クラフトコーラ

手作りなど、大量生産の炭酸飲料とは別のコーラのこと

クラフトコーラ英語:craft cola)とは、「職人が作るコーラ」、「手作りのコーラ」を表したもので「独立性」「伝統的」「地域性」などがキーワードとなっている、大手飲料メーカーが大量に生産するコーラと対比して使われる表現である。シロップで販売しているものが多く、炭酸飲料で割って飲んだり、牛乳やお酒などいろいろな飲み方が楽しめるのも特徴である。店頭で提供される場合でも、炭酸飲料で割るだけではなく、牛乳で割ったものや、焼酎やその他のアルコールで割ったものが存在する。

素材により様々な色・風味があるクラフト・コーラの一例
シロップで販売されているクラフトコーラの一例

明確な定義はないが、2023年1月6日に発足した業界団体「国際クラフトコーラ連盟」(FICA)は、「合成添加物は基本不使用。香辛料は不純物の混ざらないホール(原型)を使う」という基準を設けている[1]

クラフトコーラの成分

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一般的に砂糖などの甘味料と、コーラの実などのスパイスやハーブ、オレンジやレモンなどの柑橘類を煮込んで作られている。

甘味料
使用される甘味料は製品によってそれぞれだが果糖ブドウ糖液糖などは使用されず、砂糖サトウキビ糖、甜菜糖などが使用される。UMAMI COLAのように甘酒を甘味料として使用したものもある[1]
スパイス、ハーブ
製品の特色を色濃く表す構成要素である。コーラの実を始め、シナモンクローブ、バニラビーンズなど多種多様なスパイス、ミントなどのハーブが10種類程度で構成されるのが一般的である[2]。種類が多ければ良いと言うわけではない。
柑橘類
主にオレンジレモンライムが使用される。地域の特産を使いキンカンみかんゆずシークヮーサーなどが使用される場合もある。柑橘類を特徴におくクラフトコーラも多い。
添加物
基本的には着色料や保存料などの添加物を使用しない、無添加のものが多い。

歴史

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誕生期

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2014年、ペプシコにより「キャレブズコーラ(CALEB's KOLA)」が発売された[3][4][5]

2018年春、キャレブズコーラが日本で発売され、「クラフトコーラ」という名称が初めて紹介された。同年夏、コーラナッツを始めとするスパイス類や柑橘類といった自然由来の素材をふんだんに用いた製法が特徴の「伊良コーラ」や「ともコーラ」が登場[6]した。一部のレストランやカフェではすでに自家製コーラが提供されていたが、その後シロップという形で多くのクラフトコーラが登場し流通していった。

2019年、カフェインを含ませるためコーラナッツのかわりにコスタリカ産の上質なファインカカオを使用した「カカオ生コーラ」、熊本産の柑橘や黒糖を使って作られた「熊本クラフトコーラ」が発売される。

2020年、奄美諸島の喜界島産の島みかんやきび糖などを利用したTOBATOBA、高知クラフトコーラ"sawachina"、出雲SPICE LAB. クラフトコーラ、銚子灯台コーラ、薩摩クラフトコーラなどが全国に誕生する。

クラフトコーラは自由度が高く、伊良コーラによるものを中心に、コーヒーや焼酎、カレー、ラーメンなど沢山のコラボ商品がある[7]

大手企業の参入とブームの到来

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2021年、UMAMI COLAやMoto Cola、薬膳醗酵コーラ「覚醒」など地域由来のものではないクラフトコーラやUMAMI COLAの「予防医学」の観点から開発されたものなど、多種多様なクラフトコーラが誕生した。それに続き大手メーカーもクラフトコーラ開発に参入するようになる。6月半ばにカルディコーヒーファームが「ドライクラフトコーラ」を売り出したのを皮切りに、同月20日には高級スーパーの成城石井から「成城石井クラフトコーラ」、同月21日にはポッカサッポロフード&ビバレッジから「THE CRAFT COLA」[8]、さらに同月22日にはペプシコも「ペプシ〈生〉」という、クラフトコーラに寄せた商品を販売[9]。モスバーガーも、期間限定でクラフトコーラを販売した[8]。また、小杉湯でのクラフトコーラフェスト、サウナ施設でのととのふコーラなどクラフトコーラを使ったオリジナルなイベントなども登場するようになった。

2021年7月22日、京都府北部の4つの市町(京丹後市、与謝野町、伊根町、宮津市)では、飲食店主ら8人が共同で任意団体「丹後クラフトコーラ組合」を結成、「クラフトコーラの街」宣言を行い、個性豊かなクラフトコーラの商品化を推進することを表明した[10]

