アナザーラウンド
『アナザーラウンド』(デンマーク語: Druk[注釈 1], 英語: Another Round)は、2020年のデンマーク・オランダ・スウェーデンのコメディドラマ映画。監督はトマス・ヴィンターベア、脚本はヴィンターベアとトビアス・リンホルム、出演はマッツ・ミケルセン、トマス・ボー・ラーセン、マグナス・ミラン、ラース・ランゼなど。
アナザーラウンド | |
---|---|
Druk | |
監督 | トマス・ヴィンターベア |
脚本 |
|
製作 |
|
出演者 | |
撮影 | シュトゥルラ・ブラント・グロヴレン |
編集 | |
製作会社 | |
配給 |
|
公開 | |
上映時間 | 117分 |
製作国 | |
言語 | デンマーク語 |
製作費 |
kr33.5 million[3] (US$3.9 million) |
興行収入 | $21.7 million[4] |
ワールド・プレミアは2020年9月12日に第45回トロント国際映画祭で行われ、その後2020年9月24日にデンマークでノルディスク・フィルム配給により一般公開された。第93回アカデミー賞では国際長編映画賞と監督賞にノミネートされ、前者を受賞した。そのほかに第78回ゴールデングローブ賞の外国語映画賞や第74回英国アカデミー賞の非英語作品賞と主演男優賞(ミケルセン)を含む4部門にノミネートされた。
ストーリー
編集この作品記事はあらすじの作成が望まれています。 |
キャスト
編集※括弧内は日本語吹替[6]
製作
編集映画はトマス・ヴィンターベアがウィーンのブルク劇場で働いていた頃に書いた戯曲に基づいている[8]。さらに追加のインスピレーションはウィンターベアの娘のイーダから聞かされたデンマークの若者の飲酒文化の話から来ている[9]。イーダは当初はヴィンターベアに映画に出演させるように頼んでおり、マーティン(マッツ・ミケルセン)の娘役が予定されていた。当初の物語は「アルコールがなければ世界の歴史は違っていただろうという説に基づくアルコールの祝祭」だった[8]。しかしながら撮影開始から4日後にイーダは自動車事故で亡くなった。それを受けて脚本はより人生を肯定するように書き直され、「それはただ飲酒についてだけではない。人生に目覚めることについてだ」とヴィンターベアは説明した。事故の翌週は共同脚本のトビアス・リンホルムが監督を務めた。映画はイーダに捧げられ、一部は彼女のクラスメートと共に教室で撮影された[8]。
製作中に4人の俳優とヴィンターベアは集まって互いの前での恥ずかしさを捨てるために酒を飲んだ。彼らはまた完全な酩酊状態の人間がどのような行動をとるかをより知るためにYouTubeで酔っ払いの動画を見た[10]。
公開
編集『アナザーラウンド』は当初は第73回カンヌ国際映画祭でのワールド・プレミアが予定されていたが、COVID-19パンデミックを受けたフランス政府の規制のために映画祭自体が中止となった[11][12][13]。その後改めて第45回トロント国際映画祭でワールド・プレミアが行われた[14][15]。他にサン・セバスティアン国際映画祭でも上映され、ゴールデン・シェルを争った[16]。ベルギーのヘント映画祭ではオープニング作品として上映された[17]。さらに第51回インド国際映画祭でもオープニング作品として上映された[18]。
デンマークでは2020年9月24日にノルディスク・フィルムで上映された[19]。2020年9月、サミュエル・ゴールドウィン・フィルムズがアメリカでの配給権を獲得した[20]。日本では2021年9月3日よりクロックワークス配給で公開される[21]。
評価
編集批評家の反応
編集レビュー集積サイトのRotten Tomatoesでは218件のレビューで支持率は92%、平均点は7.9/10、批評家の一致した見解は「巧みに演出された悲喜劇を1つ取り上げ、マッツ・ミケルセンをヴィンテージの形で少し加えると、中年の危機に酔いしれた『アナザーラウンド』ができあがる。」となった[22]。Metacriticでは34件のレビューに基づいて加重平均値は79/100となった[23]。
受賞とノミネート
編集映画祭・賞 | 授賞式開催日 | 部門 | 候補 | 結果 | 参照 |
---|---|---|---|---|---|
アカデミー賞 | 2021年4月25日 | 監督賞 | トマス・ヴィンターベア | ノミネート | [24] |
国際長編映画賞 | 『アナザーラウンド』 | 受賞 | |||
アデレード映画祭 | 2020年10月25日 | フィクション作品賞 | 『アナザーラウンド』 | ノミネート | [25] |
EDA賞 | 2021年1月4日 | 非英語作品賞 | 『アナザーラウンド』 | 受賞 | [26] |
英国アカデミー賞 | 2021年4月11日 | 監督賞 | トマス・ヴィンターベア | ノミネート | [27] |
主演男優賞 | マッツ・ミケルセン | ノミネート | |||
オリジナル脚本賞 | トビアス・リンホルム、トマス・ヴィンターベア | ノミネート | |||
非英語作品賞 | トマス・ヴィンターベア、シシ・グラウム・ヨアンセン | 受賞 | |||
