ゼネコン
ゼネコンは、元請負者として各種の土木・建築工事を一式で発注者から直接請負い、工事全体のとりまとめを行う建設業者を指す。日本語では総合工事業者や[1][2]、総合建設業者[3]に該当する。
語源
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ゼネコンは、"General Contractor"(ゼネラル・コントラクター)の略である[1][2]。英語でcontractor(コントラクター)は建設工事分野の「請負者」という意味を指し、general contractor(ゼネラル・コントラクター、すなわち「総合工事業(者)」[1][2]又は「総合請負(者)」)は、特定工種の工事だけを委託 specialist contractor(専門工事業(者))あるいは元請業者から工事の一部を委託subcontractor(下請業(者)・サブコン・協力会社)に対する用語である。
ただし一般的に、欧米でgeneral contractorと呼ばれる建設業者は比較的小規模であることが多く(特定工種に特化せず、よろず屋的にあらゆる工事を請け負う建設業者という意味合いが強い)[要出典]、スーパーゼネコンに代表されるような、各種専門工事業者の複合体である日本の総合建設業(ゼネコン)の業態をGeneral Contractorという英語で表現することは、必ずしも適切でない面がある。[要出典]
generalの「ゼネラル」への転写や、「ゼネコン」という略し方は、日本語独自のものである。
日本のゼネコン
編集日本では、第二次世界大戦後の高度経済成長期に建設需要が飛躍的に伸びたことで、急成長を遂げたゼネコンだったが、計画的に経営(経理)遂行ができない企業があり、資本を用意する前に建設を始めたが急成長できた会社もある。バブル崩壊後の建設需要の低迷、構造改革による政府の公共事業縮小などが原因で、1990年代後半から2000年代初頭には準大手以下で経営破綻に追い込まれる場面があった。金融機関などの債権放棄・合併などで姿を変えた企業がある。統合と言う事を言われ始めたのは数年後である。
多くのゼネコンでは、建設業法上の複数の建設業許可を有する一方で、得意とする分野に特化するものや、その成り立ちから鉄道事業者や鉱業会社・鉄鋼会社の系列であるものも少なくない。前者については、国や自治体の競争入札において専門工事を分割発注する傾向が見られる等の理由もあって、ゼネコンから専門工事部門を分社化、子会社化したり、事業合弁により複数社の専門工事部門からなる新たな専門工事業者が組織されるなどの動きもある。
スーパーゼネコン
編集会社規模は従業員数(単独)で8000人から1万人程度、売上高(単独)は概ね1兆円から1兆5000億円の水準にある。建築・土木ともに日本を代表する建設工事を手掛ける。
日本における建設大手のうち完成工事高上位5社を、その歴史と規模などから俗にスーパーゼネコンと呼ぶ。
スーパーゼネコンは、建設工事の施工を営業の中核として、社内に設計部門・エンジニアリング部門・研究開発部門を抱えており、建設に関する幅広い技術力を生かし成長をしている。
欧米の建設業界では、設計業と施工業は設計会社、施工会社と別会社組織で、明確な分業体制をとっているが、日本のスーパーゼネコンは世界的に見てもかなり特異的な経営方針を行っている。
準大手ゼネコン
編集スーパーゼネコンにつぐ規模で、土木・建築・不動産開発など大型工事を手掛ける。会社規模は従業員数(単独)で2500人から5000人程度、売上高(単独)は概ね3000億円から6500億円程度の水準にある。
中堅ゼネコン
編集会社規模は従業員数(単独)で概ね1000人から2500人程度、売上高(単独)は概ね1000億円から3000億円程度の水準にある。
その他の主要ゼネコン
編集- 高松コンストラクショングループ
- KTI川田グループ
- JRグループ
- 私鉄系
- 三菱グループ
- 日本製鉄グループ
- パナソニック・トヨタ自動車系
- その他企業系列
- 主要地方ゼネコン
- 伊藤組土建(北海道が地盤)
- 岩田地崎建設(同上。岩田建設と地崎工業が合併し誕生)
- 平野組(岩手県が地盤)
- クレハ建設(福島県が地盤。株式会社クレハの完全子会社。2022年度福島県完工高総合1位)
- 佐藤工業(福島県が地盤。戸田建設の完全子会社であり,KTI川田グループの佐藤工業とは無関係)
- 福浜大一建設(同上)
- 植木組(新潟県が地盤)
- 加賀田組(同上)
- 本間組(同上)
- 真柄建設(石川県が地盤。2008年7月5日に民事再生法適用を申請)
- 北野建設(長野県が地盤)
- 守谷商会(同上)
- 長田組土木(山梨県が地盤。2008年2月に民事再生法適用を申請)
- 早野組(同上)
- 佐田建設(群馬県が地盤)
- 関東建設工業(同上)
- 株木建設(茨城県が地盤)
- 伊田テクノス(埼玉県が地盤)
- 徳倉建設(愛知県が地盤)
- TSUCHIYA(旧・土屋組。岐阜県が地盤)
- 日本土建(三重県が地盤)
- 奥村組土木興業(大阪府が地盤。中堅ゼネコンの奥村組とは無関係)
- 森本組(大阪府が地盤。2003年に民事再生法適用を申請、その後大豊建設傘下に入る)
- 金下建設(京都府が地盤)
- 桑原組(滋賀県が地盤)
- 新井組(兵庫県が地盤。2008年10月8日に民事再生法適用を申請。経営破綻するまでNISグループ傘下)現スピードパートナーズ傘下
- 村本建設(奈良県が地盤)
- 淺川組(和歌山県が地盤)
- アイサワ工業(岡山県が地盤)
- 大本組(同上)
- 増岡組(広島県が地盤)
- 住吉工業(山口県が地盤)
- 二神組(愛媛県が地盤)
- 大旺新洋(旧・大旺建設。高知県が地盤)
- 姫野組(徳島県が地盤)
- 岩永組(熊本県が地盤)
- 梅林建設(大分県が地盤)
- 佐伯建設(同上。旧・佐伯建設工業(現・あおみ建設)の九州支店が独立)
- 國場組(沖縄県が地盤)
- 神奈川建設十社(神奈川県)2008年現在『神奈川建設四社』体制に
- その他
建設会社における「組」
編集建設会社の商号には、「大林組」、「熊谷組」、「鴻池組」といったように「組」を使用している会社は多くある。これは江戸から明治にかけて現在の建設業の始まりともいえる大工たちの労働組織が一棟梁単位で分けられ、それを「○○組」と呼んでいたことに由来する。なお、暴力団に「○○組」と名乗っている組織が多いのは、この時期に博徒の多くが取り締まりから逃れる為に土木建築請負の看板を利用したからであって(ヤクザを参照)、それ以上の関連は無い。世間の多くの人々は、建設会社と暴力団との両者に何らかの関連性があるものと誤解しているため、正しい知識が必要である。現在でも伝統を重んじる姿勢から「○○組」という名称を用いる建設会社が多い。