エアトゥーレ

日本の競走馬

エアトゥーレ(欧字名:Air Thule1997年3月10日 - 2021年3月13日)は、日本競走馬繁殖牝馬[1]2001年阪神牝馬ステークスの勝ち馬である。

エアトゥーレ
欧字表記 Air Thule[1]
品種 サラブレッド[1]
性別 [1]
毛色 芦毛[1]
生誕 1997年3月10日[1]
死没 2021年3月13日(24歳没)
登録日 1999年9月9日
抹消日 2003年4月12日
トニービン[1]
スキーパラダイス[1]
母の父 Lyphard[1]
生国 日本の旗 日本北海道千歳市[1]
生産者 社台ファーム[1]
馬主 (株)ラッキーフィールド[1]
調教師 森秀行栗東[1]
競走成績
生涯成績 24戦6勝
中央競馬)20戦6勝
(海外)4戦0勝[1]
獲得賞金 1億6152万4000円[1]
勝ち鞍
GII 阪神牝馬S 2001年
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繁殖牝馬としても、2008年皐月賞キャプテントゥーレなど4頭の重賞勝ち馬を輩出する活躍を見せた。叔父にスキーキャプテンがいる。

競走馬時代

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1999年

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1999年10月10日京都競馬場で行われた3歳新馬戦で、母にも騎乗経験のある武豊騎乗でデビュー。単勝1.5倍の1番人気に支持されるが、2着だった。10月30日に同じく京都競馬場で行われた新馬戦でも1番人気に支持され、デビュー2戦目で初勝利を挙げる。

2000年

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2000年重賞初挑戦となったクイーンカップでは、3番人気に支持されるが7着という結果に終わった。続く報知杯4歳牝馬特別でも3番人気に支持され、人気どおりの3着となり桜花賞の優先出走権を獲得した。しかし桜花賞では、4番人気だったが、スタートで2馬身以上出遅れ11着という結果に終わった。秋以降は条件戦を走り、全て1番人気に支持され3戦2勝という成績だった。

2001年

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2001年の初戦は条件馬ながら京都牝馬ステークスに出走し3着となり、続くうずしおステークス(1600万下)では2着となった。秋に条件レースを2連勝し、迎えた阪神牝馬ステークスでは、ビハインドザマスクダイヤモンドビコーダイワルージュなどの強豪馬らを破り、重賞初勝利を挙げた。

2002年

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2002年、この年初戦の京都牝馬ステークスでは、1番人気に支持されるが4着。続く高松宮記念は、6番人気で10着という結果に終わった。その後は日本国外へ遠征を行い、シンガポールクランジ競馬場クリスフライヤースプリント(G3)に出走し、ノースボーイの3着となる[注 1]。その後、欧州に渡った同馬はイギリスニューマーケットにあるジェフ・ラグ(Geoff Wragg)厩舎を拠点として、フランスモーリス・ド・ゲスト賞(G1)ではメイボール(May Ball)に敗れたが2着と善戦した。さらにイギリスに留まり、スプリントカップ(G1)に出走するも11着であった。帰国後はキャピタルステークスで3着、連覇を目指した阪神牝馬ステークスでは8着という結果だった。

2003年

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6歳となった2003年阪急杯で7番人気ながら4着となり、迎えた高松宮記念では12番人気で14着と大敗。このレースを最後に引退することになり、4月12日付でJRAの競走馬登録を抹消された。

繁殖牝馬時代

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北海道千歳市の社台ファームにて繁殖牝馬として繋養され、2番仔のキャプテントゥーレが2007年デイリー杯2歳ステークスを制し産駒の重賞初勝利を記録、翌2008年には皐月賞を制覇している。また2009年には初年度産駒であるアルティマトゥーレセントウルステークスを勝ち上がり後にシルクロードステークスも勝利。2016年にはクランモンタナ小倉記念を、2022年にはシルヴァーソニックステイヤーズステークスを優勝。2023年にはシルヴァーソニックがサウジカップデーレッドシーターフハンデキャップ(GIII)を制し、産駒の海外重賞初優勝を果たすとともに、産駒の重賞勝利数が計9勝となる。また2023年にはアルティマトゥーレの孫のイーグルノワール兵庫ジュニアグランプリを制するなど、孫以降の世代からも重賞馬が出ている。