ロンドン映画祭 | 2020年10月18日 | 作品賞 | 『アナザーラウンド』 | 受賞 | [28] |
セザール賞 | 2021年3月12日 | 外国語映画賞 | 『アナザーラウンド』 | 受賞 | [29] |
シカゴ映画批評家協会賞 | 2020年12月21日 | 外国語映画賞 | 『アナザーラウンド』 | 受賞 | [30] |
クリティクス・チョイス・アワード | 2021年3月7日 | 外国語映画賞 | 『アナザーラウンド』 | ノミネート | [31] |
ヨーロッパ映画賞 | 2020年12月12日 | 作品賞 | 『アナザーラウンド』 | 受賞 | [32] |
監督賞 | トマス・ヴィンターベア | 受賞 | |||
脚本賞 | トマス・ヴィンターベア、トビアス・リンホルム | 受賞 | |||
男優賞 | マッツ・ミケルセン | 受賞 | |||
ユニバーシティ賞 | ノミネート | ||||
ヘント映画祭 | 2020年10月24日 | キャンバス観客賞 | 『アナザーラウンド』 | 受賞 | [33] |
ゴールデングローブ賞 | 2021年2月28日 | 外国語映画賞 | 『アナザーラウンド』 | ノミネート | [34] |
ヒューストン映画批評家協会賞 | 2021年1月18日 | 外国語映画賞 | 『アナザーラウンド』 | ノミネート | [35] |
インディーワイア批評家投票 | 2020年12月14日 | 国際映画賞 | 『アナザーラウンド』 | 3位 | [36] |
演技賞 | マッツ・ミケルセン | 10位 | |||
ロンドン映画批評家協会賞 | 2021年2月7日 | 外国語映画賞 | 『アナザーラウンド』 | 受賞 | [37] |
オンライン映画批評家協会賞 | 2021年1月25日 | 非英語作品賞 | 『アナザーラウンド』 | ノミネート | [38] |
サンディエゴ映画批評家協会賞 | 2021年1月11日 | 国際映画賞 | 『アナザーラウンド』 | ノミネート | [39][40] |
サンフランシスコ映画批評家協会賞 | 2021年1月18日 | 外国語映画賞 | 『アナザーラウンド』 | 受賞 | [41] |
サン・セバスティアン国際映画祭 | 2020年9月26日 | シルバー・シェル男優賞 | マッツ・ミケルセン、トマス・ボー・ラーセン、マグナス・ミラン、ラース・ランゼ | 受賞 | [42] |
プレミオ・フェロス・ジネマルディア賞 | 『アナザーラウンド』 | 受賞 | [43] | ||
SIGNIS賞 | トマス・ヴィンターベア | 受賞 | [44] | ||
シルバー・シェル監督賞 | トマス・ヴィンターベア | ノミネート | |||
ゴールデン・シェル | トマス・ヴィンターベア | ノミネート | |||
セントルイス映画批評家協会賞 | 2021年1月17日 | 外国語映画賞 | 『アナザーラウンド』 | 受賞 | [45] |
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ “Druk”. Danish Film Institute. 5 June 2020閲覧。
- ^ “Another Round (Druk)” (英語). Cineuropa. 2 March 2021閲覧。
- ^ “Optagelserne til Thomas Vinterbergs "Druk" er i gang igen!” (デンマーク語). danske-biografer.dk. Danske Biografer (12 June 2019). 14 December 2020閲覧。
- ^ “Druk (2020) - Financial Information”. The Numbers. 15 March 2021閲覧。
- ^ Symkus, Ed. “A big ‘Skol’ goes out to the drinking buddies in ‘Another Round’”. MetroWest Daily News. 2021年3月23日閲覧。
- ^ “アナザーラウンド”. クロックワークス公式サイト. 2022年3月4日閲覧。
- ^ a b “井上和彦、榎木淳弥ら豪華声優陣が参加する『アナザーラウンド』の日本語吹替版が、U-NEXTにて独占配信決定!”. 株式会社 U-NEXTのプレスリリース. (2022年2月28日) 2022年3月2日閲覧。
- ^ a b c “Thomas Vinterberg taler ud om sorgen” (デンマーク語). ekkofilm.dk. Filmmagasinet Ekko (21 June 2020). 14 December 2020閲覧。
- ^ Mørck, Astrid Helmer; Søe, Carl-Emil (23 September 2020). “Thomas Vinterbergs afdøde datter skulle have haft en rolle i hans nye film” (デンマーク語). underholdning.tv2.dk. TV2 14 December 2020閲覧。
