N,N'-ジニトロソペンタメチレンテトラミン
N,N'-ジニトロソペンタメチレンテトラミン(英: N,N'-Dinitrosopentamethylenetetramine)は化学式C5H10N6O2で表される、ニトロソアミンの一種。ゴムなどの有機発泡剤として用いられる。
N,N'-ジニトロソペンタメチレンテトラミン N,N'-Dinitrosopentamethylenetetramine | |
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別称 3,7-ジニトロソ-1,3,5,7-テトラアザビシクロ[3.3.1]ノナン 1,5-メチレン-3,7-ジニトロソ-1,3,5,7-テトラアザシクロオクタン | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 101-25-7 |
特性 | |
化学式 | C5H10N6O2 |
モル質量 | 186.175 |
外観 | 薄い黄色の結晶ないし粉末 |
匂い | 無臭 |
融点 |
246 °C, 519 K, 475 °F |
水への溶解度 | 0.48g/100mL |
有機溶媒への溶解度 | アルコールに難溶 エーテル、ベンゼン、アセトン、ピリジン、アセトニトリル、メチルエチルケトンに微溶 ジメチルホルムアミドに易溶。 |
危険性 | |
半数致死量 LD50 | 940mg/kg(ラット経口) |
熱化学 | |
標準生成熱 ΔfH |
54.5kcal/mol |
関連する物質 | |
関連物質 | ヘキサメチレンテトラミン トリメチレントリニトロアミン |
出典 | |
製品安全データシート(東京化成工業) | |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
製造
編集ヘキサメチレンテトラミンを亜硝酸ナトリウムと硫酸でN-ニトロソ化して得られる[1]。
用途
編集主に発泡ゴム、エテン-酢酸ビニル共重合体の発泡剤として使用される。単独で使用する場合は203~207℃で分解が開始し、窒素やホルムアルデヒドを生じる。比較的安価で着色性もないが、分解熱が127.5kcal/molと高いことや、副生するアミンによる着臭の欠点がある[1]。
高温を避けたい場合は、活性化剤として尿素や無水フタル酸、サリチル酸などを添加する。この場合は110〜130℃で分解が始まる。尿素やメラミンを添加すると、アミンの発生が抑制される[1]。
安全性
編集化学構造がヘキソーゲンに類似し、加熱や衝撃による発火のおそれがあるため日本の消防法では危険物第5類に分類される[1]。国際がん研究機関は、本物質の発癌性をGroup3に分類している。日本の労働安全衛生法第57条の3では変異原性が認められた既存化学物質としている[2]。
脚注
編集- ^ a b c d 『窒素酸化物の事典』p328-329
- ^ 製品安全データシート(職場のあんぜんサイト)
参考文献
編集- 鈴木仁美『窒素酸化物の事典』丸善、2008年、328-329頁。ISBN 978-4-621-08048-1。
外部リンク
編集- 鈴木健、「ジニトロソペンタメチレンテトラミンの火災および爆発について」 Science and technology of energetic materials : Journal of the Japan Explosives Society 75(3・4), 91-98, 2014, 火薬学会, NAID 40020199273