2018年キンシャサノキセキとの仔の出産を最後に繁殖から引退[2]。その後は社台ブルーグラスファームにて繋養され、2021年3月13日に死亡した[3]。24歳没。

競走成績

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以下の内容は、netkeiba.com[4]、JBISサーチ[5]香港賽馬會[6]およびRacing Post[7][8][9]に基づく。

年月日 競馬場 競走名 頭数 枠番 馬番 オッズ
(人気)
着順 騎手 斤量 距離(馬場) タイム
(上り3F)
タイム
勝ち馬/(2着馬)
1999.10.10 京都 3歳新馬 13 8 12 01.5 0(1人) 02着 武豊 53kg 芝1200m(良) 1:10.5(34.8) -0.1 ユレルオモイ
0000.10.30 京都 3歳新馬 16 6 12 01.4 0(1人) 01着 武豊 53kg 芝1400m(良) 1:22.9(35.7) -0.1 (イアラスーベニア)
2000.02.19 東京 クイーンC GIII 16 3 6 05.9 0(3人) 07着 武豊 53kg 芝1600m(良) 1:36.9(37.1) -0.8 フューチャサンデー
0000.03.12 阪神 報知杯4歳牝馬特別 GII 16 5 10 06.6 0(3人) 03着 武豊 54kg 芝1400m(良) 1:23.4(35.1) -0.4 サイコーキララ
0000.04.09 阪神 桜花賞 GI 18 8 16 09.0 0(4人) 11着 武豊 55kg 芝1600m(良) 1:36.3(36.6) -1.4 チアズグレイス
0000.10.14 京都 4歳上500万下 17 5 10 04.1 0(2人) 04着 福永祐一 53kg 芝1400m(良) 1:22.1(34.8) -0.3 ゴールデンバード
0000.10.29 京都 4歳上500万下 14 6 10 12.1 0(1人) 01着 福永祐一 53kg 芝1400m(重) 1:21.7(34.2) -0.1 (ジョーディッガー)
0000.11.12 京都 醍醐特別 900 16 2 3 03.5 0(1人) 05着 福永祐一 53kg 芝1200m(良) 1:08.9(34.2) -0.2 ナムラマイカ
0000.12.16 阪神 4歳上900万下 10 3 3 02.4 0(1人) 01着 M.デムーロ 53kg 芝1400m(良) 1:21.2(34.9) -0.2 (ハギノスプレンダー)
2001.01.28 京都 京都牝馬S GIII 16 2 4 10.1 0(4人) 03着 M.デムーロ 52kg 芝1600m(稍) 1:35.3(35.1) -0.1 グレイスナムラ
0000.02.24 阪神 うずしおS 1600 14 3 3 02.1 0(1人) 02着 M.デムーロ 54kg 芝1400m(稍) 1:21.8(35.7) -0.2 ハギノスプレンダー
0000.10.27 京都 3歳上1000万下 9 4 4 02.0 0(1人) 01着 藤田伸二 55kg 芝1600m(良) 1:35.3(34.2) -0.4 (マイマリアーナ)
0000.11.17 東京 3歳上1000万下 14 3 3 01.6 0(1人) 01着 武豊 56kg 芝1600m(良) 1:35.5(35.6) -0.1 (タイキメビウス)
0000.12.16 阪神 阪神牝馬S GII 16 4 8 10.2 0(5人) 01着 M.デムーロ 55kg 芝1600m(良) 1:33.5(35.6) -0.1 (ムーンライトタンゴ)
2002.01.27 京都 京都牝馬S GIII 12 7 10 02.2 0(1人) 04着 武豊 55kg 芝1600m(重) 1:36.4(35.6) -0.4 ビハインドザマスク
0000.03.24 中京 高松宮記念 GI 18 5 10 18.5 0(6人) 10着 福永祐一 55kg 芝1200m(良) 1:09.8(36.1) -1.4 ショウナンカンプ
0000.05.11 クランジ クリスフライヤーS G3 12 10 11 03着 武豊 122lbs 芝1200m(Gd) 1:09.9(00.0) -0.9 North Boy
0000.08.11 ドーヴィル モーリス・ド・ゲスト賞 G1 9 10 6 0(7人) 02着 武豊 125lbs 芝1300m(VSft) 1:17.7(00.0) May Ball
0000.09.07 ヘイドック スプリントC G1 14 14 12 0(6人) 11着 武豊 122lbs 芝1200m(GF) 1:12.4(00.0) Invincible Spirit
0000.11.24 中山 キャピタルS OP 13 1 1 10.2 0(5人) 03着 四位洋文 54kg 芝1600m(良) 1:33.7(35.1) -0.2 ローエングリン
0000.12.15 阪神 阪神牝馬S GII 16 8 16 13.0 0(3人) 08着 四位洋文 55kg 芝1600m(良) 1:33.9(35.4) -0.7 ダイヤモンドビコー
2003.03.02 阪神 阪急杯 GIII 15 7 13 30.8 0(7人) 04着 D.ボニヤ 56kg 芝1200m(稍) 1:09.1(34.7) -0.6 ショウナンカンプ
0000.03.30 中京 高松宮記念 GI 18 3 5 91.5 (12人) 16着 四位洋文 55kg 芝1200m(良) 1:09.2(34.4) -1.1 ビリーヴ
  • Draw=枠番, Horse=馬番
  • 馬場状態: Fm=Firm, GF=Good to Firm, Gd=Good, GS=Good to Soft, Y=Yielding, YSft=Yielding to Soft, Sft=Soft, Hy=Heavy
  • 着差:dht=dead heat(同着), nse=nose(ハナ), shd=short head(短頭), hd=head(アタマ), nk=neck(クビ), l=length(馬身), dist=distance(大差)