2022年1月にはアサヒ飲料が三ツ矢ブランドでクラフトコーラを発売、3月には缶での販売も発表した。

また、コロナ禍で健康志向の高まりや自宅で過ごす時間が増えたことで、一手間かかる料理の手作りにチャレンジする傾向が強まり、クラフトコーラのレシピ検索頻度は2020年以降も右肩上がりで伸長している[11]。同様の理由から、酒類の提供自粛が呼びかけられた結果、一時的にクラフトコーラを酒の代わりに提供する店もあり、期間限定のつもりが定番商品となったケースもある[12]

コーラ専門情報メディア「Cola-Fan」編集長を務める空水りょーすけは、「デイリー新潮」に寄せた記事の中で、このような酒類の提供規制によって清涼飲料水が発展したのは禁酒法時代のアメリカの状況と似ていると指摘している[12]

2022年4月にはクラフトコーラヴィレッジ[13]というクラフトコーラ32種類を集めたクラフトコーラ史上最大規模のイベントが行われる。

2023年1月6日に国際クラフトコーラ連盟(FICA)が発足し、初代理事長にUMAMI COLA代表の山田貴久が、副理事長には「Cola-Fan」編集長の空水りょーすけがそれぞれ就任した[14]。3月21日には伊良コーラ[15]、9月12日にはUMAMI COLAよりRTDの缶タイプが発売される。[16]

主なクラフトコーラ

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シロップ(伊良コーラ)

店頭のみで販売しているものや、一度きりの製造販売のものも多く常時購入できるものはまだ少ない。(あいうえお順)

  • アカガミコーラ
  • 芥川コーク
  • awaトクシマコーラ[17]
  • 出雲SPICE LAB. クラフトコーラ[18]
  • イセカルダモンコーラ[19]
  • 伊良コーラ
  • UMAMI COLA
  • 越後クラフトコーラ
  • おにみみコーラ[20]
  • OFF COLA[21]
  • カカオ⽣コーラ[22]
  • 鎌倉龍神コーラ
  • KAME COLA[23]
  • 亀の甲羅(カメノコーラ)[24]
  • キヌヤマコーラ
  • ぎふコーラ
  • 熊本クラフトコーラ
  • 高知クラフトコーラ"sawachina"
  • コーノコーラ
  • こはるコーラ
  • コーラ・ジ・エンド
  • コーランド コーラ・スカッシュ
  • 紺⾦コーラ
  • 薩摩クラフトコーラ
  • 瀬⼾内三豊コーラ
  • 丹後クラフトコーラ[25]
  • 知多コーラ
  • 美らコーラ
  • ツチヤコーラ
  • CHOICE COLA ORIGINAL CRAFT
  • 銚子灯台コーラ
  • spice ade®︎スパイスエード
  • TOKYO クラフトコーラ
  • ともコーラ
  • TOBATOBA
  • パチコーラ
  • 8cco 薬膳醗酵コーラ「覚醒」
  • 東三河クラフトコーラ[2]
  • ⽇々乃コーラ
  • フジコーラ
  • 富⼠⼭嶺クラフトコーラ
  • 北摂スパイスコーラ
  • 萬金コーラ
  • 三ツ矢サイダーグループ クラフトコーラ
  • Meimetsu
  • Mellow Cola
  • Moto Cola
  • 屋久島1000年コーラ
  • ヤタコーラ
  • 横浜クラフトコーラ
  • ラバブルコーラ
  • ラララコーラ