- ^ “Thomas Vinterberg om 'Druk' efter tragedien: "Den er gået fra at være en hyldest til alkohol til at være en hyldest til livet"” (デンマーク語). Soundvenue. soundvenue.com (20 September 2020). 14 December 2020閲覧。
- ^ “Cannes Film Festival Reveals 2020 Lineup: Wes Anderson, Steve McQueen, Kate Winslet & Pixar”. Deadline. 4 June 2020閲覧。
- ^ “Cannes selects lineup for 2020 edition after 'physical' festival shelved”. The Guardian. 4 June 2020閲覧。
- ^ “The films of the Official Selection 2020”. Cannes. 5 June 2020閲覧。
- ^ “TIFF 2020: September 10–19”. Toronto International Film Festival. 24 June 2020閲覧。
- ^ “Another Round”. Toronto International Film Festival. 19 September 2020閲覧。
- ^ “Druk/Another Round”. San Sebastián International Film Festival. 27 September 2020閲覧。
- ^ “Ghent Film Festival announces full October programme” (英語). The Brussels Times (24 September 2020). 29 September 2020閲覧。
- ^ “51st International Film Festival of India in Goa from Jan 16, to open with Vinterberg's 'Another Round'”. Business World. (2 January 2021) 2021年3月23日閲覧。
- ^ Mitchell, Wendy (26 June 2020). “Buyers thirsty for Thomas Vinterberg's 'Another Round' (exclusive)”. Screen International. 19 September 2020閲覧。
- ^ Roxborough, Scott (9 September 2020). “Samuel Goldwyn Films Takes 'Another Round' for U.S.”. The Hollywood Reporter. 19 September 2020閲覧。
- ^ “第93回アカデミー賞2部門ノミネート マッツ・ミケルセン主演『アナザーラウンド』9月3日公開” (2021年3月22日). 2021年3月23日閲覧。
- ^ "Another Round". Rotten Tomatoes (英語). 2022年3月13日閲覧。
- ^ "Another Round" (英語). Metacritic. 2022年3月13日閲覧。
- ^ “2021 Oscars shortlists in 9 categories: International Feature Film, Documentary Feature, Original Song, Score”. goldderby.com (9 February 2021). 10 February 2021閲覧。
- ^ “2020 ADELAIDE FILM FESTIVAL ANNOUNCES FEATURE FICTION AND FEATURE DOCUMENTARY AWARD WINNERS”. 2021年3月23日閲覧。
- ^ Davis, Clayton (4 January 2021). “'Nomadland' Triumphs at Alliance of Women Film Journalists Awards (EXCLUSIVE)”. Variety. 24 January 2021閲覧。
- ^ “BAFTA Unveils Film Nominations in Historic Year After Diversity Review: ‘Nomadland,’ ‘Rocks’ Lead Nominees” (9 March 2021). 2021年3月23日閲覧。
- ^ “Winners announced for Virtual LFF Audience Awards 2020”. bfi.org.uk (18 October 2020). 14 December 2020閲覧。