繁殖成績

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生年 馬名 毛色 馬主 管理調教師 戦績 主な勝利競走 供用 出典
初仔 2004年 アルティマトゥーレ 鹿毛 フジキセキ (有)社台レースホース 栗東・森秀行
美浦奥平雅士
14戦7勝 2009年セントウルS
2010年シルクロードS
(繁殖牝馬) [10]
2番仔 2005年 キャプテントゥーレ 芦毛 アグネスタキオン 栗東・森秀行 20戦5勝 2007年デイリー杯2歳S
2008年皐月賞
2009・10年朝日チャレンジC
(種牡馬) [11]
3番仔 2008年 サトノオー 芦毛 ディープインパクト 里見治 美浦・藤沢和雄 21戦2勝 (引退) [12]
4番仔 2009年 クランモンタナ 芦毛 (有)社台レースホース 栗東・音無秀孝 54戦7勝 2016年小倉記念 (引退) [13]
5番仔 2010年 リジェネレーション 栗毛 アグネスタキオン 栗東・角居勝彦 3戦1勝 (引退) [14]
6番仔 2011年 ミラクルホース 鹿毛 ゼンノロブロイ 松木和子 高知・松木啓助 地方51戦6勝 (引退) [15]
7番仔 2012年 コンテッサトゥーレ 鹿毛 ディープインパクト (有)社台レースホース 栗東・安田隆行 14戦2勝 (繁殖牝馬) [16]
8番仔 2013年 テラノヴァ 芦毛 ヴィクトワールピサ 栗東・須貝尚介 30戦4勝 (繁殖牝馬) [17][18]
9番仔 2014年 ヘヴントゥナイト 牡→ 芦毛 ダイワメジャー 栗東・杉山晴紀
小林・荒山勝徳
32戦4勝 (引退) [19]
10番仔 2016年 シルヴァーソニック 芦毛 オルフェーヴル 栗東・池江泰寿 JRA23戦5勝 海外1戦1勝 2022年ステイヤーズS(GII)
2023年 レッドシーターフH(G3)
(引退) [20][21]
11番仔 2017年 ナムアミダブツ 鹿毛 小阪優友
→仔馬カメラ
栗東・石坂公一 29戦2勝 (現役競走馬) [22]
12番仔 2018年 ノルトエンデ 芦毛 キンシャサノキセキ (有)社台レースホース 美浦・金成貴史 1戦0勝 (引退) [23]
  • 2024年10月11日現在

血統表

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エアトゥーレ血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 ゼダーン系
[§ 2]

