeley. University Press of Kentucky. ISBN 978-0-8131-2643-2
- ^ “AFI's Greatest Movie Musicals Nominees”. August 13, 2016閲覧。
外部リンク
編集- フットライト・パレード - allcinema
- Footlight Parade - American Film Institute Catalog
- Footlight Parade - IMDb
- Footlight Parade - TCM Movie Database
- Footlight Parade - オールムービー
- Footlight Parade - Rotten Tomatoes
- Footlight Parade, Filmsite.org; accessed August 4, 2015.
- Footlight Parade essay by Randy Skretvedt at National Film Registry
- Footlight Parade essay by Daniel Eagan in America's Film Legacy: The Authoritative Guide to the Landmark Movies in the National Film Registry, A&C Black, 2010 ISBN 0826429777, pages 216-218 [3]