- ^ “César Awards: 'Love Affair(s),' 'Adieu Les Cons,' 'Summer Of 85' Lead Nominations; 'Two Of Us' Scores Four Nods”. Deadline (10 February 2021). 11 February 2021閲覧。
- ^ “Nomadland Leads Chicago Film Critics Association 2020 Awards”. chicagofilmcritics.org. Chicago Film Critics Association (21 December 2020). 22 December 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。24 January 2021閲覧。
- ^ “Mank and Minari Lead the 26th Annual Critics Choice Award Nominations”. Vulture (8 February 2021). 11 February 2021閲覧。
- ^ Tartaglione, Nancy (12 December 2020). “European Film Awards: 'Another Round' Sweeps; Wins For Best Film, Mads Mikkelsen Best Actor, Thomas Vinterberg Best Director & Screenwriter With Tobias Lindholm”. Deadline.com. Deadline Hollywood 14 December 2020閲覧。
- ^ “'For Sama' and 'Drunk' win audience awards at FFG2020”. filmfestival.be. 14 December 2020閲覧。
- ^ “Winners & Nominees 2021” (英語). www.goldenglobes.com. 3 February 2021閲覧。
- ^ “The 2020 Houston Film Critics Society (HFCS) Winners”. NextBestPicture.com (18 January 2021). 24 January 2021閲覧。
- ^ Kohn, Eric (14 December 2020). “2020 Critics Poll: The Best Films and Performances According to Over 200 Critics from Around the World”. IndieWire. 24 January 2021閲覧。
- ^ “Nomadland wins three London Critics' Circle awards as female film-makers triumph”. The Guardian (7 February 2021). 8 February 2021閲覧。
- ^ “The 2020 Online Film Critics Society (OFCS) Nominations”. NextBestPicture.com (19 January 2021). 24 January 2021閲覧。
- ^ “San Diego Film Critics Society 2020 Awards Nominations”. San Diego Film Critics Society. 24 January 2021閲覧。
- ^ “San Diego Film Critics Society 2020 Awards Winners”. San Diego Film Critics Society. 24 January 2021閲覧。
- ^ Harrington, Jim (18 January 2021). “Bay Area film critics honor 'Nomadland,' Chadwick Boseman”. The Mercury News. 24 January 2021閲覧。
- ^ “Official Awards - FIAPF” (26 September 2020). 26 September 2020閲覧。
- ^ “La prensa especializada premia con el Feroz Zinemaldia a Thomas Vinterberg” (スペイン語). EFE. (26 September 2020) 27 September 2020閲覧。
- ^ “Druk by Thomas Vinterberg wins SIGNIS Prize at San Sebastián Film Festival”. signis.net (29 September 2020). 14 December 2020閲覧。
- ^ “The 2020 St. Louis Film Critics Association (StLFCA) Winners”. Next Best Picture. 24 January 2021閲覧。