脚注

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  1. ^ a b 重松明子 (2024年5月4日). “「健康的な清涼飲料水『クラフトコーラ』」鍋でグツグツ…個性的な味が続々 近ごろ都に流行るもの”. 産経新聞:産経ニュース. 2024年7月25日閲覧。
  2. ^ a b “豊川ミントでさわやかコーラ 豊橋の企業がシロップ開発”. 中日新聞. (2022年1月25日). https://www.chunichi.co.jp/article/406332 2023年6月23日閲覧。 
  3. ^ Caleb's Kola (キャレブズ コーラ)” (PDF). 2023年5月21日閲覧。
  4. ^ 斎藤充博 (1634693400). “クラフトコーラって何? コーラの定義って? マニアに聞いたら、単なる流行に終わらない明るい未来の話になった #ソレドコ”. ソレドコ. 2022年3月24日閲覧。
  5. ^ beveragedaily.com (2014年10月7日). “PepsiCo launches craft cola: Caleb’s Kola promises ‘amazing freshness’” (英語). beveragedaily.com. 2023年9月27日閲覧。
  6. ^ "世界初!コーラの実を使ったクラフトコーラ専門店が東京に誕生!" (Press release). 伊良コーラ. 27 August 2018. 2023年9月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月27日閲覧
  7. ^ PR TIMESプレスリリース「クラフト香良(コーラ) つけ麺」を限定発売。
  8. ^ a b クラフトコーラ続々、ブーム到来か スパイス、ハーブ、柑橘などの組み合わせに妙味”. 食品新聞 WEB版. 食品新聞社 (2021年8月6日). 2021年8月15日閲覧。
  9. ^ 空水りょーすけ (2021年7月1日). “「クラフトコーラ」人気の秘密 新商品が続々と…ブームの理由をコーラマニアが解説”. https://www.dailyshincho.jp/article/2021/07011045/?all=1 2021年7月10日閲覧。 
  10. ^ “京都・丹後で「クラフトコーラ」次々と生まれる理由とは ブランド化目指す”. 京都新聞. (2022年4月23日) 
  11. ^ “クラフトコーラの人気は右肩上がり。健康志向も影響か”. (2021年4月30日). https://foodclip.cookpad.com/9164/ 2021年7月10日閲覧。 
  12. ^ a b 空水りょーすけ (2021年7月1日). “「クラフトコーラ」人気の秘密 新商品が続々と…ブームの理由をコーラマニアが解説(3ページ目)”. https://www.dailyshincho.jp/article/2021/07011045/?all=1&page=3 2021年7月10日閲覧。 
  13. ^ "全国各地のクラフトコーラメーカー32社が集結!有明ガーデンで「クラフトコーラ ヴィレッジ」開催!" (Press release). 住友不動産商業マネジメント株式会社. 16 March 2022. 2023年6月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月22日閲覧
  14. ^ "「国際クラフトコーラ連盟(FICA)」設立のお知らせ|PressWalker" (Press release). UMAMI COLA. 15 February 2023. 2024年7月25日閲覧
  15. ^ “新商品『伊良コーラ』(缶タイプ)が本日3月21日よりナチュラルローソンにて先行販売スタート!”. 伊良コーラ. (2023年3月21日). オリジナルの2024年6月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20240604213213/https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000036766.html 2023年3月21日閲覧。 
  16. ^ “ピュアクラフトコーラ×新体感エナジードリンク、Drink3時代の新しいドリンク発売”. (2023年9月12日). https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000070553.html 2023年9月12日閲覧。 
  17. ^ “スダチやユコウ使ったご当地クラフトコーラ登場 「AWAトクシマコーラ」、上勝の阪東食品が開発”. 徳島新聞社. (2021年7月9日). https://www.topics.or.jp/articles/-/549257 2023年6月23日閲覧。 
  18. ^ “手作りコーラが話題、スパイス10種と柑橘3種をブレンド”. 産経新聞社. (2020年9月1日). https://www.sankei.com/article/20200901-TGPSL6XSTRPBDPUO27SOIT2HDA/ 2023年6月23日閲覧。 
  19. ^ “「伊勢コーラ」甘さすっきり 畑のスパイスで試行錯誤2年 好みの濃さで味わって /三重”. 毎日新聞. (2021年3月1日). https://mainichi.jp/articles/20210301/ddl/k24/040/125000c 2023年6月23日閲覧。 
  20. ^ “コカ・コーラは薬剤師が発明した、だったらうちも 立ち上がった老舗”. 朝日新聞社. (2022年10月18日). https://www.asahi.com/articles/ASQBK75R2QB6POMB010.html 2023年6月23日閲覧。 
  21. ^ “クラフトコーラ業界初、脂肪燃焼に焦点を当てた健康系シロップ“動く前に飲む”『 DIET OFF COLA』が登場!”. JAPAN SHISHA TIMES. (2022年12月5日). https://www.japanshishatimes.jp/feature/diet-off-cola 2023年6月23日閲覧。 
  22. ^ “カカオの香りがふわっと広がる!京都発のクラフトコーラ”. BIOSTYLE. (2022年7月14日). https://online.goodnaturestation.com/column/know/2022-07-14/ 2023年6月23日閲覧。 
  23. ^ “京都発のクラフトコーラ「KAME COLA」の共同開発プロジェクトが開始!”. nomooo. (2021年8月12日). https://www.nomooo.jp/article/2021/08/12/10454.html 2023年6月23日閲覧。 
  24. ^ “龍田古道PR 緑のコーラ”. 読売新聞社. (2022年6月7日). https://www.yomiuri.co.jp/local/osaka/news/20220606-OYTNT50206/ 2023年6月23日閲覧。 
  25. ^ “京都・丹後で「クラフトコーラ」次々と生まれる理由とは ブランド化目指す”. 京都新聞. (2022年4月23日) 

関連項目

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