TB-1 (航空機・アメリカ合衆国)
TB-1
開発
編集1925年、グレン・L・マーティン・カンパニーのT3M-1と平行して開発が開始された。設計は、アメリカ合衆国海軍航空局が行い、1925年5月にボーイングに3機の製造が発注された[2]。
1927年5月4日に初飛行[1]、6月に全機が納入された[3]。だが、この時既に100機のT3M-2艦上攻撃機が生産に入り最初の機体が完成、さらにT4Mの原型機XT4M-1が初飛行を遂げていた[4]。加えて同月には双発の水上雷撃機XT2D-1がVT-2飛行隊に配備されており、さらに6月30日にT3M-2の更新としてT4M-1が発注されていた状況でTB-1計画が進行することはなかった[4][5]。
生産機
編集製造番号834から836の3機の生産機には、航空局によりA7024から7026までのシリアルナンバーが付与された[6][3]。社内名称はモデル63であり、A7024を付された最初の機体をXTB-1と呼称する場合もある[3]。
構造
編集機体は競合したT3Mが木製の主翼と鋼管製の機体を有したのに対し、ジュラルミンの上に布地を張ったものであった[3]。
エンジンはパッカード 1A-2500系の3A-2500液冷V型12気筒レシプロエンジン1基を搭載[3]、ハミルトン・スタンダードの3翅固定ピッチプロペラを駆動した[2][注 1]。
主翼は平行配置の複葉、翼間支柱1組のシングルベイ式である[2]。胴体側後方の翼間支柱を支点に両翼を後方に折りたたむことで、艦載時の全幅を55フィート(17m)から21フィート8インチ(6.6m)に縮めることが可能となっていた[3]。
降着装置としては水上機としてのフロートと陸上機としての車輪を選択することが可能であったが、車輪は左右に2組の4輪式であった[2]。これは、胴体下部に魚雷を装備する空間を確保するための配置である[3]。当時、雷撃機は沿岸基地からの運用に限定されていた状況から、航空母艦ラングレーにおける試験が行われており、レキシントン、サラトガの就役を控えて艦上機としての運用が求められていたが、TB-1には艦上機としての降着装置が装備されることはなかった[4][2][注 2]。
乗員は3人、前方エンジン直後にパイロットと爆撃手兼航法士が並列に座り、主翼と尾部の間、機体上面に銃座が位置した[8][3]。
固定武装は機体後方上部に可動式の7.62mm機銃1挺、加えて魚雷1本か1,500ポンド爆弾を機体下部の下翼前方に搭載可能であった[2][3][注 3]。
要目
編集諸元
- 乗員: 3
- 全長: 12.98m (42ft7in)
- 全高: 水上機:4.6m(15ft1in)、陸上機:4.37m(14ft4in)
- 翼幅: 17m(55ft)
- 翼面積: 80.64m2 (868ft2)
- 空虚重量: 2,857kg (6,298lb)
- 運用時重量: 4,780kg (10,537lb)
- 動力: パッカード 3A-2500[3] 液冷V型12気筒ガソリン、540kW (730hp) × 1
性能
- 最大速度: 171km/h (106mph)
- 航続距離: 1,370km 850mi
- 実用上昇限度: 3,580m (11,750ft)
- 上昇率: 230m(754ft)/min
武装
- 固定武装: 7.62mm機銃 1挺
- 爆弾: 魚雷1本または1,500ポンド爆弾
注
編集出典
編集- ^ a b c “The Boeing Logbook: 1927 - 1932”. ボーイング. 2014年11月15日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j E.R. Johnson (2011-04-20). United States Naval Aviation, 1919-1941: Aircraft, Airships and Ships Between the Wars. McFarland. pp. 23-24. ISBN 9780786485857
- ^ a b c d e f g h i j k l m n Peter M Bowers (1989). Boeing aircraft since 1916 (3 ed.). Naval Institute Press. pp. 76-78. ISBN 978-3822896631
- ^ a b c d Ray Wagner (2004-08-01). “Torpedo Planes XTN-1, SDW-1, CS-1, CS-2, SC-1, T3M-1”. American Combat Planes of the 20th Century: A Comprehensive Reference. Jack Bacon & company. ISBN 978-0930083175 2014年11月15日閲覧。
- ^ Ray Wagner (2004-08-01). “Torpedo Planes T2D-1, P2D-1, T3M-l, T3M-2 XT3D-1”. American Combat Planes of the 20th Century: A Comprehensive Reference. Jack Bacon & company. ISBN 978-0930083175 2014年11月15日閲覧。
- ^ Roy A. Grossnick. “Appendix 9 Bureau (Serial) Numbers of Naval Aircraft” (PDF). United States Naval Aviation 1910-1995. アメリカ合衆国海軍歴史センター. p. 527 2014年11月15日閲覧。
- ^ “STATISTICS OF ALL THE AERO ENGINES OF PACKARD” (PDF). Aircraft Engine Historical Society. 2014年11月15日閲覧。
- ^ a b Ray Wagner (2004-08-01). “Torpedo Planes DT-1, DT-2, DT-4, DT-6, CS-1”. American Combat Planes of the 20th Century: A Comprehensive Reference. Jack Bacon & company. ISBN 978-0930083175 2014年11月15日閲覧。
- ^ Ray Wagner (2004-08-01). “Torpedo Planes SC-1, SC-2, T2D-1, TB-1, XTN-1”. American Combat Planes of the 20th Century: A Comprehensive Reference. Jack Bacon & company. ISBN 978-0930083175 2014年11月15日閲覧。