MobilePay
MobilePay(モバイルペイ)はデンマークのダンスケ銀行が開発した非接触型決済(モバイル決済)。デンマークのキャッシュレス社会化を後押しした成功例として知られる[1]。
送金サービスや対応する店舗での決済に利用できる[1]。店舗側の端末はBluetooth Low Energyを使用したバッテリー駆動であり、交換なしで数年使用できる[1]。また、Bluetoothが使えない場合でも、QRコードや番号を利用して支払いが可能である[1]。
2017年3月時点ではデンマーク国内のスマートフォン約340万台にアプリケーションがダウンロードされており、4万店舗以上がMobilePayでの決済に対応している[2]。デンマーク国立銀行の発表によれば、2016年のオンライン決済などを除くデンマークにおける店舗支払い時の75%超がMobilePayによる支払いとなっている[3]。ダンスケ銀行の発表では、年間のMobilePayによる決済は1.8億回となっている[2]。
経緯
編集2013年5月6日にスマートフォン用アプリケーションとして提供が開始されると、提供開始日だけで2万5千人がダウンロードを行い、ユーザーは4ヶ月で50万人になった[2]。当初はダンスケ銀行に口座を持っている人を対象としていた[2]。
2014年2月11日、会計報告のためのデータ出力や自社ロゴをレシートに印刷するといった機能を追加したビジネス向け「MobilePay Business」を公開した[2]。
2014年7月3日、オンラインショッピングの決済に対応。個人利用や実店舗での決済には1日の決済金額の上限が定められているが、オンラインショッピングの場合には上限金額が無い[2]。
2015年3月11日、ダンスク・スーパーマーケッド(Dansk Supermarked)がMobilePayを導入。スーパーマーケット業界で最初にMobilePayを導入した事例となった[2]。
2015年8月17日、デンマーク国鉄のチケット購入時にMobilePayが利用できるようになった[2]。
2015年8月27日、Apple WatchでのMobilePay利用が可能となる。これを受けて、2016年5月19日には、MobilePayのユーザー数が300万人を超えた[2]。
2016年6月7日、領収書支払いの際にMobilePayを利用できる「MobilePay領収書サービス」が開始される[2]。
2016年9月1日、店舗決済端末を提供する大手のベリフォンとパートナーシップを締結した。同年9月30日には同じく決済端末を提供するBamboraとパートナーシップを締結した。これによって、北欧全域でのMobilePay導入が加速された[2]。
2016年10月13日、スウェーデンのノルデア銀行がMobilePayへの参加を表明した[2]。
2017年3月2日、「MobilePay Subscription」が提供される。オンライン決済方法にMobilePayが紐付けされることで、NemIDや各種カード情報の入力が不要となった。
セキュリティ
編集MobilePayの登録には銀行口座情報(デンマーク国内で発行されたクレジットカード、またはデビットカード)と電話番号が必要である。ユーザーのアカウントはCPR番号と紐づけられており、詐欺行為を防止する仕組みの1つとなっている[1][2]。利用にあたっては、利用のたびに4桁の暗証番号の入力が必要である[2]。
2016年4月時点では、ハッキング被害は0件。2017年5月時点では詐欺被害は発生しているが、クレジットカードによる詐欺被害の6分の1に留まっている[2]。