塩化シアン
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塩化シアン(えんかシアン)またはシアン化塩素(シアンかえんそ、cyanogen chloride)は、化学式がNCClで表される無機化合物である。化学兵器として用いられる血液剤の一種である。
塩化シアン | |
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Carbononitridic chloride | |
Chloroformonitrile | |
別称
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識別情報 | |
略称 | CK |
CAS登録番号 | 506-77-4 |
PubChem | 10477 |
ChemSpider | 10045 |
EC番号 | 208-052-8 |
国連/北米番号 | 1589 |
MeSH | cyanogen+chloride |
RTECS番号 | GT2275000 |
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特性[1] | |
化学式 | CNCl |
モル質量 | 61.470 g mol−1 |
外観 | 無色透明の気体 |
匂い | 刺激臭 |
密度 | 2.7683 mg mL−1 (at 0 °C, 101.325 kPa) |
融点 |
−6.55 °C, 267 K, 20 °F |
沸点 |
13 °C, 286 K, 55 °F |
水への溶解度 | 溶ける |
溶解度 | エタノール、エーテルに溶ける |
蒸気圧 | 1.987 MPa (at 21.1 °C) |
熱化学 | |
標準生成熱 ΔfH |
137.95 kJ mol−1 |
標準モルエントロピー S |
236.33 J K−1 mol−1 |
危険性 | |
安全データシート(外部リンク) | inchem.org |
主な危険性 | 強い毒性[2] 体内でシアニドを形成する[3] |
NFPA 704 | |
引火点 | 不燃性 ([3]) |
許容曝露限界 | なし[3] |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
基本特性
編集塩化シアンは、Cl−C≡Nで表される構造を持つ分子である。関連するハロゲン化シアン (NCF、 NCBr、NCI)と同様の直線形分子構造である。塩化シアンはシアン化ナトリウムを塩素で酸化することによって生成され、この反応は中間体シアン( (CN)2) を介して進行する。
この化合物は酸の存在下で三量体化し、複素環を持つ塩化シアヌルとなる。
塩化シアンは中性pHの水によってゆっくりと加水分解され、シアン酸イオンと塩化物イオンが放出される。
毒性
編集塩化シアンは強い毒性を持ち、目や呼吸器粘膜に接触すると直ちに人体に影響を及ぼす。その毒性はシアン化水素と同等であるが、塩素の働きによって皮膚や粘膜への刺激がある。
暴露による症状には、眠気、鼻漏(鼻水)、喉の痛み、咳、錯乱、嘔吐、浮腫、意識喪失、けいれん、麻痺、死亡などが含まれる。
致死量は、
出典
編集- ^ Lide, David R., ed (2006). CRC Handbook of Chemistry and Physics (87th ed.). Boca Raton, FL: CRC Press. ISBN 0-8493-0487-3
- ^ “CYANOGEN CHLORIDE (CK)”. The Emergency Response Safety and Health Database. NIOSH. 2015年7月12日閲覧。
- ^ a b c NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards 0162