*トニービン
Tony Bin
1983 鹿毛
父の父
*カンパラ
1976 黒鹿毛
Kalamoun *ゼダーン
Khairunissa
State Pension *オンリーフォアライフ
Lorelei
父の母
Severn Bridge
1965 鹿毛
Hornbeam Hyperion
Thicket
Priddy Fair Preciptic
Campanette

*スキーパラダイス
Ski Paradise
1990 芦毛
Lyphard
1969 鹿毛
Northern Dancer Nearctic
Natalma
Goofed Court Martial
Barra
母の母
Ski Goggle
1980 芦毛
*ロイヤルスキー Raja Baba
Coz o'Nijinsky
Mississippi Siren Delta Judge
Cable Censor
母系(F-No.) (FN:3-l) [§ 3]
5代内の近親交配 Fair Trial 6.25% 5 x 5 [§ 4]
出典
  1. ^ [24]
  2. ^ [25]
  3. ^ [24]
  4. ^ [24][25]

脚注

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注釈

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  1. ^ 日本調教馬としては初のシンガポール遠征でもあった。

出典

編集
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o エアトゥーレ”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2022年12月3日閲覧。
  2. ^ エアトゥーレ(JPN) - 血統書サービス、2022年3月3日閲覧。
  3. ^ 馬・牧場・施設検索 - 競走馬のふるさと案内所、2022年5月4日閲覧
  4. ^ エアトゥーレの競走成績”. netkeiba.com. Net Dreamers Co., Ltd.. 2019年9月11日閲覧。
  5. ^ エアトゥーレ 競走成績”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年9月11日閲覧。
  6. ^ 2002 Singapore Airlines International Cup & Singapore Airlines KrisFlyer Sprint” (英語). 香港賽馬會(The Hong Kong Jockey Club). 2019年9月11日閲覧。
  7. ^ Result - Singapore Airlines KrisFlyer Sprint (Group 3)” (英語). Racing Post (2002年5月11日). 2019年9月11日閲覧。
  8. ^ Result - Prix Maurice de Gheest (Group 1) (Straight)” (英語). Racing Post (2002年8月11日). 2019年9月11日閲覧。
  9. ^ Result - Stanley Leisure Sprint Cup Class A (Group 1)” (英語). Racing Post (2002年9月7日). 2019年9月11日閲覧。
  10. ^ アルティマトゥーレ”. JBISサーチ. 2019年9月11日閲覧。
  11. ^ キャプテントゥーレ”. JBISサーチ. 2019年9月7日閲覧。
  12. ^ サトノオー”. JBISサーチ. 2019年9月11日閲覧。
  13. ^ クランモンタナ”. JBISサーチ. 2019年9月11日閲覧。
  14. ^ リジェネレーション”. JBISサーチ. 2019年9月11日閲覧。
  15. ^ ミラクルホース”. JBISサーチ. 2019年9月11日閲覧。
  16. ^ コンテッサトゥーレ”. JBISサーチ. 2019年9月11日閲覧。
  17. ^ テラノヴァ”. JBISサーチ. 2019年9月11日閲覧。
  18. ^ “【今週の登録抹消馬】2月27日”. サンケイスポーツ. (2019年2月27日). https://race.sanspo.com/keiba/news/20190227/etc19022720170007-c.html 2019年9月11日閲覧。 
  19. ^ ヘヴントゥナイト”. JBISサーチ. 2019年9月11日閲覧。
  20. ^ シルヴァーソニック”. JBISサーチ. 2024年5月29日閲覧。
  21. ^ 【栗東便り】愛馬シルヴァーソニック引退に「感謝しかない」担当池本助手との”白銀旅程””. 日刊スポーツ. 2024年5月29日閲覧。
  22. ^ ナムアミダブツ”. JBISサーチ. 2024年5月29日閲覧。
  23. ^ ノルトエンデ|JBISサーチ(JBIS-Search)”. JBISサーチ. 2021年7月1日閲覧。
  24. ^ a b c エアトゥーレ 血統情報:5代血統表”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年9月11日閲覧。
  25. ^ a b エアトゥーレの血統表”. netkeiba.com. Net Dreamers Co., Ltd.. 2019年9月11日閲覧。

関連項目

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産駒の4頭以上がグレード制重賞を制した日本の繁殖牝馬

外部リンク

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