パパベリン

パパベリン（英:papaverine）とは血管拡張・鎮痙剤のひとつ。ケシ属の植物に含まれるイソキノリン系のアルカロイド。オピオイド作動性はない。

パパベリン

IUPAC命名法による物質名
IUPAC名 1-[(3,4-dimethoxyphenyl)methyl]-6,7-dimethoxyisoquinoline
臨床データ
発音	[pəˈpævəriːn]
販売名	Pavabid, 他
Drugs.com	monograph
MedlinePlus	a682707
胎児危険度分類	AU: A US: C
法的規制	AU: 処方箋薬(S4) US: ℞-only
薬物動態データ
生物学的利用能	80%
血漿タンパク結合	~90%
代謝	肝臓
半減期	1.5～2時間
排泄	腎臓
データベースID
CAS番号	58-74-2  61-25-6 (塩酸塩)
ATCコード	A03AD01 (WHO) G04BE02 (WHO)
PubChem	CID: 4680
DrugBank	DB01113
ChemSpider	4518
UNII	DAA13NKG2Q
KEGG	D07425
ChEBI	CHEBI:28241
ChEMBL	CHEMBL19224
化学的データ
化学式	C20H21NO4
分子量	339.39 g·mol−1
SMILES COc1ccc(cc1OC)Cc2c3cc(c(cc3ccn2)OC)OC
InChI InChI=1S/C20H21NO4/c1-22-17-6-5-13(10-18(17)23-2)9-16-15-12-20(25-4)19(24-3)11-14(15)7-8-21-16/h5-8,10-12H,9H2,1-4H3  Key:XQYZDYMELSJDRZ-UHFFFAOYSA-N

消化管平滑筋を弛緩させることにより、過度の消化管の緊張による腹痛を緩解させる。パパベリンは消化管平滑筋だけでなく全ての平滑筋を弛緩させるため、血栓症の治療にも使用される。副作用として多汗症や肺炎などが報告され、特に健康食品として食されるアマメシバの大量摂取による肺炎（閉塞性細気管支炎）では、その主要因として考えられているが、国立医薬品食品衛生研究所等で検査したところ検出されていない。

医療用医薬品

• アストフィリン配合錠 - ジプロフィリン、パパベリン塩酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、エフェドリン塩酸塩、ノスカピンの合剤。気管支喘息、喘息性気管支炎、急性気管支炎、慢性気管支炎
• ストミンA配合錠 - ニコチン酸アミド、パパベリン塩酸塩の合剤。内耳及び中枢障害による耳鳴
• パパベリン塩酸塩 - 散剤または注射剤。胃炎・胆道（胆管・胆のう）系疾患による内臓平滑筋の痙攣症状、急性動脈塞栓・末梢循環障害・冠循環障害における血管拡張と症状の改善

ベラパミル

1962年、ドイツのHaansらはパパベリン合成中にベラパミルを発見し、血管平滑筋を弛緩させる作用がパパベリンよりも強いことを見いだした。翌年、冠拡張剤・抗狭心症剤として発売。日本では1965年に虚血性心疾患治療剤として発売された。

参考文献

• 吐山豊秋著『新編家畜薬理学 改訂版』養賢堂、1994年、ISBN 4842594047
• 伊藤勝昭ほか編集『新獣医薬理学 第二版』近代出版、2004年、ISBN 4874021018

関連項目

• スコポラミン
• ホスホジエステラーゼ阻害薬 (英)
  • テオブロミン
  • テオフィリン